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口腔顔面痛(原因不明の歯痛、顔の痛み、顎関節症)に慶應義塾大学での永年の経験と米国口腔顔面痛専門医資格を持つ和嶋浩一が対応します

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解釈モデルを聞きましょう 痛み患者は不安がいっぱい

患者さんが自らの病気(illness)(医師のとらえる疾病 disease)を解釈する枠組みを、解釈モデル(説明モデル)といいます。解釈モデルは米国発祥で、英国では患者さんの自分の病気に関する解釈(Ideas)認知、とらわれ、心配(Concerns) 感情、不安、期待(Expectations)治療への期待の頭文字をとってICEと言います。概念は共通で、患者が病気の当事者として1)自分の病気の原因をどうとらえ、2)なぜ発症したのか、3)どの程度重いのか、4)予後はどうなのか、5)どんな治療が必要なのか等、の患者自身の病気の解釈です。一方、医療者側には当然のこととして診察の結果、診断がなされ、治療方針が立てられます。
私は患者さんの解釈モデルをホワイトボードに例えています。医療者は患者さんの解釈モデル、ホワイトボードには自分たちが考える事と余り相違の無いことが書かれていると思われていたのですが、実際にはかなり異なったことが書かれていることが多いのです。異なっていることが書かれているというのは、聞いてみて初めて判ることで、医療者に患者さんのホワイトボードを覗いてみようという気が無いと判りません。患者さんのホワイトボードに何が書かれているかを知るには、時間が許せば、初診患者には少なくとも5分間は自由に遮らないで来院の理由を語ってもらう事です。
患者さんは心配顔で、症状、経過を必死に訴えます、発症以来、何軒も掛かかり、あるところでは、痛みに見合うような異常は無い、原因不明といわれ、原因が無いはずがない、なぜ原因が判らないのだろうと不安になり、自分の痛みを判ってくれないことに怒りがこみ上げることもあるという。あるところでは治療を受けたが、全く改善しない、そして、改善しない理由をいろいろ話されて、さらに心配になる。最終的には抜歯を提案されたり、自分から望んだりして、抜歯したが全く改善しない、抜歯を提案されたことに怒りが湧き、抜歯を望んだことに後悔してしまう。
このような心理状況では冷静な判断は出来ず、痛みの感受性が高まり、不快感が増強されて、患者さんの行動を形成する神経心理学的変化が生じてしまいドクターショッピングを続けざるを得なくなってしまいます。
以前に治療により不安が高まることにより、自覚的な痛みが亢進してしまった例を紹介しています、インプラント上部構造操作時の痛みからうつ状態になってインプラント治療の継続が出来なくなってしまった例、医療ハイフによる筋・筋膜疼痛から歯痛が生じ、原因不明のまま歯科治療を受け不安感が増して痛みが続いている例、根管治療が奏功しないため再植、抜歯、他施設受診により不安が増して痛みが亢進してしまった例です。
その後も、同様に不安で痛み亢進の患者さんが多いです。根管治療を続けているが、詳しい丁寧な説明を聞く毎に悪い経過ばかり考えて不安が増して痛みも強まってしまう例。治療の際に、担当医が隣に座っている患者さんとトラブルになり、相当な言い合いをした後に自分のところに来た、患者さん本人も隣のトラブルを聞いてびっくり、不安感いっぱい、この先生こんなに怒るんだという驚きと共にこの先生怒ったままに自分の治療、その治療が非常に乱暴に感じられ、この治療でちゃんと治るのかという不安が生じて痛みが強くなってしまった。睡眠障害が生じて、1時間半毎に目が覚めてしまう状況が続いていると言う話でした。
痛み患者さんの解釈モデル、ホワイトボードにはいろいろなことが書かれていました。
このような状況ではどのような治療、対応が必要でしょうか、痛み診療は、痛み、機能障害、破局思考、不安、抑うつの改善を目的に、身体的治療枠組みだけではなく、精神、心理的治療枠組みで行われます。不安が高まっている患者さんには英語圏で良くでてくる単語がReassurance (reassureの意味は「安心させる」で、語源はre(もう一度)とassure(安心させる))です。単純には、繰り返し安心させることだと思います。これが不安が高まっている痛み患者さん治療の第一歩です。
 
2022年11月07日 11:39

共感が大事 共感は豊かな経験と教養から

世の中DX: Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)、特に医療ではAI(人工知能)を如何に活用するか、AI時代に生き残るにはどうすべきかなど話題が沢山です。
DXとは、日本語では「デジタル革新」や「デジタル変換」という意味の言葉です。DXは「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」ものだということです。今までの作業をデジタル化して効率化するという面とデジタル利用によって新たな局面が生まれるという2面があります。後者の新たな局面作りは大きな課題ですが、私にも何か出来ないかと何時も考えています。

口腔顔面痛におけるAI活用による効率化で思い浮かぶのは臨床診断推論です。その一部を医師のアバターが行い、「こんにちは、どうしましたか」から始まる医療面接をしてくれます。既往歴、治療経過など患者さんの思い出しながらの話しをAIが自動的に整理してカルテに記載。医師には言えないことでも、アバターには言えることもあるでしょう。医師はそれを見ながら、診察を進め、不足の部分を補う。その結果を入力するとAIが臨床診断推論を進めて鑑別診断や必要な確認事項、検査の候補を出してくれる。それらの結果を入力すると最終診断候補を明示してくれるでしょう。
このような進歩した時代でも求められるのは、医師の患者への共感です。
最近のAIと共感に関する研究を紹介します。
臨床的共感が患者の治療成績を向上させる3つの要素があります。
①正しい診断のための良好な病歴聴取において医師が共感を示した場合、患者は多くの情報を開示する、
②治療結果は治療に対する患者のアドヒアランス(治療を続けてくれる)にかかっており、患者が治療を継続するかどうかに影響する最大の要因は医師への信頼感である、
③共感的な文脈であれば、悪い知らせであっても患者はうまく対処できる、と言われています。
これらを踏まえると、臨床的な対話の場にAIを使用することは、苦痛を感じている患者にとって真の人間的な共感は得られ無い可能性が高く、非倫理的であるとも言えます。
他人同士は 「わかり合える」ことは無いが故に共感が必要であるが、それはAIには出来ないだけではなく、医療面接にマイナスに作用する可能性がある様です。
医療面接の際の医療者の傾聴、受容、共感が如何に重要かと言う事と、医療者が生き残って行くには幅広い豊かな教養、態度を身につけてAIを活用していく必要があるという事になります。
おそらく口腔顔面痛診療は今以上に必要性が高まってくるでしょう。AIなどの利活用が進んでも、「知と癒しの匠」が私の目標です。
  
 
共感について (既出)
参照:わかり合えないが共感できる、でもonlineでは出来ない  https://wajima-ofp.com/blog_articles/1653881240.html

  医療面接の際の医療者の態度の原則は傾聴、受容、共感です。この3つをまとめて「積極的傾聴」と言うようです。
•傾聴は、アメリカの心理学者でカウンセリングの大家であるカール・ロジャーズによって提唱された。
•傾聴を「積極的傾聴」と呼び、自らが行ったカウンセリングの事例を分析して、話を聴く側には3つの要素が必要であると説いている。
1.自己一致(Congruence):話を聴いて分からないことをそのままにせず聴き直す等、常に真摯な態度で真意を把握する (傾聴)
2.無条件の肯定的配慮(Unconditional positive regard):善悪や好き嫌いと  いった評価をせず、肯定的な関心を持ちながら話を聴く(受容)
3.共感的理解(Empathic understanding):相手の立場になって話を聴く(共感)
 
この共感について、
•人間関係 「わかり合える」 は誤解で、他人同士は 「わかり合える」 ことは無いそうです。
•わかり合えないことを前提とした上で、どのように患者と折り合いをつけるか。
•他者のことを完全に理解するのは不可能でも、人間の脳には元来、相手に共感しようとする機能が備わっている。
•ミラーニューロンとはその名(ミラー鏡)の通り、他者の行動を見て、自分が行動したかのように脳内で反応する神経細胞のことを言う。
•他人の心を推測する神経モジュールとしての機能がある 相手の行動を脳内で模倣することで、そのときに抱く感情を自分事として理解し、「相手がどう感じているか」を推測しようとする。簡単に言えば、過去の経験に基づき、自分の外の世界の仕組みを脳内でシミュレーションする神経機構のこと。
つまり、人との触れ合いとそれに伴う経験値、あるいは身につけた教養が豊かなほど、内部モデルのデータベースも豊富に蓄積されていく。それに伴い「心の理論」も成熟され、共感の幅が広がり、他者の感情を汲み取ることができる脳が育成されると言う事です。
これによって、患者さんと話していて、患者さんの体験、感情に共感(自分が行動したかのように脳内で反応する)するのだそうです。
 
2022年10月15日 09:11

解釈モデルと医療者が考えた病気のストーリーを摺り合わせる

今日のテーマは解釈モデルと医療者が考えた病気のストーリー
解釈モデルとは患者さんが自分の病気について考えていることです、患者さん自身の病気とはいえ、その理解は正しいとは限りません。しかし、我々治療する側としては患者さんが自分自身の病気についてどう考えているかについての情報を得ることは非常に大事です。
この解釈モデルにうまくかみ合う概念として、医療者側の解釈モデルとでも言うか、解釈モデルとうまく噛み合うこととして、私自身が考えているのは、医療者の考える患者さんの病気のストーリーを作るべきと考えています。
医療面接を終え、一通り診察をし、いろいろ検査をして患者さんの病気の診断がつきます、医療面接の時点で患者さんの解釈モデルはある程度推定されています。直接質問しなくても、患者さんが自分自身の病気についてどう思っているのかは言葉の端々に出てきますので、そこから患者さんはどう考えているのかをある程度把握をしながら、もしも患者さんの解釈モデルに間違いがあったとしても、そこでいきなり否定することはしません。
そしていろんな資料が整った段階で、それまでに把握した患者さんの解釈モデルから、あなたは、自分の病気についてこういう風に考えていると思います、これまでの診察から、あなたの病気について、その成り立ちから、どういう経過をたどったのか、どのような治療を受けたかなども含めてこういう様なことが起こり、今現在はこういう状態になっているというような医療者側の考える患者さんの病気のストーリーを作って、患者さんに話すことにしています。
私の作った患者さんの病気のストーリーを聞いて患者さん自身どう思いますか、という問いかけをします。
そこで患者さんは患者さん自身の解釈モデルを吐露してくれます。そこで、もしも我々医療者側の考える病気のストーリーと患者さんの解釈モデルに違いがあったり、ズレがあったら、そこでお互いに話し合って何がずれているのか、同じ病気について病気の持ち主である患者さんとその病気を治療しようとしている我々医療者とで、どこがどのようにずれているのかを明らかにして、治療に入る前に修正する必要があります。これが私の考えている間で解釈モデル、つまり患者さんが自分の病気について患者さん自身が考えていることそれに対して我々治療する側が作った患者さんの病気についてどう考えているかという病気のストーリーがうまく合致するかどうかズレが生じてないかどうか、これを治療に入る前に確認する事が必要なことだと思っています。
 
2022年09月16日 09:43

解釈モデルに不安を見つける 不安を解消するには

歯科の病気の中で一般社会で認知度が低い病気の代表が口腔顔面痛、非歯原性歯痛です。認知度が低い故に、診断がつかず、不安感、心配が増した状態になり、慢性疼痛になってしまいます。口腔顔面痛の治療には不安感、心配の解消が必須です。

当クリニックを受診する口腔顔面痛の患者さんを診ていて気がつくことは、歯痛、顔面痛の原因が不明、はっきりしないと言う状況のままに歯の治療が続いていたり、何軒も医療機関を受けているが納得いく説明が得られないまま、症状が始まってから半年、1年という状況にあることです。このような憂うべき状況は、口腔顔面痛、非歯原性歯痛が一般社会、患者さんに知らないだけで無く、歯科関係者においても認知度が低いことによります。
もう一つの、歯と関係ない病気に顎関節症があります。
顎関節症はかみ合わせの異常が原因だから、かみ合わせの治療をすれば治るという誤った情報が広まっているが、それでも「信じれば救われる、治る」そのもので、「治りますよ」のひと言で改善することもあります。Sef-limitedと言われるように、幸にして治りやすい病気なので深みに嵌まってしまうことが少ないようです。
当クリニックで行うことは、充分に時間をかけて医療面接し、これまでの経過を聞き、その中で患者さんがこの病気をどのように捉えているのかも聞きます。多くの患者さんは病気について大きな不安と⼼配を抱えていることが判ります。
患者さんの不満は⼤きくは(1)医師が何を⾔っているのか分からなかった、(2)⾔いたいことを⾔えなかったの2つです。
(1)に対しては、診断がついた後は、治療の前に病気についての説明です。患者さんの自身の痛み、病気についての解釈、認知、捉え方を聞き出しながら、標準的な理解とのズレを修正します。
この治療をすれば改善するのにと、治療を始めたい気持ちを抑えつつ、患者さんの納得のいくまで、腑に落ちるまで病気を説明します。
(2)については、最初に数分⾃由に話してもらって います。その間、⼝を挟まずに相槌を打って話を聞くのに徹します。そうしてから治療の話を始めます。

医師と患者の間にはたくさんのコミュニケーション・エラーが発生していて、原因の一端は医師側にあります。医師がみんな最初からコミュニケーションが得意なわけではなくて、意識的にコミュニケーションの訓練をしてな んとかなっている⼈が多いと思います。しかし、訓練をせず苦⼿なまま年齢を重ねてしまう医師も少なからずいます。 私もその一人です。研修医など若いうちは指導医や患者さんから指摘を受けることもありますが、ある程度年がいってしまうと、患者さんは不安 や不満を持っていても我慢してしまうので、フィードバックが受けられなくなってしまいます。若いうちに身につけておかないと、キャリアを積んでから訓練するのは⼤変だと思います。
2022年08月05日 09:27

痛覚変調性疼痛と心因性疼痛は何が違うか、本態は患者さんの不安だと思う

痛覚変調性疼痛が話題になってから、私の関心は従来の心因性疼痛と痛覚変調性疼痛の関連性と心因性という用語はなぜ用いられたのか、どのような事を意味していたのか、実際の臨床の中で該当する患者さんを探して、何が心因性なのか、痛覚変調性は何を意味するのか確かめてみることです。天の邪鬼な性格故に皆さんの痛覚変調性疼痛理解とは別な方向に進んでいます。
解釈モデルを知り、解釈モデルをホワイトボードに例えて、今現在、患者さんがどんな事を考えているのかを、ホワイトボードに何と書かれているかを確認するよう務めています。その結果、私の診査診断の結果の治療方針とズレの有無が明らかになる。ズレがある場合、なぜそのように考えるようになったのか、うつ病に代表される歪んだ認知、考え方があるのか等が、カルテに文字化されて書かれ、明らかに認識出来る様になりました。
その中で気になるのは、慢性痛の患者さんは大きな不安感を抱えていることです。
始まりは痛み、多くの痛みは痛みを感じる部分に痛みの原因があり、医者に診てもらえば診断が決まり、治療するとすぐに治ると思っています、そのように解釈モデルには書かれていました。
歪んだ認知、考え方によるズレという前に、ズレを生む大きな問題が目の前にありました。口腔顔面痛の代表的な疾患である非歯原性歯痛では痛みの感じる部分と痛みの原因部分が異なる異所性疼痛なのです。我々口腔顔面痛専門医は当たり前になってしまっていますが、自分で改めて考えても変ですし、患者さんが混乱するのは当然の事と思います。
このような混乱を生む状況をしっかり把握し、どうすれば混乱を防げるかの対策を考えています。
患者さんが痛みを訴える部分には原因になるような異常が認められない、ここで一般診療では原因不明ということで診断が進まなくなります。これによって、「ここに原因があるのだから、ここを治療すればすぐにでも治るのに」という患者さんの解釈モデルと一致しない部分が出てきます。その結果として患者さんの認知は変わり、「自分の言っている事が信じてもらえない、だから解決に向かわない、どうすれば良いのか、別な病院探さなければならないのか」、そして気分、感情は「めちゃくちゃ不安」となります。非歯原性歯痛だけで無く、様々な痛みの治療を受ける過程で解釈モデルと診断、治療方針にズレが生じていると患者さんが不安を感じることが多いようです。
この不安感によって身体反応、身体感覚として痛みが強く感じられることとなります。私はこの部分が心因性疼痛であり、痛覚変調性疼痛の局面だろうと思います。
この状況での効果的な治療は、痛み治療よりも不安を和らげることです。痛み診査、治療の経過の中で生じた解釈モデルの混乱、ズレについて、患者さんにとって腑に落ちる説明が得られると不安が解消されます。安心だけでは不安が解消されずに睡眠障害を伴う場合には睡眠導入剤、抗不安薬が有効なこともあります。
最近診た典型的な3例を概説します。

症例1 35歳女性 HIFU(ハイフ)という美容施術を受けた後の咬筋筋・筋膜疼痛となり、歯痛が生じて歯科受診 プラスアルファ
HIFU(ハイフ)とは、High Intensity Focused Ultrasound(高密度焦点式超音波療法)(美容外科からの引用:お肌への負担を限りなく抑えながら高密度の熱エネルギーをお肌の奥まで届かせます。肌内部では受けた損傷を治そうと、コラーゲンが増生されます。この作用によりお肌が内側から引き締められ、お顔を引き上げていきます。)
ハイフを受けた後、頬部に痛み、歯痛も生じて、歯科受診。患者さんにとってハイフで頬部が痛いのは想定内、しかし、歯痛も関連するとは全く思わず。歯痛がハイフにより生じた咬筋筋・筋膜疼痛の関連痛とは考えなかった。異所性疼痛ですから当然と言えば当然、 ところが歯科医も診断できず。知覚過敏の診断で、繰り返し知覚過敏処置と負担過重軽減のために咬合調整。咬むと咬合面がしみると言う事で咬合面にもコーティング、当然、早期接触が生じ、かみ合わせがおかしいという異和感、そこを削る、また、しみるの繰り返し。患者が説明を求めると、毎回違った説明と新たな治療法提案、患者は不安感が高じて、自ら心療内科受診、そこで抗不安薬が処方され服薬、痛みは日ごとに改善してきた。
しかし、頬部の鈍痛、当初はハイファの術後痛と理解していたが、こんなにも続くものかと不安が強くなってきた。また、歯痛があり、冷水はしみなくなったが噛み方によりギックと激痛が生ずることも不安で受診した。
和嶋の理解と患者説明:歯の持続痛は筋・筋膜疼痛によるものであること、これは最初に遡って、筋緊張の準備因子があったところにハイフの筋膜舳の刺激により筋・筋膜疼痛が生じて頬部痛と関連痛として歯痛が生じた、現在の頬部痛、歯痛もそれが続いていることを説明した。
毎回違った診断と新たな治療法の提示に納得出来なかったことと不安感の高まったことにより痛みが強く感じられた事、患者自らの判断で心療内科受診して、今も抗不安薬を服用しているのは適切だったと思われることを説明した。かみ具合によりギクッとした痛みは咬合調整の結果、象牙質が露出して生じているであろう事を説明し、筋・筋膜疼痛、象牙質露出への治療法を提示した。
 
症例2.上顎前歯部にインプラント、頭出しして、さあ上部構造と言うときに痛みで中断を余儀なくされた。何本かの中の1本のインプラントがネジを締めたり、暫間冠を装着しようと力をかけると激痛が生ずるということで数回挑戦したが痛みが出る事に恐怖感が出てしまい、さらに持続痛も生じて上部構造の作成を一時中断。時期を同じくして、全身状態が悪化、内科の主治医を受診したが内科的には異常なし、大学病院脳神経外科受診、MRI等で検査するが異常なし、口腔外科を受診、筋・筋膜疼痛の診断で筋マッサージの指導を受けた。一向に改善せず、最近は病院に行くために車に乗ることすら出来ず、治療は何も受けていない。家ではほとんど横になっている状態で日常生活が出来ないとのこと。ご主人からの電話相談を受けて、以上の経過を聞いた。インプラント治療中に生ずる痛みがどうしても耐えられないことへの不安感、恐怖から痛みが出て、全身状態にも影響していることを推定して、精神科受診を勧めた。後日電話があり、以下の経過を受けた。精神科受診して、睡眠導入剤と抗うつ薬を処方された、抗うつ薬は副作用のための一日しか服用できなかったが睡眠導入剤が効果的で、睡眠が改善された。約1ヶ月経過して、持続痛は改善し、日常生活が出来るほどになり、元通り自分で車を運転して買い物に出かけられるまでに回復したとの事であった。
和嶋の理解:睡眠導入剤により睡眠が改善され、不安の改善に役立った。持続性疼痛がないこと、治療が中断され、インプラント部に触れなければ痛み刺激はないことにより次第に改善に向かったと推定される。
 
症例3:35歳男性 2ヶ月前に上顎左側6の歯肉痛
 1年前から上顎左側大臼歯部に異和感、上顎左側6は2年前に痛み治療の為に意図的再植、1年間痛み無かったが1年前から痛み再発、次第に増悪。4ヶ月前にかかりつけ医で歯周炎と言う診断でFlap手術を受けた。術後痛みが強く、再診、再植した歯が急性炎症を起こしていると言うことで、再度意図的再植術、術後、痛みは増悪、1週間後に抜歯、さらに痛みは強くなり、持続痛に経過中に発作痛が加わった。口腔顔面痛専門医を数軒受診、神経障害性疼痛、筋・筋膜疼痛、の診断、神経障害性疼痛の治療として処方されたトリプタノール10mgは翌日眠くて継続出来ず。大学口腔外科では抗菌薬処方。筋・筋膜疼痛専門整形外科受診、咬筋にトリガーポイントインジェクション、神経内科受診神経学的異常なし、リボトロリール処方されたが杭痙攀薬と書かれていたので服用せず、次にタリージェ処方され、服用したらふらつきで中止。漢方専門医受診、何種類かの漢方薬服用したが効果無し、脳神経外科受診、画像検査異常なし、三叉神経痛の診断でカルバマゼピン処方されるも、ふらつきで中止。次の内科でヂュロキセチン処方、吐き気で中止。大学ペインクリニックで眼窩下孔にブロック注射、効果は不明、その日から突発性難聴で耳鼻科受診、ステロイド治療を受ける、同日に母親が服用しているバランス(抗不安薬)10mgを服用し始める。バランスは以前にものストレスが強い時に服用したことがあった。徐々に痛みが改善。10日後に当クリニック受診、現在は発作痛なし、持続性の2/10鈍痛がある。上顎左側歯肉にallodynia、Hyperalgesiaあり、顔面左側v2に触覚鈍麻、痛覚過敏あり、咀嚼筋圧痛無し。現在、バランス(抗不安薬)のみ継続服用中。  
気になった事、最初はChairに座って、握りこぶしををつくり、身体を強ばらせていた、これまでの治療経過を聞いて、想定される原因と症状のストーリーを話していると、実は、実は、といくつもの新しい情報 そして、診療が終わったときには握りこぶしがほぐれていた。
和嶋の理解と患者説明:1)何らかの器質的痛みがあった可能性、2)そこに切開の外科的侵襲が加わった。腫れたとは言っていないので、感染、化膿は無かった様である。3)痛みへの不安により痛覚変調性して、痛み増悪、4)そこに意図的再植、抜歯外科処置の侵害刺激が加えられ、痛みは増悪し不安が増す。5)痛みが強いので、口腔顔面痛専門医を始め、複数の痛み関連診療科を受診するも改善せず、さらに不安が増し、痛みは増悪。6)ストレス性と思われる特発性難聴発症、改善因子として7)大学ペインクリニックで眼窩下孔にブロック注射と8)自分判断でバランス服用、を説明した。
現在残る症状として、感覚障害がある、三叉神経痛とは思えない、筋・筋膜疼痛でもないこと、眼窩下孔にブロック注射と抗不安薬のバランス服用が奏功した可能性がある事を説明した。今回の経過中大きな不安が生じたことは何らかの精神的素因が考えられるので、バランス服用の管理も兼ねて精神科受診を勧めた。


 
2022年08月03日 18:12

非歯原性歯痛 解釈モデルのズレから痛覚変調性疼痛へ

前記の「非歯原性歯痛患者への「原因不明、異常なし」と見捨てられ感」では歯が痛いと幾ら訴えても満足行く治療が受けられない、あるいは痛い訴えた歯の治療が始まったが一向に改善しない、その結果として痛みが強くなってしまう、という非歯原性歯痛診断、治療の現状を危惧して紹介しました。
また、医療の現場において、患者さんの自動思考に始まる解釈モデル、つまり「患者の自身の病気の理解、認知、把握」と「医者の診断、治療方針」にズレがあることが多いことも紹介しました。この解釈モデルのズレに起因する「痛覚過敏=痛覚変調性疼痛」に至る下記の過程を提案しました。
1)「解釈モデルは患者さんの自動思考により作られる」、「歪んだ、不合理な思考により片寄った解釈モデルが作られる」
2)「患者さんの片寄った解釈モデルと医者の診断にズレがあると、不安が生ずる」
3)「不安亢進、痛みを強める気分による痛覚過敏=痛覚変調性疼痛」に至る過程が想定されます。
この仮説は「患者の自身の病気の理解、認知、把握」が「医者の診断、治療方針」とズレがあることが始まりですが、非歯原性歯痛ではこのズレに大きな差異があることに気づきました。非歯原性歯痛が一般社会で認知されていない現状で、「患者さんに自身の病気の正しい理解、認知、把握」を求めることが元々無理である点です。非歯原性歯痛は「痛みを感じる部分と痛みの原因部分が異なるという異所性疼痛」であるからです。
従って、上記の解釈モデルのズレに起因する「痛覚過敏=痛覚変調性疼痛」に至る仮説は修正が必要です。非歯原性歯痛の解釈モデルの始まりに修正が必要で、修正案は下記の様になります。
1)「非歯原性歯痛の解釈モデルは患者さんの感覚、痛み経験により歯痛として作られる」
2)「患者さんが感じたままの歯痛の解釈モデルと非歯原性歯痛を知らない歯科医師の診断にズレがあるので不安が生ずる」 患者さんが痛みを感じる部分の異常を訴えても、元からその部位には異常が無いので、非歯原性歯痛を知らない歯科医師は異常が無い、あるいは原因不明と診断する。患者は痛みが続くのにも関わらず、痛みを理解してもらえない、診断してもらえないことから不安感が増して来る。
3)「不安亢進、さらに、痛みを強める気分が加わる事により痛覚過敏=痛覚変調性疼痛」に至る過程が想定されます。
1)歯の痛みは歯に感じられ、歯に原因があるという、感覚、痛み経験により湧き上がる非歯原性歯痛の解釈モデル、2)、歯の痛みは続く、しかし、歯痛の専門医であるはずの歯科医師は違うという、非歯原性歯痛を知らない歯科医師の診断とのズレにより不安が増悪してしまう、3)a)持続する痛みによる中枢神経系の感作および痛み、b)不安によって、破滅的思考(マイナス思考)が高まることによる中枢神経系の感作のa,b二つの作用により中枢感作が起こり痛覚が過敏となってしまう、このような過程、結果が痛覚変調性疼痛そのものではないかと思います。
さて、解決策は、3)「痛覚過敏=痛覚変調性疼痛」に至る前の1.2)の過程で適切な介入が出来れば、それ以上の悪化を防ぐことが出来ます。
1)歯の痛みは歯に感じられ、歯に原因があるという、感覚、痛み経験により湧き上がる非歯原性歯痛の解釈モデル:患者さんを含めた一般社会の非歯原性歯痛の認知度を高める
2)、歯の痛みは続く、しかし、歯痛の専門医であるはずの歯科医師は違うという:全ての歯科医師が、患者さんが痛みを訴える歯に異常が認められなかった時に非歯原性歯痛ではと想起できる程度の歯科医師の基礎教育を行う、また、患者さんが痛いと感じる歯に異常がありませんと診断された時に私の歯は非歯原性歯痛ではないでしょうかと言える位に非歯原性歯痛を一般社会に認知してもらう。
結論は歯科医師は当然として、一般社会においても非歯原性歯痛の認知度を上げる努力が必要だということになります。
2022年07月25日 20:46

わかり合えないが共感できる、でもonlineでは出来ない

医療面接の際の医療者の態度の原則は傾聴、受容、共感です。オリジナルを調べるとこの3つをまとめて「積極的傾聴」と言うようです。
•傾聴は、アメリカの心理学者でカウンセリングの大家であるカール・ロジャーズによって提唱された。
•傾聴を「積極的傾聴」と呼び、自らが行ったカウンセリングの事例を分析して、話を聴く側には3つの要素が必要であると説いている。
1.自己一致(Congruence):話を聴いて分からないことをそのままにせず聴き直す等、常に真摯な態度で真意を把握する (傾聴)
2.無条件の肯定的配慮(Unconditional positive regard):善悪や好き嫌いと  いった評価をせず、肯定的な関心を持ちながら話を聴く(受容)
3.共感的理解(Empathic understanding):相手の立場になって話を聴く(共感)

この共感について
•人間関係 「わかり合える」 は誤解で、他人同士は 「わかり合える」 ことは無いそうです。
•わかり合えないことを前提とした上で、どのように患者と折り合いをつけるか。
•他者のことを完全に理解するのは不可能でも、人間の脳には元来、相手に共感しようとする機能が備わっている。
•ミラーニューロンとはその名(ミラー鏡)の通り、他者の行動を見て、自分が行動したかのように脳内で反応する神経細胞のことを言う。
•他人の心を推測する神経モジュールとしての機能がある 相手の行動を脳内で模倣することで、そのときに抱く感情を自分事として理解し、「相手がどう感じているか」を推測しようとする。簡単に言えば、過去の経験に基づき、自分の外の世界の仕組みを脳内でシミュレーションする神経機構のこと。
つまり、人との触れ合いとそれに伴う経験値、あるいは身につけた教養が豊かなほど、内部モデルのデータベースも豊富に蓄積されていく。それに伴い「心の理論」も成熟され、共感の幅が広がり、他者の感情を汲み取ることができる脳が育成されると言う事です。これによって、患者さんと話していて、患者さんの体験、感情に共感(自分が行動したかのように脳内で反応する)するのだそうです。

オンラインの弱点が見つかりました。対面で会話するとお互いに「共感」するのに対し、オンラインでの会話ではそれが起こらなかったという実験結果が報告されています。「週刊新潮」2022年4月28日号 掲載
コミュニケーションにおいて、大事な役割を果たすのは「視線」です。お互いに視線が合っているか否か、それはお互いに注意を向け、関心を持っていることを示す最も大きなサインです。これは「人間らしいコミュニケーション」ともいえます。動物だと、視線を合わせることは相手を「襲おうとしている」サインになりますが、人間だけは「自分に興味を持ってくれている」と善意に解釈する。
この人間らしいコミュニケーションの大事な要素である視線が、オンラインだとどうしてもずれてしまいます。画面上に映る相手の目を見ようとすれば、自分を撮っているカメラから視線を外すことになる。逆にカメラを見ると、相手の目は見られない。つまり視線は合わない。ゆえに脳は同期しないと言うことです。

和嶋対策 このことは以前から気になっていたのでカメラ目線で、なおかつ相手の顔を見られるようにカメラの位置をいろいろ変えてみています。結論は、相手が映っている画面と自分の目を結ぶ線上にカメラを位置付ける。カメラをどうやって固定するか、試行錯誤しています。
 
2022年05月30日 12:27

解釈モデル 腑に落ちない説明により不安が増して痛み過敏

慢性痛の患者さんが、なぜ、治療に満足できないのか、なぜ、多くの患者さんが中断、転院してしまうのか、なぜ治療でもめたりするのか。
理由の一つは、解釈モデル、つまり患者の自身の病気の理解、認知、把握と医者の診断、治療方針にズレがあるままに治療が行われるからだと思います。
1)「解釈モデルは患者さんの自動思考により作られる」、「歪んだ、不合理な思考により片寄った解釈モデルが作られる」
2)「患者さんの片寄った解釈モデルと医者の診断にズレがあると、不安が生ずる」
3)「不安亢進、痛みを強める気分による痛覚過敏=痛覚変調性疼痛」に至る過程が想定されます。
この過程でズレの修正ポイントを探して介入する、そして、患者と医者で病気の理解にズレのない状況で治療を行うことが望まれます。
既製の概念ではshared decision makingに類似した仮説です。
今後は臨床において、簡便に出来る方法を検討する必要があります。
keyword:解釈モデル、自動思考、歪んだ認知、不安、痛みを強める気分、痛覚変調性疼痛
2022年05月07日 15:13

解釈モデルの聞き方

解釈モデルの聞き方 
英国発診療モデルICE( Idea:自分の病気の解釈、Concerns病気への不安、Expectations 医者、治療への期待)のすすめ
 
慢性的な痛みを抱えている患者さんは、痛みについて自分なりにいろいろなことを考えています。この症状の原因はこの病気ではないかと不安に思っているうえに、診察、検査や治療について、このようなことをしてほしいと期待していることがあります。患者さんが考えていること、心配していること、期待している事が判らなければ、私は患者さんが抱えている痛みに近づくことさえできません。たとえ、「正しい診断をくだした」と私が自己満足を覚えたとしても、患者さんが不安感をぬぐえず、不満を抱えたまま自宅に戻ることになります。慢性の痛みの治療において最も有効な治療法は、患者さんに安心してもらうことだというのに、出来ていないと言う事です。
患者さんが自分の病気についてあれこれ考えていることを一般的に解釈モデルといいます。
慢性経過している場合、なかなか診断がつかない場合には特に患者さんが自身の病気について、自分のもつ病気に関する知識のなかであれこれ考えてしまいます。最近ではインターネントで沢山の情報を集めて、悪い病気を当てはめてしまう傾向があります。
患者さんが病気の当事者として1)自分の病気の原因をどうとらえ、2)なぜ発症したのか、3)どの程度重いのか、4)予後はどうなのか、5)どんな治療が必要なのか等、自身の病気について想定していることがあります。このように患者さんが自分の病気について思っていることを、自分の言葉で述べてもらい顕かにしてもらいます。
解釈モデルを上手く把握するためには、出来るだけ患者さんに自発的に多く語ってもらうようにします。そのためには、時間が許せば、初診患者には少なくとも5分間は自由に遮らないで来院の理由を語ってもらいます。

例えば、最近私のところを受診したAさんの話。歯が痛かったのでかかりつけ医を受診した、明らかな原因はないので経過を診るように言われた。数週間しても治らないのでもう一度受診したが特に痛みの原因になるような歯は無いとのことであった。その後の痛みは治らないので不安になって、別な歯科を受診した。1ヶ月以上も痛みが続いていると訴えたら、かみ合わせに小さな虫歯があるので削って詰めましょうと言われ、治療を受けた。一週間経っても痛みが治らないので、再度受診して、もう一度調べ直してもらった。「虫歯を削って詰めても痛みが治らないなら、神経を抜くしかないです」と言われて、痛みに耐えかねて、神経を抜いてもらった。しかし、その後も痛みは全く変わらず続いている。治療が上手く行かなかったのではないか、治療のミスがあったのではないか、隣の歯が原因だったのではないか、炎症が骨に拡がっているのではないか、腫瘍があるのではないかなど、いろいろ考えてしまう。インターネットで調べると原因不明の歯痛は非定型歯痛であると書かれていた、私の歯痛も非定型歯痛ではないかと心配になり、治療してくれるところを探して、ここに受診しました、という話しであった。

解釈モデルの捉え方にいろいろな方法がありますが、英国のGeneral Practitionerが通常用いるICE( Idea:自分の病気の解釈、Concerns:病気への不安、Expectations:医者、治療への期待)が患者さんの状況を把握するのが便利です。
患者さんは自分の歯痛が非定型歯痛ではないかと思っている、その他に痛みが治らない原因をいろいろ考えている、インターネットでは非定型歯痛は治り難い、薬を飲まなければならないと書かれていた、私もそうなのか不安である、ここは原因不明の歯痛の専門クリニックだと聞いて、ここにかかれば治るかも知れないと期待して受診した、ということでした。
患者さんの考えている事が大枠判りましたので痛みの性質についてもっと詳しく尋ねる為に構造化問診に進みましょう。
注:ICEは1984年オックスフォード大学社会心理学者デヴィッド・ペンドルトンと同僚のGPが最初に提案した診療モデルの基本です。
 
2022年04月06日 11:47

解釈モデルとは 聞きましょう、患者さんの考えていること

•患者さんが自らの病気(illness、医師のとらえる疾病 disease)を解釈する枠組みを、解釈モデル(説明モデル)と言います。  
Harvard 大学医学部の医療人類学と精神医学の教授であるKleinmann、Aが提唱した概念です。
•患者さんが病気の当事者として1)自分の病気の原因をどうとらえ、2)なぜ発症したのか、3)どの程度重いのか、4)予後はどうなのか、5)どんな治療が必要なのか等、自身の病気について想定していることがあります。
慢性経過している場合、なかなか診断がつかない場合には特に患者さんが自身の病気について、自分のもつ病気に関する知識のなかであれこれ考えてしまいます。そのように患者さんの自分の病気について思っていることを、自分の言葉で述べてもらい顕かにしてもらいます。これにより、患者と医者の病気認識のズレを少なくし、 患者さんが納得、満足のいく診療が進められます。
・2008年頃に歯科でもOSCEという、患者さんでの実習に必要な臨床実地能力があるかどうかの試験が始まり、このための教育も行われるようになりました。この教育の中に解釈モデルも含まれていますので、卒後15年以内の歯科医師は知っています。私はつい最近まで知りませんでした。北里大學の宮岡教授に教えてもらい、臨床に活用しています。
患者さんと私が、病気の理解が違うと話しがかみ合わなくなります。話していて異和感がある場合には患者さんの解釈モデルが私の考えが違っている訳です。最近は医療面接の段階で必ず確認しています。

臨床の場で、病気について患者さんとの食い違いを無くすために、このようなことをしています。こちらも覧てください。
解釈モデルと医療者が考えた病気のストーリーを摺り合わせる
https://wajima-ofp.com/blog_articles/1663289038.html
 
2021年10月31日 11:04