痛みのオノマトペ 方言もある
日本語には「ビリビリ」、「ジンジン」、「チクチク」のように痛みを表すオノマトペがたくさんあります。オノマトペとは擬音語・擬態語の総称で、音と密接に関わりをもっている表現です。オノマトペは平常語での表現よりも簡素かつ直接的に痛みの具合を表すことができます。さらに,痛みの量(程度・強度)と質(部位・深度)の両者を合わせて表現できる利点があります。「ビリビリ」なら痺れるような痛み、「ジンジン」なら焼けるような痛み、「チクチク」なら針で刺すような痛みを表すというように、痛みの違いを端的に言い分けることができます。そのため、医療では医者と患者の間で意思疎通をするのに役立っています。
この記事では痛みのオノマトペには方言があると書かれています。記事を書かれた岩手大学竹田晃子先生は全国の方言オノマトペを集めて研究しているそうです。
私もオノマトペで混乱した経験があります。老年の女性の患者さんが上顎欠損部歯肉を指して、この歯肉が「しみる」と訴えるのです。何軒もの歯医者さんにかかって、同じような訴えをしたが原因不明と言う事で紹介された患者さんでした。
今なら、歯肉に冷刺激で反応がある、TRPA1、TRPM8が反応すると言う事で神経障害性疼痛を疑うかもしれません。その時はそこまでの考えはなく、しみるという歯肉を冷刺激しても何も反応はなく、感覚異常なしでした。患者さんに詳しく聞いたところ、「しみる」はキューーっと痛いと言うことでした。歯肉に歯ブラシが触ったりするとキューーっと発作性の痛みが誘発されるという事で、持続時間は一瞬、一回キューーっとなると、次に刺激してもならないということで、三叉神経痛でした。
確かこの患者さんは広島県の出身の方でしみるは広島の方言オノマトペだったようです。思い出しました。
この記事は痛みはどこから1 になっていますので続編があると思います。
2022年06月01日 12:31