世界の顎関節症治療の常識 最新情報から
世界の顎関節症治療の常識 最新情報から 参考文献未だに日本の顎関節症治療は混乱しています。かみ合わせを直して顎関節症を治療することを専門としている歯科医院のホームpageを見ます。
本当にかみ合わせを直すと顎関節症は治るのか、顎関節症の原因はかみ合わせの不具合なのか。そのように考えられていたのは30年以上前の話です。しかし、現在も、歯科医師も含めて医療関係者、マスコミも顎関節症はかみ合わせの不具合からという昔話から抜け出せません、従って、患者さんがそのように思うのは仕方ないですね。
いろいろな忖度があってか、かみ合わせが原因でないとは言えないらしいが、比重はかなり低く、歯を削ったりしてかみ合わせを変える治療はなるべくしないようにと言われています。
世界で初めて、上記の考えが公開されたのは、2010年、米国歯科研究学会AADRが当時の臨床試験、実験研究、疫学研究の証拠に基づくTMD治療に関する声明でした。(AADR顎関節症(TMD)声明 1996、2010.2015改訂、再確認 参考資料1))
特筆されたことは、TMDの自然経過がSelf-limitedで時間の経過とともに改善または消失する傾向である事、従って、歯を削ったり、手術したりせずに保存的、可逆的、かつエビデンスに基づいた治療法を行うことを強く推奨した事でした。
その後、約15年経過し、多くの臨床的データ、疫学研究により2010年のTMD声明に書かれていたことがより確かなものであることが支持されています。しかし、冒頭に書いたように、未だにTMDはかみ合わせの異常であるとか、咬合治療を最優先させる古い考えが残っています。
この度、このような状況を更に改善する事を目的に、米国歯科研究学会AADR単独では無く、国際歯科研究学会(IADR)INfORMグループが踏み込んで、現在の標準的TMD治療の10の重要なポイントを提案した次第です(参考資料2)。この10個のポイントが臨床的に非常に有用です。
2026年4月に米国歯科口腔頭蓋顔面研究学会(The American Association for Dental, Oral, and Craniofacial Research: AADOCR、旧米国歯科研究学会、The American Association for Dental Research AADR)が2010年に公開した「AADR顎関節症(TMD)声明」の改訂版として顎関節症(TMD)に関する立場表明(公開日:2026年4月7日)を公開しました。
強調されていることは、「TMDは慢性口腔顔面痛の最も一般的な原因です。さらに、TMDは全身疾患と関連している可能性があり、他の重複または併存する痛みの状態(併存疾患)と関連している可能性が高いです。慢性TMDは、より痛みが強く障害と関連しており、生活の質に大きな影響を与えます。」と慢性痛に言及している事です。
2024年IADRのINfORMネットワーク発行の参考資料2の内容もふまえて、「TMD管理に関する標準治療推奨事項(現在の標準的TMD治療の10の重要なポイント)」が再確認されています。2010年声明同様に、「TMD 患者の治療は主にセルフケアとして、保存的、可逆的、エビデンスに基づいた治療法を行うことを推奨しています。TMD 治療は痛みを下げ、機能障害を減らし、その影響を最小限にすることを目標とするべきです。」と強調しています。さらに、「TMD の自然経過に関する研究は、TMD症状は時間の経過とともに改善または解消する傾向があることを示唆しています。具体的には、軟組織および関節内の硬組織の状態の約 70 パーセントは時間の経過とともに安定してきます。」と述べています。つまり、70%はSelf-limitedであり、不可逆的な治療をしてはならず,残りの30%は慢性化する可能性が高いために特別な注意が必要であることが強調されている。そして、AADOCR は、この慢性的TMD の多因子的な性質に対処する、歯科だけではなく学際的な教育と研究の取り組みを促進することに尽力していると書かれている。
2026年06月06日 21:37