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口腔顔面痛(原因不明の歯痛、顔の痛み、顎関節症)に慶應義塾大学での永年の経験と米国口腔顔面痛専門医資格を持つ和嶋浩一が対応します

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解釈モデルとは 聞きましょう、患者さんの考えていること

•患者さんが自らの病気(illness、医師のとらえる疾病 disease)を解釈する枠組みを、解釈モデル(説明モデル)と言います。  
Harvard 大学医学部の医療人類学と精神医学の教授であるKleinmann、Aが提唱した概念です。
•患者さんが病気の当事者として1)自分の病気の原因をどうとらえ、2)なぜ発症したのか、3)どの程度重いのか、4)予後はどうなのか、5)どんな治療が必要なのか等、自身の病気について想定していることがあります。
慢性経過している場合、なかなか診断がつかない場合には特に患者さんが自身の病気について、自分のもつ病気に関する知識のなかであれこれ考えてしまいます。そのように患者さんの自分の病気について思っていることを、自分の言葉で述べてもらい顕かにしてもらいます。これにより、患者と医者の病気認識のズレを少なくし、 患者さんが納得、満足のいく診療が進められます。
・2008年頃に歯科でもOSCEという、患者さんでの実習に必要な臨床実地能力があるかどうかの試験が始まり、このための教育も行われるようになりました。この教育の中に解釈モデルも含まれていますので、卒後15年以内の歯科医師は知っています。私はつい最近まで知りませんでした。北里大學の宮岡教授に教えてもらい、臨床に活用しています。
患者さんと私が、病気の理解が違うと話しがかみ合わなくなります。話していて異和感がある場合には患者さんの解釈モデルが私の考えが違っている訳です。最近は医療面接の段階で必ず確認しています。

臨床の場で、病気について患者さんとの食い違いを無くすために、このようなことをしています。こちらも覧てください。
解釈モデルと医療者が考えた病気のストーリーを摺り合わせる
https://wajima-ofp.com/blog_articles/1663289038.html
 
2021年10月31日 11:04

口角は噛み癖に引っ張られる 顔面非対称第2報 

第1報で顔面の非対称が何故起こるのか 和嶋仮説を説明しました。 最新版 wajima-ofp.com/blog_articles/1707103365.html
咀嚼時に 食塊を歯に乗せるために 咀嚼筋と一緒に舌で食べ物を歯に寄せる、頬粘膜がピント張る、舌筋(舌下神経支配)、頬筋(顔面神経支配)と咬筋(三叉神経支配)が共同運動によって片側の表情筋の筋緊張によって顔面がねじれる。
 以上の食事の際の偏咀嚼による咀嚼筋表情筋の共同運動の結果、咀嚼側の顔面の変化に加えて日中、睡眠時のかみしめの際にも咀嚼筋が収縮するのと合わせて表情筋が緊張するため、上記の変化が一層強化される。
という、仮説です。
偏咀嚼による顔面のねじれが生ずる一番の原因は咀嚼に共同して生ずる表情筋の緊張です。表情筋は通常の筋は動かない骨に付着する起始からはじまりと動く骨の停止に付着します、従って筋緊張すると骨の位置が変化する場合があります。しかし、骨は単一の筋で動かされていないので、現実には位置変化はありません。ところが、表情筋は立ち上がりの起始は骨に付着しますが、動かす部分は骨ではなく口輪筋です、従って、表情筋が緊張すると口輪筋が片方に引っ張られて、結果的に片方の口角が後に引っ張られれてしまいます。これが顔面非対称の最たる点です。

ここ数年マスクをしているので顔面の非対称、口角のズレが目立ちませんが、マスクを外すと気になる人が多いと思います。
新しく総理大臣になられた岸田さん 口角が左奥に引かれ、左の目尻が下がり、左側頬部の筋の緊張があります。きっと、左側偏咀嚼と思います。表情筋の筋痛、咬筋の筋痛があるかも知れません。
表情筋の確認は、口腔内外の双指診で行います、触診しながら、いろいろな表情をしてもらいます、例えばイー と発音してもらうと笑筋が緊張します、薄い筋なので非常に敏感に反応します
咬筋に硬結、圧痛がある場合には表情筋にも圧痛が認められます、咬筋の圧痛よりも かなり強い圧痛です。表情筋の関連痛が歯痛として感じられることもあります。
審美歯科では白くする事が強調されていますが、顔面非対称の原因追及と改善も大きな歯科の仕事と思います。
原因の偏咀嚼を修正、その原因は欠損や干渉などの咬合の問題かも知れません。
口輪筋、表情筋、咀嚼筋の緊張に対してはまずはクセの確認、修正には理学療法による筋緊張緩和が適応と思います。
Wajima流では、ズレた側のほっぺたを膨らます練習をしてもらいます、これによりズレた側の表情筋のストレッチになり、健側の口角を引っ張ってズレて口輪筋を元に戻すことが出来ます。
2021年10月25日 20:36

慢性痛による苦悩への対応法 認知行動療法

器質的痛みの治療にプラスして 認知行動療法
•痛みの治療では、最初に炎症などによる侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛などの器質的痛みを原因を探し、それに対する治療を行う。
•痛みは生体サインとして不可欠な身体感覚(痛覚:器質的痛み)と、痛みから生じる苦悩(感情・認知)の両側面を持っている。
•両者は密接に絡み合っており、片方のケアを怠れば、もう片方へ悪影響を及ぼし、痛みを悪化させる。
•一般に、急性疼痛であるほど生体サイン(痛覚)としての要素が大きく、慢性化するにつれ苦悩の要素が大きくなる。
•    痛み(痛覚)への対処と苦悩への対処、両方をバランスよく行うことが重要となる。

苦悩への対応 認知行動療法とは
•慢性疼痛は、最初は生体サイン(痛覚)であった痛みに苦悩が付随するようになった状態と言える。
•認知行動療法では個人の認知、感情、身体反応、行動に焦点を当てる。
•これらの4要素が上手く適応出来ない(非適応的:道理に合わない、うまくいかない)悪循環を作り出すことによって4要素が悪化、持続され、一層痛くなる。
•認知行動療法はこの悪循環を良循環に変えるために、各要素の状態を理解し、歪みを修正することで痛みを管理する。
•認知行動療法は苦悩の原因となる「ネガティブな感情や認知」を「適応的な、現実にそった柔軟な考え方」に変え、痛みに振り回されずに生活できるようになることを治療目標としている。
2021年10月17日 20:13

開口ストレッチ アシストブロック

開口ストレッチアシスト
筋緊張への対応のなかでセルフケアの一つとして開口ストレッチを指導します。咀嚼筋障害の開口ストレッチの方法としては、UCLA(米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校)で舌を切歯乳頭につけたままで開口し、6秒保持を6セットが知られ、米国では一般的に行われています。
全身の筋障害へのストレッチが科学されて、1回30秒以上、一日3回以上を隔日に行うことによりストレッチの効果が持続するという結果があります。私はこの原則に基づいて開口ストレッチを患者さんに指導しています。以前は、30秒開口ストレッチを自力あるいは自分の手指で伸展させるように指導していました、ところが、30秒開口中に咬筋、側頭筋などが逆に緊張してしまうことが判りました。そこで開口保持のためのは発泡スチロール製の開口アシストブロックを開発しました。当クリニックの患者さんには順次配布しています。 使い方:軽く口を開けて、前歯の間に発泡スチロールブロックの30mmの小さい方から入れて、当たったところで止める。発泡スチロールにアゴを預けるつもりで開けるのを止めます。このまま30秒です、テレビを観ながらでも、音楽を機器ながらでも、発泡スチロールに歯が食い込んでもokです。
発泡スチロールですから自分でカッターで切って作れます、また、キレイに切るには電熱式の発泡スチロールカッターもあります。
 
2021年10月16日 08:50

顔面の非対称は噛み癖で起こる

表情筋
最近はテレビを観るのは、朝に出かける前に時刻を気にしながらニュースを観るくらいですが、気になるのはアナウンサーの顔面の非対称
顔がねじれていますよ、と言いたくなります、そのままにしていると、もっとひどくなりますよと
長い間、テレビ局の歯科診療室に週に一回勤務していました。其の頃、アナウンサーの皆さんに顔面の非対称の話をした事がありました。テレビで真正面から大写しになる人の顔がネジレているのはチャーミングポイントにはならない、直しましょう  整形外科的にはではなく、噛み癖を自覚して修正すること、バランシングコンタクトという咬合異常がある場合にはスプリントや咬合調整により改善できますよと伝えました。
最新版 wajima-ofp.com/blog_articles/1707103365.html

顔面の非対称が何故起こるのか 和嶋仮説です、何処にも本格的研究はありません。
 舌筋(舌下神経支配)、頬筋(顔面神経支配)と咬筋(三叉神経支配)という神経支配の異なる筋肉が共同運動して片側の筋緊張によって顔面がねじれ非対称となります。
後方への偏位
1.かみ癖側に口角が引かれる(筋は通常、骨と骨を結んでいますが、表情筋は骨と口輪筋を結んでいるので、表情筋が緊張、拘縮することにより口輪、口角が引かれてしまいます。)
2.かみ癖側の頬部に凹凸が出来る、反対側は凹凸無く、ふっくら(筋緊張で頬部が筋肉質になり、非咀嚼側は脂肪によってふっくらのままです。)
下方への偏位
3.頬部の膨らみが下に落ちてくる
4.目尻が下がってくる、眼裂がやや細くなる(咬筋が緊張、拘縮することで目尻の皮膚が下方に引かれてしまいます。)

これらの変化が生ずる解剖学的、神経生理的解説、
咀嚼時に咬筋が収縮する、偏咀嚼で片側だけ活動させるために半側が大きくなる、特に咬筋の下部が肥大 (3)
咬筋は上下方向に収縮するので上の皮膚も収縮、これにより目尻が下がる (4)
 
咀嚼時に 食塊を歯に乗せるために 咀嚼筋と一緒に舌で食べ物を歯に寄せる、頬粘膜がピント張る、舌筋(舌下神経支配)、頬筋(顔面神経支配)と咬筋(三叉神経支配)が共同運動 
 
筋肉は骨と骨に付いていて、固定部分の骨の起始と動く部分の骨の停止に付着して、骨を動かします、ところが表情筋は固定部分の骨の起始と動く部分の口輪筋の停止に付着して、口唇を動かします。
頬筋は上部分、下部分に別れて、付け根は上下の骨 そこから前方に伸びて唇を動かす口輪筋に付く頬筋が収縮すると、頬粘膜が上下に引かれてピント張る、口角は後方に引かれる
偏咀嚼をしていると、片側の頬筋のみが活動し、口角が付け根の骨の方向 つまり 後ろに引かれてくる(1)、

咀嚼の際は頬筋だけでなく多くの表情筋が共同運動する、偏咀嚼では片側の表情筋が筋骨隆々的に凹凸が出来る  (2)
 
以上の食事の際の偏咀嚼による咀嚼筋表情筋の共同運動の結果、咀嚼側の顔面の変化に加えて日中、睡眠時のかみしめの際にも咀嚼筋が収縮するのと合わせて表情筋が緊張するため、上記の変化が一層強化される。(1.2.3.4)
という、和嶋の仮説です。
鏡の前で笑ってみましょう、この時にまさに笑筋が緊張して口角を後上方に引き上げます、左右を比較してみてください、非対称に片側に大きく引かれているようであれば、顔面非対称の可能性があります。
自己対策は、ズレのない側で咀嚼することを心がけることです。つまり、自分で何時もどちらで咬んでいるかを観察し、両方と言うよりも反対側で咀嚼するように心がけましょう。
積極的な修正は続編をお読みください。  https://wajima-ofp.com/blog_articles/1635161762.html
 
2021年10月13日 09:27

問診から医療面接、そしてオンライン相談


病院を受診すると、受付手続きの後に医師と話す事になる。かつて「問診」と呼ばれていた時代には,医師が知りたい情報を集中的に効率よく患者から収集するという作業が中心に行われていた。
大学病院では研修医が最初に「予診」という病歴聴取を行った後に、其の情報を元に初診医が診断を行っていた。
口腔顔面痛診療の第一歩が「医療面接(medical  interview)」である。かつての「問診」が医療面接と名を変え、診断を付けるための医学的側面としての病歴聴取にとどまらず,患者の考える病気の「ナラティブ:物語」、患者が対話を通じて語る病気になった理由や経緯、病気について今どのように考えているかなどを聞き出し、好ましい医師患者関係を構築することにより治療への動機付けをも目指したものとなっている。
口腔顔面痛の診療で重要なのは、患者の訴え、問題を明確にし、正しく診断することである。そのため、問診表の記載、医療面接、身体診察、診断的検査から、診断を導き、治療または他科への紹介を行うという一連の流れを実行することが重要である。
現在は、この流れの中で身体診察、診断的検査に至る臨床診断推論まではZOOM等を用いてオンラインで実施可能になっている。以前のブログに書いたように、患者さん、主治医と離れたところから指導医がオンラインで治療に当たることにより、口腔顔面痛の均てん化は早期に達成できると思う。
 
2021年10月09日 16:30

ノーベル生理・医学賞 温度感覚、触覚

今年のノーベル生理学・医学賞は,温度受容体および触覚受容体を発見した功績で,米カリフォルニア大学サンフランシスコ校のジュリアス(David Julius)教授,米スクリプス研究所のパタプティアン(Ardem Patapoutian)教授の2氏に授与される。
 
痛み治療に関わる者たちは温度受容体TRPファミリーを相手に仕事しているようなもので特に受賞対象のTRPV1という43度の熱で痛みを感じる受容体は非常に密接に感じます。
例えば、炎症で痛みを感じる場合に冷やすと楽になる、これは炎症物質がTRPV1に作用して過敏にして、43度よりも低い温度、体温が少し上がっただけでも痛みを感じるようにしているのです。
そして、冷やす事により体温が下がるとTRPV1が刺激されないために痛みが出なくなるということです。
また、ロキソニンなどの抗炎症性鎮痛薬は炎症部分でTRPV1を刺激するプロスタグランジンの発生を止めTRPV1の過敏化を止めることにより、体温ではTRPV1が刺激され無いこととなり、痛みがでなくなるという作用です。
この様にTRPV1は痛み治療に密接に関係する受容体です。残念な事として、1997年TRPV1の発見に深く関わっていた富永真琴先生が共同受賞できなかったことです。
 
2021年10月08日 18:07

オンライン口腔顔面痛診療指導

日本口腔顔面痛学会は専門医育成の一環として、準研修機関が追加されました。
専門医試験受験資格を得る新たな方法として、自院に週一日指導医を招いて診療指導を受けることが認められました。 活用が増え、多くの専門医が育成されることを望みます。

専門医資格までは望まないが、認定医の資格は取りたい、あるいは口腔顔面痛の診療をしたい、でも、指導してくれる人がいない、週に一日指導医を招くほど患者さんは多くないという場合の解決策として私が考えたこと。
zoom等を用いて、オンライン診療指導をうける方法です。
口腔顔面痛患者さんを診たが、上手く診断がつかない、診断に自信がないなどの状況の場合に活用です。
1)患者さんの了解を得て、診査資料を指導医に開示する。
2)診療日、zoom等を活用して、指導医が医療面接する、それを主治医は同席して聞く。
3)主治医は医療面接の結果に基づき、仮説演繹法によりいくつかの鑑別診断を想起する。
4)鑑別診断の確認のために診査、検査を行う、この際に指導医の指導を受ける。ここまでzoom等でLive オンラインで行う。
5)後日、医療面接、診査診断の結果を基に、主治医と指導医でzoom等でデスカッションを行い最終診断し、治療法を決定する。
6)治療経過に応じて、指導医に相談する。
ご意見、コメント等ありましたらメールください。 wajima@keio.jp

2021年10月06日 17:38

オンライン相談 日本口腔顔面痛学会専門医マップ

口腔顔面痛の診療はどこでも受けられる状況にありません。東京都内は幸いに大学に専門医の在籍して診療していますし、当クリニックの様に専門クリニックもあります、しかし、東京から離れると専門医はほとんどいません。日本口腔顔面痛学会は口腔顔面痛診療の均てん化を目指して、各県に最少でも一人の専門医がいる状況になってほしいと思って、研修活動をしています。

口腔顔面痛の主体をなす非歯原性歯痛という概念が歯科界に少しずつ広がり、一般歯科医師の方々が痛み診断のなかで、患者さんの訴える痛みの原因がはっきりしない、どうも歯には原因がないと思った時に、歯の原因ではない痛み 「非歯原性歯痛」ではないかというアイデアが浮かぶようになってきています。以前は、原因不明、異常なしとして、痛みがあることに懐疑的な目を向けられることもありましたから、非歯原性歯痛を思い浮かべてもらうだけで非常に喜ばしいことです。
ところが、非歯原性歯痛が疑いが挙がっただけでは痛みは収まりません。非歯原性歯痛の原疾患の診断をして、其の疾患の治療をしなければなりません。この原疾患診断と治療は口腔顔面痛専門医でなければできません。 口腔顔面痛専門医が近くにいなかったらどうしましょう、このような悩みが現状です。専門医の数を増やし均てん化を達成するにはまだまだ時間が必要ですが、日本口腔顔面痛学会では専門医マップを作って、専門医探しの手伝いをしています。https://jorofacialpain.sakura.ne.jp/?page_id=2959
近隣に口腔顔面痛専門医がいない状況は日本だけではなく、世界中で同じです。現在、世界中の至るところに日本人が住んでいます。其の方々の中にも口腔顔面痛を患い、地元の歯科にかかったが全く治らず、苦しんでいるという声を聞きます。このような声は、海外在留者の日本に住んでいる家族の方が当クリニックを見つけて相談してきてくれます。家族との会話ではなかなか症状が伝わらず、海外在留者とメールで相談になったら、電話で話すことも増えてきました。解決策が生まれて喜んで頂くことになっても、費用の問題が生じます。 解決策としてオンライン相談を始めました。 風の杜歯科 オンライン相談 http://kazenomorishika.com/online.php
コロナ禍のなかで国内ではオンライン診療が一気に広まりました、同様のシステムを活用して、症状を聞き、相互に画面で顔を観ながら納得の行くまで話ができます。
このシステムは海外だけではなく、国内においても活用でき、とりあえず今の痛みを相談したい、近くに口腔顔面痛専門医がいないので、今後どうすればよいか相談したいなどに活用してもらっています。
オンライン相談の後に、主治医と相談して、主治医の治療をzoom等を介してLiveでみせてもらい、こちらから診査法、治療法等を指導することもできるようになっています。
デジタルの進歩をどの様に活用するか、更に先に歩を進め、発信していきたいと思っています。
 
2021年10月06日 17:06

これまでの記事

2021/10/01
今週も何人か初診患者さんがいらっしゃいました。多くの患者さんは筋肉の痛みです。診断のポイントは筋圧痛があること、5-6秒押してると歯の痛み、顔の痛みなど、患者さんのいつも感じている痛みが再現されることです。筋触診は20年来セミナー、講習会で指導してきたことですが、なかなか伝わっていないようです。現在、コロナでハンズオンコースはできませんが、コロナが収束したら、ぜひとも再開して、筋触診を正確に伝えたいと思います。

2021/09/27
先週は日本歯科医学会学術大会で堀越先生にケアのためのコミュニケーションスキルの話をしていただきました。いくつかのkeywordがありました。
昨日は第16回慢性痛の心理アセスメント研究会があり、テーマは動機づけ面接でした。
後半の講師の笠原先生のスライド原稿を添付します。
動機づけ面接法のポイントとして「2つの概念」「3つの態度」「4つの原理(精神)」「5つの技術」「7つの質問」
「2つの概念」とは両価性 抵抗に逆らわない です。  かつて、歯ブラシ指導にモチベーションという言葉を用いていました。
動機づけ面接とは、まさに歯ブラシしない人にどうやって歯ブラシしてもらうかです。
歯ブラシすることにより虫歯予防、歯周疾患予防ができることは分かっている、でも 面倒だという両価性を認める、 これに対して「何回指導しても磨けていない、もっと磨いてください」と一方的に言う これは、患者さんは磨くことの必要性を十分自覚している、でも、なかなか十分にはできていない、そこに「もっと磨いてください」という指導は患者のやる気を無くしてしまう。もうあそこには行かない、これは大野先生が自分の経験として話していました。こんなところにも動機づけ面接 コミュニケーションスキルが活かされます。
動機づけ面接とは、ある病気を治すために治療法を紹介して、そこに乗ってもらう為の目的を持ったコミュニケーション手法と言えます。
堀越先生のお話は、更に其の基本となるコミュニケーションスキルの話だったと思います。
8月から分析的診断法を用いた症例検討会などで得た知識経験をどうやって、参加者各自の有効な、有機的に機能する知識にするか の話をしてきました。
診断エラーを省察 Reflection 「 on 」や「 for 」があれば、「 on 」の事後の省察で改善点を見つけ、「 for 」で具体的課題を立てそれを繰り返し訓練することで、今まで考えられなかった発展を生み出すことができる。
診断エラーノートをつけて、到達目標は 「OFPの臨床で、全ての初診例がパターン認識法で正しい診断が出来てしまう」です。 
来年1月からのデンタルダイヤモンド連載のテーマは「診断エラーに学ぶ」にしました。


2021/09/25 解釈モデル という言葉 患者さんの治療に際して、患者さんからいろいろな事を聞いて、病気を正しく診断しようとします。診断の後に、病気の説明、治療などを説明して治療を始めます。このスッテップの中では医学的常識に基づいて、詳しく説明し、医者の頭の中では患者さんに理解してもらえた、患者さんも同じ考えを持って一緒に改善に向かって進んでいると思っています。ところが、患者さんが自分の病気に関する考えがあったり、私はこの治療法をしたいんだとすでに決められている方がいます。このような患者さんの自分の病気への考えを解釈モデルと言います。これが医学常識とズレがない、あるいは医者の説明で初めて自分の病気の理解ができたという場合には問題はないのですが、患者さんの解釈モデルと医者の説明にズレがあることがあります。ズレたままでの治療では良い結果が望めません、必ずズレの有無を確認し、ズレが見つかったら修正することが必要です。いずれ、詳しく書こうと思います。

2021/09/25
堀越先生の講演を聞いて、いつもの患者さんとの対話、 やっぱり説得になってしまっている。患者さんは よく分かりましたと 言ってくれるが 帰ったらすぐ忘れていしまうかもしれない、なぜならが、自分でそうだと思ったわけではないから。 患者さんが自分で その方向性が良いのだと思ってくれないと、いい方向には進まない。 反省です

9/23 第24回日本歯科医学会学術大会講演1 AI時代の医療者に求められるコミュニケーションスキル 講師: 堀越 勝 (国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター 特命部長)がLive配信されました。さすが米国で専門的なトレーニングを積んだClinicalPsychologistのケアのためのコミュニケーションスキルは内容の深さが違います。傾注、受容、共感 更に其の先へ、患者さんを治療に向けるノーハウが詰まっていました。26日からWeb配信されるようです、繰り返し聴講しようと思います。
堀越勝著:ケアする人の対話スキルABCD が非常に参考になります。

2021/09/19 30秒開口ストレッチ補助用具 発泡スチロールで作った話を書きました。 自作してください。写真を載せます。

2021/09/19 この一週間はいつも以上にチャレンジな患者さんが来ました。チャレンジというのは私の能力が試されると言う意味です。何時もながら思い知らされるのは、歯科全般の知識と 神経学的には12脳神経から中枢神経系の知識と検査法が出来ること、 解剖学的に隣接組織の構造が思い浮かぶことが 必要だと   1)ブリッジの支台歯が外れていて、約一年かかって症状が顕在化してきた、その間に歯科はもちろん 大学OFP、TMD外来を受診している、しかし、症状が典型的でないことと 皆さん 様々な認知バイアスが入り込んで正しい診断に至っていなかった。  2)上顎のエンド治療中、臥位(横になる)になると拍動性の鈍痛で寝られないと言う主訴 Chairの上でやってみると、確かに臥位で拍動性鈍痛が起こり、坐位に戻すと軽快する、再現性がある。心臓と顔面との上下の差が血圧の差になっているが、臥位では顔面の血圧が少し高くなる、要は血流が増すことにより血管性の痛みが出る、これは骨髄炎でよく診られる症状、しかし、下顎骨にはそれらしき所見はない 同じ歯を1年以上治療しているのだが、今の症状はある日の治療がきっかけで始まった事が判った。 上顎洞粘膜が刺激されて急性上顎洞炎になり、どうも上顎洞粘膜が過敏になってしまったことが推定される。その結果、臥位になり上顎洞粘膜の血流が増して、拍動性の鈍痛が生ずると言うことだろうと推定された。  3)もうひとつ、10年来の一般診療の患者さん、定期検診で受診 第一声が、何と前回の受診のあとで脳梗塞になったと、少し呂律が回らない話し方で言う。ビックリしました。その他の運動麻痺等の重大な後遺症はなく良かったです。話しているうちに、どうも口唇が片方に偏位します、顔面神経麻痺を疑い、12脳神経を診査しました。明らかに中枢性の顔面神経麻痺、三叉神経の感覚障害、舌下神経の麻痺による舌の偏位もありました。 口腔顔面痛のやるべき事として、12脳神経診査をルーチンにすることによって 脳卒中の早期診断に役立つと思いました。


2021/09/12 TMD、非歯原性歯痛の主病態が筋・筋膜疼痛であることは専門医の共通した認識である。街には肩こり、腰痛治療の為のストレッチ、マッサージ、鍼灸などいっぱい見かける。理学療法の基本に則った治療であれば、改善すると思われる。元々、理学療法を専門としない歯科医師より上手なこともあり得る。それでは、歯科医師は筋・筋膜疼痛に対して、何が出来るか、何をするべきか---  第1は鑑別診断、他疾患との鑑別診断、また、筋・筋膜疼痛に他疾患が併発していないか、筋・筋膜疼痛は二次的で一次疾患がないかどうかなどを鑑別する、鑑別できる事が挙げられる。第2は原因診査をして、筋・筋膜疼痛を生じせしめた原因、 歯科だからかみ合わせと思われるかも知れないが、そのような考えは時代遅れ、少なくとも10年以上前にはっきりと否定されている。歯科の概念を超えて、全身的に考えるべき、姿勢、運動癖 あるいは情動因子も大きい、ストレス、過緊張など 歯科医師が古くからの固定観念を持ってTMD、非歯原性歯痛に対応していては、歯科医師の役割を果たしていません。

2021/09/11   30秒開口ストレッチ補助用具 発泡スチロールで作りました。現在、筋・筋膜疼痛の患者さんに使ってもらっています。好評であり、改善率が高いです。

2021/09/11
最近、気になる症例 打診に過敏な歯 もちろん、歯原性の炎症によるものではありません。原因として多いのは、打撲 転倒して歯をぶつけた、歯髄は死んでいないが過敏さだけ残っている、あるいは、歯髄壊死を生じて歯冠部が変色、根管治療を終えたが、過敏さだけ残っている。 次に多いのは歯髄炎で抜髄し、根管処置は終わったが 過敏さだけ残っている。 推定原因:歯根膜の感覚神経の過敏化 機械的刺激か 出血後ヘモグロビンの代謝産物 ヘモジデリンが神経刺激した結果
治療が難しい-ステントを用いて局所麻酔薬貼薬 プラス カプサイシン

2021/09/02 
秋の学会 コロナによる緊急事態宣言が続く中、8月が過ぎました。秋は学会シーズンで、二年ぶりに対面でできるのか、今年もオンラインなのか。   
口腔顔面痛オンラインセミナー   コロナによって、オンラインでセミナー、会議が問題なしにできることが判りました。慶應関連で2つの口腔顔面痛オンラインセミナーを実施しています。参加希望の方はご連絡ください。

開口ストレッチ   30秒開口ストレッチで、自力あるいは自分の手指で保持して30秒開口することにより伸展させることを指導してきました、ところが、30秒開口中に咬筋、側頭筋などが逆に緊張してしまうことが判りました。そこで開口保持のためのブロックを開発しました。当クリニックの患者さんには順次配布しています。 関心がある方はご連絡ください。

第24回日本歯科医学会学術大会 9月23日(木)11:10~12:10 講演1 AI時代の医療者に求められるコミュニケーションスキル 講師: 堀越 勝 (国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター 特命部長) 座長を務めさせていただきます。

8月3日  昨年10月編集刊行した 臨床現場で役に立つ ”痛み”の教科書 が好評で、重版出来されました。 臨床診断推論が評価を受けたようでなので、月刊デンタルダイヤモンド誌に 来年1月から臨床診断推論を症例を挙げて解説する連載が決まりました。 

現在検討していること
1.30秒開口ストレッチの方法 開口ストレッチブロックを試作中
2.研修施設に属していないで口腔顔面痛の臨床をされている方、日本口腔顔面痛学会認定医の方でもっと口腔顔面痛の臨床を研修したいという方々に見学の機会を設ける。 例えば、ご自分の患者さんで治療方針に迷いのある場合に患者さんを紹介していただき、一緒に来院して、診療を見学するとか  


2021年7月 HP解説しました  
口腔顔面痛、非歯原性歯痛、顎関節症に関するアップデートな情報を掲載していきます
2021年10月06日 15:35

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