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口腔顔面痛(原因不明の歯痛、顔の痛み、顎関節症)に慶應義塾大学での永年の経験と米国口腔顔面痛専門医資格を持つ和嶋浩一が対応します

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顔面非対称 口角のズレ

このブログは口腔顔面痛を主体としたものですが、その中に筋・筋膜疼痛の関連で、2021年10月13日に書いた「顔面の非対称は噛み癖で起こる」という記事があり、なぜか、この頃よく読まれています。痛みの専門医がなぜ顔面の非対称なのかと思われる方がいると思いますが、顔面の筋障害つながりです。
口腔顔面痛のなかで最も多い咀嚼筋の筋・筋膜疼痛は慢性痛であって、数日の負担過重で起こるのでは無く、何ヶ月、何年も負荷が掛かって生じます。どんな負荷が掛かるのか、ご飯の食べ過ぎや固いものを咬みすぎで咀嚼筋が大きくなったのかと思われがちですが、そうではなく、咀嚼筋への一番の負荷は日中、就寝中のかみしめ、くいしばりです。これによって両側の咬筋が均等に強化されます。ここに偏側咀嚼という片側だけに負荷をかける要素が加わります。科学的にエビデンスは弱いのですが、人間はどうも赤ちゃんの時から片側、それも左側で咀嚼するようになっているようです。この偏側咀嚼がかみしめ、くいしばりに加わり、偏咀嚼側の咀嚼筋への負荷が一層増し、症状発症の限界に近づきます。この状況に歯科治療で長時間開口していたとか、固いものを食べたとかの発症因子が加わり、症状発症限界を越えて痛みが生じます。いったん生ずると限界が下がってしまうので、少々の安静、負荷の軽減では症状は改善せずに慢性化してしまいます。これが筋・筋膜疼痛発症の簡単な解説です。
顔面非対称に直接関連するのは咀嚼筋では無く表情筋なので、咀嚼筋が大きく変化しても、顔面非対称とは関係ないはずなのですが、そうではないのです。
咀嚼筋は三叉神経支配で表情筋は顔面神経支配と神経支配が違って、咀嚼筋はその名の通り咀嚼、咬むために働いている筋肉であるのに対して、表情筋は口唇、口角、眼瞼を動かして顔の表情をつくる筋肉です。ところが、咀嚼の際は機能的共同運動として表情筋も活動します。左側でガムを咬んでみてください、意識しないのに左側の表情筋が緊張して左側の口角が引かれます。咀嚼の際に一番大事な機能的共同運動は、表面から見えないが、頬粘膜の緊張に関連する頬筋の活動です。頬筋は安静時には弛緩しているが、咀嚼時に緊張して、頬側、外側に壁を作って食塊を歯に載せる作用をしています。ところが、この頬筋はかみしめているときにも緊張しています、従って、日中、就寝中にかみしめ、くいしばりしている時に咀嚼筋と共に緊張しています。かみしめているときに頬粘膜を緊張させて歯面に押し当てているので頬粘膜に白い線が出来る理由です。
ネットを観ると表情筋を鍛えようというコマーシャルがいっぱいありますが、かみしめている人は鍛えるのでは無く、如何に弛めるかが課題だと思います。
このようにかみしめて表頬筋を普段から緊張させている人が習慣的に偏側咀嚼すると咀嚼側の表情筋が緊張して口角が咀嚼側に引かれてしまいます。筋肉は両端(起始、停止)が骨に付着して、筋緊張により骨を動かすのですが、表情筋は顔面後部で骨に付着し前方で口輪筋に停止して口唇を動かすように出来ています。そのため、偏側咀嚼の人の口角は咀嚼側に引かれています。また、咬筋の緊張と眼輪筋の機能的共同運動によって咀嚼側の目が垂れ気味になります。本人は毎日観ている自分の顔なので非対称も自然に見えるので、気にしていないことが多いです。テレビに出演されているアナウンサーや女優さん、男優さんにも口角が引かれて、片側の目が小さい、垂れている人が多く観られます。「片側だけで咬んでいるともっとひどくなりますよ、早く、何時も片側だけで咬んでいることに気づいて、反対側で咬むようにしましょう」と言いたくなります。

顔面非対称、口角の引かれ、の自己診断法
1.鏡に正面に向かって、アゴを引いて下を向く、上にのぞき込むように鏡で左右の口角の位置を確認する。口角の位置、頬の盛り上がり、ほうれい線の凹み具合、これだけで左右非対称が判る人もいます。
2.そのままの体制で、イーッと言ってみましょう、口角がさらに引かれます、非対称な人は口角の位置の左右差が一層大きくなります。以上の方法で口角のズレ、顔面非対称が確認できます。
表情筋の詳しい知識等は2021年10月13日の「顔面の非対称は噛み癖で起こる」を参照してください。
 
2024年02月05日 12:22

トリプタノール出荷制限による三環系抗うつ薬切り替えについて

抗うつ薬
トリプタノール出荷制限による三環系抗うつ薬切り替えについて
トリプタノールは世界的に神経障害性疼痛治療法標準薬として長らく使われて来ましたが製造元の不祥事による生産力低下のために出荷量が半減されていて、我々のような小さなクリニックでは入手出来なくなっています、また、処方箋を出しても市中の薬局で薬が受け取れなくなっています。
世界中の神経障害性疼痛薬物療法ガイドラインの第一選択薬として三環系抗うつ薬とCaチャネルα2δリガンドが挙げられています。この2つの薬は作用機序が全く異なっていて、1)三環系抗うつ薬は下行疼痛抑制系を賦活化して痛み信号の上行を抑制して痛みを和らげています、一方、2)Caチャネルα2δリガンドは1次ニューロンの末端の電位依存性Caチャネルに作用してCa++イオンの流入を抑制することにより、シナップスへの興奮性伝達物質遊離を抑制し痛み信号の上行を抑制して痛みを和らげています。
三環系抗うつ薬とCaチャネルα2δリガンドの鎮痛効果を同一人あるいはグループで比較した研究はないことからどちらがより有効かは明らかではありませんが、作用機序が全く異なることから、患者個人個人によって効果が異なる可能性が高いです。
それでは、どちらの薬を最初に処方するべきかの指標はありません。どの様に使い分けるかに関して、どちらを最初に処方するべきかについては、まず、第一選択薬のなかで使い慣れた薬を選択して処方し、その薬の効果が不十分、あるいは副作用が強い場合は他の第一選択薬に変更するか、副作用の出ない量まで減量して他の第一選択薬と併用する方法が勧められています。
中枢感作に関してはより上位の中枢に作用する三環系抗うつ薬が有効だろうと思っています、また、中枢感作による慢性筋痛に対しても三環系抗うつ薬が適応だろうと思います。
トリプタノールの出荷量半減の話に戻り、トリプタノールあるいはそのゼネリックであるアミトリプチリンが入手出来ない場合、同じ三環系抗うつ薬のなかでトフラニール(イミプラミン、神経障害性疼痛に保険適応外使用が認められている)、アナフラニール(クロミプラミン、保険適応無し)に切り替えることが勧められています。薬理学的には3つの薬に基本的効果(セロトニン再吸収抑制、ノルアドレナリン再吸収抑制)にはほとんど差は無く、同等の効果があると言われています。トリプタノールの副作用と言われる、眠気、口渇、便秘には少し差があるようです。具体的な処方としては、副作用の発現を避けるために、トリプタノールの服用を開始した時と同様に5mgから開始し、漸増する事を勧めています。
 
2023年12月17日 21:35

口腔顔面痛診査法の客観性を高めるために

今年の夏の暑さは異例だったそうです。2023年夏(6月1日~8月24日)の日本の平均気温の基準値からプラス1.78度高かったそうで、夏の気温としては統計を開始した1898年以降の126年間で最も高かったそうです。9月を含めても同様の傾向になるでしょう。暑いのが好きなのとクリニックは涼しいので問題なし、ところが夜の暑さは耐えられませんでした。
このように暑かった今年の夏、患者さんの予約が少なかったこともあり、ゆっくりさせてもらい、診療改善のための年初来の課題解決に取り組みました。 口腔顔面痛診療を名人芸ではなく、客観性の高い診査法にして、誰もが同じ結果が得られるようにすることを目指しています。

1. 自律神経活動測定:指尖容積脈波を計測して、自律神経活動を調べる。痛みの患者さんは自律神経機能が変化している事があり、痛みに影響している可能性がある。慶應在籍時の科学研究費を受けて研究開始以来の継続事項    どのタイミングで測定するのが良いか、初診と症状変化時

2. 開口抵抗力測定: オリジナルのアゴのこわばりの具合を測ろうという考えを具現化した開口抵抗力測定器を用いて、患者さんのアゴのこわばり度を測定する、その程度は筋緊張、筋拘縮など筋障害の程度を反映していると考えている。これも慶應在籍時の科学研究費を受けて研究開始以来の継続事項 単純に開口抵抗力を計るだけで無く、ストレッチをどれくらいすると筋収縮力が低下するか、患者さんがセルフケアをしてくれた効果を痛みの自覚症状に加えて客観的評価にも使えそう。初診時に測定し、診断結果との関連性を検討する。

3. 疼痛電気閾値測定:神経障害性疼痛患者さんのAllodynia部位の閾値測定、allodyniaは機械的動的刺激による痛みと規定されているが、刺激手法はまちまち、感じ方もいろいろで再現性が低い、そこで、電気刺激に対する反応として調べようという目的。既存の機械、電極からスタート。電極の改良が必要、電気なのでプラスマイナスの二つの端子が必要、でも、口腔内のallodynia部分に二つ置くのは無理、更にallodyniaの部分を刺激するといたくて、電気刺激か機械刺激による痛みか判別不能になる、等のいろいろな障害があり、改良に改良を重ねて、これで使えるかなと言う電極に達しました。 新しい電極で測定開始、スムーズに出来るかどうか。 

4. 患者さんとの医療面接を音声入力文字起こしシステム:痛み診療では患者さんの痛みの自覚症状を如何に文字化して客観的に評価するかが重要です。そのため、毎回の診察では10分程度いろいろな質問しながら経過を伺います。この内容をカルテにまとめるのが大変です。Googleドキュメントに音声入力があるのを見つけてのとりあえず音声入力文字化して、カルテに貼り付けていました。7月に慶應医学部の学生さん達が起業して、音声入力文字化、カルテ記載用に要約までしてくれるシステム開発(medimo)、それを試用させてもらっています。初診時の患者さんには構造化問診していくと、項目に沿ってやりとりを要約してくれる。再診時には自覚症状変化を上手く要約してくれる。医学用語、歯科用語の誤文字化をどうやって少なくするかが課題。
2023年09月06日 18:20

筋・筋膜性歯痛治療の落とし穴

解釈モデルでは処方された薬を飲みさえすれば治るはず
筋・筋膜疼痛の治療法はセルフケアの重要性は周知されているが標準治療が確立されていないために、顎関節症専門医、口腔顔面痛専門医といえども様々です。そのなかで、薬に対する過剰な信頼度を感じた話がありました。
患者さんがアゴの痛みを訴えてある大学病院口腔顔面痛外来を受診し、筋・筋膜疼痛と診断されて、病態、セルフケアを含めた治療法などを説明され、最後に筋弛緩剤を処方されたそうです。
この患者さんから電話相談を受けました。平日の休診日はクリニックにいて原稿書きをしていますから、電話があれば極力出る事にしています。
患者さんが言うには、処方された薬を飲んで、もう2週間経過しているが症状が全然改善しないとのことでした。私の現在の筋・筋膜疼痛治療の中に筋弛緩剤処方は入っていません。20年以上前、顎関節症の痛みが一緒くたに治療されていた頃、筋痛と関節痛に分けて治療すべきという意見を言っていた頃に、関節痛にはNSAIDs、筋痛には筋弛緩剤かアセトアミノフェンと使い分けていたことがありました。しかし、筋弛緩剤の有効性に疑問を感じて、ストレッチなどのセルフケアを中心とした治療に変わり、ほぼ同時期に関節痛に対する治療も歯ぎしりなどの原因に対して側方ガイド付きスプリント療法を行い、筋痛、関節痛とも改善しない場合には中枢感作が生じていると考えてトリプタノールを処方すると言う現在の治療法に変わっていました。そのため、この患者さんから筋弛緩剤2週間服用したが痛みが変わらないと言う話を聞いて、いろいろな事を考えました。
まずは、患者さんの解釈モデルがどうなっているか、どう理解したか。
患者さんは薬を処方されると、薬は効くもの、薬が一番の治療法という一般的な患者の解釈モデルから、この薬を飲めば治るはず、他の治療法なんてやらなくてもいい、という解釈モデルが出来上がってしまいます。
このような解釈で治ってしまうのがプラセーボ効果です。
これはくすりを飲んだという安心感が、体の持つ自然治癒力を引き出しているとも言われています。プラセボ効果は人によって差が大きいので、思い込みだけでは治らない人もいるし、今回の患者さんは本物の薬を服用していて、更にいくらかのプラセーボ効果も加わったと思われるが、改善しなかったことから、やっぱり、筋・筋膜疼痛に筋弛緩剤は効果が無いだろうとなと再確認出来ました。
次に判った事は、この患者さん薬が有効だろうと思ったことから、薬に頼りっきりになり、他に指導されたセルフケアをすっかり忘れてしまたことです。セルフケアを少しでもやっていたら、何らかの反応は期待されるのですが、薬さえ飲んでいれば、治るのだから、他の治療は必要ないんじゃないか、ストレッチなどのセルフケは効く気もしないし、という解釈モデルになっていたようです。 
自力本願よりも、他力本願で直せるなら、その方が楽だということが解釈モデルに見えました。
 
2023年09月05日 15:24

口腔顔面痛 Onsiteハンズオンセミナー開催予定

コロナによりオンラインセミナーが普及し、在宅でセミナーに参加出来るという大きな利便性が得られました。それによって、主催者と受講者を結ぶ一方向性の縦糸は太くなりましたが、双方向性ではありません、ここに大きな問題点があります。また、受講者間の横糸は繋がらず、疑問点解消の機会が失われているように思えます。
 
今年度になりマスク装着緩和、5月にコロナ5類移行によって、学会等が対面で行われることが増えています。学会場で久し振りに会って、いろいろな事をデスカッションしたいと誰もが思っていたようです。
私が主宰してる口腔顔面痛オンラインセミナーは元からオンラインですから、コロナに関係なくオンラインで続けて行きます。そして、オンライン一方向性の弱点を補うべく、これまた元からやっていたオンサイトハンズオンセミナーを復活させます。
つい先日皆さんに案内を出したところです。
【口腔顔面痛 Onsiteハンズオンセミナー】
期日:2023年9月17日(日曜日) 11時-16時
会場:慶應義塾大学北里図書館二階 第一会議室
オンラインセミナーは一方的になりがちですので、ハンズオンで筋肉に触り、口腔粘膜、皮膚の感覚検査をして、できるだけ双方向でデスカッションしたいと思います。
プログラム
1.筋痛関連:筋触診、超音波、トリガーポイントリリース
2.神経障害性疼痛関連:診断法、定性感覚検査、定量感覚検査、薬物療法、トピカル療法
3.痛覚変調性疼痛とは:診断基準、中枢感作、脳機能変調
4.口腔顔面痛オープンセミナー、オンラインセミナーでの疑問点解決
参加希望の方は7月31日までに  i.hiroco0827@gmail.com 池田浩子宛までメールをお願い致します。
 
2023年06月09日 21:34

筋・筋膜疼痛で生ずる口腔内、顔面の感覚変化 敏感、鈍麻

筋・筋膜疼痛で生ずる口腔内、顔面の感覚変化 敏感、鈍麻
 
筋・筋膜疼痛の典型的な症状は異所性疼痛としての関連痛です。これについては、何回も書いてきました。痛みの原因が無い歯に痛みを感じる、そして、その歯の周囲の歯肉に感覚異常が生じることがあります。歯肉が敏感になります、場合によっては歯根膜の感覚も敏感になるので打診痛があったり、指や舌で圧すと違和感が出たりすることもあります。このような症状を専門的には、Paresthesia(パレシテジア:自発性または誘発性に生じる「異常感覚、錯感覚、変な感じ 」)、Dysesthesia(ディセステジア:自発性または誘発性に生じる「不快な異常感覚、嫌な感じ」)、そしてallodynia(アロディニア:通常では疼痛をもたらさない痛覚閾値以下の弱い刺激によっても痛みが感じられる感覚異常)と言います。これらの異常感覚は神経障害性疼痛でも生じますから、allodyniaがあると、それは神経障害性疼痛ですと診断されていることもあります。
口腔歯肉、粘膜のallodyniaが神経障害性疼痛によるものか、筋・筋膜疼痛によるかの鑑別診断については別稿で書きます。

筋・筋膜疼痛で関連痛が生じている歯の周りの歯肉、粘膜は敏感になっていると書きましたが、筋肉の上の皮膚は敏感ではなく鈍麻になっています。
触覚が鈍麻になり、腫れぼったい感じと言う患者さんもいます、痛覚も鈍麻になっていて、爪楊枝でチクチクしても皮膚が厚くなって余り感じないと言うことがあります。このように、関連痛のある歯とその周囲の歯肉は敏感になる一方、当該筋肉を被う皮膚は鈍麻になることがあります。感覚検査を行うと、まず触覚試験で正常側は普通に触っている感じ、一方患側は余り感じない、皮膚が厚ぼったくて、触った感じが直接伝わらないと言った感じ、そして、痛覚検査で爪楊枝でチクチク、正常側はチクチク痛く感じますが、患側は余りいたくない、左右同じ位の力で触っていますかと聞かれるほど鈍麻になっています。
関連痛部分の歯、歯根膜や歯肉は筋肉の痛さを錯覚して感じているので敏感になる、一方、皮膚は筋痛に対する中枢性の抑制効果により全般的に感覚鈍麻になるのだろうと思います。これによって筋痛のある筋肉には痛みを感ぜず、関連痛のある部分は痛みを含めて全般的に敏感になっているということだと思います。

ところが、皮膚の鈍麻が敏感になることがあります、筋触診をすると少し圧しただけで痛くて顔をそむける位になることがあります、その場合には皮膚の触覚検査も痛覚検査も鈍麻では無く敏感になります。もはや中枢性の抑制機構は働かず、逆に中枢感作されている状態です。この場合、当該の筋だけでは無く、咀嚼筋、頸部筋の全部が敏感になり、肩、腕の筋肉も敏感に圧痛が感じられる事があります。何が原因で筋圧痛閾値が下がり、鈍麻だった皮膚が敏感になるのか、そのメカニズムは不明ですが、これが慢性的に続いている場合には痛覚変調性疼痛とも言えます。

痛覚変調性疼痛診断基準  確認項目1ab,c,dと4を満たすとグレード診断:痛覚変調性疼痛の可能性があるPossible
確認項目1a. 痛みは、 慢性的(3ヶ月以上)、
確認項目1b. 局所的(不連続的ではなく)多巣性、あるいは 広範囲に分布 
確認項目1c.. 侵害受容性疼痛の否定
確認項目1d.. 神経障害性疼痛の否定
確認項目4. 痛みのある部位に以下のいずれかの誘発性疼痛過敏現象が臨床的に誘発されること。
静的機械的アロディニア、 動的機械的アロディニア、 熱または冷感アロディニア、 上記のいずれかの評価後に残遺症状が残ること。


 
2023年06月07日 15:12

筋・筋膜性歯痛を疑う

非歯原性だろう、そして筋・筋膜性歯痛を疑う
 
口腔顔面痛の代表的な病態である筋・筋膜疼痛は筋圧痛だけでは無く様々な症状を呈します。一番は痛みを感じる部位が筋肉そのものではなく、異所性疼痛、関連痛として離れた部位に感じることでしょう。
口腔顔面痛臨床においては筋・筋膜性歯痛が一番多い反面、異所性疼痛であるために正しく診断されない病態です。患者さんが「この歯が痛い」と訴える、しかし、「その歯には齲窩はなく、充填物も無い、打診無し、エアーにも反応しない、レントゲンも異常なし、どうもこの歯が痛みの原因になるとは思えない」、これが非歯原性歯痛の典型的な局所症状です。異所性疼痛、関連痛という概念を知っていると、患者さんがこの歯が痛いと言っているがこの歯は悪くなく、真の原因は他にあるのだろう、と言う事になり、さらに、非歯原性歯痛を知っていると、患者さんはこの歯が痛いと言ってるが原因は筋肉かもしれない、あるいは神経の異常かもしれないという事になります。一般臨床医ではこの程度の口腔顔面痛知識があれば充分と思います。患者さんが痛いと言っても、その歯の咬合調整したり、抜髄をしたりすることはなく、口腔顔面痛の判るところに紹介するでしょう。
非歯原性歯痛をよくみている先生方は、歯原性歯痛と非歯原性歯痛がそんなにクリアーカットに判別できないと言うでしょう。患者さんが痛いと訴える歯にう蝕があったら、打診があったら、非歯原性歯痛と簡単に判別できないじゃないかと、迷ったらNSAIDs(ロキソンニン等の消炎鎮痛薬)を服用して1週間様子を観ましょう、多くの歯原性歯痛は良くなるか、悪くなるか、何らかの変化が出ます。ところが非歯原性歯痛は全くと言って良いほど症状変化がありません。これでも診断が出来ます。自信が無かったら、その日の処置は止めて、少し経過観察しましょう。
 
2023年06月07日 10:23

一般臨床にも筋触診は大事です 是非出来る様になってください

口腔顔面痛、非歯原性歯痛の原疾患でもっとも多いのは筋・筋膜疼痛であることは世界共通の事実です。ところで、日常臨床で筋・筋膜疼痛が気になる事があるでしょうか、筋触診することがあるでしょうか。歯原性の痛みの場合には敢えて筋触診する必要は無いと思いますが、歯原性の診査をしたが原因不明、非歯原性歯痛が疑われる場合には筋触診は絶対に必要です。ここで大きな問題があります、歯痛の鑑別診断に筋触診が必要だと思っている一般臨床医が圧倒的に少ないこと、また、必要性を感じても筋触診のトレーニングを受けている人がさらに少ない、筋触診したことはあるが正確に出来るかどうか自信がない、と言ったことです。つまり、この歯痛はこの筋の筋・筋膜疼痛による関連痛としての生じていると診断できる一般臨床医は少ないということです。

当院を受診する患者さんの6割が筋・筋膜疼痛を元とする口腔顔面痛、非歯原性歯痛の患者さんです。残りの3割が神経障害性疼痛、1割がその他、痛覚変調性疼痛などの患者さんです。
筋・筋膜疼痛による非歯原性歯痛の患者さんの半分は歯内療法を専門とする先生方からの紹介です。一般歯科で歯内療法を受けたが改善せず、歯内療法専門医に紹介されたが歯原性では無い、非歯原性歯痛の可能性が高いということで当クリニックに紹介されます。このように2カ所の歯科を経て来院される方は恵まれている方々で、対局は3-4カ所を受診し、数歯の根管治療を受け、痛みが改善しないので抜歯、それでも治らないのでインターネントで検索してたどり着いたという患者さん達です。

丸3年以上続いたコロナ禍、学会、セミナーはオンラインでの同時あるいは後日配信というDXの恩恵が発揮されて、従来の現地に出向いて受講という形式から在宅で受講できるという変革がありました。ところが良いことばかりではなく、コロナにより障害された面もあります。一番が筋触診診査のHandsOn講習が出来なかったことです。現在の最先端のDXでも、筋触診の様子をビデオで供覧することは出来ても触診の指先に感じる感覚までは伝える事が出来ません。まさに、手に手を添えて指導する必要があります。

口腔顔面痛の臨床に立ち戻ると、コロナ禍により筋・筋膜疼痛がちゃんと診断されずに痛みで苦しむ人が増えたという事になります。
コロナ感染の可能性はまだまだ続きますが、そろそろ筋触診のHandsOn講習の再開を検討しようと思います。
 
2023年05月31日 11:30

中枢性関与が強い筋・筋膜疼痛の治療 トリプタノール

中枢性関与が強くなっている筋・筋膜疼痛の治療
筋・筋膜疼痛の治療において、トリガーポイントインジェクションよりもトリガーポイントプレッシャーリリースが重要である事を書きました。
本稿では、私が行っている標準的な筋・筋膜疼痛法を示し、それに反応しない場合に何を考えるかを解説します。考えられることは、1)セルフケアが不十分、2)トリガーポイントプレッシャーリリースを加えれば改善する、3)末梢性から中枢性の状況になっている、の3つの状況です。
他の原稿と重複しますがまず基本的な事を書きます
初診時セルフケア指導:負荷軽減法:日常生活で肩が持ち上がっていないか、かみしめていないか、防止策として、気がついたら肩を上げ下げ、 舌で口蓋を舐める、 患側で咀嚼しない 
セルフケアとしての積極的治療:左右頚部四カ所(後頸部筋群と胸鎖乳突筋)、 開口ストレッチアシストブロックを用いた開口ストレッチ、各々30秒/回、3回朝昼晩/日、これを毎日実施する。
上記のセルフケア指導だけで2-3週で初期の痛みがかなり改善します。改善した場合には更なるオフイス治療は加えずに、セルフケアの補強のみを続けて行くことが多いです。
セルフケアが不十分の場合にはセルフケアの重要性と有効性を説明して、やってもらうように指導します。また、セルフケアを熱心続けているがなかなか痛みが改善しない場合で、末梢のトリガーポイントの原因が大きいと判断された場合にはまず、超音波を併用したトリガーポイントプレッシャーリリースを行います。これは他稿で詳しく書きました。
一方、患部の筋全体、あるいは筋の範囲を超えて圧痛閾値が下がって、過敏になっている場合には末梢性に中枢性が加わっていると考えて、セルフケアのストレッチの程度を下げて、中枢に対する治療をします。
ここで疑問は「患部の筋全体、あるいは筋の範囲を超えて圧痛閾値が下がって、過敏になっている」、このような状況は痛みの発生メカニズムではどの分類になるのか、1)侵害受容性疼痛、2)神経障害性疼痛、3)痛覚変調性疼痛のどれに該当するのか。限りなく、3)痛覚変調性疼痛に近いと思っていて、痛覚変調性疼痛の診断基準に照らし合わせると三ヶ月以上を満たしていれば、痛覚過敏症状を満たしているのでpossible of nociplastic pain(痛覚変調性疼痛の可能性あり)と診断されます。
この場合の私の治療法はアミトリプチリン(トリプタノール)の投与です。トリプタノールの投与はまず各患者の至適用量を探すことから始めます、最少用量から始めて少量ずつ漸増し、眠気、口渇、便秘などの即時発現する作用を目当てに至適用量を決めます。至適用量が決まったら、その用量で1-2ヶ月投与を継続します。頻脈や心電図でQT短縮などの以上が生ずる事があるので開始前、30mg、50mg、あるいは至適用量投与の段階で心電図を採ることが必須です。
至適用量で2-4週間経過したところで、緩除に効果が発現してきます。痛みを止めるためですが、NSAIDs、アセトアミノフェン、テグレトールのような即時効果は期待出来ません。
 
2023年05月29日 19:08

超音波併用のトリガーポイントプレッシャーリリース

超音波併用のトリガーポイントプレッシャーリリース
筋・筋膜疼痛の治療というと皆さんトリガーポイント注射が最も強力な治療法と思っているようですが、全体的に緊張のとれていない筋のトリガーポイントに注射しても期待するほどの効果が得られません。
私が行っている標準的な筋・筋膜疼痛法を示します。
初診時セルフケア指導:負荷軽減法:日常生活で肩が持ち上がっていないか、かみしめていないか、防止策として、気がついたら肩を上げ下げ、 舌で口蓋を舐める、 患側で咀嚼しない 
セルフケアとしての積極的治療:左右頚部四カ所(後頸部筋群と胸鎖乳突筋)、 開口ストレッチアシストブロックを用いた開口ストレッチ、各々30秒/回、3回朝昼晩/日、これを毎日実施する。
上記のセルフケア指導だけで2-3週で初期の痛みがかなり改善します。改善した場合には更なるオフイス治療は加えずに、セルフケアの補強のみを続けて行くことがあります。
一方、セルフケアを熱心続けているがなかなか痛みが改善しない場合もあります。このような場合でまだ末梢のトリガーポイントの原因が大きいと判断された場合にはまず、超音波を併用したトリガーポイントプレッシャーリリースを行います。
  1. 超音波照射により筋肉の深部温度が3-4度上がります。これによりトリガーポイントを構成しているコラーゲンが軟化します、と言ってもまだまだ固まり硬結、索状硬結の状態です。
  2. 深部温度が上がった状況で硬結部を1kg程度の圧でゆっくり起始部から停止部に向かい、停止部から起始部に向かって一方向に筋を延ばすように指を2-3cm程度、滑らしてリリースします(マッサージの様にコリコリではありません)。ゆっくり滑らすことがポイントです、硬結(英語ではbarrier垣根、進行を妨げる障害物)を指先に感じながらゆっくり移動させる、途中でコリンと指の下をくぐり抜けて行くと言った感じです。これだけで硬結全体に柔らかくなりがなくなることもあります。
  3. 前記のリリースを行ってもまだ硬結が残っている場合、もっとトリガーポイントに圧力をかけます。これがトリガーポイントプレッシャーリリースです。指先を移動させて硬結を感じたら、指の下をくぐり抜け行かないように次第に圧力を高め、指先の移動を止めて10-60秒間、2-3kg加圧します。この操作を数回繰り返します、深部温度が下がってきたら最後超音波照射を行った後にトリガーポイントプレッシャーリリースを繰り返します。
 
筋触診、トリガーポイントプレッシャーリリースにはある程度の指、腕の力が必要です。筋触診は1kg程度で行う様に規定されていますが、余裕を持って加圧するには1kg以上に加圧できる必要があります。また、トリガーポイントを加圧して関連痛を誘発するには1kg以上が必要です。今回述べているトリガーポイントプレッシャーリリースには1kg以上の加圧力が必要です。要は筋触診、筋膜リリースにはある程度の腕力が必要だということです。
 
2023年05月29日 14:33

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