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口腔顔面痛(原因不明の歯痛、顔の痛み、顎関節症)に慶應義塾大学での永年の経験と米国口腔顔面痛専門医資格を持つ和嶋浩一が対応します

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顎関節症、口腔顔面痛診察法実習セミナー

昨年に続いて顎関節症TMD、口腔顔面痛診察法セミナーの最重要部分である対面での診察法実習を7月19日.20日に2回行いました。実技指導という目的とクリニックの収容キャパシティーから指導医、アシスタントと受講者5人で行いました。
全体のプログラムは5月に開始し、4回のOn-lineセミナーで基本的知識を学んでもらった後に対面での診察法実習という流れです。8月の最後のOn-lineセミナーでは診察法実習で覚えた手法を自分の臨床に活用した結果生じた疑問点などについて答える時間にする予定です。
対面診察法実習プログラムは、
  • 顎関節症の関節痛障害検査、患者の下顎を診察医が徒手的に動かして、可動範囲、雑音の発生を調べる、関節痛を再現させることが目的です。顎関節症にも口腔顔面痛にも共通する筋痛障害検査、触診部位、加圧力の確認、そしてトリガーポイントの触知法を重点的に行いました。筋触診には一定の加圧力を保って
  • トリガーポイントを触知できた後に、超音波照射を併用したトリガーポイントプレッシャーリリースの実習を行いました。一定の加圧力を保って筋触診することによりトリガーポイントを触知できること、さらに、トリガーポイントプレッシャーリリースにもかなりの加圧力が必要な事を体験してもらいました。
  • 12脳神経検査:12脳神経の簡易な検査法を実習しました。三叉神経領域に何からの異常所見がみられた時には頭蓋内の異常を疑い、その場で脳神経診査を行うべきです。そして、必要に応じて脳神経内科への依頼をするという流れを確認しまいた。
  • 三叉神経領域、顔面、口腔内の感覚検査:触覚:痛覚、冷覚、温覚の検査実習を行いました。顔面の触覚は綿棒、痛覚は爪楊枝、口腔内の触覚はミラー、痛覚はピンセットを用います。冷感覚は湿らした綿棒をクーラントスプレーで冷やして使う、温感覚はワックスペンを一定温度にして使う事などを体験してもらいました。特別な道具は使う必要は無いこと、それぞれを使っての手法を学んでもらいました。
プログラム毎に私が受講者全員の診察を行い、それを真似て相互実習を行うという形式です。実習の後は、実際にやってみて不明な点等を質問してもらい答えるという時間を設けて皆さんの質問に答えました。受講者全員でデスカッションになることもありました。
8月には昨年受講した方々の2回目の対面診察法実習を行います。一年間、各自の臨床に応用して、しっかり出来ているかどうかの確認とアドバンスとしてトリガーポイントインジェクションを観てもらう予定です。
顎関節症、口腔顔面痛とも、大学や病院の専門診療科に所属してトレーニングを受けた方以外の方々はどうやって診察法を学ぶのか、自己流、見よう見まねで診察をしているのだと思います。これでは正しく診断し治療することは出来ません。このような状況で私に出来ることとして、On-lineセミナーと対面での診察法実習HYブリッドセミナーを企画した次第です。来年も続ける予定です。
 
2026年07月25日 12:09

2026日本顎関節学会学術大会参加して感じたこと

日本顎関節学会学術大会参加して感じたこと
2年ぶりの参加でした。一番気になったことは、円板転位、30年前の自分でやった研究結果かと錯覚するような発表が多かった。大会長のランチョンセミナーは20年前の自身の研究結果だとはっきり言っていました。

2日間の発表を聞いて強く感じたことは、口腔外科医、補綴科医、矯正科医がそれぞれの教育、研究、臨床の基盤を元とした顎関節症の捉えかたがかなり異なる事でした。少なくとも10数年前の顎関節症病態分類(2013)が出た頃は共通性があったように思っていましたが、今回の学会で、同じ顎関節症病態でも捉え方、治療法がこんなに違うんだと感じました。顎関節症教育を考えると、各大学により顎関節症を教育する担当科が異なる事から、教科書は同じでも学生のイメージはことなるだろう、また、卒業後勤務した医院、病院の指導医の専門家により得意技が違って行くのだろうと思いました。顎関節症の捉え方、治療法に関して中立的な教育への統合は必要だろうと強く思いました。奇しくも韓国からの招聘講演者が同様の事を言っていました、韓国は顎関節症に直接関わる学会と間接的に関わる学会がいくつかあって、内容が異なるようであるようで(統合)が必要であると。

商品展示のコーナーに顎運動の3次元計測機器があり、この機械の計測結果を使ってスプリントを作ると良いモノが出来ますよと宣伝していました。計測原理は30年以上前と同じ、当時は1分の計測をしたら演算の間に食事に出て、戻ってきたら軌跡が表示されていました、進歩はコンピューターの演算能力、計測すると即時に3次元表示ができることです。AADOCRのTMDPositionPaperには、「現在、診療室で使用される電子診断機器は、TMDの有無(症例群と対照群)を区別したり、TMDのサブグループ(疼痛性または関節内診断)を区別したりするために必要な臨床的妥当性(感度と特異度)を欠いています。」と書かれています。良いスプリントが出来るかどうかは書いてありませんが、30年以上前にデジタルで顎運動計測を研究した経験からは、顎運動計測という根本的概念がそれ程に役に立つモノとは思えません。

今回の学会での最大の収穫は海外招聘講演のEric Schiffmanの講演でした。2014年に出されたDC/TMD顎関節症の病態診断について、今更何か新しいことがあるのかと思っていました。予想通り、前半は診断法、そしてそれによる診断精度の話しでした。ところが後半はⅡ軸診断の解説でした。Ⅰ軸はDC/TMDを準用した日本顎関節学会の「顎関節症の病態分類(2013)、 顎関節症診断基準、診断決定樹(2019)その後の診療ガイドラインでも活用されて、日本でも定着していますが第二軸は言及されていませんでした。私も第二軸は評価法が日本では馴染みのないもののため活用していませんでした。第Ⅱ軸は、痛みの裏にある「心理的ストレス」(不安、うつの評価)、「日常生活への支障度」、「全身の症状」(Chronic Overlapping Pain Conditionsの評価)、「日常習癖」を評価するもので、顎関節症を単なる「顎の怪我」ではなく「慢性疼痛」として捉えるための重要な指標です。顎関節症をBiopshychosocialモデルとして捉えるPshychoSocialの部分に当たります。DC/TMD以前にもⅠ軸(身体障害)とⅡ軸(心身医学的評価)の二次元で評価すべきと言う考えがありましたがこの頃は消えていました。
DC/TMDでは、以下のような診断が推奨されています。「第軸:顎関節痛 + 第軸:障害度グレード(支障なし、心身医学的評価:低)」軽度のため、顎のストレッチや生活習慣の改善(マウスピースなど)で経過観察。「第軸:筋膜痛 + 第軸:障害度グレード(全身に症状があり著しい支障、高度の抑うつ・不安傾向)」であり、うつ、不安の心身医学的問題がある顎の治療だけでなく、また、単純なストレスマネジメントだけではなく、症例によっては内科、心療内科・ペインクリニック等と連携したチームアプローチが必要と判断されます。奇しくも、の講演の締めくくりは、「複雑、慢性例に対してはチームアプローチすべき」でした。

もう一つの収穫は韓国の先生の講演の中でMuscle tonicityという用語を使っていました。これは私の研究の一つであった開口抵抗力測定方法開発の目的でした。Muscle tonicityとは、顎関節周辺の筋肉の静止時の緊張と持続的な活性化によって生ずるものです。Muscle tonicityが高いと、咬筋、側頭筋などが過労または過活動になると持続的な痛み、顎の動きの制限、頭痛につながる可能性があると思っています。講演が終わってから質問して情報交換することになりました。
終わってみると、二日間の長野での学会参加、期待するほど涼しく無かったですが、いくつか収穫があり出かけた甲斐がありました。
 
2026年07月13日 17:02

痛覚変調性疼痛と言えるTMD患者像を探して

7月第2週末、7/11.12日に長野市で日本顎関節学会が開催されます。プログラムは私が30年前1995年顎関節腔造影で転位円板の形態変化の研究で学位をもらう前に興味があった項目です。強い皮肉ですが、関係者は目にすることがないでしょうし、もし読んでくれたら今後の顎関節学会の方向が多少変わるでしょう。
私はその後、口腔顔面痛に転進し、1999年、American Board of Orofacial Pain(米国口腔顔面痛専門医認定機構)試験に合格して、今に到っています。

大学止めて以来、時間があるので、自分の毎日の診療で感じられる患者さんの病態、治療への反応性などをまとめて、自分の感覚と同じような事を考えている人はいないかと思い文献を調べています。
今回紹介する内容は、昔、米国の学会で討論会にも参加した事があり、以前から何回か紹介したことのあるOPPERA(Orofacial Pain: Prospective Evaluation and Risk Assessment)研究の臨床面での総括です。口腔顔面痛専門医としてのTMD治療に大きな指針を示してくれる内容です。
この研究の主宰者である故Maixner先生とはどこかの学会で講演の休憩時間に隣同士で用を足しながら(連れション)話した事が思い出です。痛覚変調性疼痛の議論で出てくるChronic Overlapping Pain Conditionsの発案者の一人でもあり、TMDだけではなく慢性疼痛に大きな影響を与える仕事をされた方です。奥様はタイの人で、学者の奥さんとは思えない好対照の人です。
今年2026年4月にAADOCR (American Association for Dental, Oral, and Craniofacial Research、旧名AADR:American Association for Dental Research)から出された「TMDに関する立場表明」には現在のTMDが総括されています。この立場表明は2010年にAADRから出されたTMD statementの改訂版に位置付けられます。2010TMD statementで強調されていたことは、TMDの原因は咬合異常では無いこと、もう一つの特徴は、多くはself-limitedで自然消退する病気であるから咬合治療など不可逆的な治療はしてはいけないという事でした。2026AADOCR TMDではやく70%が自然寛解すると書かれています。
これらの数字の根拠となるOPPERA研究は2006-2013年(baseline)と2014-2016年(Follow-Up)の二つからなります。TMDの発症因子をはじめとした様々な成果が得られ、30以上の論文が発表されています。その内容は現在の世界のTMD、口腔顔面痛、慢性疼痛の進歩に大きく寄与しています。
ここで紹介する内容は最近の痛みの世界で最も話題になっている痛覚変調性疼痛について、痛覚変調性疼痛としてのTMDの患者像はどんなものだろうかと探した結果出てきたものです。
OPPERA(Orofacial Pain: Prospective Evaluation and Risk Assessment)研究の結果、顎関節症(TMD)は病態が同じではなく、臨床的特徴から大きく3つのサブグループ(1,適応型、2,疼痛感受性型、3. 全身症候群型)に分類できることが示されました。
この考え方に基づき、現在のTMD治療では患者ごとの病態に応じた個別化治療(Precision Medicine)が推奨されています。
 
1. 適応型(Adaptive TMD)
特徴
  • 局所的な顎関節・咀嚼筋の障害が主体
  • 疼痛は比較的軽度で限局している
  • 心理社会的ストレスや中枢性感作は少ない
  • 全身性疼痛や他の慢性疼痛疾患を合併しないことが多い
  • 生体の適応能力が保たれている
病態
  • 局所の筋・関節への負荷や外傷が主因
  • 末梢組織の炎症や機械的障害が中心
治療
  • 患者教育・セルフケア
  • 咀嚼筋の安静
  • 理学療法
  • スプリント療法(適応を選んで)
  • NSAIDsなどの短期薬物療法
  • 予後は良好で保存療法に反応しやすい

2. 疼痛感受性型(Pain-sensitive TMD)
特徴
  • 顎だけでなく広範囲に痛みを感じやすい
  • 圧痛閾値(Pressure Pain Threshold)が低下
  • 中枢性感作(Central Sensitization)の存在
  • Chronic Overlapping pain conditions(線維筋痛症、頭痛、過敏性腸症候群など)を合併しやすい
  • 睡眠障害や疲労を伴うことが多い
病態
  • 中枢神経系の疼痛増幅
  • 下行性疼痛抑制系の機能低下
  • 神経可塑性の変化
治療
  • 中枢性感作を考慮した包括的治療
  • 認知行動療法(CBT)
  • 運動療法
  • 睡眠改善
  • 三環系抗うつ薬やSNRIなど中枢作用性薬剤(症例に応じて)
  • 咬合治療や侵襲的治療は避ける

3. 全身症候群型(Global Symptoms / Complex TMD)
特徴
  • 顎顔面痛に加えて全身症状が著明
  • 疼痛の部位が多数存在 Chronic Overlapping pain conditions
  • 身体症状(Somatic symptoms)が多い
  • 不安・抑うつ・破局的思考(Catastrophizing)が強い
  • QOL低下が著しい
  • 最も重症なグループ
病態
  • 中枢性感作に加えて
    • 心理社会的要因
    • 自律神経異常
    • 遺伝的要因
    • 神経免疫学的異常
      などが複合的に関与
治療
  • 生物・心理・社会(Biopsychosocial)モデルによる集学的治療
  • 歯科だけでなく
    • 疼痛専門医
    • 心理士
    • 理学療法士
    • 精神科・心療内科
      との連携
  • CBT
  • 疼痛教育(Pain Neuroscience Education)
  • 運動療法
  • 睡眠障害・精神症状への介入
  • 薬物療法(抗うつ薬、神経障害性疼痛治療薬など)
  • スプリントは適応でない
 
 
2026年07月02日 14:05

痛みの多様性 口腔顔面痛診査の重要性

痛みの多様性 口腔顔面痛診査の重要性
口腔顔面痛の外来には患者さんが様々な痛みを訴えて来院します。
口腔顔面痛外来の最初の役割は歯痛の窓口として、痛みの鑑別診断を行うことです。口腔顔面痛の診断が難しい理由は、第一に痛みの原因とは異なる部分に痛みを感じるという異所性疼痛であること、次が痛みの表現が患者さんによって非常に多様で、同じ疾患でも表現が異なる事です。
例えば、血管炎を病態とする片頭痛ならドックンドックン、ズッキンズッキン、脈打つ感じ、筋緊張を主態とする緊張型頭痛はギュー、グー、にぶい、締め付けられる、重苦しい等の表現からおおよその診断が思いつきます。ところが、緊張型頭痛と同じ筋緊張を主病態としながら咀嚼筋による痛みの場合には患者さん毎に訴えが異なります。
その典型的な訴えが咬筋、側頭筋の筋・筋膜疼痛による歯痛の訴えです。その歯痛の訴えも持続性のジワー、ジーン、ズキズキから咀嚼時のズキンまであります。従って患者さんの痛みの性質からは原疾患の鑑別は難しいです。
歯痛を関連痛として生ずる筋・筋膜疼痛は咬筋、側頭筋と顎二複筋です、これらに加えて胸鎖乳突筋からも歯痛と見誤る頬部痛が生ずることがあります。
口腔顔面痛の診察においては、しっかりとした筋触診が必須です。
先日、主症状側とは反対側の上まぶたが重いと訴える患者さんがいました。主症状は側頭筋の筋・筋膜疼痛でした、側頭筋の腫大、硬結、圧痛、関連痛誘発に加えて、茎状突起の腫大、圧痛、側頭筋筋突起付着部圧痛が強い事から原因は単純にかみしめとではなく、歯ぎしりが主因のようでした。反対側の咬筋、側頭筋には圧痛が無く筋・筋膜疼痛はないと思われましたが、胸鎖乳突筋を触診したら、停止部に近い上の部分に硬結があり、しばらく圧迫すると上眼瞼と前額部に関連痛が生じ、主訴の上まぶたが重いが再現されました。胸鎖乳突筋の筋・筋膜疼痛の原因は歯ぎしりとも考えられず、左右の異なる筋肉に、異なった原因によって別々な症状が出ていたという事です。
改めて、筋触診は有用な診察手段です。
 
2026年06月01日 11:21

慢性疼痛患者の46%がPTSD症状

慢性疼痛患者の46%がPTSD症状を持ち、機能障害が顕著に

2025年6月2日

慢性疼痛と心的外傷後ストレス障害(Post-Traumatic Stress Disorder: PTSD)を併発している患者は、PTSDを伴わない慢性疼痛患者と比較して、より重度の機能障害を示すことが明らかになった。この研究では、外傷体験の有無よりも、PTSD症状の存在が機能障害と関連していることが示された。北アイルランドの慢性疼痛患者を対象とした大規模横断研究の成果は、European Journal of Pain誌2025年7月号に発表された。

北アイルランドの慢性疼痛患者1,367例を対象とした横断研究


この研究は、北アイルランドの学際的疼痛リハビリテーションサービスを受診した慢性疼痛患者1,367例を対象とした横断研究である。研究の主な目的は、慢性疼痛患者における機能障害が外傷体験そのものによるものか、それともPTSD特有の症状に関連しているのかを評価することであった。また、北アイルランド地域におけるPTSDと慢性疼痛の併存率の高さを考慮し、その併存状況を調査することも副次的な目的とされた。参加者はPTSDスクリーニング尺度に加え、疼痛による生活障害、社会的機能、疼痛に対する不安、疼痛自己効力感、疼痛強度、うつ症状を評価する尺度に回答した。研究デザインとして、共変量を特定した後、多変量共分散分析(MANCOVA)を用いてPTSDカテゴリー別の従属変数の差異を検討した。

PTSD症状の有無が機能障害の重症度を左右


スクリーニングの結果、参加者の46.4%は外傷体験がなく、22.5%は外傷体験があるもののPTSDスクリーニングは陰性、31.1%はPTSDスクリーニング陽性であった。多変量共分散分析の結果、PTSDスクリーニング陽性群は、他の2群(外傷体験なし群、外傷体験ありPTSDスクリーニング陰性群)と比較して、すべての評価尺度において機能が悪く、生活障害がより大きいことが示された。一方、外傷体験なし群と外傷体験ありPTSDスクリーニング陰性群の間には、いずれの評価尺度においても有意差は認められなかった。これらの分析結果から、機能障害の悪化は外傷体験の有無だけでなく、PTSD症状の存在と関連していることが明らかになった。また、北アイルランドにおける慢性疼痛とPTSDの併存率は、過去の研究と比較して高い範囲にあり、地域の年間有病率推定値を上回っていた。

慢性疼痛とPTSDの統合的治療アプローチの必要性


研究者らは、慢性疼痛患者におけるPTSD評価では、外傷体験そのものに焦点を当てるよりも、これらの体験が日常機能に与える影響を評価することが重要であると指摘している。また、慢性疼痛とPTSDを統合的に治療するアプローチの開発が必要であるとしている。本研究の結果は、慢性疼痛患者の約3分の1がPTSDスクリーニング陽性であり、これらの患者は特に機能障害が大きいことを示している。このことから、慢性疼痛治療において心理的トラウマとPTSD症状の評価を組み込むことの重要性が強調される。慢性疼痛とPTSDの併存は患者の生活の質を著しく低下させる可能性があるため、両方の状態を同時に治療する統合的アプローチの開発が今後の課題として挙げられている。

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原著論文はこちら
Eur J Pain. 2025 Jul;29(6):e70044.
© 2025 The Author(s). European Journal of Pain published by John Wiley & Sons Ltd on behalf of European Pain Federation ‐ EFIC ®.
2026年05月15日 18:24

慢性痛は痛みのPTSDとも言える 2

私の慢性痛のメカニズム仮説として、「痛み(苦emotional、痛sensory )」の二つの側面が変化顕性化することによって生ずると考えています、これにより慢性痛が判りやすくなります。
慢性痛は下記の二つの側面が合わさって生じているのだろうと思っています。
  • 感覚体験(sensory)の元である痛み信号が感覚神経系を刺激して機能変化が生じた状態である中枢感作が生じている。
  • 情動体験(Emotional )が脳によって認識・解釈されてマイナスの「感情(Feeling)、持続的な主観的体験」として脳に記憶された状態、痛みのPTSD(心的外傷後ストレス障害)とでもいうべき状態。 
    情動(Emotion)と感情(Feeling)は心理学で明確に区別されます。情動は、外部刺激に対し自動的に生じる「急激で短期的な身体反応(恐怖、怒りなど)」です。一方、感情は、その身体変化を脳が認識・解釈した「持続的な主観的体験」です
    従って、情動的体験を脳がそれぞれの人生経験などを元にして認識、解釈して結果が感情という持続的な主観的体験となります。特にマイナスの感情は記憶に残りやすいと言われ、その典型的病態がPTSD(心的外傷後ストレス障害)であります。

慢性痛とPTSDの関連についてはこの記事を参照してください。 和嶋 ブログ参照

北アイルランドの慢性疼痛患者を対象とした大規模横断研究の成果
慢性疼痛患者の46%がPTSD症状を持ち、機能障害が強い
 
2026年05月10日 13:44

慢性疼痛と痛覚変調性疼痛、Chronic Overlapping pain conditions

慢性疼痛と痛覚変調性疼痛、Chronic Overlapping pain conditions
ケガや病気が通常治るのに要する期間(通常3ヶ月以上)を超えて持続する痛みを慢性疼痛と言います。原因が不明な場合や原因が判っていても取り除くことが出来ない場合があり、痛みが「病気そのもの」であります。多くの慢性痛は痛みの信号の発生が続かなくても、情動体験が脳によって認識・解釈されて「感情、持続的な主観的体験」として脳に蓄えられ、さまざまな情報が統合されて、苦痛を感じる状態です。
WHOが作成する病気の国際分類の最新版であるICD-11 International Classification of Diseases, 11th Revision)に初めて慢性疼痛の分類が含まれました。
慢性痛の大分類では、原因不明を一次性(ICD-112022)(ICHD-3、ICOPでは特発性)とし、元の原因が判っている場合を二次性に分類しています。
一次性は原因不明が原則ですが、最近になり一次性の主たる病態は痛覚変調性疼痛だろうと言われています。痛覚変調性疼痛は2017年にNociplasticPainとして提唱され、その基本的メカニズムは中枢感作だとされています。
世界的に痛覚変調性疼痛が注目されていますが、米国ではW.Maixerをはじめとする研究者達が TMDのOPPERA研究のなかで慢性TMDの多くはChronic Overlapping pain Conditions(慢性重複疼痛疾患)の一部になっていると主張していました。Chronic Overlapping pain conditionsは慢性疼痛障害の集合体で、同一人物に併発することが多く、痛覚変調性疼痛を共通のメカニズムにすることや女性における高い罹患率を特徴とします。顎関節症(TMD)、慢性緊張型頭痛、慢性片頭痛、慢性腰痛、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)、線維筋痛症(FM)、子宮内膜症、外陰部痛、過敏性腸症候群(IBS)、間質性膀胱炎/疼痛性膀胱症候群(IC/PBS)などの疾患が含まれ、多くの場合、疲労、睡眠障害、気分の変化を伴います。米国国立衛生研究所(NIH)は、これらの疾患は従来の単一専門分野での医療アプローチの範囲外にあり、単独疾患としての治療では適切な治療が出来ないことが多いため、専門的な研究の必要性を強調している。
最近になってChronic Overlapping pain conditionsと痛覚変調性疼痛は共通して中枢感作を基本メカニズムとする病態であろうと言われています。つまり、慢性TMDの多くは痛覚変調性疼痛であり、Chronic Overlapping pain conditionsの部分症であると言えるということです。その他に関連する用語として、身体化障害、機能性身体症候群、Medically Unexplained Symptoms、ICD-11身体的苦痛症(BDD)があります。
精神科病名である身体症状症(Somatic Symptom Disorder DSM-5:SSD)は 医学的な異常が明確でないにもかかわらず、痛みの慢性化や身体症状に対する強い不安・過剰な認知・行動(頻回のインターネット検索、病院受診等)が日常生活に支障をきたしている状態を指す精神疾患ですが、痛覚変調性疼痛の精神的側面からの診断とも言えると思っています。
 
2026年05月10日 13:38

痛みの二面性(苦、痛 )が慢性化によりそれぞれの特性顕在化

痛みの二面性が慢性化によりそれぞれの特性がよりはっきり
40年ぶりに改訂された最新の国際疼痛学会の「痛みの定義」にも示されているように、痛みとは、組織の損傷(tissue injury)やその可能性(有害刺激)を検知し、痛みを引き起こす感覚メカニズム(Nociceptive) により生ずる「不快な感覚・情動体験」です。「感覚・情動体験」とは、感覚体験(sensory)と情動体験(emotional )の両方を含んでいて、「痛み刺激が加わったときの感覚(痛覚:sensory)」に情動(emotional )が相まって「痛み」として感じられるということです。さらに、「痛み(苦emotional痛sensory )」の感じ方はsensory系、 emotionalの修飾を受けて変化するために、必ずしも痛み刺激に比例しません。
この「痛み(苦emotional、痛sensory )」二つの側面が慢性痛では情動が感情(脳が認識・解釈した「持続的な主観的体験」)となりよりはっきりとその特性を示します。
ケガや病気が通常治るのに要する期間(通常3ヶ月以上)を超えて持続する痛みを慢性疼痛と言います。原因が不明な場合や原因が判っていても取り除くことが出来ない場合があり、痛みが「病気そのもの」であります。多くの慢性痛は痛みの信号の発生が続かなくても、情動体験が脳によって認識・解釈されて「感情、持続的な主観的体験」として脳に蓄えられ、さまざまな情報が統合されて、苦痛を感じる状態です。
私の慢性痛のメカニズム仮説として、「痛み(苦emotional、痛sensory )」の二つの側面によって生ずると判りやすくなると思っています。
  • 感覚体験(sensory)の元である痛み信号が感覚神経系を刺激して機能変化が生じた状態である中枢感作。
  • 情動体験(Emotional )が脳によって認識・解釈されてマイナスの「感情(Feeling)、持続的な主観的体験」として脳に記憶された状態、痛みのPTSDとでもいうべき状態。
慢性痛では上記の二つの側面が合わさって生じているのだろうと思っています。
慢性痛の解説は別報で解説します。
 
2026年05月10日 13:28

歯痛の窓口でセカンドオピニオン

歯痛の窓口でセカンドオピニオン
医療の世界ではセカンドオピニオンという言葉が一般的になっています。例えばガンの診断を受けて、ある治療法を提示された人が、診断に関して、治療法に関して他の医者の意見を聞くという事です。セカンドオピニオンを聞こうとする人は最初の医者が信用できないという場合もあるでしょうが、診断、治療に関して自分自身が納得出来ないために、他の医者の意見も聞きたいということが多いようです。
現在の医療は診断が決まると、それに対する治療法はガイドライン等で標準化されています。とはいえ、問題はあって、ある患者さんに対する検査、診察から診断は異なる可能性があります。
発展途上の口腔顔面痛ではこの検査、診察による診断に大きな差があります、診断が異なれば治療法も変わります。結果的に治るか治らないかの差になります。当然、この差は大きな問題で、日本口腔顔面痛学会では最上の医療を何処でも受けられるように活動をしていますが、まだまだ均てん化には到っていません。
主題に戻って、たかが歯痛でセカンドオピニオンは大げさだと思われるかもしれませんが、納得いかないままに治療を受けて、後に痛みや咬んだ時の不快感が残る可能性がいくらかでもあるならば専門歯科医師の見立てを求めることを見当すべきです。歯痛でもっと気軽にセカンドオピニオンを受けられるように「歯痛の窓口」という受け口をつくるのはどうかと思っています。
2026年05月10日 09:57

募集案内:2026診察法実技指導セミナー

2026 顎関節症・口腔顔面痛 診査法実技指導セミナー
― 明日から診療で使える「正しい診察・診断」を身につける ―

 

顎関節症や口腔顔面痛の患者さんに対して、
  • どこまで一般歯科で対応すべきか迷う
  • 痛みの原因が関節なのか筋肉なのか判断しにくい
  • 原因に関して咬合異常以外のことを知らない
  • 顔面の痛みやしびれへの対応に自信がない
そのように感じたことはないでしょうか。
顎関節症・口腔顔面痛の診療では、治療以上に「最初の診察・診断」が重要です。しかし、実際の診査法を実技として学ぶ機会は非常に限られているのが現状です。
そこで本セミナーでは、一般歯科の先生方が臨床で困りやすい症例に対応できるよう、診断に必要な診察技術を、オンライン講義+少人数対面実技で丁寧に指導します。

昨年度受講された先生方から再受講の希望もあり、内容の充実度には高い評価をいただいています。
本セミナー開催に当たっての和嶋の考えをまとめてあります。 実技指導セミナー企画意図    ハイブリッドセミナー

このセミナーで身につくこと
  • 顎関節痛の正しい診察法
  • 筋・筋膜性疼痛の診査法
  • 口腔・顔面の感覚検査
  • 脳神経診査の基本
  • 顎関節症・口腔顔面痛の臨床診断推論
  • 筋・筋膜性疼痛の基本的治療法
    「何を診れば診断できるのか」、「どこで専門医紹介を判断するのか」が明確になります。

開催形式
オンライン+対面ハイブリッドセミナー
1)オンライン講義(2時間 × 4回)
 診査法と診断の考え方を分かりやすく解説

2)対面少人数実技指導(5時間)
 実際に診察手技を体験しながら習得 会場:元赤坂デンタルクリニック

3)フォローアップオンライン(2時間 × 1回)
 実践後の疑問点を解消

4)専門クリニック診療見学(希望者)
 東京:元赤坂デンタルクリニック
 札幌:風の杜歯科

日程
  • 5月11日(月)オンライン
  • 6月8日(月)オンライン
  • 6月22日(月)オンライン
  • 7月6日(月)オンライン
  • 7月19日(日)対面実技
  • 8月24日(月)オンライン
  • 診療見学:日程応相談
※オンライン 20:00–22:00 ※対面 10:00–16:00

募集人数  新規受講者 5名限定
少人数制のため、実際の診察技術を直接丁寧に指導します。

受講料 7万円 (対面実技・オンラインフォロー・診療見学を含む)

このような先生におすすめ
  • 顎関節症、口腔顔面痛診療に苦手意識がある一般歯科医
  • 若手勤務医
  • 開業医で診断力を高めたい先生
  • 口腔顔面痛診療を基礎から学びたい先生
顎関節症/口腔顔面痛の臨床経験は問いません。 基本的な歯科診療経験があれば受講可能です。

応募締切  4月12日(日)
申込方法 メール:wajima.ofp@gmail.com
記載事項: 氏名/所属/年齢/メールアドレス



 
2026年03月19日 15:53

【English available】

【電話番号】
03-3478-5248

【住所】
〒107-0051
東京都港区元赤坂1-1-7
赤坂モートサイド505

【診療時間】
10:00~13:30
14:30-18:00

【診療日】
火曜日、金曜日、第3土曜午前
※第2火曜は休診し水曜に診療

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口腔顔面痛
専門医・認定医のいる施設

風の杜歯科
日本口腔顔面痛学会