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口腔顔面痛(原因不明の歯痛、顔の痛み、顎関節症)に慶應義塾大学での永年の経験と米国口腔顔面痛専門医資格を持つ和嶋浩一が対応します

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2026日本顎関節学会学術大会参加して感じたこと

日本顎関節学会学術大会参加して感じたこと
2年ぶりの参加でした。一番気になったことは、円板転位、30年前の自分でやった研究結果かと錯覚するような発表が多かった。大会長のランチョンセミナーは20年前の自身の研究結果だとはっきり言っていました。

2日間の発表を聞いて強く感じたことは、口腔外科医、補綴科医、矯正科医がそれぞれの教育、研究、臨床の基盤を元とした顎関節症の捉えかたがかなり異なる事でした。少なくとも10数年前の顎関節症病態分類(2013)が出た頃は共通性があったように思っていましたが、今回の学会で、同じ顎関節症病態でも捉え方、治療法がこんなに違うんだと感じました。顎関節症教育を考えると、各大学により顎関節症を教育する担当科が異なる事から、教科書は同じでも学生のイメージはことなるだろう、また、卒業後勤務した医院、病院の指導医の専門家により得意技が違って行くのだろうと思いました。顎関節症の捉え方、治療法に関して中立的な教育への統合は必要だろうと強く思いました。奇しくも韓国からの招聘講演者が同様の事を言っていました、韓国は顎関節症に直接関わる学会と間接的に関わる学会がいくつかあって、内容が異なるようであるようで(統合)が必要であると。

商品展示のコーナーに顎運動の3次元計測機器があり、この機械の計測結果を使ってスプリントを作ると良いモノが出来ますよと宣伝していました。計測原理は30年以上前と同じ、当時は1分の計測をしたら演算の間に食事に出て、戻ってきたら軌跡が表示されていました、進歩はコンピューターの演算能力、計測すると即時に3次元表示ができることです。AADOCRのTMDPositionPaperには、「現在、診療室で使用される電子診断機器は、TMDの有無(症例群と対照群)を区別したり、TMDのサブグループ(疼痛性または関節内診断)を区別したりするために必要な臨床的妥当性(感度と特異度)を欠いています。」と書かれています。良いスプリントが出来るかどうかは書いてありませんが、30年以上前にデジタルで顎運動計測を研究した経験からは、顎運動計測という根本的概念がそれ程に役に立つモノとは思えません。

今回の学会での最大の収穫は海外招聘講演のEric Schiffmanの講演でした。2014年に出されたDC/TMD顎関節症の病態診断について、今更何か新しいことがあるのかと思っていました。予想通り、前半は診断法、そしてそれによる診断精度の話しでした。ところが後半はⅡ軸診断の解説でした。Ⅰ軸はDC/TMDを準用した日本顎関節学会の「顎関節症の病態分類(2013)、 顎関節症診断基準、診断決定樹(2019)その後の診療ガイドラインでも活用されて、日本でも定着していますが第二軸は言及されていませんでした。私も第二軸は評価法が日本では馴染みのないもののため活用していませんでした。第Ⅱ軸は、痛みの裏にある「心理的ストレス」(不安、うつの評価)、「日常生活への支障度」、「全身の症状」(Chronic Overlapping Pain Conditionsの評価)、「日常習癖」を評価するもので、顎関節症を単なる「顎の怪我」ではなく「慢性疼痛」として捉えるための重要な指標です。顎関節症をBiopshychosocialモデルとして捉えるPshychoSocialの部分に当たります。DC/TMD以前にもⅠ軸(身体障害)とⅡ軸(心身医学的評価)の二次元で評価すべきと言う考えがありましたがこの頃は消えていました。
DC/TMDでは、以下のような診断が推奨されています。「第軸:顎関節痛 + 第軸:障害度グレード(支障なし、心身医学的評価:低)」軽度のため、顎のストレッチや生活習慣の改善(マウスピースなど)で経過観察。「第軸:筋膜痛 + 第軸:障害度グレード(全身に症状があり著しい支障、高度の抑うつ・不安傾向)」であり、うつ、不安の心身医学的問題がある顎の治療だけでなく、また、単純なストレスマネジメントだけではなく、症例によっては内科、心療内科・ペインクリニック等と連携したチームアプローチが必要と判断されます。奇しくも、の講演の締めくくりは、「複雑、慢性例に対してはチームアプローチすべき」でした。

もう一つの収穫は韓国の先生の講演の中でMuscle tonicityという用語を使っていました。これは私の研究の一つであった開口抵抗力測定方法開発の目的でした。Muscle tonicityとは、顎関節周辺の筋肉の静止時の緊張と持続的な活性化によって生ずるものです。Muscle tonicityが高いと、咬筋、側頭筋などが過労または過活動になると持続的な痛み、顎の動きの制限、頭痛につながる可能性があると思っています。講演が終わってから質問して情報交換することになりました。
終わってみると、二日間の長野での学会参加、期待するほど涼しく無かったですが、いくつか収穫があり出かけた甲斐がありました。
 
2026年07月13日 17:02

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