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口腔顔面痛(原因不明の歯痛、顔の痛み、顎関節症)に慶應義塾大学での永年の経験と米国口腔顔面痛専門医資格を持つ和嶋浩一が対応します

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痛みの多様性 口腔顔面痛診査の重要性

痛みの多様性 口腔顔面痛診査の重要性
口腔顔面痛の外来には患者さんが様々な痛みを訴えて来院します。
口腔顔面痛外来の最初の役割は歯痛の窓口として、痛みの鑑別診断を行うことです。口腔顔面痛の診断が難しい理由は、第一に痛みの原因とは異なる部分に痛みを感じるという異所性疼痛であること、次が痛みの表現が患者さんによって非常に多様で、同じ疾患でも表現が異なる事です。
例えば、血管炎を病態とする片頭痛ならドックンドックン、ズッキンズッキン、脈打つ感じ、筋緊張を主態とする緊張型頭痛はギュー、グー、にぶい、締め付けられる、重苦しい等の表現からおおよその診断が思いつきます。ところが、緊張型頭痛と同じ筋緊張を主病態としながら咀嚼筋による痛みの場合には患者さん毎に訴えが異なります。
その典型的な訴えが咬筋、側頭筋の筋・筋膜疼痛による歯痛の訴えです。その歯痛の訴えも持続性のジワー、ジーン、ズキズキから咀嚼時のズキンまであります。従って患者さんの痛みの性質からは原疾患の鑑別は難しいです。
歯痛を関連痛として生ずる筋・筋膜疼痛は咬筋、側頭筋と顎二複筋です、これらに加えて胸鎖乳突筋からも歯痛と見誤る頬部痛が生ずることがあります。
口腔顔面痛の診察においては、しっかりとした筋触診が必須です。
先日、主症状側とは反対側の上まぶたが重いと訴える患者さんがいました。主症状は側頭筋の筋・筋膜疼痛でした、側頭筋の腫大、硬結、圧痛、関連痛誘発に加えて、茎状突起の腫大、圧痛、側頭筋筋突起付着部圧痛が強い事から原因は単純にかみしめとではなく、歯ぎしりが主因のようでした。反対側の咬筋、側頭筋には圧痛が無く筋・筋膜疼痛はないと思われましたが、胸鎖乳突筋を触診したら、停止部に近い上の部分に硬結があり、しばらく圧迫すると上眼瞼と前額部に関連痛が生じ、主訴の上まぶたが重いが再現されました。胸鎖乳突筋の筋・筋膜疼痛の原因は歯ぎしりとも考えられず、左右の異なる筋肉に、異なった原因によって別々な症状が出ていたという事です。
改めて、筋触診は有用な診察手段です。
 
2026年06月01日 11:21

慢性疼痛患者の46%がPTSD症状

慢性疼痛患者の46%がPTSD症状を持ち、機能障害が顕著に

2025年6月2日

慢性疼痛と心的外傷後ストレス障害(Post-Traumatic Stress Disorder: PTSD)を併発している患者は、PTSDを伴わない慢性疼痛患者と比較して、より重度の機能障害を示すことが明らかになった。この研究では、外傷体験の有無よりも、PTSD症状の存在が機能障害と関連していることが示された。北アイルランドの慢性疼痛患者を対象とした大規模横断研究の成果は、European Journal of Pain誌2025年7月号に発表された。

北アイルランドの慢性疼痛患者1,367例を対象とした横断研究


この研究は、北アイルランドの学際的疼痛リハビリテーションサービスを受診した慢性疼痛患者1,367例を対象とした横断研究である。研究の主な目的は、慢性疼痛患者における機能障害が外傷体験そのものによるものか、それともPTSD特有の症状に関連しているのかを評価することであった。また、北アイルランド地域におけるPTSDと慢性疼痛の併存率の高さを考慮し、その併存状況を調査することも副次的な目的とされた。参加者はPTSDスクリーニング尺度に加え、疼痛による生活障害、社会的機能、疼痛に対する不安、疼痛自己効力感、疼痛強度、うつ症状を評価する尺度に回答した。研究デザインとして、共変量を特定した後、多変量共分散分析(MANCOVA)を用いてPTSDカテゴリー別の従属変数の差異を検討した。

PTSD症状の有無が機能障害の重症度を左右


スクリーニングの結果、参加者の46.4%は外傷体験がなく、22.5%は外傷体験があるもののPTSDスクリーニングは陰性、31.1%はPTSDスクリーニング陽性であった。多変量共分散分析の結果、PTSDスクリーニング陽性群は、他の2群(外傷体験なし群、外傷体験ありPTSDスクリーニング陰性群)と比較して、すべての評価尺度において機能が悪く、生活障害がより大きいことが示された。一方、外傷体験なし群と外傷体験ありPTSDスクリーニング陰性群の間には、いずれの評価尺度においても有意差は認められなかった。これらの分析結果から、機能障害の悪化は外傷体験の有無だけでなく、PTSD症状の存在と関連していることが明らかになった。また、北アイルランドにおける慢性疼痛とPTSDの併存率は、過去の研究と比較して高い範囲にあり、地域の年間有病率推定値を上回っていた。

慢性疼痛とPTSDの統合的治療アプローチの必要性


研究者らは、慢性疼痛患者におけるPTSD評価では、外傷体験そのものに焦点を当てるよりも、これらの体験が日常機能に与える影響を評価することが重要であると指摘している。また、慢性疼痛とPTSDを統合的に治療するアプローチの開発が必要であるとしている。本研究の結果は、慢性疼痛患者の約3分の1がPTSDスクリーニング陽性であり、これらの患者は特に機能障害が大きいことを示している。このことから、慢性疼痛治療において心理的トラウマとPTSD症状の評価を組み込むことの重要性が強調される。慢性疼痛とPTSDの併存は患者の生活の質を著しく低下させる可能性があるため、両方の状態を同時に治療する統合的アプローチの開発が今後の課題として挙げられている。

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原著論文はこちら
Eur J Pain. 2025 Jul;29(6):e70044.
© 2025 The Author(s). European Journal of Pain published by John Wiley & Sons Ltd on behalf of European Pain Federation ‐ EFIC ®.
2026年05月15日 18:24

慢性痛は痛みのPTSDとも言える 2

私の慢性痛のメカニズム仮説として、「痛み(苦emotional、痛sensory )」の二つの側面が変化顕性化することによって生ずると考えています、これにより慢性痛が判りやすくなります。
慢性痛は下記の二つの側面が合わさって生じているのだろうと思っています。
  • 感覚体験(sensory)の元である痛み信号が感覚神経系を刺激して機能変化が生じた状態である中枢感作が生じている。
  • 情動体験(Emotional )が脳によって認識・解釈されてマイナスの「感情(Feeling)、持続的な主観的体験」として脳に記憶された状態、痛みのPTSD(心的外傷後ストレス障害)とでもいうべき状態。 
    情動(Emotion)と感情(Feeling)は心理学で明確に区別されます。情動は、外部刺激に対し自動的に生じる「急激で短期的な身体反応(恐怖、怒りなど)」です。一方、感情は、その身体変化を脳が認識・解釈した「持続的な主観的体験」です
    従って、情動的体験を脳がそれぞれの人生経験などを元にして認識、解釈して結果が感情という持続的な主観的体験となります。特にマイナスの感情は記憶に残りやすいと言われ、その典型的病態がPTSD(心的外傷後ストレス障害)であります。

慢性痛とPTSDの関連についてはこの記事を参照してください。 和嶋 ブログ参照

北アイルランドの慢性疼痛患者を対象とした大規模横断研究の成果
慢性疼痛患者の46%がPTSD症状を持ち、機能障害が強い
 
2026年05月10日 13:44

慢性疼痛と痛覚変調性疼痛、Chronic Overlapping pain conditions

慢性疼痛と痛覚変調性疼痛、Chronic Overlapping pain conditions
ケガや病気が通常治るのに要する期間(通常3ヶ月以上)を超えて持続する痛みを慢性疼痛と言います。原因が不明な場合や原因が判っていても取り除くことが出来ない場合があり、痛みが「病気そのもの」であります。多くの慢性痛は痛みの信号の発生が続かなくても、情動体験が脳によって認識・解釈されて「感情、持続的な主観的体験」として脳に蓄えられ、さまざまな情報が統合されて、苦痛を感じる状態です。
WHOが作成する病気の国際分類の最新版であるICD-11 International Classification of Diseases, 11th Revision)に初めて慢性疼痛の分類が含まれました。
慢性痛の大分類では、原因不明を一次性(ICD-112022)(ICHD-3、ICOPでは特発性)とし、元の原因が判っている場合を二次性に分類しています。
一次性は原因不明が原則ですが、最近になり一次性の主たる病態は痛覚変調性疼痛だろうと言われています。痛覚変調性疼痛は2017年にNociplasticPainとして提唱され、その基本的メカニズムは中枢感作だとされています。
世界的に痛覚変調性疼痛が注目されていますが、米国ではW.Maixerをはじめとする研究者達が TMDのOPPERA研究のなかで慢性TMDの多くはChronic Overlapping pain Conditions(慢性重複疼痛疾患)の一部になっていると主張していました。Chronic Overlapping pain conditionsは慢性疼痛障害の集合体で、同一人物に併発することが多く、痛覚変調性疼痛を共通のメカニズムにすることや女性における高い罹患率を特徴とします。顎関節症(TMD)、慢性緊張型頭痛、慢性片頭痛、慢性腰痛、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)、線維筋痛症(FM)、子宮内膜症、外陰部痛、過敏性腸症候群(IBS)、間質性膀胱炎/疼痛性膀胱症候群(IC/PBS)などの疾患が含まれ、多くの場合、疲労、睡眠障害、気分の変化を伴います。米国国立衛生研究所(NIH)は、これらの疾患は従来の単一専門分野での医療アプローチの範囲外にあり、単独疾患としての治療では適切な治療が出来ないことが多いため、専門的な研究の必要性を強調している。
最近になってChronic Overlapping pain conditionsと痛覚変調性疼痛は共通して中枢感作を基本メカニズムとする病態であろうと言われています。つまり、慢性TMDの多くは痛覚変調性疼痛であり、Chronic Overlapping pain conditionsの部分症であると言えるということです。その他に関連する用語として、身体化障害、機能性身体症候群、Medically Unexplained Symptoms、ICD-11身体的苦痛症(BDD)があります。
精神科病名である身体症状症(Somatic Symptom Disorder DSM-5:SSD)は 医学的な異常が明確でないにもかかわらず、痛みの慢性化や身体症状に対する強い不安・過剰な認知・行動(頻回のインターネット検索、病院受診等)が日常生活に支障をきたしている状態を指す精神疾患ですが、痛覚変調性疼痛の精神的側面からの診断とも言えると思っています。
 
2026年05月10日 13:38

痛みの二面性(苦、痛 )が慢性化によりそれぞれの特性顕在化

痛みの二面性が慢性化によりそれぞれの特性がよりはっきり
40年ぶりに改訂された最新の国際疼痛学会の「痛みの定義」にも示されているように、痛みとは、組織の損傷(tissue injury)やその可能性(有害刺激)を検知し、痛みを引き起こす感覚メカニズム(Nociceptive) により生ずる「不快な感覚・情動体験」です。「感覚・情動体験」とは、感覚体験(sensory)と情動体験(emotional )の両方を含んでいて、「痛み刺激が加わったときの感覚(痛覚:sensory)」に情動(emotional )が相まって「痛み」として感じられるということです。さらに、「痛み(苦emotional痛sensory )」の感じ方はsensory系、 emotionalの修飾を受けて変化するために、必ずしも痛み刺激に比例しません。
この「痛み(苦emotional、痛sensory )」二つの側面が慢性痛では情動が感情(脳が認識・解釈した「持続的な主観的体験」)となりよりはっきりとその特性を示します。
ケガや病気が通常治るのに要する期間(通常3ヶ月以上)を超えて持続する痛みを慢性疼痛と言います。原因が不明な場合や原因が判っていても取り除くことが出来ない場合があり、痛みが「病気そのもの」であります。多くの慢性痛は痛みの信号の発生が続かなくても、情動体験が脳によって認識・解釈されて「感情、持続的な主観的体験」として脳に蓄えられ、さまざまな情報が統合されて、苦痛を感じる状態です。
私の慢性痛のメカニズム仮説として、「痛み(苦emotional、痛sensory )」の二つの側面によって生ずると判りやすくなると思っています。
  • 感覚体験(sensory)の元である痛み信号が感覚神経系を刺激して機能変化が生じた状態である中枢感作。
  • 情動体験(Emotional )が脳によって認識・解釈されてマイナスの「感情(Feeling)、持続的な主観的体験」として脳に記憶された状態、痛みのPTSDとでもいうべき状態。
慢性痛では上記の二つの側面が合わさって生じているのだろうと思っています。
慢性痛の解説は別報で解説します。
 
2026年05月10日 13:28

歯痛の窓口でセカンドオピニオン

歯痛の窓口でセカンドオピニオン
医療の世界ではセカンドオピニオンという言葉が一般的になっています。例えばガンの診断を受けて、ある治療法を提示された人が、診断に関して、治療法に関して他の医者の意見を聞くという事です。セカンドオピニオンを聞こうとする人は最初の医者が信用できないという場合もあるでしょうが、診断、治療に関して自分自身が納得出来ないために、他の医者の意見も聞きたいということが多いようです。
現在の医療は診断が決まると、それに対する治療法はガイドライン等で標準化されています。とはいえ、問題はあって、ある患者さんに対する検査、診察から診断は異なる可能性があります。
発展途上の口腔顔面痛ではこの検査、診察による診断に大きな差があります、診断が異なれば治療法も変わります。結果的に治るか治らないかの差になります。当然、この差は大きな問題で、日本口腔顔面痛学会では最上の医療を何処でも受けられるように活動をしていますが、まだまだ均てん化には到っていません。
主題に戻って、たかが歯痛でセカンドオピニオンは大げさだと思われるかもしれませんが、納得いかないままに治療を受けて、後に痛みや咬んだ時の不快感が残る可能性がいくらかでもあるならば専門歯科医師の見立てを求めることを見当すべきです。歯痛でもっと気軽にセカンドオピニオンを受けられるように「歯痛の窓口」という受け口をつくるのはどうかと思っています。
2026年05月10日 09:57

募集案内:2026診察法実技指導セミナー

2026 顎関節症・口腔顔面痛 診査法実技指導セミナー
― 明日から診療で使える「正しい診察・診断」を身につける ―

 

顎関節症や口腔顔面痛の患者さんに対して、
  • どこまで一般歯科で対応すべきか迷う
  • 痛みの原因が関節なのか筋肉なのか判断しにくい
  • 原因に関して咬合異常以外のことを知らない
  • 顔面の痛みやしびれへの対応に自信がない
そのように感じたことはないでしょうか。
顎関節症・口腔顔面痛の診療では、治療以上に「最初の診察・診断」が重要です。しかし、実際の診査法を実技として学ぶ機会は非常に限られているのが現状です。
そこで本セミナーでは、一般歯科の先生方が臨床で困りやすい症例に対応できるよう、診断に必要な診察技術を、オンライン講義+少人数対面実技で丁寧に指導します。

昨年度受講された先生方から再受講の希望もあり、内容の充実度には高い評価をいただいています。
本セミナー開催に当たっての和嶋の考えをまとめてあります。 実技指導セミナー企画意図    ハイブリッドセミナー

このセミナーで身につくこと
  • 顎関節痛の正しい診察法
  • 筋・筋膜性疼痛の診査法
  • 口腔・顔面の感覚検査
  • 脳神経診査の基本
  • 顎関節症・口腔顔面痛の臨床診断推論
  • 筋・筋膜性疼痛の基本的治療法
    「何を診れば診断できるのか」、「どこで専門医紹介を判断するのか」が明確になります。

開催形式
オンライン+対面ハイブリッドセミナー
1)オンライン講義(2時間 × 4回)
 診査法と診断の考え方を分かりやすく解説

2)対面少人数実技指導(5時間)
 実際に診察手技を体験しながら習得 会場:元赤坂デンタルクリニック

3)フォローアップオンライン(2時間 × 1回)
 実践後の疑問点を解消

4)専門クリニック診療見学(希望者)
 東京:元赤坂デンタルクリニック
 札幌:風の杜歯科

日程
  • 5月11日(月)オンライン
  • 6月8日(月)オンライン
  • 6月22日(月)オンライン
  • 7月6日(月)オンライン
  • 7月19日(日)対面実技
  • 8月24日(月)オンライン
  • 診療見学:日程応相談
※オンライン 20:00–22:00 ※対面 10:00–16:00

募集人数  新規受講者 5名限定
少人数制のため、実際の診察技術を直接丁寧に指導します。

受講料 7万円 (対面実技・オンラインフォロー・診療見学を含む)

このような先生におすすめ
  • 顎関節症、口腔顔面痛診療に苦手意識がある一般歯科医
  • 若手勤務医
  • 開業医で診断力を高めたい先生
  • 口腔顔面痛診療を基礎から学びたい先生
顎関節症/口腔顔面痛の臨床経験は問いません。 基本的な歯科診療経験があれば受講可能です。

応募締切  4月12日(日)
申込方法 メール:wajima.ofp@gmail.com
記載事項: 氏名/所属/年齢/メールアドレス



 
2026年03月19日 15:53

冷却スプレーと診断的局所麻酔は歯痛鑑別診断で非常に有用

冷却スプレーと診断的局所麻酔は歯痛鑑別診断で非常に有用
 
口腔顔面痛の臨床では歯原性歯痛と非歯原性歯痛の鑑別診断のために冷却スプレーと診断的局所麻酔を頻用しています。
冷却スプレーを湿らせた綿棒に吹きかけると瞬時に約10度以下になります。これを健全歯の歯頚部に押しつけると5秒程度で冷たさを感じます。知覚過敏の歯では瞬時にズキンとした刺激痛が感じられ、数秒持続します。神経が死んでいる歯では当然何も反応がありません。一方、歯髄炎の場合には歯冠部歯髄だけの軽度の炎症でもズキンとした刺激痛に続いてドックンドックンとした拍動性の持続痛が生じます。歯髄の炎症が進行して根尖部まで進み、根尖の歯髄のみが炎症を起こしている場合には冷却綿棒を当ててから数秒して拍動性の持続痛が始まります。電気歯髄診断器は神経が生きている場合にビリビリと感じて歯髄の生死が判りますが、継発して痛みが生ずることがありません。冷刺激により痛みを発症させるのは患者としては負担になりますが、診断が確定されることが大きなポイントです。冷刺激により持続性の痛みが出てしまったら、すぐに局所麻酔をして痛みを止めて、抜髄処置等を行います。
このような状況で行った麻酔によって痛みが消えたと言う事は、この歯が痛みの発生源であったということの証明になります。そして、これが診断的局所麻酔の真価です。
例えば、患者さんがこの歯が痛いと訴えて来院した、診察したが患者さんがこの歯が痛いと言う歯には齲歯はなく、打診、冷刺激に反応せず、レントゲンでも異常は見つからない、さあどうしましょうか。患者さんが訴えた歯に本当に異常が無いかどうかを更に調べ、多少でも疑いがある場合には、特に今現在、自発痛がある場合にはその歯に診断的に局所麻酔をします。それに寄って痛みが消えた場合はやはりその歯が原因である可能性が高いと言う事になり、原因の精査をします。
患者さんが痛みを訴える歯が原因でない可能性が高い場合には他に歯に痛みがないかどうか、打診痛、冷刺激で反応を調べます。患者さんは下の歯が痛いと訴えたが上の歯であったり、その反対であったりすることも往々にしてあります。そして、打診痛、冷刺激で反応があった場合には痛みの原因になり得るかどうかを確認し、可能性がある場合にはその歯に診断的に局所麻酔をして痛みが消えるかどうか確認します。
上下顎全部の歯を調べても、痛みの原因として疑わしい歯が無い場合には、範囲を拡大して非歯原性歯痛の診査をします。非歯原性歯痛の原疾患診査の順番は、最初に神経障害性疼痛を調べます。左右上下顎の歯肉の感覚検査をします、触覚検査としてミラーの丸い縁で歯肉をさすります、痛みや、いやな感じは無いか、変な感じは無いかを聞き、更に左右比較してどうかを聞きます。そして、刺激した感覚が後に残らないかを確認します。次にピンセットの先で痛覚検査をします。これも他の部位と比較して強く痛みを感じる部分は無いか、そして左右を比較してどうかを尋ねていきます。触覚検査を同様に、終わった後に刺激した感覚が後に残らないかを確認します。触覚検査と痛覚検査で異常所見が認められない場合には神経障害性疼痛の可能性はないと判断できます。もし、何らかの感覚異常があった場合には、次に冷感覚、温感覚の診査をします。この時に冷感覚検査に歯痛診査で用いたのと同じ、湿らせた綿棒に冷却スプレーを吹きかけた冷刺激材を用います。
非歯原性歯痛の次の原疾患検査として、筋・筋膜疼痛を調べます。筋・筋膜疼痛の検査はトリガーポイントを探し、関連痛が出ないかどうか、そして関連痛が出たら、その痛みがFamiliar Pain(何時もの痛みかどうか)、主訴の歯痛が再現されるかどうかを調べます。筋肉を圧しているが、そことは離れた患者さんが痛いと訴えていた歯に痛みが感じられ、何時もの痛みが強くなったり、何か変化したりした場合には、患者さんの訴えていた歯の痛みは筋・筋膜疼痛による痛みの可能性が高まります。確定診断するには当該のトリガーポイントに診断的局所麻酔をして、元々の歯の痛みが消えるかどうかを調べます。筋・筋膜疼痛による関連痛としの歯痛であった場合には診断的局所麻酔により痛みが消えます。
このように冷却スプレーと診断的局所麻酔は歯痛鑑別診断で非常に有用で、私の臨床では汎用しています。
 
 
2026年02月05日 12:51

ホームページ情報と治療能力の解離

Homepageの情報と治療能力の解離
自院の宣伝のためにHomepageを作っています。書きためてあった原稿をいっぱい掲載していますから、患者さん向けなのか歯医者向けなのかと言われることがあります。最新の情報はブログとして書き加えています。
このブログのテーマは「Homepageの情報と治療能力の解離」ということで、Homepageに掲載されている内容とその医院の治療内容は必ずしも一致しないということです。当院に来院される患者さんのほとんどが既に数軒の歯科医院、病院、大学等で治療を受けたが、改善しないということで受診します。
問題は、受診した歯科医院で治療中に口腔顔面痛とか非歯原性歯痛の疑いがあるということはいっさい聞かなかったということです。何故、その歯科医院を受診したのかと訪ねると、Homepageをみたら非歯原性歯痛について詳しく解説してあったので治療も出来るだろうと思って受診したとのことでした。
2016年以降に卒業された歯科医師は国家試験出題範囲に非歯原性歯痛が含まれていますから、非歯原性歯痛の原疾患くらいの基本的な知識は持っているはずです。しかし、非歯原性歯痛で最も多い筋・筋膜疼痛診察のためのトリガーポイント診査、神経障害性疼痛診察のための感覚検査は大学時代では教わっていません、研修医時代にも非歯原性歯痛の患者さんを診ていないと思います。従って、自分が今、根管治療している歯痛の患者さんが非歯原性歯痛であっても、基本的な鑑別診断が出来ない事がほとんどです。
それでは、もし非歯原性歯痛の可能性があると思ったらどのような歯科を受診すれば良いのか、答えは日本口腔顔面痛学会認定医か専門医の資格をもっている先生を選ぶべきです。日本に数人しかいない米国口腔顔面痛認定医を持っている人は確実です。
 
 
2026年01月24日 15:10

ボツリヌス毒素の三叉神経痛、神経障害性疼痛への有効性

 ボツリヌス毒素(BoNT-A)の痛み神経系への作用が判ってきました。三叉神経痛、有痛性三叉神経ニューロパチーなどの痛みを改善出来る可能性があります。
正月休みに関連論文を読んでまとめました。
1.三叉神経痛には有効性が高い。原因療法として微小血管減圧術が確立されている典型的三叉神経痛は、Second Lineに位置付けられる。
二次性三叉神経痛は原因療法が絶対に必要である。
特発性三叉神経痛はカルバマゼピンが効果的であったとしても、服用期間が長期になる。パルス高周波が有効である事が判って来たので治療の選択肢として考えるべき。同列にBoNT-Aのトリガーゾーンあるいは当該神経枝の神経孔に注射も検討すべき。欠点はトリガーゾーンが筋の近くである場合には筋弛緩を生じさせる可能性が高いので注意が必要。
2.有痛性三叉神経ニューロパチー 各種薬物療法で効果が無かった場合、効果があって痛みは減ったが、まだ残っているという場合には試みる価値がある。BoNT-Aの注射部位は当該神経枝の神経孔、下顎枝であればオトガイ孔周囲に注射、なるべく拡散しないようにする。上顎枝の場合何処に注射するかが問題
3.慢性筋・筋膜疼痛は有効とする論文と無効とする論文がある。何が有効性を左右するか、中枢感作のあるなしの様です。中枢感作が生じている場合には末梢に作用しても、中枢感作を抑制する程の効果は無いので効果無しになるようです。
筋・筋膜疼痛の病態を侵害受容性疼痛だけとするか、中枢感作の要素が増えて痛覚変調性疼痛が混じっているかを判断して治療法を検討すべきです。
 
2026年01月06日 16:30

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【電話番号】
03-3478-5248

【住所】
〒107-0051
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【診療時間】
10:00~13:30
14:30-18:00

【診療日】
火曜日、金曜日、第3土曜午前
※第2火曜は休診し水曜に診療

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