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口腔顔面痛(原因不明の歯痛、顔の痛み、顎関節症)に慶應義塾大学での永年の経験と米国口腔顔面痛専門医資格を持つ和嶋浩一が対応します

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2026年6月の記事:ブログページ

世界の顎関節症治療の常識 最新情報から

世界の顎関節症治療の常識 最新情報から 参考文献
未だに日本の顎関節症治療は混乱しています。かみ合わせを直して顎関節症を治療することを専門としている歯科医院のホームpageを見ます。
本当にかみ合わせを直すと顎関節症は治るのか、顎関節症の原因はかみ合わせの不具合なのか。そのように考えられていたのは30年以上前の話です。しかし、現在も、歯科医師も含めて医療関係者、マスコミも顎関節症はかみ合わせの不具合からという昔話から抜け出せません、従って、患者さんがそのように思うのは仕方ないですね。
いろいろな忖度があってか、かみ合わせが原因でないとは言えないらしいが、比重はかなり低く、歯を削ったりしてかみ合わせを変える治療はなるべくしないようにと言われています。
世界で初めて、上記の考えが公開されたのは、2010年、米国歯科研究学会AADRが当時の臨床試験、実験研究、疫学研究の証拠に基づくTMD治療に関する声明でした。(AADR顎関節症(TMD)声明 1996、2010.2015改訂、再確認 参考資料1))
特筆されたことは、TMDの自然経過がSelf-limitedで時間の経過とともに改善または消失する傾向である事、従って、歯を削ったり、手術したりせずに保存的、可逆的、かつエビデンスに基づいた治療法を行うことを強く推奨した事でした。
その後、約15年経過し、多くの臨床的データ、疫学研究により2010年のTMD声明に書かれていたことがより確かなものであることが支持されています。しかし、冒頭に書いたように、未だにTMDはかみ合わせの異常であるとか、咬合治療を最優先させる古い考えが残っています。
この度、このような状況を更に改善する事を目的に、米国歯科研究学会AADR単独では無く、国際歯科研究学会(IADR)INfORMグループが踏み込んで、現在の標準的TMD治療の10の重要なポイントを提案した次第です(参考資料2)。この10個のポイントが臨床的に非常に有用です。
2026年4月に米国歯科口腔頭蓋顔面研究学会(The American Association for Dental, Oral, and Craniofacial Research: AADOCR、旧米国歯科研究学会、The American Association for Dental Research AADR)が2010年に公開した「AADR顎関節症(TMD)声明」の改訂版として顎関節症(TMD)に関する立場表明(公開日:2026年4月7日)を公開しました。
強調されていることは、「TMDは慢性口腔顔面痛の最も一般的な原因です。さらに、TMDは全身疾患と関連している可能性があり、他の重複または併存する痛みの状態(併存疾患)と関連している可能性が高いです。慢性TMDは、より痛みが強く障害と関連しており、生活の質に大きな影響を与えます。」と慢性痛に言及している事です。
2024年IADRのINfORMネットワーク発行の参考資料2の内容もふまえて、「TMD管理に関する標準治療推奨事項(現在の標準的TMD治療の10の重要なポイント)」が再確認されています。2010年声明同様に、「TMD 患者の治療は主にセルフケアとして、保存的、可逆的、エビデンスに基づいた治療法を行うことを推奨しています。TMD 治療は痛みを下げ、機能障害を減らし、その影響を最小限にすることを目標とするべきです。」と強調しています。さらに、「TMD の自然経過に関する研究は、TMD症状は時間の経過とともに改善または解消する傾向があることを示唆しています。具体的には、軟組織および関節内の硬組織の状態の約 70 パーセントは時間の経過とともに安定してきます。」と述べています。つまり、70%はSelf-limitedであり、不可逆的な治療をしてはならず,残りの30%は慢性化する可能性が高いために特別な注意が必要であることが強調されている。そして、AADOCR は、この慢性的TMD の多因子的な性質に対処する、歯科だけではなく学際的な教育と研究の取り組みを促進することに尽力していると書かれている。
 
2026年06月06日 21:37

痛みの多様性 口腔顔面痛診査の重要性

痛みの多様性 口腔顔面痛診査の重要性
口腔顔面痛の外来には患者さんが様々な痛みを訴えて来院します。
口腔顔面痛外来の最初の役割は歯痛の窓口として、痛みの鑑別診断を行うことです。口腔顔面痛の診断が難しい理由は、第一に痛みの原因とは異なる部分に痛みを感じるという異所性疼痛であること、次が痛みの表現が患者さんによって非常に多様で、同じ疾患でも表現が異なる事です。
例えば、血管炎を病態とする片頭痛ならドックンドックン、ズッキンズッキン、脈打つ感じ、筋緊張を主態とする緊張型頭痛はギュー、グー、にぶい、締め付けられる、重苦しい等の表現からおおよその診断が思いつきます。ところが、緊張型頭痛と同じ筋緊張を主病態としながら咀嚼筋による痛みの場合には患者さん毎に訴えが異なります。
その典型的な訴えが咬筋、側頭筋の筋・筋膜疼痛による歯痛の訴えです。その歯痛の訴えも持続性のジワー、ジーン、ズキズキから咀嚼時のズキンまであります。従って患者さんの痛みの性質からは原疾患の鑑別は難しいです。
歯痛を関連痛として生ずる筋・筋膜疼痛は咬筋、側頭筋と顎二複筋です、これらに加えて胸鎖乳突筋からも歯痛と見誤る頬部痛が生ずることがあります。
口腔顔面痛の診察においては、しっかりとした筋触診が必須です。
先日、主症状側とは反対側の上まぶたが重いと訴える患者さんがいました。主症状は側頭筋の筋・筋膜疼痛でした、側頭筋の腫大、硬結、圧痛、関連痛誘発に加えて、茎状突起の腫大、圧痛、側頭筋筋突起付着部圧痛が強い事から原因は単純にかみしめとではなく、歯ぎしりが主因のようでした。反対側の咬筋、側頭筋には圧痛が無く筋・筋膜疼痛はないと思われましたが、胸鎖乳突筋を触診したら、停止部に近い上の部分に硬結があり、しばらく圧迫すると上眼瞼と前額部に関連痛が生じ、主訴の上まぶたが重いが再現されました。胸鎖乳突筋の筋・筋膜疼痛の原因は歯ぎしりとも考えられず、左右の異なる筋肉に、異なった原因によって別々な症状が出ていたという事です。
改めて、筋触診は有用な診察手段です。
 
2026年06月01日 11:21

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