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口腔顔面痛(原因不明の歯痛、顔の痛み、顎関節症)に慶應義塾大学での永年の経験と米国口腔顔面痛専門医資格を持つ和嶋浩一が対応します

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2025年4月の記事:ブログページ

感覚は双方向という話し、痛みは感覚か解釈か、と言う話

感覚は双方向という話しと痛みは感覚か解釈か、と言う話
以前、加藤総夫先生の講演で視覚、聴覚は双方向だという話しとデモを見せてもらったことがあります。漠然と見えているモノと意図的に見ようとした時、探そうとしたときの異なって見える、同様に聞こえている音を意図的に聞こうとしたときに聞こえる音が違って聞こえると言う話しだったと思います。味覚も同様だと思います、何気なく食べている料理のなかで、この味は?と意識するといろいろな味がはっきり感じられます。その結果、美味しく感じるかどうかは保証しませんが。
普段、舌が特別の敏感だとは感じられませんが、触覚、痛覚、冷温覚とも非常に敏感な組織です。歯の鋭縁や凹凸、咬頭の凸凹、充填物の段差など、また、口蓋皺襞の凸凹、舌乳頭のザラザラなど、それまで何も気にならなかったモノが、いったん気になり出すと、如何にも探しているように全て異常と感じてしまいます。
感覚が双方向と言っても、感覚を伝える神経線維を伝わる信号は全て末梢から中枢に向かい、信号が逆行して探す訳ではありません。中枢に向かう信号の中から目的とする信号を脳が選別し、拡大して捉えることにより脳から末梢の感覚器に探しに行っているように感じられるのだと思います。要するに、求心性に脳に伝わった感覚を脳が解釈しているとも言えます。
我々は診査で口腔内を診るときに、見慣れた口腔内で間違い探しのように、異常な所見がないかどうかを探します。異常所見には違和感で判別できます。
患者さんが何らかのきっかけで口腔内を見ると、見慣れないモノがいっぱいあります。よくある例が口蓋隆起です、ある日突然、上顎がヒリヒリ、よく観たら大きな出っ張りがある、気になってしまいどうしようも無い。昨日までは何もなく突然に出来た(本当は偶然見つけた)ので、きっとアゴのガンに違いないと訴えます。確かに大きな口蓋隆起で、よく今日まで気にならずに過ごしてきたモノだと思える位の大きさです。ところが、全く気にならずに今日まで過ごしてきたのです。このように大きな凸凹があっても、舌にとっては慣れ親しんだ凹凸だったのですが、いったん気になると、歯が出っ張っている、かみ合わせが悪いからだと異常として捉えてしまいます。
同様にいっぱい毛が生えている、それが一様ではない。これはガンではないか、そう思ったら舌に痛みも感じると受診する人もいます。舌に毛が無かったら、まるで因幡の白ウサギのように、しみて、しみて大変ですよ、舌を守るために毛が生えているのですよと正常な舌の写真(本当は私の舌をべーっと見せたいが)を見せて説明したら、納得できて帰りには痛みも消えていました。
痛みは本来、身体を傷害から守るための警告信号で、生きるために必要な事です。急性の痛みのほとんどは原因を取り除けば痛みが消えます。問題は慢性化した痛みです、慢性化した痛みは痛みの原因とは離れたところで続いています、まるで、ハシゴを外されたよう。その理由の一つが、長い間、痛みが続くと痛み神経系が刺激されて過敏な状態になってしまい、原因が無くなっても過敏な状態は続きます。そして、気になって何時も痛みを探しています。このような状況の慢性痛の患者さんへの説明によく使うフレーズを紹介します。試験勉強の為に毎日復習していると試験で満点、ところが、復習しないと良い点数がとれない、試験のためには復習が効果的だが、気にして痛みを探し続けると記憶を呼び戻すことになり最悪です。それではどうすれば良いか、気にしないようにしても気になってしまいます、止めることは出来ないのです。意識を他に向けることです、痛みの復習では無く、他の楽しいことを考える、痛いところを使った動作をする、これにより意識が他に向いて、痛みが感じなくなります。これがマインドフルネスです。
 
2025年04月24日 14:24

案内:顎関節症/口腔顔面痛診査法実技指導セミナー

案内:顎関節症/口腔顔面痛を正しく診断するための診査法実技指導セミナー
目的:顎関節症/口腔顔面痛の診断に必要な診査法を実技指導する。
本セミナー開催に当たっての和嶋の考えを記事にしてある。 https://wajima-ofp.com/blog_articles/1743771572.html
構成:1)オンラインでの診査実技の解説(Googlemeet)
2)対面での、少人数、診査法実技指導(会場:元赤坂デンタルクリニック)
3)クリニックでの診療見学(東京、元赤坂デンタルクリニック、札幌、風の杜歯科)
診査法実技指導項目:1)顎関節痛の診査、2)筋・筋膜性疼痛の診査、3)口腔内、顔面の感覚検査、4)12脳神経検査
セミナー開始予定日:2025年5月12日on-line
募集人数:五名限定
受講者に求める事:顎関節症/口腔顔面痛の診査技術の指導であるため、ある程度の基本的知識を持っていること、口腔顔面痛の臨床経験は問わない。
受講料:七万円(申し込み者に振込先を連絡)
応募締め切り:4月25日
応募方法:メール申しこみ、記載事項(氏名、所属、年齢、出身大学、メールアドレス)
申し込み先メールアドレス:wajima.ofp@gmail.com
セミナー予定日時(on-lineは原則第2月曜日20時始まり2時間、対面は10時-16時、診療見学10時-17時適宜)、形式:1)5月12日月曜日:on-line、2)6月9日月曜日:on-line、3)7月14日月曜日:on-line、4)8月31日日曜日:対面、5)9月8日月曜日:on-line、6)日程応相談:診療見学
その他の受講希望者への要望:1)現在、月例で行われている3つの口腔顔面痛関連オンラインセミナー(村岡先生主催慶應OFPオープンセミナー、坂本先生主催OFP-webセミナー、和嶋主催口腔顔面痛オンラインセミナー)を受講することを勧める。 2)本セミナー受講後に日本口腔顔面痛学会主催の口腔顔面痛臨床推論実習セミナーの受講を勧める。
セミナー内容等、受講に当たっての質問は wajima.ofp@gmail.com宛てに送ってください。
 
2025年04月06日 14:26

顎関節症/口腔顔面痛診査法実技指導セミナー企画の経緯

顎関節症/口腔顔面痛を正しく診断するための診査法実技指導セミナー企画の経緯
ここ数年、構想を練っていた口腔顔面痛診療に興味を持つ方々への診査法実技指導有料セミナーを開催する事を決断しました。概要は、前もってオンラインでビデオ等での指導を行った後に、クリニックに集まってもらい実技指導を行う。後日、クリニックに来てもらい和嶋の患者診療の実際を見学してもらう。期日、費用等の詳細は後述します。
  1. 個人で診査法実技指導有料セミナーを企画するに至ったきっかけ
顎関節症、口腔顔面痛に関するセミナーが日本顎関節学会、日本口腔顔面痛学会で行われている。ところが、私のクリニックを受診する患者さんの多くはいくつかの専門医療機関で治療を受けているが正しく診断されないために改善せずに来院する。一番の理由は正しい診査法が実施されていない為である。
学会と協働して必要なセミナーを行えば良いとも考えられるが、正しく伝えるには、私が米国のOrofacial painの先達から直接教わった診査法をHandsonで、私が受講者に触って、直接診査をして伝える必要がある。それには少人数でしかできない。
  1. 診査法実技指導有料セミナーではどのようなことをするのか
主目的の診査法実技指導のために、少人数の受講者に私のクリニックに集まってもらい、丸一日かけて実技指導を行う。和嶋による受講者診査とその後の受講者間での相互診査実習を行ってもらう。当日の診査法実技の理解のために、前もって数回On-lineにてビデオ等により説明する。診査法実技指導を受けてもらった後に、クリニックに来ていただき、和嶋の日常の顎関節症/口腔顔面痛患者診察を見学してもらう。また、希望者には札幌、風の杜歯科での和嶋の診療を見学もしてもらう。札幌での診療見学の特徴は一日で多数の多様な病態、症状の患者さんの診療を見学できることである。
診査法実技指導項目:1)顎関節痛の診査、2)筋・筋膜性疼痛の診査、3)口腔内、顔面の感覚検査、4)12脳神経検査
  1. 何故、今まで診査法実技指導有料セミナーの開催をためらっていたか
実技指導は対面でしかできない、和嶋が受講者全員に直接指導するには少人数でしかできない、お互いに真剣に指導する、学ぶ時間を共有したい。このような構想でのセミナーを和嶋がやって良いのかとずーっと長い間、思案していた。前述したように患者さんが正統な診査を受けていないために正しい診断に至らず症状が改善していない状況を診る度にもうやらなければと思っていた。日本口腔顔面痛学会創設メンバーの多くは第一線から離れ、臨床を続けている和嶋がやらないと正統な顎関節症/口腔顔面痛の診査、治療の伝承が出来なくなるとの危惧も感じて決断するに至った。
 
2025年04月04日 21:59