筋肉痛治療のポイントは 対症療法に加えて原因療法も
口腔顔面痛でも顎関節症でも、最も多い病態は筋肉痛である。特に慢性化した筋・筋膜性疼痛が一番のやっかいは病態である。かつて、筋肉痛では自発痛は起こらないと言う人もいたが、持続性の筋肉痛で受診する人は少なくない。良い例が肩こり、頸のこりなどによる緊張型頭痛である。元々の肩こり性の人が重いものを持ったり、緊張する場面にあったりすると頭が締め付けられるような感じになり、頭が重苦しく、嫌な感じの頭痛が生じ、数日続くことがある。今現在は緊張型頭痛と呼ばれるが、以前は筋緊張性頭痛と言われていた。筋の緊張だけでは無く、他に精神的緊張によっても起こることがあるということで、現在は筋が外されて緊張型頭痛となっている。精神が緊張するとどうして頭痛が生ずるのか、自律神経の交感神経が亢進し、筋肉組織のなかで筋収縮している部分の血管が緊張して充分な血液が供給されないからと言われている。収縮のためにエネルギーが必要な状況であるのに血管が収縮して血液供給が不足、この状況をEnergy Crisis(エネルギー危機)と言って筋痛の原因とされている。筋肉痛の治療というと、まずマッサージ、ストレッチ、温罨法、指圧が挙げられる、また、最近では即時効果を求めてHydro Releaseやボトックス注射も多くなっているようです。
全ての病気の治療は原因療法と対症療法からなるのですが、どうも対症療法に目が行きがちで、上記の治療法には原因療法が含まれていません。
筋肉痛の原因療法は何でしょうか、筋への負荷の軽減を目的に筋を収縮させない、そのために、痛い筋を極力使わないことです。第一に咀嚼筋では痛い側で咀嚼しない事、また、フランスパンの様に最後までかみしめなければならない様な食べ物は避ける。次に、日中、何かに集中している時などに肩が持ち上がり、かみしめている状況になりがちです。このような状況を避けるために、気がついたら意識的に肩を上げ下げする、舌で口腔内を舐めるなどの「随意運動によるかみしめ中断運動」をしましょう。人間の身体は無意識に筋緊張していても、意識的にその部位を動かそうとすると無意識の緊張が解除されて、意識通りに動きます。これと全く異なって、こむら返りなどの痙攀では動かそうとしても解除されません。
これらの筋を過度に緊張させない、あるいは筋緊張を中断させる等の筋への働きかけに加えて、精神的緊張による交感神経亢進に対して腹式呼吸が勧められます。この呼吸法で、副交感神経が刺激され、緊張緩和にもつながります。
人間仰向けになると自然に腹式呼吸になります、この特性を活かして腹式呼吸を覚えましょう。仰向けになりへその少し上に手のひらを置きます、次にフーーと息を吐き出してみましょう、手の下のお腹が凹みます。凹みを感じたら、ゆっくり息を吸い込んで、凹んだお腹を膨らまして、お腹で手を持ち上げてみましょう。なるべく高く持ち上げて、一秒間保ちます、そして、解除、フーーとゆっくり吐き出します。数時間は1.2.3秒、4で1秒ホールド、そして解除、5.6.7秒、吐く時をなるべく長く出来る様に練習しましょう。この繰り返しをして、腹式呼吸を覚えましょう、そして、坐位でも立位でも腹式呼吸が出来る様になりましょう。緊張していると思ったらお腹に手を当てて、やってみましょう
子供の頃の深呼吸は思いっきり吸い込んで胸を拡げることから始まっていましたが、あれとはまたく違った呼吸法です。
2024年08月17日 10:17