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口腔顔面痛(原因不明の歯痛、顔の痛み、顎関節症)に慶應義塾大学での永年の経験と米国口腔顔面痛専門医資格を持つ和嶋浩一が対応します

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ボツリヌス毒素の三叉神経痛、神経障害性疼痛への有効性

 ボツリヌス毒素(BoNT-A)の痛み神経系への作用が判ってきました。三叉神経痛、有痛性三叉神経ニューロパチーなどの痛みを改善出来る可能性があります。
正月休みに関連論文を読んでまとめました。
1.三叉神経痛には有効性が高い。原因療法として微小血管減圧術が確立されている典型的三叉神経痛は、Second Lineに位置付けられる。
二次性三叉神経痛は原因療法が絶対に必要である。
特発性三叉神経痛はカルバマゼピンが効果的であったとしても、服用期間が長期になる。パルス高周波が有効である事が判って来たので治療の選択肢として考えるべき。同列にBoNT-Aのトリガーゾーンあるいは当該神経枝の神経孔に注射も検討すべき。欠点はトリガーゾーンが筋の近くである場合には筋弛緩を生じさせる可能性が高いので注意が必要。
2.有痛性三叉神経ニューロパチー 各種薬物療法で効果が無かった場合、効果があって痛みは減ったが、まだ残っているという場合には試みる価値がある。BoNT-Aの注射部位は当該神経枝の神経孔、下顎枝であればオトガイ孔周囲に注射、なるべく拡散しないようにする。上顎枝の場合何処に注射するかが問題
3.慢性筋・筋膜疼痛は有効とする論文と無効とする論文がある。何が有効性を左右するか、中枢感作のあるなしの様です。中枢感作が生じている場合には末梢に作用しても、中枢感作を抑制する程の効果は無いので効果無しになるようです。
筋・筋膜疼痛の病態を侵害受容性疼痛だけとするか、中枢感作の要素が増えて痛覚変調性疼痛が混じっているかを判断して治療法を検討すべきです。
 
2026年01月06日 16:30

痛み神経に対するボツリヌス毒素(ボトックス®)の作用

有痛性三叉神経ニューロパチーにボツリヌス毒素(ボトックス®)は効くか
ボツリヌス毒素(ボトックス®)は筋弛緩剤としての効果は定評があり、既に多くの方がくいしばりの力を弱めるためなどに使われていると思います。
私がボツリヌス毒素A型(BoNT-A)に期待する効果は筋弛緩効果ではなく、もう一つの痛み神経に対する作用です。文献では片頭痛、三叉神経痛、有痛性三叉神経ニューロパチー、慢性筋・筋膜疼痛等に効果があると言われています。
昨年暮れに、徳島大学松香先生にボツリヌス毒素A型(BoNT-A)の神経障害性疼痛に対する効果についての動物実験結果を解説していただきました。
BoNT-Aが神経系に対してどのように作用するのかを多くの文献結果を合わせてまとめてみました。
BoNT-Aは注射された部位で運動神経、痛み神経の神経末端に取り込まれる。
運動神経と筋肉の接合部の運動神経に取り込まれ、神経から筋肉への「動け」という指令を伝えるアセチルコリンの放出を阻害する。これにより筋弛緩が生ずる。効果は数日で現れ、3〜4ヶ月程度持続する。
痛み神経に対する作用
  • 痛み神経の末端に取り込まれたBoNT-Aは、侵害受容器に作用してサブスタンスP、グルタミン酸、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)等の神経ペプチドの放出を止めて神経原性炎症を抑制する。
  • 神経に取り込まれたBoNT-Aは小胞となって神経の軸索流で中枢側に運ばれて、シナップス前膜まで到達しているのは確実、シナプスを越えて二次ニューロンに達するかは不確実。軸索流とは神経線維の中心部にある軸索の中を、神経細胞で作られた神経に必要な物質が双方向に運ばれている。
  • 軸索流で運ばれながら神経線維のTRPV1強発現を止めるて、異所性発火を抑制する。
  • 三叉神経節ではNaイオンチャネルの強発現を止め、サテライトグリアの活性を止める。そして、他の神経への短絡(ショート)による信号の伝達を止める、これによりAllodyniaを止めたり、関連痛を止めたりする。
  • シナプス前膜まで達したBoNT-Aは、神経末端での作用と同様にグルタミン酸、サブスタンスP(SP)、およびカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)等興奮性伝達物質の遊離を抑制する。この作用機序はシナプス前膜にある電位依存性Caチャネルα2δに作用するプレガバリンと同様です。
  • このように神経損傷によって興奮状態となった一次神経において、神経末端、神経線維、神経節、シナプス前膜において興奮を抑制し、シナプスでの痛み信号の持続的伝達による神経損傷による有痛性三叉神経ニューロパチーを改善する事となる。
  • 一次神経の興奮を改善することにより、間接的に中枢感作を抑制すると考えられる。
  • 一方、論文によっては、BoNT-A小胞はシナプスに遊離されて二次神経に取り込まれて、さらに上位の神経系に作用して中枢感作を抑制する可能性もあるとする見解も見られる

    次号では、上記のBoNT-Aの作用機序の理解の元に、有痛性三叉神経ニューロパチー、三叉神経痛、慢性筋・筋膜性疼痛に有効かどうかを検討します。

     

2026年01月06日 15:52

唐辛子、ミントと口腔顔面痛

唐辛子は食生活で欠かせない調味料の一つです。子供の頃は何であんな辛いものを美味しい料理にわざわざ掛けてまずくしているんだと思った記憶があります。でも、大人になって気がついたときにはそばには欠かせなくなり、キムチの辛いものも美味しく食べています。
ところが唐辛子は味物質ではなく、痛み刺激の一つなのです。唐辛子は痛み神経の末端にあるTRPV1という43度以上の熱さを痛いと感じる熱感受受容体の一つで、辛いと同時に熱いと感じます。ミントは26度以下の冷たさを痛いと感じる受容体TRPM8を刺激し、痛さは強く感じませんがスースーを感じます。このような一連の熱感受受容体の発見は2021年ノーベル医学賞の受賞対象でした。  北海道の北見市に行ったときに薄荷記念館を見学しました。ハッカの元は「薄荷」という中国語でした。
日常生活で、唐辛子、タバスコですごく辛いと感じたときに水を含むと辛さが和らぎます、氷を含めばもっと効果的です。これは何故かと考えたことありませんか。これは科学的に説明が出来るし、神経障害性疼痛の治療に応用されています。
科学的な根拠が3つあります、1)舌の感覚は口の中で特別敏感です、触覚、痛覚、冷温覚の統べてて歯肉に比べて遥かに敏感です。唐辛子、ミントに対しても非常に敏感です。従って辛くて熱く感じるのは舌です。
2)熱いを感じるTRPV1と冷たさを感じるTRPM8は相互に抑制しあいます。唐辛子でTRPV1の刺激の後でも前でも、ミントや冷たい水を含むと辛さを感じなくなります。TRPM8が冷たさ、ミントで刺激された結果、TRPV1の活動性が抑制されて辛さを感じなくなると言うことです。その反対もありますが、冷たさを和らげるために辛いものを含むのはナンセンスですから誰もやりません。
3)TRPV1、TRPM8とも繰り返し刺激をすると反応しなくなります。これは神経細胞が過剰に興奮することにブレーキを掛ける役目が働くためです。従って、辛いものを食べていると最初は辛い熱いと感じても、食べているうちに余り辛さを感じなくなると言うことです。
このような熱感受性受容体の特徴を舌痛症、神経障害性疼痛の治療に応用しています。
舌痛症の患者さんの舌では、元々敏感な舌が様々な外的刺激を受けて障害され熱感受受容体(TRPV1)やその他の過剰発現が明らかにされていて、ヒリヒリ感を生じていると考えられています。
舌痛症の患者さんで熱感覚過敏や冷感覚過敏のある人には、まずミントの希釈液でうがいとしてもらいます。最初に冷感覚が強く出ても5分もしないうちに感じなくなります。このような反応のある人には濃度を少しずつ高めて、頻回にうがいしてもらいます。続けることにより舌痛症の灼熱感が改善する人がいます。
ミントの効果が弱いか、全然反応が無い場合にはタバスコを希釈してうがいしてもらいます。ミントと同様に最初に灼熱感が強く出ても5分もしないうちに感じなくなります。反応のある人は強く辛さと熱さを感じますので、耐えられない場合にはもっと薄めて用います。このような反応のある人には耐えられる程度で濃度を少しずつ高めて、頻回にうがいしてもらいます。続けることにより舌痛症の灼熱感が改善する人がいます。
ミントによる効果は、2)のメカニズムです。冷たさを感じるTRPM8によって過剰発現した熱いを感じるTRPV1が抑制された結果と考えられます。
タバスコによる効果は3)のメカニズムです。TRPV1、TRPM8とも繰り返し刺激をすると過剰に興奮することにブレーキがかかり、強発現しているTRPV1が機能しなくなる結果と考えられます。
 

関連した症例を提示してあります。




 
2025年11月17日 15:51

帯状疱疹ワクチン予防接種と口腔顔面痛

この頃テレビで帯状疱疹ワクチン予防接種のコマーシャルをよく観ます。
2025年度から、65歳の方などへの帯状疱疹ワクチンの予防接種が、予防接種法に基づく定期接種の対象になったからです。帯状疱疹は宮崎県における長年の統計によると、帯状疱疹は50歳以上で急に増えることが判っていて、更に50歳以上の人が帯状疱疹になると約二割の方が帯状疱疹後神経痛に移行してしまうことも判っています。
帯状疱疹は顔面、口腔内にも発生し、帯状疱疹後神経痛になる人がいて治療が大変です。ここが帯状疱疹ワクチン予防接種のコマーシャルと口腔顔面痛との関連性です。
帯状疱疹ウイルスは帯状疱疹だけではなく、ラムゼーハント症候群という顔面神経麻痺、味覚障害、難聴、耳の痛みと口腔内の帯状疱疹が生ずるというやっかいな病気を生じます、そして、後遺症として顔面神経麻痺が残り、帯状疱疹後神経痛が残ります。
帯状疱疹についてはもう一つ興味深い統計データがあります。2,014年10月から水痘ワクチン定期接種により小児の水痘が減り、子育て世代の20-40歳代が帯状疱疹ウイルスに曝露される機会が減って、「ブースター効果」による体内で抗体産生が無くなり帯状疱疹の発症率の増加につながっています。
将来、子供は水痘ワクチン定期接種、免疫が下がってくる20歳以上は帯状疱疹ワクチンの予防接種をすることになるかもしれません。
 
2025年11月16日 13:31

舌痛症 口腔灼熱症候群とは

舌痛症 口腔灼熱症候群(Burning Mouth Syndrome:BMS)とは
従来、日本では心因性と言われていた舌痛症、世界的には口腔灼熱症候群(Burning Mouth Syndrome:BMS)と言われ、誘発因子としてストレス、不安など心因性が関わるが、基本的には神経障害性疼痛の一つであると言われいます。舌の神経支配は味覚を感じる顔面神経の枝の鼓索神経と感覚と痛みを感じる三叉神経の枝の舌神経からなっています。舌は味覚、感覚とも非常に敏感に出来ているので、ちょっとした刺激でも神経が刺激されて障害されてしまい、神経障害性疼痛となるようです。また、味覚の神経と痛みの神経のバランスが崩れるといろいろな症状が出ることが判ってきました。
12月の日本口腔顔面痛学会サテライトmeetingで舌痛症をテーマにすることから、改めてまとめてみました。
舌痛症の治療に関する記事 参照してください。 

口腔灼熱症候群(BMS)は、舌や唇、口の中全体に焼けるような痛みを感じる病気です。
日本では舌に症状が出ることが多く、「舌痛症」と呼ばれることもあります。
誰にでも起こる可能性がありますが、特に閉経後の女性に多く見られます。
見た目に傷や腫れがないため、原因不明のまま長期間悩む方も少なくありません。
完全に治す方法はまだ確立されていませんが、治療によって痛みを軽くすることは可能です。

どんな症状が出るの?
BMSの典型的な症状は、名前の通り「焼けるような熱感(灼熱感)」です。
「舌がジーンと熱い」「ヒリヒリ・ピリピリする」「コーヒーでやけどしたような感じ」と表現されます。
しかし、見た目には異常がなく、傷や腫れ、色の変化などは見られません。
多くの人では、
  • 朝起きた直後は症状が軽く、
  • 午前中から昼にかけて強くなり、
  • 食事中や睡眠中には一時的に楽になる、
    といったリズムがあります。
また、次のような症状を伴うこともあります:
  • 口の中が苦い・金属のような味がする
  • 唾液は出ているのに「口が乾いている」ように感じる
  • しびれ感を伴う
  • 症状が続くと気分が落ち込み、不安を感じる

原因と分類の考え方
BMSには、かつて一次性と二次性という分類がありました。
  • 一次性BMS:検査をしても原因が見つからないもの
  • 二次性BMS:ビタミン不足、糖尿病、薬の副作用など、他の原因によって起こるもの
しかし、現在の国際分類(ICOP 2020)では考え方が整理され、
明確な原因が特定された場合は「BMS」とは呼ばず
それぞれ「原因による灼熱感」として区別します。
つまり、「BMS」とは現在、原因が特定できない灼熱感を指します。

なりやすい人・関係する要因
BMSは特に次のような方に多く見られます。
  • 50歳以上の女性(閉経期・閉経後)
     → エストロゲン低下により味覚神経の感度が変化します。
  • 歯ぎしり・食いしばりの癖がある方
  • 逆流性食道炎のある方
  • 糖尿病・シェーグレン症候群などの全身疾患がある方
  • 鉄・亜鉛・ビタミンB6・B12などの栄養不足
  • 長期服薬中(抗うつ薬・降圧薬など)
  • 過去の歯科治療後から症状が出た方
  • 精神的ストレス・不安・うつ状態を抱えている方
これらの要因が複雑に関係して、舌や口腔の神経が過敏化し、
痛みや灼熱感を感じるようになると考えられています。

診断の流れ
まずは歯科医院での診察が第一歩です。
見た目の異常や歯科的な病変がないかを確認し、必要に応じて専門医に紹介されます。
専門医では、次のような検査を行うことがあります。
  • 血液検査(貧血・糖尿病・ビタミン不足など)
  • アレルギー検査(食物・薬・金属など)
  • 唾液量の測定
  • 口腔スワブ検査(カンジダなどの感染確認)
  • 組織検査(まれに行う)
これらの結果に明らかな原因が見つからなければ、**口腔灼熱症候群(BMS)**と診断されます。

治療法について
BMSの原因は複数の要素が関係するため、個人差に応じた治療が必要です。
米国FDAで承認された特効薬はありませんが、いくつかの薬剤や方法が有効とされています。
薬物療法
  • **クロナゼパム(抗不安薬)**の含嗽または少量内服
  • **アミトリプチリン(トリプタノール)**などの抗うつ薬を少量使用
  • プレガバリン、ガバペンチンなどの神経過敏抑制薬を用いる場合もあります。
これらは痛みの感じ方を抑える神経調整薬として使用されます。
補助的治療・生活指導
  • ストレス緩和、睡眠の改善
  • 軽い運動やリラクゼーション
  • 栄養補給(鉄・ビタミンB群・亜鉛など)
  • 認知行動療法(CBT)や心理的サポート

自宅でできる痛み緩和の工夫
症状を軽くするために、次の方法を試してみましょう。
  • シュガーフリーガムや飴で唾液を促す
  • 冷たい水や氷を口に含む
  • 香辛料・酸味・熱い飲食物・アルコールを控える
  • アルコール入りマウスウォッシュを避ける
  • 禁煙・電子タバコの使用中止
これらは病気を“治す”方法ではありませんが、
一時的な痛みの軽減に役立ちます。

治療期間と経過
BMSは慢性化しやすく、治療せずに放置すると数か月〜数年続くことがあります。
適切な治療により、数週間〜数か月で症状が軽くなるケースもあります。
焦らずに医師や歯科医と連携し、
「症状をゼロにする」ではなく「生活を取り戻す」ことを目標に治療を続けることが大切です。

予防と再発予防
現時点で完全な予防法はありませんが、
次の点に注意することで再発のリスクを減らすことができます。
  • アルコール・カフェインのとり過ぎを控える
  • 熱すぎる・辛すぎる・酸っぱい食品を避ける
  • バランスの取れた食事でビタミン・鉄・亜鉛を補う
  • 睡眠不足・ストレスを溜めない生活を心がける

著者からのアドバイス
口の中が焼けるように痛いと、何も手につかなくなるほどつらいものです。
口腔灼熱症候群(BMS)は、見えない痛みであり、治療にも時間がかかります。
しかし、正しい理解と根気ある治療で、症状を和らげることは必ず可能です。
「もしかしてBMSかもしれない」と思ったら、まず歯科を受診してください。
そして、あなたの痛みを信じてくれる医師・歯科医師に相談しましょう。
痛みを分かち合いながら治療を続けることが、回復への第一歩です。
 
2025年10月19日 20:50

案内:顎関節症/口腔顔面痛診査法実技指導セミナー

案内:顎関節症/口腔顔面痛を正しく診断するための診査法実技指導セミナー
目的:顎関節症/口腔顔面痛の診断に必要な診査法を実技指導する。
本セミナー開催に当たっての和嶋の考えを記事にしてある。 https://wajima-ofp.com/blog_articles/1743771572.html
構成:1)オンラインでの診査実技の解説(Googlemeet)
2)対面での、少人数、診査法実技指導(会場:元赤坂デンタルクリニック)
3)クリニックでの診療見学(東京、元赤坂デンタルクリニック、札幌、風の杜歯科)
診査法実技指導項目:1)顎関節痛の診査、2)筋・筋膜性疼痛の診査、3)口腔内、顔面の感覚検査、4)12脳神経検査
セミナー開始予定日:2025年5月12日on-line
募集人数:五名限定
受講者に求める事:顎関節症/口腔顔面痛の診査技術の指導であるため、ある程度の基本的知識を持っていること、口腔顔面痛の臨床経験は問わない。
受講料:七万円(申し込み者に振込先を連絡)
応募締め切り:4月25日
応募方法:メール申しこみ、記載事項(氏名、所属、年齢、出身大学、メールアドレス)
申し込み先メールアドレス:wajima.ofp@gmail.com
セミナー予定日時(on-lineは原則第2月曜日20時始まり2時間、対面は10時-16時、診療見学10時-17時適宜)、形式:1)5月12日月曜日:on-line、2)6月9日月曜日:on-line、3)7月14日月曜日:on-line、4)8月31日日曜日:対面、5)9月8日月曜日:on-line、6)日程応相談:診療見学
その他の受講希望者への要望:1)現在、月例で行われている3つの口腔顔面痛関連オンラインセミナー(村岡先生主催慶應OFPオープンセミナー、坂本先生主催OFP-webセミナー、和嶋主催口腔顔面痛オンラインセミナー)を受講することを勧める。 2)本セミナー受講後に日本口腔顔面痛学会主催の口腔顔面痛臨床推論実習セミナーの受講を勧める。
セミナー内容等、受講に当たっての質問は wajima.ofp@gmail.com宛てに送ってください。
 
2025年04月06日 14:26

顎関節症/口腔顔面痛診察実技指導セミナー企画

顎関節症/口腔顔面痛を正しく診断するための診察実技指導セミナー企画
ここ数年、構想を練っていた口腔顔面痛診療に興味を持つ方々への診察実技指導有料セミナーを開催しています。セミナーの概要は、前もってオンラインで診察ビデオ等での解説を行った後に、クリニックに集まってもらい実技指導を行う。後日、クリニックに来てもらい和嶋の患者診療の実際を見学してもらう。実施要項は別pageを参照してください。
  1. 個人で診察実技指導有料セミナーを企画するに至ったきっかけ
顎関節症、口腔顔面痛に関するセミナーが日本顎関節学会、日本口腔顔面痛学会で行われている。ところが、私のクリニックを受診する患者さんの多くはいくつかの専門医療機関で治療を受けているが正しく診断されないために改善せずに来院する。一番の理由は正しい診察が実施されていない為である。
学会と協働して必要なセミナーを行えば良いとも考えられるが、正しく伝えるには、私が米国のOrofacial painの先達から直接教わった診察をHandsOnで、私が受講者に直接触って、診察して伝える必要がある。HandsOnは少人数でしかできない。
  1. 診察実技指導有料セミナーではどのようなことをするのか
主目的の診察実技指導のために、少人数の受講者に私のクリニックに集まってもらい、丸一日かけて実技指導を行う。和嶋による受講者診察とその後の受講者間での相互診察実習を行ってもらう。当日の診察実技の理解のために、前もって数回On-lineにてビデオ等により説明する。診察実技指導を受けてもらった後に、クリニックに来ていただき、和嶋の日常の顎関節症/口腔顔面痛患者診察を見学してもらう。また、希望者には札幌、風の杜歯科飯沼先生のご協力を得て、和嶋の診療を見学もしてもらう。札幌での診療見学の特徴は一日で多数の多様な病態、症状の患者さんの診療を見学できることである。
診察実技指導項目:1)顎関節痛の診察、2)筋・筋膜性疼痛の診察、3)口腔内、顔面の感覚検査、4)12脳神経検査、5)顎関節症、口腔顔面痛の臨床診断推論、6)筋・筋膜性疼痛の治療

 
2025年04月04日 21:59

神経障害性疼痛に二次的に筋・筋膜疼痛発症

神経障害性疼痛に二次的に筋・筋膜疼痛発症例
初診時に主訴の疼痛部にallodynia、hyperalgesiaなどの感覚障害があり、慢性的に経過している場合は同側の咬筋に筋・筋膜性疼痛が認められる場合が多い。咬筋の圧痛誘発により関連痛として主訴の疼痛が再現される事が多い。このような場合には神経障害性疼痛を念頭におきながら、筋・筋膜性疼痛の治療を優先させる。ストレッチ、随意運動によりかみしめ中断などの行動変容を含むセルフマネージメンを指導する。約一ヶ月で筋症状が改善し、持続性の鈍痛が消失する場合もある。しかし、もう一つのピリピリ、ヒリヒリ、むずがゆい感じなどの症状は改善せず、まだ痛いですという訴えになる。
そこでもう一度、感覚検査を行う。結果は初診時よりもはっきりした感覚異常が認められる。ああ、やっぱり神経障害性疼痛が元にあったのだと認識せられる。神経障害性疼痛が発症した後に、痛みの為に筋緊張が生じて筋・筋膜性疼痛となった。筋・筋膜性疼痛の痛みが前面に出て、如何にも筋・筋膜性疼痛が原発の様に思える。でも、違っていた。
初診時に筋・筋膜性疼痛の筋触診を行わず、筋触診障害から神経障害性疼痛と診断して薬物療法を行っても、一ヶ月たっても全く効果無く、診断に混乱することになるであろう。
口腔顔面痛の診査として、初診時、再診時に筋触診、感覚検査を繰り替えることが重要であると何時も再認識させられる。
 
2025年02月21日 18:35

温度刺激により増悪する神経障害性疼痛 感覚検査の重要性

私の口腔顔面痛診査は主訴にかかわらず全例に網羅的に診査を行っています。ここでは2.感覚検査が非常に有意義だった神経障害性疼痛症例を紹介するとともに、局所麻酔薬、神経刺激物質を用いた外用薬治療を紹介します。

症例3:33歳女性
主訴:右下76歯間部歯肉が熱いモノ、甘いものがしみて、食事を何回も中断する。VAS50
現病歴:10ヶ月前に下顎右側4根管治療終了後、下顎右側6に痛みが生じた。深い虫歯があるということで抜髄処置、根管処置終了し支台築造したがしみるのが止まらない。甘いモノ、熱いモノがしみて食事を中断してしまう。原因不明と言う事で、下顎右側埋伏智歯が原因の可能性があるとのことで抜歯したが、症状変わらず、下顎右側7の近心にカリエスがあるからそれが原因ではないかとも言われた。下顎右側7は生活歯で冷水痛無しであった
心理テスト:心理テスト:HADs(不安10点、うつ9点)、PCS(反芻18点、無力感15点、拡大視6点)
睡眠障害診査:入眠障害、途中覚醒あり
既往歴:無し、内服薬無し
局所診査:
1.     歯原性、非歯原性の診査:デンタル、パノラマレントゲン下顎右側6根尖透過像無し、打診痛なし、治療経過などから歯原性を否定。

2.     感覚検査:下顎右側6頬側歯肉触覚Dysesthesia、痛覚hyperalgesia、冷感覚低下、温感覚過敏、残感覚あり。甘み刺激過敏、残感覚あり。オトガイ部の感覚異常なし、舌の感覚左右差無し、味覚異常なし。顔面感覚異常なし

3.     脳神経検査:上記三叉神経右側第3枝温感覚過敏以外異常認められず。

4.     筋触診:左右咬筋、側頭筋に筋肥大、硬結、圧痛なし

5.     顎関節診査:ROM42mm、左右側下顎頭滑走正常 牽引、圧迫誘発テスト痛みなし 

6.     咬合状態:明らかな異常なし

7.     診断的局所麻酔:頬粘膜浸潤麻酔により温熱感覚異常消失。

臨床診断:下顎右側6部歯肉神経障害性疼痛(温熱、甘味刺激にのみ感作)、原因不明、オトガイ部の感覚異常がないことから下歯槽神経の全体のニューロパチーは否定的、舌の感覚(三叉神経、舌咽神経)、味覚(顔面神経、舌咽神経)は正常であるのでラムゼーハントは否定、歯肉の外傷の記憶はなし。 
患者への説明:歯原性の可能性は低いのでこれ以上カリエスの治療等はしないこと、歯肉に熱刺激をしたら、食事中の熱刺激による痛みと同様の痛みが再現されたことから、熱受容体が関連する神経障害性疼痛の可能性が高いことを説明した。いつもの痛み(Familiar pain主訴)が再現されたこと、病名の詳しい事は理解出来ないが、ほぼ納得出来ることから提示した治療が受け入れられた。
診断的治療:頬粘膜への診断的局所麻酔により温熱、甘味刺激による誘発痛を止めることができたので、末梢性と判断して局所療法を行うこととした。就寝時に2%リドカイン軟膏を患部に塗布してステントを装着して覆う。
1ヶ月後、オンライン再診、VAS50 熱いモノでの食事中断は変わらず、甘味の刺激は軽減しているとのことであった。局所療法の継続を指示。
3ヶ月後再診:VAS40 熱い食べ物で食事中断することはなくなった。敢えて熱いモノを下顎右側6部に付けて反応を確認してみると、痛みは弱くなっている。 感覚検査:下顎右側6部触覚Dysesthesia 痛覚hyperalgesia 冷感覚低下 温感覚過敏 残感覚なし。舌の感覚、味覚異常なし、左右差無し。
処置:就寝中ステントを用いた2%リドカイン軟膏塗布は有効と判断し、2%リドカイン軟膏に加えて、TRPV1(熱感受受容体)を積極的に刺激する暴露療法を意図して一味唐辛子を混ぜて塗布することを指導した。

考察:本症例は主訴として右下76歯間部歯肉が熱いモノ、甘いものがしみて、食事中に何回も食事中断する、と言うことから神経障害性疼痛が疑われた。私の口腔顔面痛診査は主訴にかかわらず全例に網羅的に診査1-7を行っています。ここでは2.感覚検査を紹介します。
この患者さんで有意義だったのは2、感覚検査です。基本的に左右同部位の比較をします。口腔内の感覚検査は触覚はミラーの縁と充填器の丸い部分で歯肉粘膜を擦過します。基本はMechanical Dynamic Hyperalgesia動的機械的刺激です、綿棒では刺激が弱く反応が出ないことがあるので、ミラーの縁と充填器の丸い部分で診査しています。痛覚検査はピンセットの先端です。探針は刺さってしまうので使いません。冷感覚は水を含ませた綿棒に冷却スプレーを掛けて氷を作って診査します。温感覚の検査は長年試行錯誤していましたが、今は温度調整の出来るワックスペンを43度に固定して適用しています。もう一つ、趣味というか研究と言うか、電気刺激閾値も調べています。
口腔内は部位により触覚、痛覚、冷感覚、温感覚の閾値が大きく異なり、舌はどの刺激にも敏感です。ところが、歯肉は触覚、痛覚は敏感ですが、冷感覚、温感覚は非常に鈍感です。神経障害性疼痛例では触覚、痛覚の感覚異常に加えて、鈍感であるはずの冷感覚、温感覚も敏感になっている事があります。必ず検査すべきです。感覚異常が認められた場合には後に残る残感覚の有無も確認します。臨床的印象としては自発痛があると残感覚があることが多く、感覚異常があっても残感覚がない場合には自発痛はないように思っています。また、自発痛が消えても、刺激による感覚異常は残ることが多く、感覚異常がなくなることは珍しいです。
経過中に一番変化するのは触覚異常で、最初にallodyniaだったものが、治療によってDysesthesia、Paresthesiaに変化することがあります。一方、前記のように自発痛は消えてもallodyniaが残ることもあります。再診毎に自発痛のVASを毎回記録していて、その変化と感覚検査の結果を照らし合わせています。
治療に関して:診断的局所麻酔で全ての症状が消えて、末梢性100%と判断された場合には、夜間就寝中にステントを用いて2%リドカイン軟膏を貼付しています。温感覚過敏の場合にはTRPV1刺激としてカプサイシン(一味唐辛子、コチジャン、豆板醤、タバスコ)、冷感覚過敏にはTRPM8刺激としてミント(ハッカ油)を追加しています。TRPV1とTRPM8はどちらを刺激しても相互刺激作用があることが判っていて、さらに最近になりヒノキチオールがTRPV1、TRPM8の両方を刺激することが判ったので、ヒノキチオール含有する歯磨きペーストを混ぜる事もあります。口腔内外用薬の使用は全て処方医の責任の元で行ってください。
米国のGaryHeirが局所外用薬についてまとめた論文(Use of compounded topical medications for treatment of orofacial pain: a narrative review J Oral Maxillofac Anesth 2022;1:27 https://dx.doi.org/10.21037/joma-22-10)に帯状疱疹に認可されている外用薬製剤(Lidocaine ointment (5%)、Lidocaine patch (5%)、Capsaicin (0.025–0.075%)、Capsaicin patch (8%))が紹介されています。1999年、米国で初めて承認されたEndo Pharmaceuticals社医療用パップ剤Lidoderm®(Lidocaine patch (5%)帯状疱疹後神経痛治療貼付剤)は日本の四国にある帝國製薬が開発、製造しています。
論文には、上記の帯状疱疹用外用薬製剤の他に、口腔内神経障害性疼痛の治療用に個人の裁量で配合された薬剤(Ketamine4%、Carbamazepine4%、Lidocaine1%、Ketoprofen4%、Gabapentin4%、Pregabalin10%、その他)が紹介されていて、プレガバリン10%が最も効果が高いと書かれています。以前、国際疼痛学会の際に会場に集まった口腔顔面痛専門医の皆さんに口腔内神経障害性疼痛の治療としてリドカインとカプサイシンのどちらを使っているかを質問したら、結果は半々で有効性に差は無いようです。前記したように私の臨床ではリドカイン、カプサイシン、ミント、ヒノキチオール、プレガバリンを状況により適宜併用しています。
再度の確認です、口腔内外用薬の使用は全て処方医の責任で行ってください。
2025年01月13日 13:06

口腔顔面痛雑感 




痛み治療では上記の神経系の病態だけではなく、患者さんの心への対応が必要です。患者さんに何故こんな風に痛くなったのかというメカニズムを探して説明する前に、応急処置が必要です。「傾聴、受容して、患者さんの状況について共通認識を持つ」、そして、多くの患者さんが痛みとともに大きな不安感を抱えていることも把握し不安を和らげることが必要です。これが従来からの当クリニックの基本的二本立て対応です。
口腔顔面痛、顎関節症の患者さんを診ていてあらためて思うこと 多くの症状はセルフリミッティングで自然に治ります。ところが、大きなストレス、患者さん自身の間違った解釈による、感情変化、間違った行動などにより、直るべきものが直っていないことがあります。このような患者さんでは解釈モデルを正しい方向にすり合わせて正しい知識を持ってもらい、余計な不安、怒りを静めるなどして、自然治癒能力を高める手助けするのが我々の治療です。ところが、治すべき治療であるはずが余計なこと、例えば咬合治療です、患者自身の自力治癒能力を邪魔するような治療をしていることがあります。感覚に鋭敏な方がストレス等で不安感が高まって、かみ合わせが気になる、自称顎関節症の専門家を受診、咬合調整、咬合再構成、矯正治療等がはじまった、ところが、このような感覚鋭敏の方は変化を受け入れられません、そのため何時まで経っても受け入れられるかみ合わせは無いのです。本当は余計な治療を始めなければ良かったのですが、今の泥沼状況から救い出すには、顎関節症についての正しい説明をして、患者さんの解釈モデルを少しずつすり合わせることにより患者さんとの信頼感を構築し、片手だけのつながりでも、それを頼りに患者自身に這い上がってもらうことです。
まだまだ、口腔顔面痛、顎関節症の標準的治療が行われていないことに苛立ちます。学会活動、マスコミを通じた広報、まだまだですね。

9月の米国タフツ大学の口腔顔面痛Webinarで歯内療法後の不快症状が何で起こるのかという話しがありました。原因として、不確実な歯内療法があるでしょうがそれはちゃんとした治療をすれば治ること。ちゃんとした歯内療法にも関わらず半年経過しても不快症状が続く場合があるという話しは以前からありました。その原因が歯内療法、特に抜髄以前の痛みの持続期間と関係あるという話し、以前から、抜髄前に3ヶ月以上痛み期間が有意な原因と言われていましたが何故かは言及されていませんでした。タフツ大のWebinarでは、抜髄前の歯髄痛により痛み信号が末梢神経、中枢神経と伝わり、三叉神経細胞体等の要所を興奮させてしまい、中枢感作につながるという話しでした。知覚過敏も同様、痛み信号全て脳に伝わって感じられること、状況に寄っては神経系を荒らして興奮させてしまい、長く続くと歯の問題ではなく神経障害性疼痛と同様になるということが再認識されました。

痛覚変調性疼痛の理解が深まり、現状で何をすべきかが少しずつ見えてきました。特効薬はなく、特別の治療法もありません。使い古された言葉ながら、患者さんに寄り添って、支えていくことがもっと効果があるようです。
慢性疼痛は人間の生存の為に警告信号としての痛み信号が高まったままに維持された状況、そして、痛みだけではなく、その他の感覚や自律神経系も変調しているので、言わば、脳機能変調というのが私の理解です。
2024年12月30日 10:32

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