▲トップへ

タイトルサンプル

口腔顔面痛(原因不明の歯痛、顔の痛み、顎関節症)に慶應義塾大学での永年の経験と米国口腔顔面痛専門医資格を持つ和嶋浩一が対応します

HOMEブログページ2026年 ≫ 5月 ≫

2026年5月の記事:ブログページ

関節反力 大開口時に最大、関節痛の原因

今週月曜日2026年5月18日、昔からの友達であるイスラエルのNizan先生の講演がありました。
ご主人は経済学者で、ご夫婦共々日本が好きで、今回が8度目の来日だったそうです。4月末に来日して2週間あまり北海道の各地を回ったそうです。宗教的理由、ユダヤ教の食事規定「カシュルート」で肉魚は食べられないそうで、北海道で何がごちそうだったのか疑問です。私との食事はイタリアンの店で和風パスタ、サラダ、ブルスケッタでした。当日はご主人も一緒の予定でしたが同じ時間で東大で講演されていたそうです。
彼女がArthrocentesis関節腔洗浄術の有効性を語っていたのは1985-1990年頃でした。滑液の粘稠により円板が動き難くなって下顎頭がスタッグした結果、開口障害生ずる、Arthrocentesisで滑液の粘稠度を下げると円板は前方転位したままなのに下顎頭が正常に滑走して開口出来るようになることを盛んに解説していました。日本においてもこの分野で大学の同級生村上賢一郎、久保田英朗、瀬上夏樹先生達が世界で活躍していました。
確かに私も関節造影をしていた頃に最後に関節腔を洗浄したり、膨らましたりした後にクローズドロックが解けて開口出来るようになる症例を経験していました。そのような症例では前方転移していた円板が正常な位置に戻ったから開口出来るようになったのだろうと、再度関節造影をしたら円板は前方転位したままで、開口時には前方転移した円板は抵抗なく下顎頭によって前方に押し出されていました。このような経験からクローズをロックでは前方転移した円板を戻す必要は無く、上手く動く方法をとれば良いのだと考える様になりました。私は関節腔の中の問題よりも関節に負荷をかける筋緊張に注目した訳です。Nizanは関節腔の中はパスカルの法則が作用して、下顎頭の動き、位置にかかわらず何処でも同じ圧力だと主張し、私は関節の関節窩と相対する下顎頭との間に働く関節反力は位置によって異なると主張して議論したことがありました。関節窩に下顎頭が収まっているときには、かみしめたとしても関節反力はほぼゼロ、一方、最大開口で下顎頭が最前方に位置したときは関節反力が最大になります。これが、開口時に関節痛が出る理由でもあります。
下顎頭が最前方に出るのは開口した時ですが、通常は最大開口を永く続けることはありません。ところが歯科治療はこの良くない長時間の最大開口を強いています、もう一つは睡眠中のギリギリの元の歯ぎしりです。側方運動したときに下顎頭を前方に押しつけます。これらによって前方滑膜に機械的刺激を与えて、炎症を生じさせる、というのが私の顎関節痛の発症メカニズムです。治療は、関節痛があるときは歯科治療を延期すること、歯ぎしりに対しては急角度の犬歯ガイドを付けたスプリントを使ってもらうことです。この治療は大変有効な治療法で今も行っています。私の臨床ではスプリントを使うのはこのような歯ぎしりがあって関節痛がある人に限っています。筋肉痛には効果が無いので使いません。
 
2026年05月21日 15:24

慢性疼痛患者の46%がPTSD症状

慢性疼痛患者の46%がPTSD症状を持ち、機能障害が顕著に

2025年6月2日

慢性疼痛と心的外傷後ストレス障害(Post-Traumatic Stress Disorder: PTSD)を併発している患者は、PTSDを伴わない慢性疼痛患者と比較して、より重度の機能障害を示すことが明らかになった。この研究では、外傷体験の有無よりも、PTSD症状の存在が機能障害と関連していることが示された。北アイルランドの慢性疼痛患者を対象とした大規模横断研究の成果は、European Journal of Pain誌2025年7月号に発表された。

北アイルランドの慢性疼痛患者1,367例を対象とした横断研究


この研究は、北アイルランドの学際的疼痛リハビリテーションサービスを受診した慢性疼痛患者1,367例を対象とした横断研究である。研究の主な目的は、慢性疼痛患者における機能障害が外傷体験そのものによるものか、それともPTSD特有の症状に関連しているのかを評価することであった。また、北アイルランド地域におけるPTSDと慢性疼痛の併存率の高さを考慮し、その併存状況を調査することも副次的な目的とされた。参加者はPTSDスクリーニング尺度に加え、疼痛による生活障害、社会的機能、疼痛に対する不安、疼痛自己効力感、疼痛強度、うつ症状を評価する尺度に回答した。研究デザインとして、共変量を特定した後、多変量共分散分析(MANCOVA)を用いてPTSDカテゴリー別の従属変数の差異を検討した。

PTSD症状の有無が機能障害の重症度を左右


スクリーニングの結果、参加者の46.4%は外傷体験がなく、22.5%は外傷体験があるもののPTSDスクリーニングは陰性、31.1%はPTSDスクリーニング陽性であった。多変量共分散分析の結果、PTSDスクリーニング陽性群は、他の2群(外傷体験なし群、外傷体験ありPTSDスクリーニング陰性群)と比較して、すべての評価尺度において機能が悪く、生活障害がより大きいことが示された。一方、外傷体験なし群と外傷体験ありPTSDスクリーニング陰性群の間には、いずれの評価尺度においても有意差は認められなかった。これらの分析結果から、機能障害の悪化は外傷体験の有無だけでなく、PTSD症状の存在と関連していることが明らかになった。また、北アイルランドにおける慢性疼痛とPTSDの併存率は、過去の研究と比較して高い範囲にあり、地域の年間有病率推定値を上回っていた。

慢性疼痛とPTSDの統合的治療アプローチの必要性


研究者らは、慢性疼痛患者におけるPTSD評価では、外傷体験そのものに焦点を当てるよりも、これらの体験が日常機能に与える影響を評価することが重要であると指摘している。また、慢性疼痛とPTSDを統合的に治療するアプローチの開発が必要であるとしている。本研究の結果は、慢性疼痛患者の約3分の1がPTSDスクリーニング陽性であり、これらの患者は特に機能障害が大きいことを示している。このことから、慢性疼痛治療において心理的トラウマとPTSD症状の評価を組み込むことの重要性が強調される。慢性疼痛とPTSDの併存は患者の生活の質を著しく低下させる可能性があるため、両方の状態を同時に治療する統合的アプローチの開発が今後の課題として挙げられている。

※類似のニュースを増やしたい場合は「自分好み」、減らしたい場合は「興味なし」を選択してください。
 

原著論文はこちら
Eur J Pain. 2025 Jul;29(6):e70044.
© 2025 The Author(s). European Journal of Pain published by John Wiley & Sons Ltd on behalf of European Pain Federation ‐ EFIC ®.
2026年05月15日 18:24

慢性痛は痛みのPTSDとも言える 2

私の慢性痛のメカニズム仮説として、「痛み(苦emotional、痛sensory )」の二つの側面が変化顕性化することによって生ずると考えています、これにより慢性痛が判りやすくなります。
慢性痛は下記の二つの側面が合わさって生じているのだろうと思っています。
  • 感覚体験(sensory)の元である痛み信号が感覚神経系を刺激して機能変化が生じた状態である中枢感作が生じている。
  • 情動体験(Emotional )が脳によって認識・解釈されてマイナスの「感情(Feeling)、持続的な主観的体験」として脳に記憶された状態、痛みのPTSD(心的外傷後ストレス障害)とでもいうべき状態。 
    情動(Emotion)と感情(Feeling)は心理学で明確に区別されます。情動は、外部刺激に対し自動的に生じる「急激で短期的な身体反応(恐怖、怒りなど)」です。一方、感情は、その身体変化を脳が認識・解釈した「持続的な主観的体験」です
    従って、情動的体験を脳がそれぞれの人生経験などを元にして認識、解釈して結果が感情という持続的な主観的体験となります。特にマイナスの感情は記憶に残りやすいと言われ、その典型的病態がPTSD(心的外傷後ストレス障害)であります。

慢性痛とPTSDの関連についてはこの記事を参照してください。 和嶋 ブログ参照

北アイルランドの慢性疼痛患者を対象とした大規模横断研究の成果
慢性疼痛患者の46%がPTSD症状を持ち、機能障害が強い
 
2026年05月10日 13:44

慢性疼痛と痛覚変調性疼痛、Chronic Overlapping pain conditions

慢性疼痛と痛覚変調性疼痛、Chronic Overlapping pain conditions
ケガや病気が通常治るのに要する期間(通常3ヶ月以上)を超えて持続する痛みを慢性疼痛と言います。原因が不明な場合や原因が判っていても取り除くことが出来ない場合があり、痛みが「病気そのもの」であります。多くの慢性痛は痛みの信号の発生が続かなくても、情動体験が脳によって認識・解釈されて「感情、持続的な主観的体験」として脳に蓄えられ、さまざまな情報が統合されて、苦痛を感じる状態です。
WHOが作成する病気の国際分類の最新版であるICD-11 International Classification of Diseases, 11th Revision)に初めて慢性疼痛の分類が含まれました。
慢性痛の大分類では、原因不明を一次性(ICD-112022)(ICHD-3、ICOPでは特発性)とし、元の原因が判っている場合を二次性に分類しています。
一次性は原因不明が原則ですが、最近になり一次性の主たる病態は痛覚変調性疼痛だろうと言われています。痛覚変調性疼痛は2017年にNociplasticPainとして提唱され、その基本的メカニズムは中枢感作だとされています。
世界的に痛覚変調性疼痛が注目されていますが、米国ではW.Maixerをはじめとする研究者達が TMDのOPPERA研究のなかで慢性TMDの多くはChronic Overlapping pain Conditions(慢性重複疼痛疾患)の一部になっていると主張していました。Chronic Overlapping pain conditionsは慢性疼痛障害の集合体で、同一人物に併発することが多く、痛覚変調性疼痛を共通のメカニズムにすることや女性における高い罹患率を特徴とします。顎関節症(TMD)、慢性緊張型頭痛、慢性片頭痛、慢性腰痛、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)、線維筋痛症(FM)、子宮内膜症、外陰部痛、過敏性腸症候群(IBS)、間質性膀胱炎/疼痛性膀胱症候群(IC/PBS)などの疾患が含まれ、多くの場合、疲労、睡眠障害、気分の変化を伴います。米国国立衛生研究所(NIH)は、これらの疾患は従来の単一専門分野での医療アプローチの範囲外にあり、単独疾患としての治療では適切な治療が出来ないことが多いため、専門的な研究の必要性を強調している。
最近になってChronic Overlapping pain conditionsと痛覚変調性疼痛は共通して中枢感作を基本メカニズムとする病態であろうと言われています。つまり、慢性TMDの多くは痛覚変調性疼痛であり、Chronic Overlapping pain conditionsの部分症であると言えるということです。その他に関連する用語として、身体化障害、機能性身体症候群、Medically Unexplained Symptoms、ICD-11身体的苦痛症(BDD)があります。
精神科病名である身体症状症(Somatic Symptom Disorder DSM-5:SSD)は 医学的な異常が明確でないにもかかわらず、痛みの慢性化や身体症状に対する強い不安・過剰な認知・行動(頻回のインターネット検索、病院受診等)が日常生活に支障をきたしている状態を指す精神疾患ですが、痛覚変調性疼痛の精神的側面からの診断とも言えると思っています。
 
2026年05月10日 13:38

痛みの二面性(苦、痛 )が慢性化によりそれぞれの特性顕在化

痛みの二面性が慢性化によりそれぞれの特性がよりはっきり
40年ぶりに改訂された最新の国際疼痛学会の「痛みの定義」にも示されているように、痛みとは、組織の損傷(tissue injury)やその可能性(有害刺激)を検知し、痛みを引き起こす感覚メカニズム(Nociceptive) により生ずる「不快な感覚・情動体験」です。「感覚・情動体験」とは、感覚体験(sensory)と情動体験(emotional )の両方を含んでいて、「痛み刺激が加わったときの感覚(痛覚:sensory)」に情動(emotional )が相まって「痛み」として感じられるということです。さらに、「痛み(苦emotional痛sensory )」の感じ方はsensory系、 emotionalの修飾を受けて変化するために、必ずしも痛み刺激に比例しません。
この「痛み(苦emotional、痛sensory )」二つの側面が慢性痛では情動が感情(脳が認識・解釈した「持続的な主観的体験」)となりよりはっきりとその特性を示します。
ケガや病気が通常治るのに要する期間(通常3ヶ月以上)を超えて持続する痛みを慢性疼痛と言います。原因が不明な場合や原因が判っていても取り除くことが出来ない場合があり、痛みが「病気そのもの」であります。多くの慢性痛は痛みの信号の発生が続かなくても、情動体験が脳によって認識・解釈されて「感情、持続的な主観的体験」として脳に蓄えられ、さまざまな情報が統合されて、苦痛を感じる状態です。
私の慢性痛のメカニズム仮説として、「痛み(苦emotional、痛sensory )」の二つの側面によって生ずると判りやすくなると思っています。
  • 感覚体験(sensory)の元である痛み信号が感覚神経系を刺激して機能変化が生じた状態である中枢感作。
  • 情動体験(Emotional )が脳によって認識・解釈されてマイナスの「感情(Feeling)、持続的な主観的体験」として脳に記憶された状態、痛みのPTSDとでもいうべき状態。
慢性痛では上記の二つの側面が合わさって生じているのだろうと思っています。
慢性痛の解説は別報で解説します。
 
2026年05月10日 13:28

歯痛の窓口でセカンドオピニオン

歯痛の窓口でセカンドオピニオン
医療の世界ではセカンドオピニオンという言葉が一般的になっています。例えばガンの診断を受けて、ある治療法を提示された人が、診断に関して、治療法に関して他の医者の意見を聞くという事です。セカンドオピニオンを聞こうとする人は最初の医者が信用できないという場合もあるでしょうが、診断、治療に関して自分自身が納得出来ないために、他の医者の意見も聞きたいということが多いようです。
現在の医療は診断が決まると、それに対する治療法はガイドライン等で標準化されています。とはいえ、問題はあって、ある患者さんに対する検査、診察から診断は異なる可能性があります。
発展途上の口腔顔面痛ではこの検査、診察による診断に大きな差があります、診断が異なれば治療法も変わります。結果的に治るか治らないかの差になります。当然、この差は大きな問題で、日本口腔顔面痛学会では最上の医療を何処でも受けられるように活動をしていますが、まだまだ均てん化には到っていません。
主題に戻って、たかが歯痛でセカンドオピニオンは大げさだと思われるかもしれませんが、納得いかないままに治療を受けて、後に痛みや咬んだ時の不快感が残る可能性がいくらかでもあるならば専門歯科医師の見立てを求めることを見当すべきです。歯痛でもっと気軽にセカンドオピニオンを受けられるように「歯痛の窓口」という受け口をつくるのはどうかと思っています。
2026年05月10日 09:57

【English available】

【電話番号】
03-3478-5248

【住所】
〒107-0051
東京都港区元赤坂1-1-7
赤坂モートサイド505

【診療時間】
10:00~13:30
14:30-18:00

【診療日】
火曜日、金曜日、第3土曜午前
※第2火曜は休診し水曜に診療

モバイルサイト

元赤坂デンタルクリニックスマホサイトQRコード

スマートフォンからのアクセスはこちら

口腔顔面痛
専門医・認定医のいる施設

風の杜歯科
日本口腔顔面痛学会