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口腔顔面痛(原因不明の歯痛、顔の痛み、顎関節症)に慶應義塾大学での永年の経験と米国口腔顔面痛専門医資格を持つ和嶋浩一が対応します

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オンライン感覚検査 続編 舌診査

オンライン感覚検査 続編 舌診査 オンライン神経障害性疼痛診査 https://wajima-ofp.com/blog_articles/1755509833.html
前編ではオンラインによる歯肉の神経障害性疼痛診査の為の感覚検査について書きました。症例によっては舌に痛みを訴えることもありますので舌の感覚検査を解説します。舌は一体ですが、神経支配は完全に左右に分かれていますので、左右側の比較が出来ると言うことです。舌の神経支配は左右に分かれていることと、触覚、痛覚、温冷感覚は前2/3は三叉神経の舌神経支配であり、後1/3は舌咽神経支配です。
味覚は前2/3は顔面神経の鼓索神経支配であり、後1/3は舌咽神経支配です。
  • 舌の触覚検査 スプーンで舌背の片側をこすってもらいます。主訴の部位を意識せず、変な感じ、嫌な感じ、痛いはないか、数回こすってもらいます。次に反対側も同様に数回こすってもらいます。どちらかに反対側とは異なる感じが無いかどうか、何らかの違いが認められた場合には、繰り返し念入りにさすっても賴、反対側と比較してもらいます。念のために少し時間をおいて、もう一度調べてもらいます。繰り返しの診査で主訴の側に何らか一定の感覚障害が認められたら、神経障害性疼痛の可能性ありです。診査した後に何らかの感覚が残っていないかどうかも聞きます。スプーンだと端があたって痛いと言う場合には綿棒で少し強めにさすってもらいます。
  • 次に、痛覚検査として爪楊枝で舌背をチクチクしてもらいます。最初に舌背の健常側をチクチクして、痛みの感じを覚えてもらいます、次に主訴側の舌背をチクチクして、反対側のチクチクの痛みと同じか、強くないかどうか聞きます。順番を変えて、患側を先にチクチクして、次に健常側をチクチクして、左右の比較をしてもらいます。また、チクチクの感覚が残らないかどうかも聞きます。念のために、少し時間をおいた後にもう一度診査を行ってもらいます。
  • 追加の検査として、保冷剤で冷やしておいたスプーンを用いて、冷感覚テストを行います。舌の診査は口唇、頬粘膜に触れないで出来るのでスプーンを用います。水を含ませた綿棒を保冷剤で冷やして用いても良いです。
最初に、触覚、痛覚テストで異常が認められた反対側舌背に冷やしたスプーンをペタッと当てます。舌は敏感なのですぐに冷たさを感じます。感じたらそのまましばらく当てたままにして痛みが誘発されないかどうか聞きます。次に異常が認められた側の舌背に冷たいスプーンをペタッと当てます。感じるまでの時間にはほとんど差がないと思います。そのまま当てたままにして、痛みが誘発されないかどうか聞きます。また、冷たさの程度を聞き、反対側と比べます。異常側では冷たいスプーンを当てた瞬間に強い冷たさを感じ、当てているとじわーっと痛さが出てきたと訴えることがあります。
ここまでのオンラインでの相談者自身での感覚検査もどきで、実際の診療とほぼ同じ感覚テストが出来ます。この結果はある程度信頼でき、異常が片側に一定して認められた場合には舌の神経障害性疼痛の疑いが高まります。
舌は通常感覚の他に味覚もあります、ベル顔面神経麻痺、帯状疱疹によるラムゼーハント症候群、そしてその後遺症の帯状疱疹後神経痛では舌に味覚障害も認められることがあるので、味覚検査も行います。
  • 味覚検査 事前に味の検査をすること、何か味を感じたら手を挙げてくださいと伝えておきます。水を含ませた綿棒にお塩を少し付けて、それを用いて半側の舌背をスリスリさすります、味を感じたら手を挙げてもらいます、次に反対側を同様に検査します。全く感じないことはなく、いくらか感じるが片方ははっきり感じて、反対側は弱いという反応になることが多いです。うがいしてもらい、順番を変えてもう一度行います。左右差が曖昧な場合にはお酢でもう一度検査してもらいます。  同様の検査を舌後1/3でもやってもらいます。嘔吐反射が出ることがあるので、余り奥までは入れないようにしてもらいます。
味覚検査で味覚低下が診られた場合には顔面神経麻痺が疑われ、ベル麻痺やラムゼーハント症候群、あるいは他の痛み症状と合わせて、後遺症の帯状疱疹後神経痛が疑われます。
希に、味覚が鈍麻ではなく塩味が強く感じられることがあります。これはスーパーテーストと言われ、同側の三叉神経障害による顔面神経の味覚の抑制のバランスが崩れている結果と判断され、多くは舌痛を伴っているためめにurning Mouth Syndromeの治療が必要となります。
前編で解説した歯肉の神経障害性疼痛診査と同様に舌の神経障害性疼痛、味覚検査をくわえた診査ではベル麻痺、ラムゼーハント症候群、あるいは他の痛み症状と合わせて、後遺症の帯状疱疹後神経痛のオンライン診査ができる可能性があります。
 
2025年08月18日 22:04