あごが痛い
患者さんの訴える症状で一番多いのが「あごの痛み」です。顎関節症の痛みは口を開け閉めした時など、あごを動かしたときに出ます。筋肉の痛みの場合はじっとしていても鈍い痛み感じられることもありますが、そのような場合にはかみしめると痛みが強くなります。じっとしていてもあごが痛く、あごを動かしたり、かみしめても痛みが同じ場合には顎関節症の痛みではないと考えられます。
口を大きく開けられない
あごの痛みの次に多い症状が「口を大きく開けられない」です。無理に開けようとすると、痛みを伴うことがあります。突然に口が開かなくなる場合や普段から少し開きにくい状況があって、気がついたらほとんど開かないといった状態になることなど様々なケースがあります。正常な開口量は40-50mmで、縦にそろえた人差し指、中指、薬指が入ります。指3本が入らない場合には何処かに具合が悪いところがあると思います。
関節雑音
あごを動かしたときに音がすることがあります。耳障りで気になる場合には関節雑音と呼びます。関節の音は「カクン、コックン、カリッ」といった音から「ジャリジャリ、ゴリゴリ、ミシミシ」という音まですることがあります。このような音は関節内の構造に変化が起こっているために生じます。原因の多くは力のかかりすぎです。関節の音が気になって来院される方がいますが、関節の音だけの場合には治療の必要はありません。逆に治療すると、音が小さくなりますが、完全に消えることがありません。但し、関節雑音とともに、痛みや開口障害がある場合には治療することをお勧めします。
質問:固いものを咬んでアゴを鍛えると顎関節症が予防出来ますか
顎関節症の主な原因はくいしばり、歯ぎしりなど顎に余計な力をかける動作であると言われ、治療では負担を減らすことを指導します。
顎関節症の患者さんは顎が華奢な人よりも、筋肉が大きく顎が張っている人が多いです。また、顎関節症のきっかけは美味しいフランスパンを食べ過ぎたとか、スルメを咬みすぎたとか、負担が掛かることが多いです。従って、固いものを咬んであごを鍛えるというのは、顎関節症の予防になるのではなく、逆に作用して原因になることがあります。また、ガムをかみすぎるのも同様なことで顎関節症の原因になることがあります。是非お止めください。
質問:子供が歯ぎしりします、歯がすり減りそうです、何か治療した方が良いでしょうか
歯ぎしりが顎関節症の主な原因の一つであると、他の項で書きましたから、子供さんの歯ぎしりがもっと気になる人がいると思います。結論から言うと、子供の歯ぎしりは心配入りません。乳歯の頃の歯ぎしりはギリギリする事によって、刺激が歯を介して顎の骨に伝わり、顎が大きくなろうとする潜在能力を刺激して、顎の骨の成長発達を促しています。
乳歯が永久歯に生え換わる頃にはかなりすり減り、前歯では上下の歯が揃うくらいになっています。
心配いりませんし、スプリントを入れるなどの治療の必要もありません。