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口腔顔面痛(原因不明の歯痛、顔の痛み、顎関節症)に慶應義塾大学での永年の経験と米国口腔顔面痛専門医資格を持つ和嶋浩一が対応します

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オンラインでも感覚検査が出来ます

オンラインでも感覚検査ができます
オンライン相談を受けていて、相談者の訴えの原因を直接探れないもどかしさから、オンラインでも実施可能ないくつかの診査法を考案して実施しています。もちろん、オンライン相談を申し込む方々は既にいろはいろな治療を受けたが改善していない事から心理的にも窮していることが多いので、傾聴、受容、共感の態度は必須です。
オンライン相談の経験から、実際の診療での診査と同等の診査を行えるのは感覚検査です。オンラインでの手順を説明します。
1)問診により、痛みの種類、痛み部位、経過等を聞きます。
神経障害性疼痛による痛みは、しびれやヒリヒリ、ピリピリ、うずき、灼熱感のように表現されることが多いです。また、三叉神経痛の場合にはビリッとかズキンとした発作性の電気ショック様の痛みを訴えます。
現症を聞くなかで最も重要な点は、痛みの範囲が三叉神経の痛みとして神経解剖学的に妥当であることで、三叉神経のどれかの枝に限局しているはずです。そして、その痛みの部位の神経を刺激するようなエピソードがあったはずです。例えば、抜歯、インプラント、切開、根管治療、歯根端切除術などの後に痛みが生じていることが多いです。
ここまで確認出来ると神経障害性疼痛の疑いが高まります。
2)次はいよいよ感覚検査です、   https://wajima-ofp.com/blog_articles/1755509833.html
前もって綿棒と爪楊枝、保冷剤で冷やした小さなスプーンを用意してもらいます。
麺棒で痛いところの歯として肉をさすってもらい、嫌な感じ、痛みがないかどうか、そして、対照として反対側の歯肉もさすってもらいます。どこかに嫌な感じ、痛いところがあったら、必ず左右を比べてもらいます、一回だけでは無く、何回か繰り返してもらいます。そして、さすった後に嫌な感じや痛みがあった部分になにか感覚が残らないかどうかの残感覚も確認します。次に爪楊枝でチクチク刺激してもらいます、他に比べて痛みが強いところがないかどうかを聞きます。何回か繰り返し、痛いところがあったら左右で比較します。触覚同様に残感覚も確認します。
歯肉の温冷感覚は鈍いのですぐには反応がでません、正常でも冷たさが感じられるまで10秒―20秒くらい掛かります。最初は痛みの無い側の歯肉に冷やしたスプーンをペタッと当ててもらいます。指で唇を引っ張って他に当たらないように気をつけて行ってもらいましょう。歯肉に冷たさが感じられたら何か合図してもらいましょう。何秒で冷たさが感じられたか確認しておきます。
もう一回保冷剤でスプーンを冷やして、麺棒で嫌な感じ、痛かった部位、そして、爪楊枝でチクチクが強かった部位にペタッと当てます。冷たさを感じるのに何秒かかりましたか、敏感ですぐに感じるか、鈍くなってなかなか感じないか、冷たさを感じないがじわーっと痛みが出ることもあります。痛みを感じたらすぐ離して、痛み感覚がどれくらい続くか観察してもらいましょう。
感覚検査は自分だけでも実施することが出来ます。特に害はありません。感覚検査で何らかの異常反応があった場合には神経障害性疼痛の可能性が高まります。ここまでの結果を元に専門医あるいは病院歯科等を受診するように勧めます。
 
2025年09月05日 18:48

顎関節症、口腔顔面痛の診査法ハイブリッドセミナー

顎関節症、口腔顔面痛の診査法ハイブリッドセミナー
先日、顎関節症、口腔顔面痛の本格的研修希望の方々に、対面で標準的診査法のHands onセミナーを行いました。Hands onとはまさに、手を使って研修する、手を取って教えるということです。各種のメディアが発達した現在にわざわざ対面で研修することもないだろうと考えられると思いますが、Hands onでしか伝えられない診査法があります。その代表が筋触診です。筋・筋膜性疼痛の元となる筋肉中の索状硬結とトリガーポイントを触診して見つけ出し、圧迫する事により関連痛を誘発することができる様になる事が目標です。
今回の診査法実習セミナーには、3つのねらいがあります。1)私が日常の診療で行っている診査法を解説しながらそのまま実施し、それを間近で見学して手順を理解してもらうこと。2)受講者の全員に患者役になってもらい、診査を受ける側から診査法を確認すること。3)診査を間近で見学し、自分が被験者になり診査を受けた後に、受講者同士で相互診査を行う、相互実習では和嶋と同じ診査が出来る様に被験者から診査部位、強さなどのフィードバックを受けながら、診査技術を高めること。
セミナー全体は反転授業形式で、事前に各診査の意義等をオンラインで説明して理解してもらった上で、対面で実技習得してもらう形式です。オンライン講義の後の対面Hands-on実技指導のハイブリッド型学習方式でもあります。
受講者の反応から、この方式が顎関節症、口腔顔面痛の診査法学習の有効な方法であるいう印象があり、今後も継続して行く予定です。
 
2025年09月03日 14:23

口腔顔面痛オンライン相談での自己筋痛診査

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口腔顔面痛オンライン相談での自己筋痛診査
口腔顔面痛診療は日本全国何処でも受けられるわけではないことから、数年前から口腔顔面痛のオンライン相談を受けています。診療ではなく相談としているのは、一度も対面診療せずにオンラインだけでは正しい診断、治療に制限があるからです。
オンラインでも神経障害性疼痛診査の為の感覚検査は通常の対面診査と同等に行えることを前述しました。https://wajima-ofp.com/blog_articles/1755509833.html
口腔顔面痛で最も一般的な筋・筋膜性疼痛診断のための筋圧痛診査は難しいです。オンラインでの有効な自己診査法を考えてみました。
  1. とりあえず、貴方の痛みのある側で頬杖をついてもらいます、その格好は手のひらに顎の先が上手く収まって頭の重さが支えられ、親指が顎の下、揃えた指4本で顎を包み、人差し指と中指が耳の付け根に当たっています。
  2. そのままの格好で、何回かかみしめてもらいます、揃えた指の中頃で波打つように咬筋が収縮します。その波打つ部分に指先を移動します、そして、また、何回かかみしめてもらい、指先でしっかり筋の波の頂点を確認しましょう。
  3. 指先を波の頂点に置いたまま、かみしめをやめて力を抜いてもらいます。筋肉の盛り上がりは消えましたが、指先でしっかり触ると少し硬い部分が残っています。指先に力をこめたままで、少しだけ、ゆっくり顔、頭全体を揺らしてみましょう。きっと、指先に触れる硬いコリコリした部分が行ったり来たり、場合によっては強い痛みを感じることもあるでしょう、痛みが強かったら圧す力を少し弛めましょう。少し痛みを感じる程度に圧したままで、数秒顎を揺らし続けてください、上手く顎を揺らすことが出来なかったら指先でコリコリをゴリゴリしてみましょう。どこか他のところに痛みが広がりませんかと関連痛を確認します。
筋・筋膜性歯痛の場合にはこのように筋肉のコリコリを圧していると何時もの歯痛が再現されます。
  1. 次に、反対側で頬杖ついてもらい、手のひらに顎の先が上手く収まって頭の重さが支えられ、親指が顎の下、揃えた指4本で顎を包み、人差し指と中指が耳の付け根に当たっていることを確認しましょう。
  2. 痛みのある側と同様に、かみしめてコリコリを確認し、コリコリに指先を移動して、少し痛みを感じる程度に圧したままで、数秒顎を揺らし続けてください、上手く顎を揺らすことが出来なかったら指先でコリコリをゴリゴリしてみましょう。どこか他のところに痛みが広がりませんかと関連痛を確認します。
オンライン相談の際にもなるべく自分の通常の対面での診療と同じ事をしようと思っています。オンラインでは相手の表情を観ながらの会話で医療面接は通常通りできます。痛みの構造化問診を順に行い、痛みの経過、現在の痛みの状況がある程度把握できます。口腔顔面痛の疫学的疾患頻度と長年の診療経験からいくつかの代表的な痛み疾患が浮いてきます。多いのは筋・筋膜性疼痛と神経障害性疼痛です。
この二つの疾患をオンラインで何とか可能性の有無を詰めようとおもって、試行錯誤しながらオンライン自己診査法を検討しています。
 
2025年08月19日 15:42

オンライン感覚検査 続編 舌診査

オンライン感覚検査 続編 舌診査 オンライン神経障害性疼痛診査 https://wajima-ofp.com/blog_articles/1755509833.html
前編ではオンラインによる歯肉の神経障害性疼痛診査の為の感覚検査について書きました。症例によっては舌に痛みを訴えることもありますので舌の感覚検査を解説します。舌は一体ですが、神経支配は完全に左右に分かれていますので、左右側の比較が出来ると言うことです。舌の神経支配は左右に分かれていることと、触覚、痛覚、温冷感覚は前2/3は三叉神経の舌神経支配であり、後1/3は舌咽神経支配です。
味覚は前2/3は顔面神経の鼓索神経支配であり、後1/3は舌咽神経支配です。
  • 舌の触覚検査 スプーンで舌背の片側をこすってもらいます。主訴の部位を意識せず、変な感じ、嫌な感じ、痛いはないか、数回こすってもらいます。次に反対側も同様に数回こすってもらいます。どちらかに反対側とは異なる感じが無いかどうか、何らかの違いが認められた場合には、繰り返し念入りにさすっても賴、反対側と比較してもらいます。念のために少し時間をおいて、もう一度調べてもらいます。繰り返しの診査で主訴の側に何らか一定の感覚障害が認められたら、神経障害性疼痛の可能性ありです。診査した後に何らかの感覚が残っていないかどうかも聞きます。スプーンだと端があたって痛いと言う場合には綿棒で少し強めにさすってもらいます。
  • 次に、痛覚検査として爪楊枝で舌背をチクチクしてもらいます。最初に舌背の健常側をチクチクして、痛みの感じを覚えてもらいます、次に主訴側の舌背をチクチクして、反対側のチクチクの痛みと同じか、強くないかどうか聞きます。順番を変えて、患側を先にチクチクして、次に健常側をチクチクして、左右の比較をしてもらいます。また、チクチクの感覚が残らないかどうかも聞きます。念のために、少し時間をおいた後にもう一度診査を行ってもらいます。
  • 追加の検査として、保冷剤で冷やしておいたスプーンを用いて、冷感覚テストを行います。舌の診査は口唇、頬粘膜に触れないで出来るのでスプーンを用います。水を含ませた綿棒を保冷剤で冷やして用いても良いです。
最初に、触覚、痛覚テストで異常が認められた反対側舌背に冷やしたスプーンをペタッと当てます。舌は敏感なのですぐに冷たさを感じます。感じたらそのまましばらく当てたままにして痛みが誘発されないかどうか聞きます。次に異常が認められた側の舌背に冷たいスプーンをペタッと当てます。感じるまでの時間にはほとんど差がないと思います。そのまま当てたままにして、痛みが誘発されないかどうか聞きます。また、冷たさの程度を聞き、反対側と比べます。異常側では冷たいスプーンを当てた瞬間に強い冷たさを感じ、当てているとじわーっと痛さが出てきたと訴えることがあります。
ここまでのオンラインでの相談者自身での感覚検査もどきで、実際の診療とほぼ同じ感覚テストが出来ます。この結果はある程度信頼でき、異常が片側に一定して認められた場合には舌の神経障害性疼痛の疑いが高まります。
舌は通常感覚の他に味覚もあります、ベル顔面神経麻痺、帯状疱疹によるラムゼーハント症候群、そしてその後遺症の帯状疱疹後神経痛では舌に味覚障害も認められることがあるので、味覚検査も行います。
  • 味覚検査 事前に味の検査をすること、何か味を感じたら手を挙げてくださいと伝えておきます。水を含ませた綿棒にお塩を少し付けて、それを用いて半側の舌背をスリスリさすります、味を感じたら手を挙げてもらいます、次に反対側を同様に検査します。全く感じないことはなく、いくらか感じるが片方ははっきり感じて、反対側は弱いという反応になることが多いです。うがいしてもらい、順番を変えてもう一度行います。左右差が曖昧な場合にはお酢でもう一度検査してもらいます。  同様の検査を舌後1/3でもやってもらいます。嘔吐反射が出ることがあるので、余り奥までは入れないようにしてもらいます。
味覚検査で味覚低下が診られた場合には顔面神経麻痺が疑われ、ベル麻痺やラムゼーハント症候群、あるいは他の痛み症状と合わせて、後遺症の帯状疱疹後神経痛が疑われます。
希に、味覚が鈍麻ではなく塩味が強く感じられることがあります。これはスーパーテーストと言われ、同側の三叉神経障害による顔面神経の味覚の抑制のバランスが崩れている結果と判断され、多くは舌痛を伴っているためめにurning Mouth Syndromeの治療が必要となります。
前編で解説した歯肉の神経障害性疼痛診査と同様に舌の神経障害性疼痛、味覚検査をくわえた診査ではベル麻痺、ラムゼーハント症候群、あるいは他の痛み症状と合わせて、後遺症の帯状疱疹後神経痛のオンライン診査ができる可能性があります。
 
2025年08月18日 22:04

オンラインで神経障害性疼痛の診査の試み

口腔顔面痛オンライン相談の現状 患者さんの状況をどの程度収集できるか
口腔顔面痛診療は日本全国何処でも受けられるわけではなく、専門医の診療をうけられるのは主に歯学部病院のある地域に限られています。
そこで、数年前から口腔顔面痛のオンライン相談を受けています。診療ではなく相談としているのは、一度も対面診療せずにオンラインだけでは正しい診断、治療に制限があるからです。それではオンラインでどんな事をしているのか。なるべく自分の通常の対面での診療と同じ事をしようと思っています。オンラインでは相手の表情を観ながらの会話で医療面接は通常通りできます。痛みの構造化問診を順に行い、痛みの経過、現在の痛みの状況がある程度把握できます。口腔顔面痛の臨床診断推論の始まりは、歯原性疼痛の除外診断です。これはオンライン相談以前に数軒の歯科医院、病院歯科などを受診していて歯科的な診査を受けていて異常がないとのお墨付きです。たまには、見逃されていることもありますが、歯原性疼痛はいずれ顕在化して、診断されます。
医療面接を進めていくと、口腔顔面痛の疫学的疾患頻度と長年の診療経験からいくつかの代表的な痛み疾患が浮いてきます。多いのは筋・筋膜性疼痛と神経障害性疼痛です。ところがここで制限があって先に進めません、筋・筋膜性疼痛診断のための筋圧痛が出来ません、神経障害性疼痛診断のための感覚検査が出来ません。何かの代替え法で乗り越えられないか、いろいろ考えてみました。

比較的簡単にクリア出来そうなのは神経障害性疼痛診断のための感覚検査です。オンライン相談受付の際に感覚検査のために、綿棒、爪楊枝、小さなスプーン、保冷剤、お塩を用意してもらいます。
オンラインでの感覚検査 スマホで相談者は自分の口腔内を観ながら進めます。
  1. 触覚検査として、小さなスプーンで上下顎左右の頬側歯肉をゆっくり、なでてもらいます。同じ場所を数回なでるようにスリスリしてもらいます。最初は主訴の部位を意識せず、右大臼歯部から前歯部、左側大臼歯部と進み、次に逆回りします。どこか、変な感じ、嫌な感じ、痛いところはないか、何らかの違いが認められた部位は繰り返し念入りになでてもらい、反対側、前後と比較してもらいます。念のために対顎を調べた後に、もう一度調べてもらいます。繰り返しの診査で主訴の部位に何らか一定の感覚障害が認められたら、神経障害性疼痛の可能性ありです。診査した後に何らかの感覚が残っていないかどうかも聞きます。スプーンだと周囲に当たって、何処でも痛いと言う場合には綿棒で少し強めになでてもらいます。
  2. 次に、痛覚検査として爪楊枝で上下顎左右の頬側歯肉をチクチクしてもらいます。どこか、特に痛いところがないか、最初に健常部をチクチクして、次に主訴の部位を調べて、痛みは同じか強くないかどうかを調べてもらいます。他の部位よりも痛みが強い部位が認められたら、左右の比較、前後の比較を行い、対顎を調べて、少し時間をおいた後にもう一度診査を行ってもらいます。診査した後に刺激感覚が残らないかどうかも聞きます。
  3.  神経障害性疼痛の多くの場合、触覚異常が認められた部位に痛覚異常も認められ、刺激後の残感覚も認められます。
  4. 追加の検査として、保冷剤で冷やしておいた水を含ませた綿棒を用いて、冷感覚テストを行います。この場合、口唇、頬粘膜に触れないようにしてください、スプーンは全部冷えて何処が当たって冷たい感覚か判らなくなるので用いません。最初に、触覚、痛覚テストで異常が認められた部位の反対側頬側歯肉に冷やした綿棒をペタッと当てます。何秒で冷たさを感じるか、正常でも数秒から秒と幅があります。感じたらそのまましばらく当てたままにして痛みが誘発されないかどうか聞きます。次に異常が認められた部位にもう本の冷たい綿棒を当てます、何秒で感じるか、そのまま当てて痛みが誘発されないかどうかを聞きます。場合によっては異常部位では冷たい綿棒を当てた瞬間に冷たさを感じ、当てているとじわーっと痛さが出てきたと訴えることがあります。
    味覚検査を含めた舌の感覚検査:
     https://wajima-ofp.com/blog_articles/1755522283.html
ここまでのオンライン相談での医療医面接、相談者自身でも感覚検査もどきで神経障害性疼痛の診査が行うことが出来ます。
 
2025年08月18日 18:37

私の口腔顔面痛診療の現状と展望

私の現状と今後の展望
以前、クリニックでの口腔顔面痛診療は75歳を一区切りと書いたことがあります。現在(2025/08)、73歳、11月には74歳です、何を根拠に75歳と書いたのは定かではありませんが、後期高齢者が知力、体力を保って第一線で仕事出来るかという不安があったからだと思います。自分の診療が患者さんのためにならないならば、すぐに止めるべきと思っています。
コロナ前にAAOPで私よりも15歳年上のUCLAのRobert Merill先生に会ったときに、口腔顔面痛は臨床例の蓄積が大事で、それも何時でも引き出せるように整理して置かなければならないと言われました。大学止めてからが本番だよ、私の域に達するには15年必要だね、頑張れと言われました。残念ながらMerill先生はコロナの間に逝かれてしまいました、残念です。
知り合いが、臨床医の賞味期限は何時かという文を書いていて、それに寄ると診療、特に診断で感が働かなくなった時と言っていました。私は自分の診療において必要があって臨床診断推論を勉強して、自分の診療に取り入れています。若い頃は多くの症例を経験して、それを仮説演繹法で診断する。思いつく病気に加えて、keyになる症状、現症からPC検索して、知らなかった病気も含めて仮説を立てて、その真偽を診査、検査で確認する、最後に残った仮説が最終診断となる。このような論理的思考過程を繰り返す事により、一つ一つの症例が自分の臨床診断推論の良きデータとして蓄積されて行く、次に同じ様な症例に遭遇したときには診ただけで診断出来るということとなる、これが仮説演繹法の対極にあるパターン認識法である。今の私の診療における診断法に戻ると、ほとんどがパターン認識法で診断出来ています、時々、経過が長く、症状が重複しているなど複雑な症例では指導医の様に仮説演繹法が登場してきます。そこでは今まで経験した症例を総動員して可能性のある仮説を立てて、臨床診断推論を勧めていきます。良いエサを食べた鯛は美味いというのと同じでしょう。
このようにこの症例はパターン認識法で正しく診断出来るか、仮説演繹法に登場願うかの判断が出来るのが前述の「臨床医の賞味期限―診療、特に診断で感が働く」ということなのだと思います。
この基準によると私の診療期限はもう少し伸びそうです。
 
2025年08月18日 11:21

口腔顔面痛はまだ歯科で広まっていない

口腔顔面痛診療は日本全国何処でも受けられるわけではなく、専門医の診療をうけられるのは主に歯学部病院のある地域に限られています。
地域の何軒かの歯科を受診したが原因不明と言われた、治療を受けたが改善しない、あるいは、大学に行き、ペインクリニックに依頼されたが改善しないといった憂う状況にあることを聞きます。このような状況は日本に限ったことではなく世界中にみられるようです。正式に口腔顔面痛専門医が承認されている米国においても、ニューヨーク州、カリフォルニア州には多数の専門医がいるが、一人も専門医の居ない州があります。
イタリアから興味深い論文が出ています。「歯科医師は外傷後有痛性三叉神経ニューロパチーを認識しているか?ウェブベースの疫学調査」という論文です。外傷後有痛性三叉神経ニューロパチーとはどんなことか、外傷とはここでは抜髄、抜歯、切開などの歯科処置を指しています。有痛性三叉神経ニューロパチーとは三叉神経の神経障害性疼痛を指しています。従って、何らかの歯科処置によって神経が傷害されて術後に痛みが続いている状況ということになります。
この論文の要点をまとめます。
  1. 歯科医師の30%は外傷後有痛性三叉神経ニューロパチーという用語を知らなかった。
  2. 歯科医師の70%は、臨床において、このような痛みを疑う患者を診たことがあった。その内訳は、根管治療後(60%)、抜歯後(43%)、原因不明(37%)、その他の歯科治療後(21%)であった。
  3. 外傷後有痛性三叉神経ニューロパチーを疑った3分の1の患者だけ専門医に紹介された。
  4. 結局、ほとんどの患者は疼痛に対して、抜髄、抜歯、切開などの誤った、無意味な、不可逆的な治療を受けていた。
     結論として、不適切な診断と治療の遅れが慢性痛を生ずる可能性があります。さらに、広い知識の不足は、医療制度と患者の双方に、障害による大きな社会経済的損失をもたらしました。
これはイタリアの状況ですが、我が国と大差ないと思います。
 
2025年08月02日 21:47

顎関節症、口腔顔面痛における基本診査の重要性

診査の重要性
日本の口腔顔面痛臨床で一番気になっている事は基本的診査法が普及していないことです。
当クリニックでは初診の患者さんに、顎関節症の顎関節診査、神経障害性疼痛の感覚検査、筋・筋膜性疼痛の筋触診、そして、12脳神経診査と診査を進めていきます。これらの診査で何らかの異常が認められ、それを元に臨床診断推論を駆使して診断し治療法を決めて患者さんに説明します。
最初に患者さんが言うことは、「このような診査を受けたのは初めてだ」。
当クリニックを受診する患者さんのほとんどの患者さんは既に複数の歯科医院、病院、大学等で診査、治療を受けています。既に何らかの診断の元に治療を受けている患者さん達です。どのような診査をし、どのような根拠を元に診断し、治療法を決定しているのか、これが私の一番の憤りです。
このような現状が気になり、口腔顔面痛を基本的に研修する機会の無かった方々を対象に、診査法の実技指導を目的としたセミナーを実施中です。基本的知識、手技の説明は前もって数回のオンラインで説明し、対面ではHandsonで診査法の指導を行います。
診査法指導で一番難しいのは筋・筋膜性疼痛の元である、索状硬結、トリガーポイントの触診法です。これに関しては複数回のHandson指導が必要だと思っています。
基本的診査無しに、病気の診断は出来ません。頭でっかちの治療では患者さんは治りません。
 
2025年08月02日 10:49

感覚は双方向という話し、痛みは感覚か解釈か、と言う話

感覚は双方向という話しと痛みは感覚か解釈か、と言う話
以前、加藤総夫先生の講演で視覚、聴覚は双方向だという話しとデモを見せてもらったことがあります。漠然と見えているモノと意図的に見ようとした時、探そうとしたときの異なって見える、同様に聞こえている音を意図的に聞こうとしたときに聞こえる音が違って聞こえると言う話しだったと思います。味覚も同様だと思います、何気なく食べている料理のなかで、この味は?と意識するといろいろな味がはっきり感じられます。その結果、美味しく感じるかどうかは保証しませんが。
普段、舌が特別の敏感だとは感じられませんが、触覚、痛覚、冷温覚とも非常に敏感な組織です。歯の鋭縁や凹凸、咬頭の凸凹、充填物の段差など、また、口蓋皺襞の凸凹、舌乳頭のザラザラなど、それまで何も気にならなかったモノが、いったん気になり出すと、如何にも探しているように全て異常と感じてしまいます。
感覚が双方向と言っても、感覚を伝える神経線維を伝わる信号は全て末梢から中枢に向かい、信号が逆行して探す訳ではありません。中枢に向かう信号の中から目的とする信号を脳が選別し、拡大して捉えることにより脳から末梢の感覚器に探しに行っているように感じられるのだと思います。要するに、求心性に脳に伝わった感覚を脳が解釈しているとも言えます。
我々は診査で口腔内を診るときに、見慣れた口腔内で間違い探しのように、異常な所見がないかどうかを探します。異常所見には違和感で判別できます。
患者さんが何らかのきっかけで口腔内を見ると、見慣れないモノがいっぱいあります。よくある例が口蓋隆起です、ある日突然、上顎がヒリヒリ、よく観たら大きな出っ張りがある、気になってしまいどうしようも無い。昨日までは何もなく突然に出来た(本当は偶然見つけた)ので、きっとアゴのガンに違いないと訴えます。確かに大きな口蓋隆起で、よく今日まで気にならずに過ごしてきたモノだと思える位の大きさです。ところが、全く気にならずに今日まで過ごしてきたのです。このように大きな凸凹があっても、舌にとっては慣れ親しんだ凹凸だったのですが、いったん気になると、歯が出っ張っている、かみ合わせが悪いからだと異常として捉えてしまいます。
同様にいっぱい毛が生えている、それが一様ではない。これはガンではないか、そう思ったら舌に痛みも感じると受診する人もいます。舌に毛が無かったら、まるで因幡の白ウサギのように、しみて、しみて大変ですよ、舌を守るために毛が生えているのですよと正常な舌の写真(本当は私の舌をべーっと見せたいが)を見せて説明したら、納得できて帰りには痛みも消えていました。
痛みは本来、身体を傷害から守るための警告信号で、生きるために必要な事です。急性の痛みのほとんどは原因を取り除けば痛みが消えます。問題は慢性化した痛みです、慢性化した痛みは痛みの原因とは離れたところで続いています、まるで、ハシゴを外されたよう。その理由の一つが、長い間、痛みが続くと痛み神経系が刺激されて過敏な状態になってしまい、原因が無くなっても過敏な状態は続きます。そして、気になって何時も痛みを探しています。このような状況の慢性痛の患者さんへの説明によく使うフレーズを紹介します。試験勉強の為に毎日復習していると試験で満点、ところが、復習しないと良い点数がとれない、試験のためには復習が効果的だが、気にして痛みを探し続けると記憶を呼び戻すことになり最悪です。それではどうすれば良いか、気にしないようにしても気になってしまいます、止めることは出来ないのです。意識を他に向けることです、痛みの復習では無く、他の楽しいことを考える、痛いところを使った動作をする、これにより意識が他に向いて、痛みが感じなくなります。これがマインドフルネスです。
 
2025年04月24日 14:24

案内:顎関節症/口腔顔面痛診査法実技指導セミナー

案内:顎関節症/口腔顔面痛を正しく診断するための診査法実技指導セミナー
目的:顎関節症/口腔顔面痛の診断に必要な診査法を実技指導する。
本セミナー開催に当たっての和嶋の考えを記事にしてある。 https://wajima-ofp.com/blog_articles/1743771572.html
構成:1)オンラインでの診査実技の解説(Googlemeet)
2)対面での、少人数、診査法実技指導(会場:元赤坂デンタルクリニック)
3)クリニックでの診療見学(東京、元赤坂デンタルクリニック、札幌、風の杜歯科)
診査法実技指導項目:1)顎関節痛の診査、2)筋・筋膜性疼痛の診査、3)口腔内、顔面の感覚検査、4)12脳神経検査
セミナー開始予定日:2025年5月12日on-line
募集人数:五名限定
受講者に求める事:顎関節症/口腔顔面痛の診査技術の指導であるため、ある程度の基本的知識を持っていること、口腔顔面痛の臨床経験は問わない。
受講料:七万円(申し込み者に振込先を連絡)
応募締め切り:4月25日
応募方法:メール申しこみ、記載事項(氏名、所属、年齢、出身大学、メールアドレス)
申し込み先メールアドレス:wajima.ofp@gmail.com
セミナー予定日時(on-lineは原則第2月曜日20時始まり2時間、対面は10時-16時、診療見学10時-17時適宜)、形式:1)5月12日月曜日:on-line、2)6月9日月曜日:on-line、3)7月14日月曜日:on-line、4)8月31日日曜日:対面、5)9月8日月曜日:on-line、6)日程応相談:診療見学
その他の受講希望者への要望:1)現在、月例で行われている3つの口腔顔面痛関連オンラインセミナー(村岡先生主催慶應OFPオープンセミナー、坂本先生主催OFP-webセミナー、和嶋主催口腔顔面痛オンラインセミナー)を受講することを勧める。 2)本セミナー受講後に日本口腔顔面痛学会主催の口腔顔面痛臨床推論実習セミナーの受講を勧める。
セミナー内容等、受講に当たっての質問は wajima.ofp@gmail.com宛てに送ってください。
 
2025年04月06日 14:26

【English available】

【電話番号】
03-3478-5248

【住所】
〒107-0051
東京都港区元赤坂1-1-7
赤坂モートサイド505

【診療時間】
10:00~13:30
14:30-18:00

【診療日】
火曜日、金曜日、第3土曜午前
※第2火曜は休診し水曜に診療

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