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口腔顔面痛(原因不明の歯痛、顔の痛み、顎関節症)に慶應義塾大学での永年の経験と米国口腔顔面痛専門医資格を持つ和嶋浩一が対応します

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あなたの病気ストーリー 私の初診で大事にしていること

あなたの病気ストーリー
私の初診は、最初に構造化問診票、痛みチェックシート、心理テストを書いてもらい、それを元に医療面接をします。頭の中にはいくつかの鑑別診断が浮かんできます、一つだけではなく、必ずピボットアンドクラスターで関連する病態も想起します。そして網羅的に診察、歯原性も必ず確認、口腔内、顔面の三叉神経から始まり12脳神経検査、最後に筋触診、咬筋、側頭筋、後頸部筋と胸鎖乳突筋、ここまでで、筋・筋膜疼痛、神経障害性疼痛、頭痛などの最終診断が決まることが多いです。納得出来る診断が得られない場合には再診するか、疑わしい疾患について他の専門医に依頼して診察してもらう事もあります。
最終診断が得られた場合に治療法提示の前に患者さんに「あなたの病気ストーリー」を話します。病気ストーリーとは、医療面接、診察の結果から判った患者さんの1)最終診断、2)病気の成り立ち、原因、発症から今に至った経過、そこに3)患者さんの解釈モデルも加えて、病気の全容を私なりにまとめたものです。
病気ストーリー作成には解釈モデルが必須です。患者さんは解釈モデルで、私の痛みはこれが原因で、この病気だろう、この検査をすれば判る、このように治療すれば直ると考えていることが多く、特に慢性痛の患者さんはこの痛みの当事者は私で、私が一番よく知っているのに、私の意見を聞かずに治療始めるなんてあり得ないでしょうと思っています。
治療を始める前に、最終診断に加えて、専門医の考えるあなたの痛みの全容についての把握内容を提供することが「あなたの病気ストーリー」の目的です。私が把握できた痛みの全容を呈示して、更に患者さんの考えを聞き出し、解釈モデルのすり合わせのために双方向で話し合いをします。こちらの考える痛みの全容に患者さんの解釈モデルをすりあわせる、患者さんの考え、気持ちを修正することは非常に難しいことですが、医者と患者が同じ方向を向いて治療を進めないと治るはずのものも治りませんから、治療開始前に是非とも行っておくべきことです。
解釈モデルを上手く聞き出すためにどうすれば良いかと思いながら今年の後半で判った事が「傾聴、受容、共感」のトリオの意味でした。共感の意味がしっくりしていませんでした。他のブログにも書きましたが、共感に感情的な意味合いは少なく、認知的共感と書いた方がしっくりすると思います。「傾聴、受容でうんうんと言いながら頭を傾け、理解出来ない部分は聞き直し、そういうことですか、そうだったんですね、とそんな事はあり得ないでしょう等と反論することなく聞く続け、その結果の共感」、つまり、聞いた内容を医療者の持つ知識、経験に照らし合わせて、患者さんが痛み、病気がどういう状況にあるのか、そして患者さんはどのように受け止めているのかを把握する事が共感なのです。同情のような感情的共感はないか、あっても少しだけです。
共感力という言葉があり、共感力を高めるにはどうするべきか。聞き出す能力、傾聴、受容を強化と医学知識の増やす、深める、経験を増やすことにより患者の現状を総合的に把握、理解出来る能力を高めるということになります。ここに至って、共感力を高めることとあなたの病気ストーリーを書くことは同じだなあと思えます。
 
2023年12月28日 15:51

傾聴、受容、共感の共感について 医療者は共感力が必要

1.傾聴、受容、共感の共感について  医療の場では、共感では無く、患者さんの病気の情報共有という言葉が適していると思っています。
医療面接の基本として傾聴、受容、共感が挙げられます。傾聴、受容は判りやすいのですが、共感とはどんなことなのか。どうしても感情的な共有なのかと考えがちですが、同情(Sympathy)と共感(Empathy)、この2つの用語は、しばしば同じ意味で使用されますが、両者には重要な違いがあります。共感という日本語の語感で同情に引っ張られる傾向があります。
一般的には、共感(Empathy)には主に3つのタイプがあります。
1)感情的共感:このタイプの共感では、人が他者の感情を共有できるだけでなく、他者をより深く理解することができます。情動的共感とも呼ばれ、感情的共感を得ることで、他者との真の信頼関係が築けるようになります。
2)認知的共感:このタイプの共感は、他者の考え方や感じ方を理解する能力を指します。認知的共感は感情的共感とは異なり、感情移入を必要とせず、他者がそのように考えたり感じたりする理由に重点を置きます。
3)同情的共感:このタイプの共感では、人が他者の感情的な痛みを共有します。

医学用語としては2)認知的共感がいちばん近いと思います。
empathyは患者の内的経験や考え,不安を(感じるというより)理解し,その理解を患者と分かち合い意思疎通できる能力です。このため,empathyの向上は医療者の成長,望ましい治療アウトカムにつながると考えられています。このことが,empathyはより良い医療の提供のために不可欠とされる理由です。
極端なはなし、傾聴、受容、共感のなかで、傾聴、受容は共感のための準備行動とも言えるのかと思います。
2.共感力とは
医学部研修医の時点での志望診療科によって共感力が異なるかについて調査した論文や診療科により共感力が強いか弱いかについての調査論文が出されました。米国では以前に医学部学生の共感力について入学後の縦断的調査があり、入学時には共感力が高いが三年生時には下がるという論文が出されています。
口腔顔面痛の臨床にはまさに共感力の向上が医療者の成長,望ましい治療アウトカムにつながると考えられ、調査してみたいと考えていました。
セミナー中に大塚先生にお願いして実施を検討し始めました。皆さんの協力をおねがしいます。
次の課題は医療従事者の共感力をどうやって高めるかです。
 
12月口腔顔面痛オンラインセミナーではいろいろな話題がありました。
3.トリプタノール出荷調整による問題 他の三環系抗うつ薬への切り替え
痛みに対する三環系抗うつ薬とプレガバリンの作用機序は異なるので、神経障害性疼痛では三環系抗うつ薬からプレガバリンに代えられても、慢性筋痛、痛覚変調性疼痛ではプレガバリンの有効性は示されていないので、三環系抗うつ薬からプレガバリンに切り替えるわけにはいかず、トリプタノール以外の三環系抗うつ薬に切り替えざるを得ない。
他の三環系抗うつ薬に切り替えるには具体的にどのような飲み方を指導すれば良いのか、その前に、他の三環系抗うつ薬はトリプタノールと同様に神経障害性疼痛に有用なのか。
イミプラミン(トフラニール)、クロミプラミン(アナフラニール)とも神経障害性疼痛に有効という論文がありますが、なぜ神経障害性疼痛に関してトリプタノールとノリトレンの論文だけが多く、トフラニール、アナフラニールの論文は少ないのか、有効性低いからなのかという疑問が残ります。他のブログも参照してください。
 
供覧した症例 まさにRedFlag 左側頬部のしびれの主訴からFacial-onset sensory and motor neuropathy 非常に珍しい疾患であるだけで無く、Facial-onset 顔面発症という点、口腔顔面痛として受診する可能性があり、そこで見逃したら早期発見の機会を逃してしまいます。おそらく秋の日本口腔顔面痛学会で発表されるでしょうから、そこで確認してください。
 
2023年12月18日 14:33

最近の口腔顔面痛患者さんで勉強したこと-1 来院までの経過

最近の口腔顔面痛患者さんで勉強したこと、 イヤ、勉強させてもらった事でしょうか、これからの患者さん診療に活かさせてもらいます。
 
私のクリニックにいらっしゃる患者さんの訴えは原因不明の歯痛、口、頬、アゴ、頸、頭の痛みです。これらの痛みを総称して口腔顔面痛という病名が使われます。
様々な痛みを訴えていらっしゃる患者さんの多くは既にいろいろな治療を受けています、歯科治療として、抜髄、根管治療、抜歯を受けている患者さんもいます、また、内科、脳神経内科、脳神経外科、耳鼻科などいろいろな科を受診している患者さんもいます。さらに、近所あるいは評判の鍼灸院、整体、マッサージなどを受けている患者さんもいます。
口腔顔面痛の代表的な原疾患は咀嚼筋の筋・筋膜疼痛と三叉神経の神経障害性疼痛です。
このような原因により歯の痛みを感じている非歯原性歯痛患者さんの当クリニック受診までの典型的な経過を示します。
  1. 歯が痛いので歯科に行った、一軒目では歯は何処も悪くない、経過観察しましょうと言われた。痛みは続くので二軒目に行った、一軒目と同じように虫歯も歯周疾患も無い、原因不明と言われた。患者さんは私の歯の痛みは原因不明の痛みなんだと解釈した。3軒目を受診した時には、原因不明の歯痛と言われているので、この歯の神経を取ってみてくださいと言った、最初、歯科医師は何も異常のない歯の神経を抜くことを断ったが患者さんが何回もの懇願に根負けして神経を抜いた、数日痛みが消えたかに思えたが、痛みは再発して、元に戻ってしまった。患者さんは歯科医師に何とかしてこの痛みをとってほしいと訴えた、神経を抜く処置をした歯科医師はもはや引き下がれなくなり、抜髄(神経抜く処置)してもダメなら、歯を抜いてしまえば痛みは止まるだろうということで、抜歯を提案した、患者さんはそれで痛みが止まるならと、藁にもすがる思いで抜歯を受けた、結果は抜髄と同じ、数日痛みは感じ無かったが痛みは元に戻ってしまった。今度は隣の歯が痛いような気がする、患者さんは不安、怒りと諦めが入り交じった気持ちになり、一時も歯の痛みを忘れることが出来なくなってしまった。このような気持ちが続くことにより睡眠は浅く、途中で何回も目が覚めてしまう日が続いている。このような状況の中で隣の歯の痛みは以前に増して強くなったような気がする。もはや患者さんは、「私の歯の痛みを治してくれる歯医者は世の中にいないのか」と言った絶望感さえ感じるようになっている。  相当、苦しんでいたのでしょう。 苦痛、心が苦しく、そしあて、痛みが続く、口腔顔面痛の患者さんの状況を的確に示しています。
2023年07月17日 11:13

ChatGPTは知識を高める しかし、生き残るには足りない

先日のニュースで今年の医師国家試験をChatGPTに解かせたら正解率50%だっとでていて、まだまだかなと思っていたら、米国の医師国家試験ではほぼ100%の正解率だっということです。まだ、日本語の医学データ量が少ないからで、時間とともに賢くなり、100%正解も遠くないでしょう。いつも、このような革新的な発展の際に、歯科関連の情報もちゃんと記録され、取り残されないかどうかの問題は残ります。
ChatGPTが世に出たときに、大学の先生方は学生が課題レポートや小論文をこのチャットGPTを使って書くというか、書いてもらうのではないかという心配が生まれました。これまでもCopy&Pasteを見分けるソフトがあったり、レポートはprintではなく、自筆を強要したりして不正行為の防止策を講じてきましたが、それを遥か超える事態になっているのです。しかし、このテクノロジーの進化を利用しない選択はありません。
ニューズウィーク日本版2023年03月25日(土)18時25分に、ChatGPTは大学教育のレベルを間違いなく高める――「米国最高の教授」がそう言い切るこれだけの理由、というコラムがあります。
テクノロジーの進化に伴い、人間らしい倫理観を持つリーダーのニーズが高まっている。機械と人間が競争する労働市場で、私たちは人間ならではの必要不可欠なスキルを伸ばしていく必要がある。そして偽情報が氾濫する今、偽物と本物を見分ける知性を身に付ける必要もある。大学は所属教員に対し、不安定で複雑で曖昧な世界での競争に必要な特性を学生に身に付けさせるための授業設計を促すようになるはずだ。チャットGPTは、質の低い質問をすると質の低い答えしか返ってこないことが明らかになりつつある。
私は学生たちに、将来圧倒的なパフォーマンスを上げるためには「質問学」の博士号が必要だと繰り返し強調している。学生はAIに質の高い質問を投げかけ、今の自分の知識以上のことを学ぼうとする意欲が必要だ。
より高度な質問をすれば、それだけ大きな成果が手に入る。もしチャットGPTが知的作業に不可欠なツールになるのであれば、教育者は優れた「質問者」の育成に力を入れざるを得ない。それこそ将来の世界で必要とされるスキルだ。
英語の「競争する(compete)」の語源は、「高める」という意味のラテン語だ。チャットGPTは登場の瞬間から、AIと人間の競争は避けて通れないことを明らかにした。だが同時に、大学教育のレベルを間違いなく高めるだろう。教員たちよ、パニックにならず、賢くなろう、と書かれています。

今や日本においても、あらゆる産業でDXが叫ばれています。さらにDXが広まったあとに生き残れる職種と廃れる職種は何だ等という記事もよく見かけます。医療においては、画像診断、病理診断は完全にAIに取って代わられるだろう、これらの教室に残ろうとする人は激減でしょう。私の専門の臨床診断推論も患者さんがタブレットで問診票に答え、ルーチンの臨床検査を受けると、追加検査が指示され、その結果、あなたの痛みはこれだろうと示される時が遠くないと思います。私の世代は何とか今のままで名人芸的に逃げ切れると思いますが、次の世代はそうは行きません。それではどのような仕事が必要とされていくのか、ちゃんとコミュニケーションのとれる医者、双方向で話の出来る医者でしょうと同僚と雑談したら、目も合わせず、相手を気遣う意識も無い医者に言われるよりも、ロボットに淡々と言われた方がいいかもと反論されました。言い換えます、人間らしい倫理観を持ち、スピリッチャルに基づいた患者とのコミュニケーションの出来る医療者しか生き残れなくなるでしょう。
医療におけるマニュアルはデータを採るために、皆さんが決まったことをする様に作られているそうで、その最たるモノが米国精神医学会が作るDSMはDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの略で診断と統計のためのマニュアルなんです。マニュアルに従って行った医療の結果、有効性の認められたものを適宜いいとこ取りして、患者に応じて活用するのが臨床だという話があります。臨床診断推論、治療法選択推論はAIに任せて、コミュニケーション能力を高める研修をするのが今後必須になるでしょう。
2023年03月27日 14:13

チャットGPTに聞いてみました 解釈モデルのズレの直し方

2023年2月23日の朝日新聞天声人語にチャットGPTの話題が載っていました。
今世界中で話題のAiを使った小説執筆です。大学生が小説の校正作業のアルバイトに採用された。執筆者は生身の作家ではなく人工知能Ai、やりとりするうちに、相手の「意識」を感じ始めると言う話、これは昨年の第9回「星新一賞」でAiを利用した初入選した作品の事でした。ミーハーな私は世の中で流行っているもので自分の仕事が少しでも楽になるものは取り入れてきたので、このチャットGPTも早速活用にむけて試し中でしたので非常に興味をもちました。
最近の私の頭のなかで未解決で残っているものに、解釈モデルを能率良く把握するにはどうすれば良いか、把握した後にこちらの診断と齟齬があった場合に患者さんの考えを効果的に変えるには、こちらにすり合わせるにはどうすればいいのか、という課題があります。
 そこに、養老孟司が新刊本で、「あの人は私をわかっていない」「私を誤解している」などと思うのは、誤解ではない「正解」があるという前提に立っているから、
誤解されたままなんて嫌だと思うかもしれないが、「それは誤解です」と言っても相手は相手で自分が正解だと思っているから、たいてい無駄に終わる。誤解の多くは、放っておくと自然に解けて消えていきます。どうでもよくなるんです。長い時間がかかるかもしれません、その時間を「損」と思うと、短時間で、合理的に「誤解を正そう」という話になる。そこで無理矢理「これが正解なんだよ」と説明しても無駄なことです。

この相手の誤解を患者さんの解釈モデルに置き換えると、医療の場面での患者と医者のやり時になります。解釈モデルとこちらの診断をすり合わせるのは難しいことなんだとあらためて気づかされました。
患者さんの解釈モデルがどうしてもこれからの治療方針と合わずに、私はこの歯の痛みを治してほしいのに、頬の筋肉が強ばっているの、歯肉の神経が敏感だのと言われても、納得出来ない、歯の痛みを治して欲しいんだ、 歯医者はあなただけじゃない、歯のややこしい痛みの治療が上手いという評判を聞いてやってきたが、どうも見当外れだったようだ、と言われたらどうしましょう。
養老先生は「放っておくと自然に解けて消えていきます」と言っているが、治療するには、何とか解釈モデルを早めにすり合わせたい、どうすれば良いのか
このよう場面に備えて、早速、この課題をチャットGPTに答えてもらいました。
相手の誤解を解くためには、
以下のステップを踏むことが重要です。
 
1.相手の誤解を正確に理解する
まず、相手がどのような誤解を抱いているのか正確に理解する必要があります。相手が何を誤解しているのかを明確に把握することで、解決策を見出すことができます。
 
2.相手の視点に立って考える
相手がどのような状況や背景で誤解を抱いているのかを考え、相手の視点に立って考えることが重要です。自分の立場だけでなく、相手の立場を理解し、尊重することが重要です。
 
3.正確な情報を提供する
相手に正確な情報を提供することが大切です。誤解を解くためには、適切な情報を提供することで、相手が正確な情報に基づいて考えることができるようになります。
 
4.コミュニケーションを改善する
相手とのコミュニケーションを改善することが重要です。誤解を解くためには、相手とのコミュニケーションがスムーズであることが必要です。相手の意見を尊重し、適切なタイミングで適切な言葉を使うことが大切です。
 
5.誤解が解けたことを確認する
最後に、誤解が解けたことを確認することが重要です。相手が正確な情報に基づいて誤解を解いたことを確認することで、今後同じような誤解が生じないようにすることができます。
 
なるほど、もっともな話ですね。白衣の威厳よりもこのような論理だった話を如何にかみ砕いて伝えるか、精進します。
 
 
2023年02月24日 13:51

慢性痛治療はコミュニケーション

歯髄炎は大人子供、その人が他の病気を持っていたとしても、神経を抜くと治ります。処置前後の痛みに強い、弱いの差はあるでしょうが、痛みは収まります。これは歯に対する治療でことが住むからです。ところが慢性痛は、例えば咬筋の筋・筋膜疼痛による非歯原性歯痛の場合には歯に治療しても直らないのは当たり前、筋肉に治療すれば直るか。筋が痛みの元であるから治りそうですが、慢性化していると治療者と筋肉の問題に宿主の患者さんが絡んできます。慢性痛の治療では痛みの原因である筋肉よりも筋肉の持ち主である患者さんに対する治療が重要になります。
患者さんとコミュニケーションしなければならない、話さなければならない、患者さんに理解してもらうように話さなければならない、患者さんに自分の筋肉の病気について、なぜ起こったのか、どうすれば治るか等を説明して、原因が患者さん自身の生活にある事、改善するには患者さんによるセルフケアが必要である事を理解してもらう、そして、やる気になってもらわなければなりません。
今まで歯の病気だと思っていた人に、痛みの元はあなたの生活にありますよ、治すのはあなたですよと言ってセルフケアをやってもらうわけです。非歯原性歯痛のパンフレットを渡して、あなたの病気はこれです、ここに書かれている事をやってくださいでは治らないのは目に見えています。
患者さんの解釈モデルでは歯が痛い、歯の病気、歯科医院に行ったら歯の治療をしてくれて、すぐ治るはずでしたが、悪いのはあなたです、治すのもあなたですと言われても解釈モデルは変わりません。
振り出しに戻って、慢性痛の治療は痛みの元が治療対象ではなく患者さんです、そして治療法はコミュニケーションを通じて伝えることになります。
一般歯科治療はクルマの修理のように、大きく口を開けてもらい口の中にある歯を削り詰めたり被せたりして治療します、このような治療から180度反対側にある、口で話してもらい、こちらの話しを耳で聞いてもらって治療していくのです。
 
2023年02月13日 09:42

解釈モデルの主訴を病態と信じ込み、治療まで決めてしまう

痛みが慢性経過している場合、なかなか診断がつかない場合などには病気について、患者さんは自分の持っている知識のなかであれこれ考えてしまいます。
患者さんが自分の病気についてあれこれ考えていることを解釈モデルといいます。患者さんが病気の当事者として1)自分の病気の原因をどうとらえ、2)なぜ発症したのか、3)どの程度重いのか、4)予後はどうなのか、5)どんな治療が必要なのか等、自身の病気について決めつけていることがあります。
最近いらした患者さんは10年前に海外で、歯が痛くなって抜髄処置を受けました、しかし、痛みは改善せず、その後に腫脹感も現れて現地でいくつかの医療機関で診てもらいましたが、原因不明ということでした。
この時点で患者さんは海外の下手な歯科医師による抜髄の失敗だろうと考えました。つまり、解釈モデルとして、自分のこの痛み、腫脹感の原因は抜髄の失敗である、日本でちゃんとした根の治療を受ければ治るはず、と言う考えが出来たようです。
その後、症状は痛みよりも腫脹感が気になるように変わったのですが、解釈モデルは変わらず、帰国後、すぐに近所の歯科で根管治療を受けました。10年間に4-5回根管治療を受けたそうですが、症状は全く変わりません。従って、解釈モデルも変わらないままです。
最近、ENDO専門医に紹介され精査を受けたところ、根充状態が完全ではないということで再度根管治療を受けました。三ヶ月後に経過観察を受け、その歯には全く異常が無い、しかし、歯の周囲の腫脹感が変わらないと言うことで当クリニックに紹介されて受診しました。
これまでの治療は、患者さんの10年前のこの歯の治療が悪かったのでこの歯の周りがブヨブヨ腫れぼったいんだ、ちゃんと根の治療をすれば治るという解釈モデルが歯科医師に「海外での下手な根管治療による根尖病巣、根管治療すれば直る」という指示となる根管治療が行われていたようです。
紹介してくれたENDO専門医の治療は完璧で、自発痛はもちろん打診痛もありません、歯原性で無いことがすぐ判りました。そこで、ENDO専門医の先生の私に紹介してくれた意図などを説明して、歯にこだわらずもっと広く口腔顔面痛として診査しましょうと提案、受け入れてもらいました。
結果はその歯のある三叉神経の領域に触覚鈍麻、痛覚亢進が認められ、明らかに三叉神経ニューロパチーでした。10年前には痛みが強かったようですが今は痛みよりも鈍麻感が気になると言う事で、触覚鈍麻がその原因ではないか、時々、痛くなるのは痛覚亢進によるものだろう。そして、現在の感覚障害から10年前に戻ってみると、痛かったのは歯髄炎等の歯原性では無くでは、帯状疱疹だったのではないか、そのため、抜髄後も痛みが続いていた、10年の間に痛みは収まってきて、今は三叉神経ニューロパチーによる鈍麻感だけ残っているのではないかと推定できることを話しました。すぐに納得とは行きませんでしたが、患者さんの10年間の続いていた解釈モデル、「歯の治療が悪かったのでこの歯の周りがブヨブヨ腫れぼったいんだ、ちゃんと根の治療をすれば治る」という、ホワイトボードに根管治療する毎に油性マジックで重ね書きしてきたところに、正しい理解を書き込むことが出来たかなと思っています。
 
2023年01月23日 15:03

患者の気持ちになって診療 これが解釈モデル

学生時代、治療に当たっては常に患者の身になって、患者の気持ちに配慮するように指導されました。しかし、その病気になった事のない人は、どうすれば患者の身になり気持ちになれるのか判らないのが当然、他人の気持ち、痛みは判るはずがないからです。先日の大学講義の後の質疑応答で、片頭痛のある学生さんから治療薬について質問がありました、それを受けて別な学生さんから、いろいろな痛みの患者がいるようだが、自分がその痛みを経験したことがないから、どうしてもその痛みがよく判らないという質問がありました。他人の痛みが判らなくて当然のことと思えます。でも、医療の現場で他人の痛みが判らないと痛み治療は出来ません。その時は共感について説明しました。臨床に長く携わっていると、なんとなく患者の気持ち、痛みが判って来ます。これが共感です、臨床経験、学習によって得られた知識に寄って、患者さんがこんなことを感じているんだろうと無意識に思えるようになります。これは脳の中にミラーニューロンがあるからです。共感、ミラーニューロンについて詳しくは以前のブログを参照してください。
どうも、日本の教育は教える人が本当にわかって教えているのかどうか疑いたくなるようなことが多いです。
雑談ながら、座禅、何をすれば良いのか、心を無にする、どうすれば心が無になるのか、 心が無 ってどんな事、よく判りません。それが、MindFullNess で無意識にしている呼吸に集中して、ゆっくり吸って、止めて、解除、フーーと吐く、これを繰り返しことにより、余計な事は心に入ることが出来ない、他のことを考えることが無くなる、呼吸で心をいっぱいにすると、心には何も入らず無になれる、これがワジマ式の座禅の理解、MindFullNessの理解です。そのつづきで、昔寝るときに、羊を数えることを教わりました、羊が1っ匹、羊が2匹、羊が3匹と数えていると、数えることに集中してiいるので、余計な事を考えることが出来ない、これもMindFullNessかなと思います。アロマも似たようなものかなと思います、良い香り、その香りで良い気持ちになっていると余計な事は考えない。
これらはノーハウ、今流にはマニュアルなくても、自然に出来てしまう、良い方法ですね。
ついでに、患者の身になって、患者の気持ちに配慮して、これは要するに解釈モデルなんだと思います。
2022年12月02日 17:59

解釈モデルを聞きましょう 痛み患者は不安がいっぱい

患者さんが自らの病気(illness)(医師のとらえる疾病 disease)を解釈する枠組みを、解釈モデル(説明モデル)といいます。解釈モデルは米国発祥で、英国では患者さんの自分の病気に関する解釈(Ideas)認知、とらわれ、心配(Concerns) 感情、不安、期待(Expectations)治療への期待の頭文字をとってICEと言います。概念は共通で、患者が病気の当事者として1)自分の病気の原因をどうとらえ、2)なぜ発症したのか、3)どの程度重いのか、4)予後はどうなのか、5)どんな治療が必要なのか等、の患者自身の病気の解釈です。一方、医療者側には当然のこととして診察の結果、診断がなされ、治療方針が立てられます。
私は患者さんの解釈モデルをホワイトボードに例えています。医療者は患者さんの解釈モデル、ホワイトボードには自分たちが考える事と余り相違の無いことが書かれていると思われていたのですが、実際にはかなり異なったことが書かれていることが多いのです。異なっていることが書かれているというのは、聞いてみて初めて判ることで、医療者に患者さんのホワイトボードを覗いてみようという気が無いと判りません。患者さんのホワイトボードに何が書かれているかを知るには、時間が許せば、初診患者には少なくとも5分間は自由に遮らないで来院の理由を語ってもらう事です。
患者さんは心配顔で、症状、経過を必死に訴えます、発症以来、何軒も掛かかり、あるところでは、痛みに見合うような異常は無い、原因不明といわれ、原因が無いはずがない、なぜ原因が判らないのだろうと不安になり、自分の痛みを判ってくれないことに怒りがこみ上げることもあるという。あるところでは治療を受けたが、全く改善しない、そして、改善しない理由をいろいろ話されて、さらに心配になる。最終的には抜歯を提案されたり、自分から望んだりして、抜歯したが全く改善しない、抜歯を提案されたことに怒りが湧き、抜歯を望んだことに後悔してしまう。
このような心理状況では冷静な判断は出来ず、痛みの感受性が高まり、不快感が増強されて、患者さんの行動を形成する神経心理学的変化が生じてしまいドクターショッピングを続けざるを得なくなってしまいます。
以前に治療により不安が高まることにより、自覚的な痛みが亢進してしまった例を紹介しています、インプラント上部構造操作時の痛みからうつ状態になってインプラント治療の継続が出来なくなってしまった例、医療ハイフによる筋・筋膜疼痛から歯痛が生じ、原因不明のまま歯科治療を受け不安感が増して痛みが続いている例、根管治療が奏功しないため再植、抜歯、他施設受診により不安が増して痛みが亢進してしまった例です。
その後も、同様に不安で痛み亢進の患者さんが多いです。根管治療を続けているが、詳しい丁寧な説明を聞く毎に悪い経過ばかり考えて不安が増して痛みも強まってしまう例。治療の際に、担当医が隣に座っている患者さんとトラブルになり、相当な言い合いをした後に自分のところに来た、患者さん本人も隣のトラブルを聞いてびっくり、不安感いっぱい、この先生こんなに怒るんだという驚きと共にこの先生怒ったままに自分の治療、その治療が非常に乱暴に感じられ、この治療でちゃんと治るのかという不安が生じて痛みが強くなってしまった。睡眠障害が生じて、1時間半毎に目が覚めてしまう状況が続いていると言う話でした。
痛み患者さんの解釈モデル、ホワイトボードにはいろいろなことが書かれていました。
このような状況ではどのような治療、対応が必要でしょうか、痛み診療は、痛み、機能障害、破局思考、不安、抑うつの改善を目的に、身体的治療枠組みだけではなく、精神、心理的治療枠組みで行われます。不安が高まっている患者さんには英語圏で良くでてくる単語がReassurance (reassureの意味は「安心させる」で、語源はre(もう一度)とassure(安心させる))です。単純には、繰り返し安心させることだと思います。これが不安が高まっている痛み患者さん治療の第一歩です。
 
2022年11月07日 11:39

共感が大事 共感は豊かな経験と教養から

世の中DX: Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)、特に医療ではAI(人工知能)を如何に活用するか、AI時代に生き残るにはどうすべきかなど話題が沢山です。
DXとは、日本語では「デジタル革新」や「デジタル変換」という意味の言葉です。DXは「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」ものだということです。今までの作業をデジタル化して効率化するという面とデジタル利用によって新たな局面が生まれるという2面があります。後者の新たな局面作りは大きな課題ですが、私にも何か出来ないかと何時も考えています。

口腔顔面痛におけるAI活用による効率化で思い浮かぶのは臨床診断推論です。その一部を医師のアバターが行い、「こんにちは、どうしましたか」から始まる医療面接をしてくれます。既往歴、治療経過など患者さんの思い出しながらの話しをAIが自動的に整理してカルテに記載。医師には言えないことでも、アバターには言えることもあるでしょう。医師はそれを見ながら、診察を進め、不足の部分を補う。その結果を入力するとAIが臨床診断推論を進めて鑑別診断や必要な確認事項、検査の候補を出してくれる。それらの結果を入力すると最終診断候補を明示してくれるでしょう。
このような進歩した時代でも求められるのは、医師の患者への共感です。
最近のAIと共感に関する研究を紹介します。
臨床的共感が患者の治療成績を向上させる3つの要素があります。
①正しい診断のための良好な病歴聴取において医師が共感を示した場合、患者は多くの情報を開示する、
②治療結果は治療に対する患者のアドヒアランス(治療を続けてくれる)にかかっており、患者が治療を継続するかどうかに影響する最大の要因は医師への信頼感である、
③共感的な文脈であれば、悪い知らせであっても患者はうまく対処できる、と言われています。
これらを踏まえると、臨床的な対話の場にAIを使用することは、苦痛を感じている患者にとって真の人間的な共感は得られ無い可能性が高く、非倫理的であるとも言えます。
他人同士は 「わかり合える」ことは無いが故に共感が必要であるが、それはAIには出来ないだけではなく、医療面接にマイナスに作用する可能性がある様です。
医療面接の際の医療者の傾聴、受容、共感が如何に重要かと言う事と、医療者が生き残って行くには幅広い豊かな教養、態度を身につけてAIを活用していく必要があるという事になります。
おそらく口腔顔面痛診療は今以上に必要性が高まってくるでしょう。AIなどの利活用が進んでも、「知と癒しの匠」が私の目標です。
  
 
共感について (既出)
参照:わかり合えないが共感できる、でもonlineでは出来ない  https://wajima-ofp.com/blog_articles/1653881240.html

  医療面接の際の医療者の態度の原則は傾聴、受容、共感です。この3つをまとめて「積極的傾聴」と言うようです。
•傾聴は、アメリカの心理学者でカウンセリングの大家であるカール・ロジャーズによって提唱された。
•傾聴を「積極的傾聴」と呼び、自らが行ったカウンセリングの事例を分析して、話を聴く側には3つの要素が必要であると説いている。
1.自己一致(Congruence):話を聴いて分からないことをそのままにせず聴き直す等、常に真摯な態度で真意を把握する (傾聴)
2.無条件の肯定的配慮(Unconditional positive regard):善悪や好き嫌いと  いった評価をせず、肯定的な関心を持ちながら話を聴く(受容)
3.共感的理解(Empathic understanding):相手の立場になって話を聴く(共感)
 
この共感について、
•人間関係 「わかり合える」 は誤解で、他人同士は 「わかり合える」 ことは無いそうです。
•わかり合えないことを前提とした上で、どのように患者と折り合いをつけるか。
•他者のことを完全に理解するのは不可能でも、人間の脳には元来、相手に共感しようとする機能が備わっている。
•ミラーニューロンとはその名(ミラー鏡)の通り、他者の行動を見て、自分が行動したかのように脳内で反応する神経細胞のことを言う。
•他人の心を推測する神経モジュールとしての機能がある 相手の行動を脳内で模倣することで、そのときに抱く感情を自分事として理解し、「相手がどう感じているか」を推測しようとする。簡単に言えば、過去の経験に基づき、自分の外の世界の仕組みを脳内でシミュレーションする神経機構のこと。
つまり、人との触れ合いとそれに伴う経験値、あるいは身につけた教養が豊かなほど、内部モデルのデータベースも豊富に蓄積されていく。それに伴い「心の理論」も成熟され、共感の幅が広がり、他者の感情を汲み取ることができる脳が育成されると言う事です。
これによって、患者さんと話していて、患者さんの体験、感情に共感(自分が行動したかのように脳内で反応する)するのだそうです。
 
2022年10月15日 09:11

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