動機づけ面接創始者による腕利き心理療法士のスキル
昨日3月24日月曜日に、動機づけ面接の創始者であるMiller博士の講演会に行ってきました。経歴に70年間の心理療法研究と書かれていますから90歳を超えていると思われます。年齢からか、経験深い心理療法士だからか、穏やかな説得力のある話し方でした。事前公開の【講演概要】
どのような治療法が提供されても、クライアント(患者)の結果は、それを提供するセラピスト(治療者)によって大きく異なります。セラピスト(治療者)が全員同じ治療マニュアルに従っていても、セラピスト(治療者)毎に治療効果が異なります。それはなぜか、70年間の心理療法研究に基づいて、ミラー教授はクライアントがより良い治療結果が生ずるセラピスト(治療者)の8つの特徴を説明します。これらは性格特性ではなく、専門家育成の専門的なトレーニングに含めるべき、学習可能な臨床スキルです。
講演で述べられたこと
動機づけ面接の創始者の話であったが、動機づけ面接の話しは無かった、効果が高い治療者に備わった8つのスキルについての解説であった。
どの精神療法が他よりもすぐれているといえるか、それは言えない。精神療法の違いにより治療効果に差が出ない、これは、治療者毎に治療効果に差が出るが、平均するとどれも変わらなくなる。しかし、どの治療法も治療者毎に治療効果に差があるのは明らかで、適切なセルフケアの解説本を渡して実施してもらった場合よりも治療効果が低い場合、あるいは治療にも関わらず悪化する場合もある。差が出る理由は各治療者の8つのスキルの善し悪しによる。
講演で述べられていた8つのスキルを効果順に並べる、
1,正確な共感 2,肯定的な関心を向ける 3,真正性/自己一致(患者体験と治療者の体験) 4,受容 5,治療目標を定める、フォーカスする 6,希望を持ち、持たせる 7、解決志向を呼び起こす、 8,情報提供、助言をする
単純には傾聴、受容、共感を如何にレベル高く行うかという事だと思います。基本的な事ながら傾聴、受容、共感がうまく出来なければ、どんな精神療法を行っても治療効果はあがらないということ
8つのスキルの多くは動機づけ面接の基本技法と重複していて、動機づけ面接は行動変容をはじめ、心身医学的対応の基本として利用価値が高いという話しであった。
動機づけ面接学会での招聘講演で来日され記念として下記の本が出帆されます。この本に講演内容が詳記されているそうです。
腕利きの心理療法家 クライエントのアウトカムを改善する効果的な臨床スキル 単行本(ソフトカバー) – 2025/3/27発売予定 ウイリアム・R・ミラー (著), テレサ・B・モイヤーズ (著), 原井 宏明 (翻訳), & 1 その他
本書の宣伝文句
腕利きの心理療法家を、本書では「効果的なセラピスト」と呼ぶ。治療効果をもたらすことのできる心理療法家とはどのような人なのか。どんな特性や技能を備えていて、どのようなカウンセリングや心理療法をしているのか。患者・クライエントとの対話が単なるおしゃべりになってしまったり、行き詰まったりしていたら、そこから脱するために必要不可欠な要素を本書の中から見つけることができるだろう。「援助関係」「治療スキル」「学習、研修、臨床科学」の三部構成で、特にさまざまな治療スキルについて重点的に解説。本書で学んで実践し、効果的なセラピストを目指そう!
2025年03月25日 19:23