▲トップへ

タイトルサンプル

口腔顔面痛(原因不明の歯痛、顔の痛み、顎関節症)に慶應義塾大学での永年の経験と米国口腔顔面痛専門医資格を持つ和嶋浩一が対応します

HOME ≫ ブログページ ≫

ブログページ

口腔顔面痛、非歯原性歯痛の臨床

口腔顔面痛、非歯原性歯痛の臨床で思うこと
 
口腔顔面痛とは、非歯原性歯痛に代表されるように歯が原因の痛みではない、他の病気による歯、口腔、顔面領域の痛み全般の事です。
簡単に言うと齲歯、歯髄炎、歯周炎などの従来から歯科で扱ってきた歯が原因の痛みではなく、全く異なる病気です。例えば、肩こりがひどくなると頭が痛くなる、歯が痛くなると言う人がいます。最も多いのは頬の部分にある咬筋という咬むための筋肉に凝りができることにより、歯には何も問題はないが、歯に痛みが感じられます。何故このような離れた部位の、歯とは直接関係の無い原因によって歯が痛くなるのか、その答えは歯が原因の痛みも、筋肉の痛みも、痛みの元となる痛み信号は神経を通って全て脳に達して痛みと感じられるからです。痛み神経の末端が刺激される事によって痛み信号が生じ、脳に至って痛みと感じられるまでには、三本の神経を乗り継ぎ、二つのつなぎ目を介します。その間に神経同士がまるでショートしたかのように電気信号を交換したり、神経が合流したり、また、電気信号の強度が弱められたり、強められたりして、最初に末端で生じた痛み信号と同じ強度で脳が痛みを感じるわけではありません、また、ショート、合流することにより発生元が異なる電気信号が届いてしまうこともあります。別な部位からのいたみということで異所性疼痛とか関連痛という用語を使います。
口腔顔面痛の臨床においては常に神経系がどのようにしてこの痛みを生じさせ、脳がどのようにしてこの痛みを感じているのかを推定して、診察し、正しく診断することに努めています。ところが、痛い歯の神経を抜けば痛みが止まるとか、止まらなかったら歯を抜けば良いじゃないかと短絡的に考えて、どうしてもこの歯の神経抜いてほしい、歯を抜いてほしいを訴える患者さんもいます。その歯に原因があるなら、一般歯科で簡単に診断が出来て、とっくに処置が済んでいるはずです。痛い歯に何もないので、今までの先生方は歯に触らず、今に至っているのですと説明します。
口腔顔面痛は比較的新しい学問、診療領域です。専門的な研究会が出来たのが2000年ですから、新しいと言っても四半世紀経過しました。その間に非歯原性歯痛は歯科医師国家試験の出題範囲に含まれ、口腔顔面痛とともに歯学部学生には必須の知識となっています
口腔顔面痛診療では、まず正しく診断することが求められます、冒頭に書いたように歯の病気で起こるのではないので、従来の歯学部教育にプラスされた知識が必要です。
具体的にどのような知識が必要かの疑問には、非歯原性歯痛の8つの原因疾患を解説することが答えになります。
1.筋・筋膜痛による歯痛、2. 神経障害性疼痛による歯痛、3. 神経血管性頭痛による歯痛(片頭痛、群発頭痛など)4. 上顎洞疾患による歯痛、5. 心臓疾患による歯痛(狭心症など)、6. 精神疾患または心理社会的要因による歯痛、7. 特発性歯痛(原因不明のもの)、8. その他の様々な疾患による歯痛(耳・鼻・目の疾患、顎の腫瘍、自己免疫疾患など、様々な病気が歯の痛みとして現れることもあります)
次号では代表的な筋・筋膜疼痛、神経障害性疼痛を説明します。
 
2025年12月29日 21:45

唐辛子、ミントと口腔顔面痛

唐辛子は食生活で欠かせない調味料の一つです。子供の頃は何であんな辛いものを美味しい料理にわざわざ掛けてまずくしているんだと思った記憶があります。でも、大人になって気がついたときにはそばには欠かせなくなり、キムチの辛いものも美味しく食べています。
ところが唐辛子は味物質ではなく、痛み刺激の一つなのです。唐辛子は痛み神経の末端にあるTRPV1という43度以上の熱さを痛いと感じる熱感受受容体の一つで、辛いと同時に熱いと感じます。ミントは26度以下の冷たさを痛いと感じる受容体TRPM8を刺激し、痛さは強く感じませんがスースーを感じます。このような一連の熱感受受容体の発見は2021年ノーベル医学賞の受賞対象でした。  北海道の北見市に行ったときに薄荷記念館を見学しました。ハッカの元は「薄荷」という中国語でした。
日常生活で、唐辛子、タバスコですごく辛いと感じたときに水を含むと辛さが和らぎます、氷を含めばもっと効果的です。これは何故かと考えたことありませんか。これは科学的に説明が出来るし、神経障害性疼痛の治療に応用されています。
科学的な根拠が3つあります、1)舌の感覚は口の中で特別敏感です、触覚、痛覚、冷温覚の統べてて歯肉に比べて遥かに敏感です。唐辛子、ミントに対しても非常に敏感です。従って辛くて熱く感じるのは舌です。
2)熱いを感じるTRPV1と冷たさを感じるTRPM8は相互に抑制しあいます。唐辛子でTRPV1の刺激の後でも前でも、ミントや冷たい水を含むと辛さを感じなくなります。TRPM8が冷たさ、ミントで刺激された結果、TRPV1の活動性が抑制されて辛さを感じなくなると言うことです。その反対もありますが、冷たさを和らげるために辛いものを含むのはナンセンスですから誰もやりません。
3)TRPV1、TRPM8とも繰り返し刺激をすると反応しなくなります。これは神経細胞が過剰に興奮することにブレーキを掛ける役目が働くためです。従って、辛いものを食べていると最初は辛い熱いと感じても、食べているうちに余り辛さを感じなくなると言うことです。
このような熱感受性受容体の特徴を舌痛症、神経障害性疼痛の治療に応用しています。
舌痛症の患者さんの舌では、元々敏感な舌が様々な外的刺激を受けて障害され熱感受受容体(TRPV1)やその他の過剰発現が明らかにされていて、ヒリヒリ感を生じていると考えられています。
舌痛症の患者さんで熱感覚過敏や冷感覚過敏のある人には、まずミントの希釈液でうがいとしてもらいます。最初に冷感覚が強く出ても5分もしないうちに感じなくなります。このような反応のある人には濃度を少しずつ高めて、頻回にうがいしてもらいます。続けることにより舌痛症の灼熱感が改善する人がいます。
ミントの効果が弱いか、全然反応が無い場合にはタバスコを希釈してうがいしてもらいます。ミントと同様に最初に灼熱感が強く出ても5分もしないうちに感じなくなります。反応のある人は強く辛さと熱さを感じますので、耐えられない場合にはもっと薄めて用います。このような反応のある人には耐えられる程度で濃度を少しずつ高めて、頻回にうがいしてもらいます。続けることにより舌痛症の灼熱感が改善する人がいます。
ミントによる効果は、2)のメカニズムです。冷たさを感じるTRPM8によって過剰発現した熱いを感じるTRPV1が抑制された結果と考えられます。
タバスコによる効果は3)のメカニズムです。TRPV1、TRPM8とも繰り返し刺激をすると過剰に興奮することにブレーキがかかり、強発現しているTRPV1が機能しなくなる結果と考えられます。
 

関連した症例を提示してあります。




 
2025年11月17日 15:51

米国、妊娠中のアセトアミノフェン服用で混乱

2025年9月22日、米国食品医薬品局(FDA)はトランプ大統領の意を受けてアセトアミノフェンに関する即時情報を出しました。
「アセトアミノフェン(タイレノール、カロナールおよび類似製品)の表示変更手続きを開始しました。これは、妊婦によるアセトアミノフェンの使用が、小児の自閉症やADHDなどの神経疾患のリスク増加に関連する可能性を示唆するエビデンスを反映させるためです。FDAはまた、全国の医師に警告を発する関連文書も発行しました。」
一部の研究では、妊娠期間から出産までアセトアミノフェンを継続的に服用した場合にリスクが最も顕著になる可能性が報告されている。
アセトアミノフェンと神経疾患との関連性は多くの研究で報告されているが、因果関係は確立されておらず、科学文献には相反する研究も存在する。
しかし、即時情報にはこのような矛盾することも書かれています 。
アセトアミノフェンは妊娠中の発熱治療薬として承認されている唯一の市販薬であり、妊婦の高熱は胎児に危険をもたらす可能性があることにも留意すべき。
アセトアミノフェンとは別に、アスピリンとNSAIDs(ロキソニン、イブプロフェン、ボルタレンなど)は胎児への悪影響が十分に報告されている。
どうすれば良いのか判らなくなりますね。
2025年11月に出された、American Academy of Pain Medicineの見解も紹介します。
  • アセトアミノフェンは安全です:スウェーデンの大規模コホートを含む現在の研究では、妊娠中のアセトアミノフェンの使用と自閉症の間に関連が見られないことが示されており、その安全性プロファイルが強化されています。
  • 小児の痛み治療の重要性:小児患者における未治療の痛みの潜在的な長期的な悪影響、慢性的な痛みや気分障害のリスク増加が強調されている。
  • 投与量の注意: 適切な投与量の重要性が強調されており、特に幼児の場合は医療専門家に相談する必要性を強調しています。
妊娠中から出産まで継続して服用することによりリスクが顕著になる可能性があるということで、妊婦の高熱は胎児に危険をもたらす可能性があるのその際は服用するべきということのようです。どうも科学を歪曲する元大統領JFKの甥と80歳過ぎの老人の戯言のようです。日本同様、役人さんは大変ですね
 
2025年11月16日 18:42

帯状疱疹ワクチン予防接種と口腔顔面痛

この頃テレビで帯状疱疹ワクチン予防接種のコマーシャルをよく観ます。
2025年度から、65歳の方などへの帯状疱疹ワクチンの予防接種が、予防接種法に基づく定期接種の対象になったからです。帯状疱疹は宮崎県における長年の統計によると、帯状疱疹は50歳以上で急に増えることが判っていて、更に50歳以上の人が帯状疱疹になると約二割の方が帯状疱疹後神経痛に移行してしまうことも判っています。
帯状疱疹は顔面、口腔内にも発生し、帯状疱疹後神経痛になる人がいて治療が大変です。ここが帯状疱疹ワクチン予防接種のコマーシャルと口腔顔面痛との関連性です。
帯状疱疹ウイルスは帯状疱疹だけではなく、ラムゼーハント症候群という顔面神経麻痺、味覚障害、難聴、耳の痛みと口腔内の帯状疱疹が生ずるというやっかいな病気を生じます、そして、後遺症として顔面神経麻痺が残り、帯状疱疹後神経痛が残ります。
帯状疱疹についてはもう一つ興味深い統計データがあります。2,014年10月から水痘ワクチン定期接種により小児の水痘が減り、子育て世代の20-40歳代が帯状疱疹ウイルスに曝露される機会が減って、「ブースター効果」による体内で抗体産生が無くなり帯状疱疹の発症率の増加につながっています。
将来、子供は水痘ワクチン定期接種、免疫が下がってくる20歳以上は帯状疱疹ワクチンの予防接種をすることになるかもしれません。
 
2025年11月16日 13:31

舌痛症の治療

口腔灼熱症候群(BMS)は、舌や唇、口の中全体に焼けるような痛みを感じる病気です。
日本では舌に症状が出ることが多く、「舌痛症」と呼ばれることもあります。
誰にでも起こる可能性がありますが、特に閉経後の女性に多く見られます。
見た目に傷や腫れがないため、原因不明のまま長期間悩む方も少なくありません。
•BMSは主に中高年女性に多く発症し、閉経前後の女性と男性の比率は7:1である。
•有病率は0.1%から3.7%、閉経後の女性における有病率は、12-18%とも言われています。
•BMSの有病率は60歳以降に著しく増加する。
•BMSの臨床症状の発症後 5 年から 6 年以内に完全な自然寛解を示す患者はわずか 3% から 4% であり、治療により症状が改善した患者は 50% 未満でした。
完全に治す方法はまだ確立されていませんが、治療によって痛みを軽くすることは可能です。

いろいろな研究によりBMSの本体は舌の表面の神経の傷害で、それに継発した神経障害性疼痛であり、更に中枢神経でも変化が生じているということが判ってきました。
和嶋のBMS舌痛症治療の手順をまとめました。

1.診断: 二次性BMSの除外、BMSの確定診断(ICHD3、ICOP)

2.病態説明:歯科医師がBMSの病態生理を判りやすく説明して、患者に自分の症状をしっかりと理解してもらうことが、回復の第一歩です。

3.末梢メカニズムへの対応:

局所療法含嗽:ミント、カプサイシン、クロナゼパム

内服療法:アミトリプチリン、プレガバリン、クロナゼパム

4.中枢メカニズムへの対応: アリピプラゾール(脳内のドパミンやセロトニンといった神経伝達物質のバランスを調整する)




 
2025年11月15日 16:54

舌痛症 口腔灼熱症候群とは

舌痛症 口腔灼熱症候群(Burning Mouth Syndrome:BMS)とは
従来、日本では心因性と言われていた舌痛症、世界的には口腔灼熱症候群(Burning Mouth Syndrome:BMS)と言われ、誘発因子としてストレス、不安など心因性が関わるが、基本的には神経障害性疼痛の一つであると言われいます。舌の神経支配は味覚を感じる顔面神経の枝の鼓索神経と感覚と痛みを感じる三叉神経の枝の舌神経からなっています。舌は味覚、感覚とも非常に敏感に出来ているので、ちょっとした刺激でも神経が刺激されて障害されてしまい、神経障害性疼痛となるようです。また、味覚の神経と痛みの神経のバランスが崩れるといろいろな症状が出ることが判ってきました。
12月の日本口腔顔面痛学会サテライトmeetingで舌痛症をテーマにすることから、改めてまとめてみました。
舌痛症の治療に関する記事 参照してください。 

口腔灼熱症候群(BMS)は、舌や唇、口の中全体に焼けるような痛みを感じる病気です。
日本では舌に症状が出ることが多く、「舌痛症」と呼ばれることもあります。
誰にでも起こる可能性がありますが、特に閉経後の女性に多く見られます。
見た目に傷や腫れがないため、原因不明のまま長期間悩む方も少なくありません。
完全に治す方法はまだ確立されていませんが、治療によって痛みを軽くすることは可能です。

どんな症状が出るの?
BMSの典型的な症状は、名前の通り「焼けるような熱感(灼熱感)」です。
「舌がジーンと熱い」「ヒリヒリ・ピリピリする」「コーヒーでやけどしたような感じ」と表現されます。
しかし、見た目には異常がなく、傷や腫れ、色の変化などは見られません。
多くの人では、
  • 朝起きた直後は症状が軽く、
  • 午前中から昼にかけて強くなり、
  • 食事中や睡眠中には一時的に楽になる、
    といったリズムがあります。
また、次のような症状を伴うこともあります:
  • 口の中が苦い・金属のような味がする
  • 唾液は出ているのに「口が乾いている」ように感じる
  • しびれ感を伴う
  • 症状が続くと気分が落ち込み、不安を感じる

原因と分類の考え方
BMSには、かつて一次性と二次性という分類がありました。
  • 一次性BMS:検査をしても原因が見つからないもの
  • 二次性BMS:ビタミン不足、糖尿病、薬の副作用など、他の原因によって起こるもの
しかし、現在の国際分類(ICOP 2020)では考え方が整理され、
明確な原因が特定された場合は「BMS」とは呼ばず
それぞれ「原因による灼熱感」として区別します。
つまり、「BMS」とは現在、原因が特定できない灼熱感を指します。

なりやすい人・関係する要因
BMSは特に次のような方に多く見られます。
  • 50歳以上の女性(閉経期・閉経後)
     → エストロゲン低下により味覚神経の感度が変化します。
  • 歯ぎしり・食いしばりの癖がある方
  • 逆流性食道炎のある方
  • 糖尿病・シェーグレン症候群などの全身疾患がある方
  • 鉄・亜鉛・ビタミンB6・B12などの栄養不足
  • 長期服薬中(抗うつ薬・降圧薬など)
  • 過去の歯科治療後から症状が出た方
  • 精神的ストレス・不安・うつ状態を抱えている方
これらの要因が複雑に関係して、舌や口腔の神経が過敏化し、
痛みや灼熱感を感じるようになると考えられています。

診断の流れ
まずは歯科医院での診察が第一歩です。
見た目の異常や歯科的な病変がないかを確認し、必要に応じて専門医に紹介されます。
専門医では、次のような検査を行うことがあります。
  • 血液検査(貧血・糖尿病・ビタミン不足など)
  • アレルギー検査(食物・薬・金属など)
  • 唾液量の測定
  • 口腔スワブ検査(カンジダなどの感染確認)
  • 組織検査(まれに行う)
これらの結果に明らかな原因が見つからなければ、**口腔灼熱症候群(BMS)**と診断されます。

治療法について
BMSの原因は複数の要素が関係するため、個人差に応じた治療が必要です。
米国FDAで承認された特効薬はありませんが、いくつかの薬剤や方法が有効とされています。
薬物療法
  • **クロナゼパム(抗不安薬)**の含嗽または少量内服
  • **アミトリプチリン(トリプタノール)**などの抗うつ薬を少量使用
  • プレガバリン、ガバペンチンなどの神経過敏抑制薬を用いる場合もあります。
これらは痛みの感じ方を抑える神経調整薬として使用されます。
補助的治療・生活指導
  • ストレス緩和、睡眠の改善
  • 軽い運動やリラクゼーション
  • 栄養補給(鉄・ビタミンB群・亜鉛など)
  • 認知行動療法(CBT)や心理的サポート

自宅でできる痛み緩和の工夫
症状を軽くするために、次の方法を試してみましょう。
  • シュガーフリーガムや飴で唾液を促す
  • 冷たい水や氷を口に含む
  • 香辛料・酸味・熱い飲食物・アルコールを控える
  • アルコール入りマウスウォッシュを避ける
  • 禁煙・電子タバコの使用中止
これらは病気を“治す”方法ではありませんが、
一時的な痛みの軽減に役立ちます。

治療期間と経過
BMSは慢性化しやすく、治療せずに放置すると数か月〜数年続くことがあります。
適切な治療により、数週間〜数か月で症状が軽くなるケースもあります。
焦らずに医師や歯科医と連携し、
「症状をゼロにする」ではなく「生活を取り戻す」ことを目標に治療を続けることが大切です。

予防と再発予防
現時点で完全な予防法はありませんが、
次の点に注意することで再発のリスクを減らすことができます。
  • アルコール・カフェインのとり過ぎを控える
  • 熱すぎる・辛すぎる・酸っぱい食品を避ける
  • バランスの取れた食事でビタミン・鉄・亜鉛を補う
  • 睡眠不足・ストレスを溜めない生活を心がける

著者からのアドバイス
口の中が焼けるように痛いと、何も手につかなくなるほどつらいものです。
口腔灼熱症候群(BMS)は、見えない痛みであり、治療にも時間がかかります。
しかし、正しい理解と根気ある治療で、症状を和らげることは必ず可能です。
「もしかしてBMSかもしれない」と思ったら、まず歯科を受診してください。
そして、あなたの痛みを信じてくれる医師・歯科医師に相談しましょう。
痛みを分かち合いながら治療を続けることが、回復への第一歩です。
 
2025年10月19日 20:50

心理職向けの慢性疼痛に対する認知行動療法

先日、心理職向けの慢性疼痛に対する認知行動療法の一日コースを受けました。コースの内容とは別に、何時も聞いている医師、歯科医師向けの認知行動療法との違いが気になりました。多職種の特性を活かした慢性疼痛治療の有効性です。
医師、歯科医師は慢性疼痛の苦痛の「痛みの治療」しながら、完全回復させることの出来ない事により生ずる「苦悩に対応」しなければならない状況です。患者側からすると、あなたが痛みをちゃんと治療できないから私は苦悩を抱えてしまっているのでしょう、認知行動療法でごまかさないで痛みをちゃんととってください、という要求が何処までも続きます。このような状況ではどちらの治療も上手く進みませんし、治療の雰囲気は両者にとって不幸な状況です。
慢性疼痛治療に多職種が介入することにより、無責任ではなく役務を分担し、それぞれの特性を十分に発揮して治療を進められると思いました。
2025年09月28日 09:07

帯状疱疹後三叉神経痛は誤訳

国際口腔顔面痛分類(ICOP)、国際頭痛分類第3版(ICHD3)に見つかった大きな誤訳
この度、臨床推論実習セミナーの受講生から非常に違和感のある病名を聞かされました。「帯状疱疹後三叉神経痛」です。帯状疱疹の急性期が過ぎて、慢性化したときに持続的な痛みに発作性の痛みが混じることがあります。通常、これを帯状疱疹後神経痛と呼びます。
ところが、慢性化した持続的な痛みは帯状疱疹後神経痛で、そこに混じる発作性の痛みの病名は「帯状疱疹後三叉神経痛」が適切だろうという意見でした。なるほどと思うとともに大きな違和感がありました。そんな病名あったかと思って確認したら、国際口腔顔面痛分類(ICOP)は国際頭痛分類第3版(ICHD3)ともに確かにありました。
「帯状疱疹後三叉神経痛」を字面の通りに解釈すると、帯状疱疹後に起こる、あるいは帯状疱疹に罹患したことが原因で起こる三叉神経痛となります。もっともらしいのですが、これは大間違いで、「帯状疱疹後三叉神経痛」は誤訳です。
「帯状疱疹後三叉神経痛Trigeminal Post-Herpetic Neuralgia」は三叉神経痛の下分類では無く、三叉神経ニューロパチーの下分類として、帯状疱疹による有痛性三叉神経ニューロパチー、外傷後三叉神経ニューロパチーなどと並列に分類されています。つまり、三叉神経痛の下分類ではないのです。
ICHD3βでは明らかにニューロパチーが生じているということで「帯状疱疹後有痛性三叉神経ニューロパチーPost-Herpetic Trigeminal neuropathy」となっていました。しかし、やはり、帯状疱疹後神経痛Post-Herpetic Neuralgiaという用語が普及していることから、ICHD3では再度、改訂されました。ここで誤訳が発生したのです。
帯状疱疹後三叉神経痛の原文はTrigeminal Post-Herpetic Neuralgiaでした。ICHD3βの帯状疱疹後有痛性三叉神経ニューロパチーPost-Herpetic Trigeminal neuropathy」とではtrigeminalの位置が異なります。Trigeminal Post-Herpetic Neuralgiaでは敢えて先頭にtrigeminalを置いてあります。
中間神経の項に類似の分類があります。有痛性中間神経ニューロパチーの下分類に、帯状疱疹後中間神経痛があり、その英文はPost-Herpetic Neuralgia of nervus intermediusです。帯状疱疹後中間神経痛も誤訳です。
帯状疱疹後三叉神経痛Trigeminal Post-Herpetic Neuralgia
帯状疱疹後中間神経痛Post-Herpetic Neuralgia of nervus intermedius
並べて見ると、同じ分類なのに英文に統一性がないのも気になりますが、敢えて帯状疱疹後神経痛という病態を元に英文と日本文を修正するなら、
Trigeminal Post-Herpetic Neuralgia 三叉神経帯状疱疹後神経痛
Nervus intermedius Post-Herpetic Neuralgia 中間神経帯状疱疹後神経痛
これが適切と思います。
国際頭痛分類第4版への改訂が進められているそうです、発刊されるとすぐに日本語訳が出来ますので、間違いが出ないように担当の先生に今から連絡しておこうと思います。
 
 
2025年09月26日 09:17

顎関節症、歯ぎしり、スプリントに関する最新見解

顎関節症(TMD)におけるスプリント治療の最新論文から
歯科におけるスプリントに関するエビデンスは比較的弱く、決定的なものではありません。歯科医師は、歯科スプリントの歴史的発展とその背景にあるエビデンスを理解することが重要です。
TMD症例に取り組む際には、臨床医は病状に影響を及ぼす可能性のある全身的要因も認識しておく必要があります。
現時点では、特定のスプリントの材質、デザイン、または原理が他よりも優れている、または劣っているというエビデンスはありません。
顎関節症治療では関節痛障害、筋痛障害など診断を確定し、適切なスプリントの使用などの個別対応戦略を、薬物療法、理学療法、行動変容、認知行動療法、心理社会的カウンセリングなどの他の治療法と組み合わせて行うことが、慢性TMD症例の管理において最も有効であることが実証されており、再発防止にも重要な役割を果たします。
TMDを管理する歯科医師は、TMJ関連の筋骨格障害を単なる歯科の問題として扱うのではなく、「整形外科的存在」として捉える必要があります。
顎関節症のポイント
•TMD の管理を成功させるには、正確な診断が不可欠です。
•現在の顎関節症治療の進歩は、古い機械的、咬合治療から、学際的、生物心理社会的治療プロトコルと完全な口腔顔面痛の診断プロセスへと移行しています。
•咬合と TMD の因果関係を証明する有効な科学的証拠はまったくありません。
•スプリント療法や理学療法などの比較的短期的な治療法は、単純な症例では良好な結果をもたらします。
•咬合調整は不可逆的であり、顎関節症(TMD)および慢性顎関節痛の治療において効果は限定的、あるいは全くありません。顎関節症および歯ぎしりの治療を目的とした従来の咬合調整には、科学的根拠が欠けています。
•TMD および歯ぎしりの患者に影響を与える全身合併症を認識し、適切に治療することが重要です。

ブラキシズムの概念は過去数十年間で大きく変化した。
• 現在ブラキシズムは障害ではなく、様々な基礎疾患の影響を受ける筋行動とみなされている。歯ぎしりは現在、様々な基礎疾患の影響を受ける筋行動とみなされている。
• 閉塞性無呼吸発作に対して歯ぎしりは保護的役割を果たす可能性がある。
2025年09月06日 10:58

オンラインでも感覚検査が出来ます

オンラインでも感覚検査ができます
オンライン相談を受けていて、相談者の訴えの原因を直接探れないもどかしさから、オンラインでも実施可能ないくつかの診査法を考案して実施しています。もちろん、オンライン相談を申し込む方々は既にいろはいろな治療を受けたが改善していない事から心理的にも窮していることが多いので、傾聴、受容、共感の態度は必須です。
オンライン相談の経験から、実際の診療での診査と同等の診査を行えるのは感覚検査です。オンラインでの手順を説明します。
1)問診により、痛みの種類、痛み部位、経過等を聞きます。
神経障害性疼痛による痛みは、しびれやヒリヒリ、ピリピリ、うずき、灼熱感のように表現されることが多いです。また、三叉神経痛の場合にはビリッとかズキンとした発作性の電気ショック様の痛みを訴えます。
現症を聞くなかで最も重要な点は、痛みの範囲が三叉神経の痛みとして神経解剖学的に妥当であることで、三叉神経のどれかの枝に限局しているはずです。そして、その痛みの部位の神経を刺激するようなエピソードがあったはずです。例えば、抜歯、インプラント、切開、根管治療、歯根端切除術などの後に痛みが生じていることが多いです。
ここまで確認出来ると神経障害性疼痛の疑いが高まります。
2)次はいよいよ感覚検査です、   https://wajima-ofp.com/blog_articles/1755509833.html
前もって綿棒と爪楊枝、保冷剤で冷やした小さなスプーンを用意してもらいます。
麺棒で痛いところの歯として肉をさすってもらい、嫌な感じ、痛みがないかどうか、そして、対照として反対側の歯肉もさすってもらいます。どこかに嫌な感じ、痛いところがあったら、必ず左右を比べてもらいます、一回だけでは無く、何回か繰り返してもらいます。そして、さすった後に嫌な感じや痛みがあった部分になにか感覚が残らないかどうかの残感覚も確認します。次に爪楊枝でチクチク刺激してもらいます、他に比べて痛みが強いところがないかどうかを聞きます。何回か繰り返し、痛いところがあったら左右で比較します。触覚同様に残感覚も確認します。
歯肉の温冷感覚は鈍いのですぐには反応がでません、正常でも冷たさが感じられるまで10秒―20秒くらい掛かります。最初は痛みの無い側の歯肉に冷やしたスプーンをペタッと当ててもらいます。指で唇を引っ張って他に当たらないように気をつけて行ってもらいましょう。歯肉に冷たさが感じられたら何か合図してもらいましょう。何秒で冷たさが感じられたか確認しておきます。
もう一回保冷剤でスプーンを冷やして、麺棒で嫌な感じ、痛かった部位、そして、爪楊枝でチクチクが強かった部位にペタッと当てます。冷たさを感じるのに何秒かかりましたか、敏感ですぐに感じるか、鈍くなってなかなか感じないか、冷たさを感じないがじわーっと痛みが出ることもあります。痛みを感じたらすぐ離して、痛み感覚がどれくらい続くか観察してもらいましょう。
感覚検査は自分だけでも実施することが出来ます。特に害はありません。感覚検査で何らかの異常反応があった場合には神経障害性疼痛の可能性が高まります。ここまでの結果を元に専門医あるいは病院歯科等を受診するように勧めます。
 
2025年09月05日 18:48

【English available】

【電話番号】
03-3478-5248

【住所】
〒107-0051
東京都港区元赤坂1-1-7
赤坂モートサイド505

【診療時間】
10:00~13:30
14:30-18:00

【診療日】
火曜日、金曜日、第3土曜午前
※第2火曜は休診し水曜に診療

月別ブログアーカイブ

2026 (10)

モバイルサイト

元赤坂デンタルクリニックスマホサイトQRコード

スマートフォンからのアクセスはこちら

口腔顔面痛
専門医・認定医のいる施設

風の杜歯科
日本口腔顔面痛学会