超音波併用のトリガーポイントプレッシャーリリース
今年も日本口腔顔面痛学会学術大会において、超音波併用のトリガーポイントプレッシャーリリースのハンズオンセミナーを行います。このブログでは学術大会抄録集の原稿を供覧して、ハンズオンセミナーの内容をいち早く紹介します。本ハンズオンコースでは、超音波照射とトリガーポイント触診およびトリガーポイントプレッシャーリリースを実習してもらう。
筋・筋膜疼痛の最も有効な治療法は何かと尋ねると、多くの方々からトリガーポイント注射、最近ではボツリヌストキシン注射との答えが返ってくる。確か
。に有効な治療法であるが、筋全体に緊張がある状況でトリガーポイントに注射しても期待するほどの効果が得られない。米国の口腔顔面痛センターでは筋・筋膜疼痛に対してどのような治療が行われているのか、基本的にセルフケアとして開口ストレッチとかみしめ中止指導、オフイス治療として超音波を併用したトリガーポイントプレッシャーリリースが行われる。
超音波併用トリガーポイントプレッシャーリリースの実際
超音波照射により筋肉の深部温度が3-4度上がり、トリガーポイントを構成するコラーゲンが軟化してリリースしやすくなる。深部温度が上がった状況でトリガーポイントである硬結部を1kg程度の圧でゆっくり起始部から停止部に、停止部から起始部に向かって一方向に筋を延ばすように指先を2-3cm程度滑らして、最初は途中でコリンと硬結部(英語ではbarrier垣根、進行を妨げる障害物)が指の下をくぐり抜けていくのを感じながらリリースする。次に、硬結を指先に感じながらくぐり抜けさせないように次第に圧力を約2-3kgに高め、指先が硬結部に乗り上げた状態で移動を止めて10-60秒間、指圧のように加圧することがポイントである。トリガーポイントの軟化、消失まで、超音波照射と術後に痛みが残らない程度に圧を高めてトリガーポイントプレッシャーリリースを繰り返えす。
ハンズオンセミナーの手順
受講者が2人一組となり、担当インストラクターの元に下記の手順で相互実習を行う。
- 咬筋を触診して、タウトバンド、トリガーポイントを触知、関連痛を確認する。
- 超音波照射(最初に、2W、90秒照射)を行い、照射部が加温されることを実感する。
- 咬筋全体の触診を行い、タウトバンド、硬結、トリガーポイントを再確認し、約1kgの加圧でトリガーポイントプレッシャーリリースを行う。
- その後は、超音波照射(2W、30秒)とトリガーポイントプレッシャーリリース(約2-3kg加圧)を繰り返す。
2024年08月22日 20:35