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口腔顔面痛(原因不明の歯痛、顔の痛み、顎関節症)に慶應義塾大学での永年の経験と米国口腔顔面痛専門医資格を持つ和嶋浩一が対応します

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2025年9月の記事:ブログページ

心理職向けの慢性疼痛に対する認知行動療法

先日、心理職向けの慢性疼痛に対する認知行動療法の一日コースを受けました。コースの内容とは別に、何時も聞いている医師、歯科医師向けの認知行動療法との違いが気になりました。多職種の特性を活かした慢性疼痛治療の有効性です。
医師、歯科医師は慢性疼痛の苦痛の「痛みの治療」しながら、完全回復させることの出来ない事により生ずる「苦悩に対応」しなければならない状況です。患者側からすると、あなたが痛みをちゃんと治療できないから私は苦悩を抱えてしまっているのでしょう、認知行動療法でごまかさないで痛みをちゃんととってください、という要求が何処までも続きます。このような状況ではどちらの治療も上手く進みませんし、治療の雰囲気は両者にとって不幸な状況です。
慢性疼痛治療に多職種が介入することにより、無責任ではなく役務を分担し、それぞれの特性を十分に発揮して治療を進められると思いました。
2025年09月28日 09:07

帯状疱疹後三叉神経痛は誤訳

国際口腔顔面痛分類(ICOP)、国際頭痛分類第3版(ICHD3)に見つかった大きな誤訳
この度、臨床推論実習セミナーの受講生から非常に違和感のある病名を聞かされました。「帯状疱疹後三叉神経痛」です。帯状疱疹の急性期が過ぎて、慢性化したときに持続的な痛みに発作性の痛みが混じることがあります。通常、これを帯状疱疹後神経痛と呼びます。
ところが、慢性化した持続的な痛みは帯状疱疹後神経痛で、そこに混じる発作性の痛みの病名は「帯状疱疹後三叉神経痛」が適切だろうという意見でした。なるほどと思うとともに大きな違和感がありました。そんな病名あったかと思って確認したら、国際口腔顔面痛分類(ICOP)は国際頭痛分類第3版(ICHD3)ともに確かにありました。
「帯状疱疹後三叉神経痛」を字面の通りに解釈すると、帯状疱疹後に起こる、あるいは帯状疱疹に罹患したことが原因で起こる三叉神経痛となります。もっともらしいのですが、これは大間違いで、「帯状疱疹後三叉神経痛」は誤訳です。
「帯状疱疹後三叉神経痛Trigeminal Post-Herpetic Neuralgia」は三叉神経痛の下分類では無く、三叉神経ニューロパチーの下分類として、帯状疱疹による有痛性三叉神経ニューロパチー、外傷後三叉神経ニューロパチーなどと並列に分類されています。つまり、三叉神経痛の下分類ではないのです。
ICHD3βでは明らかにニューロパチーが生じているということで「帯状疱疹後有痛性三叉神経ニューロパチーPost-Herpetic Trigeminal neuropathy」となっていました。しかし、やはり、帯状疱疹後神経痛Post-Herpetic Neuralgiaという用語が普及していることから、ICHD3では再度、改訂されました。ここで誤訳が発生したのです。
帯状疱疹後三叉神経痛の原文はTrigeminal Post-Herpetic Neuralgiaでした。ICHD3βの帯状疱疹後有痛性三叉神経ニューロパチーPost-Herpetic Trigeminal neuropathy」とではtrigeminalの位置が異なります。Trigeminal Post-Herpetic Neuralgiaでは敢えて先頭にtrigeminalを置いてあります。
中間神経の項に類似の分類があります。有痛性中間神経ニューロパチーの下分類に、帯状疱疹後中間神経痛があり、その英文はPost-Herpetic Neuralgia of nervus intermediusです。帯状疱疹後中間神経痛も誤訳です。
帯状疱疹後三叉神経痛Trigeminal Post-Herpetic Neuralgia
帯状疱疹後中間神経痛Post-Herpetic Neuralgia of nervus intermedius
並べて見ると、同じ分類なのに英文に統一性がないのも気になりますが、敢えて帯状疱疹後神経痛という病態を元に英文と日本文を修正するなら、
Trigeminal Post-Herpetic Neuralgia 三叉神経帯状疱疹後神経痛
Nervus intermedius Post-Herpetic Neuralgia 中間神経帯状疱疹後神経痛
これが適切と思います。
国際頭痛分類第4版への改訂が進められているそうです、発刊されるとすぐに日本語訳が出来ますので、間違いが出ないように担当の先生に今から連絡しておこうと思います。
 
 
2025年09月26日 09:17

顎関節症、歯ぎしり、スプリントに関する最新見解

顎関節症(TMD)におけるスプリント治療の最新論文から
歯科におけるスプリントに関するエビデンスは比較的弱く、決定的なものではありません。歯科医師は、歯科スプリントの歴史的発展とその背景にあるエビデンスを理解することが重要です。
TMD症例に取り組む際には、臨床医は病状に影響を及ぼす可能性のある全身的要因も認識しておく必要があります。
現時点では、特定のスプリントの材質、デザイン、または原理が他よりも優れている、または劣っているというエビデンスはありません。
顎関節症治療では関節痛障害、筋痛障害など診断を確定し、適切なスプリントの使用などの個別対応戦略を、薬物療法、理学療法、行動変容、認知行動療法、心理社会的カウンセリングなどの他の治療法と組み合わせて行うことが、慢性TMD症例の管理において最も有効であることが実証されており、再発防止にも重要な役割を果たします。
TMDを管理する歯科医師は、TMJ関連の筋骨格障害を単なる歯科の問題として扱うのではなく、「整形外科的存在」として捉える必要があります。
顎関節症のポイント
•TMD の管理を成功させるには、正確な診断が不可欠です。
•現在の顎関節症治療の進歩は、古い機械的、咬合治療から、学際的、生物心理社会的治療プロトコルと完全な口腔顔面痛の診断プロセスへと移行しています。
•咬合と TMD の因果関係を証明する有効な科学的証拠はまったくありません。
•スプリント療法や理学療法などの比較的短期的な治療法は、単純な症例では良好な結果をもたらします。
•咬合調整は不可逆的であり、顎関節症(TMD)および慢性顎関節痛の治療において効果は限定的、あるいは全くありません。顎関節症および歯ぎしりの治療を目的とした従来の咬合調整には、科学的根拠が欠けています。
•TMD および歯ぎしりの患者に影響を与える全身合併症を認識し、適切に治療することが重要です。

ブラキシズムの概念は過去数十年間で大きく変化した。
• 現在ブラキシズムは障害ではなく、様々な基礎疾患の影響を受ける筋行動とみなされている。歯ぎしりは現在、様々な基礎疾患の影響を受ける筋行動とみなされている。
• 閉塞性無呼吸発作に対して歯ぎしりは保護的役割を果たす可能性がある。
2025年09月06日 10:58

オンラインでも感覚検査が出来ます

オンラインでも感覚検査ができます
オンライン相談を受けていて、相談者の訴えの原因を直接探れないもどかしさから、オンラインでも実施可能ないくつかの診査法を考案して実施しています。もちろん、オンライン相談を申し込む方々は既にいろはいろな治療を受けたが改善していない事から心理的にも窮していることが多いので、傾聴、受容、共感の態度は必須です。
オンライン相談の経験から、実際の診療での診査と同等の診査を行えるのは感覚検査です。オンラインでの手順を説明します。
1)問診により、痛みの種類、痛み部位、経過等を聞きます。
神経障害性疼痛による痛みは、しびれやヒリヒリ、ピリピリ、うずき、灼熱感のように表現されることが多いです。また、三叉神経痛の場合にはビリッとかズキンとした発作性の電気ショック様の痛みを訴えます。
現症を聞くなかで最も重要な点は、痛みの範囲が三叉神経の痛みとして神経解剖学的に妥当であることで、三叉神経のどれかの枝に限局しているはずです。そして、その痛みの部位の神経を刺激するようなエピソードがあったはずです。例えば、抜歯、インプラント、切開、根管治療、歯根端切除術などの後に痛みが生じていることが多いです。
ここまで確認出来ると神経障害性疼痛の疑いが高まります。
2)次はいよいよ感覚検査です、   https://wajima-ofp.com/blog_articles/1755509833.html
前もって綿棒と爪楊枝、保冷剤で冷やした小さなスプーンを用意してもらいます。
麺棒で痛いところの歯として肉をさすってもらい、嫌な感じ、痛みがないかどうか、そして、対照として反対側の歯肉もさすってもらいます。どこかに嫌な感じ、痛いところがあったら、必ず左右を比べてもらいます、一回だけでは無く、何回か繰り返してもらいます。そして、さすった後に嫌な感じや痛みがあった部分になにか感覚が残らないかどうかの残感覚も確認します。次に爪楊枝でチクチク刺激してもらいます、他に比べて痛みが強いところがないかどうかを聞きます。何回か繰り返し、痛いところがあったら左右で比較します。触覚同様に残感覚も確認します。
歯肉の温冷感覚は鈍いのですぐには反応がでません、正常でも冷たさが感じられるまで10秒―20秒くらい掛かります。最初は痛みの無い側の歯肉に冷やしたスプーンをペタッと当ててもらいます。指で唇を引っ張って他に当たらないように気をつけて行ってもらいましょう。歯肉に冷たさが感じられたら何か合図してもらいましょう。何秒で冷たさが感じられたか確認しておきます。
もう一回保冷剤でスプーンを冷やして、麺棒で嫌な感じ、痛かった部位、そして、爪楊枝でチクチクが強かった部位にペタッと当てます。冷たさを感じるのに何秒かかりましたか、敏感ですぐに感じるか、鈍くなってなかなか感じないか、冷たさを感じないがじわーっと痛みが出ることもあります。痛みを感じたらすぐ離して、痛み感覚がどれくらい続くか観察してもらいましょう。
感覚検査は自分だけでも実施することが出来ます。特に害はありません。感覚検査で何らかの異常反応があった場合には神経障害性疼痛の可能性が高まります。ここまでの結果を元に専門医あるいは病院歯科等を受診するように勧めます。
 
2025年09月05日 18:48

口腔診断学会・口腔内科学会共催学会臨床推論シンポジュウム

臨床推論シンポジュウム
 
9月6日、仙台で開催される口腔診断学会・口腔内科学会共催学会において、口腔顔面痛学会コラボレーション・シンポジウムとして、「日々の診療に臨床推論を根付かせる~これからの歯科医師にどう教育するか~」が行われます。私は企画提案者として座長を務めます。
歯学部教育の指標となる「歯学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)に臨床推論が新規作用され、令和6年入学生から教育する事が求められています。
臨床推論で求めているのは、臨床経験に基づいて行われる直感的思考(パターン認識法)から仮説演繹法に代表される分析的臨床推論を学習することです。本文には、主要な症候から鑑別すべき主な原因疾患が示され、その説明として、「症候から想定すべき代表的な原因疾患例等を記載したが、症候に該当する疾患を網羅しているわけではない。臨床推論では可能性のある症候や病態から原因疾患を鑑別診断するプロセスが重視され、原因疾患を単純に全て暗記することを期待しているものではない。」と記載され、明確に分析的臨床推論を学習することを求めています。
歯学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)抜粋
E-3-2 臨床推論 口腔・顎顔面領域の主な症候から病態生理学的に発症原因を推論し、分類、鑑別診断できる基本的能力を身に付ける。
学修目標:
E-3-2-1 主要な症候について原因と病態生理を理解している。
E-3-2-2 主要な症候について鑑別診断を検討し、診断の要点を説明できる。
E-3-2-3 臨床実習の現場で主訴から診断推論を組み立てられる。
E-3-2-4 臨床実習の現場における疾患の病態や疫学を理解している。
 
口腔顔面痛学会では10年以上前から痛みの診断方法として仮説演繹法を推奨し、その習得のために実習セミナーを行って来ました。日本口腔顔面痛学会認定医、専門医は痛み診断のための仮説演繹法をマスターし、痛み治療に活用しています。ところが、歯科全般としては歯学部教育のなかで臨床推論を学習する機会が無かったために、卒業後も各自の臨床経験に基づいて直感のようにパターン認識法で診断しています。臨床経験が多ければ直感でも正しい診断が出来ますが、如何に一つ一つの症例を解析して蓄積するかによって診断の正確さが変わります。少しでも症例の振り返りをすると症例の特徴が解析され整理されて記憶に残り、次に同じ様な症例を診たときにスムースに記憶が呼び起こされます
診断法の教育の場面ではパターン認識法は役に立ちません、研修医が指導医と一緒に臨床に立ち会っても、指導医の頭の中で考えていることは伝わってきません。研修機関における診断指導では診断のプロセスを可視化する事が必要です、その可視化のフォーマットの一つが仮説演繹法です。
https://wajima-ofp.com/blog_articles/1728088294.html
 
2025年09月04日 13:30

顎関節症、口腔顔面痛の診査法ハイブリッドセミナー

顎関節症、口腔顔面痛の診査法ハイブリッドセミナー
先日、顎関節症、口腔顔面痛の本格的研修希望の方々に、対面で標準的診査法のHands onセミナーを行いました。Hands onとはまさに、手を使って研修する、手を取って教えるということです。各種のメディアが発達した現在にわざわざ対面で研修することもないだろうと考えられると思いますが、Hands onでしか伝えられない診査法があります。その代表が筋触診です。筋・筋膜性疼痛の元となる筋肉中の索状硬結とトリガーポイントを触診して見つけ出し、圧迫する事により関連痛を誘発することができる様になる事が目標です。
今回の診査法実習セミナーには、3つのねらいがあります。1)私が日常の診療で行っている診査法を解説しながらそのまま実施し、それを間近で見学して手順を理解してもらうこと。2)受講者の全員に患者役になってもらい、診査を受ける側から診査法を確認すること。3)診査を間近で見学し、自分が被験者になり診査を受けた後に、受講者同士で相互診査を行う、相互実習では和嶋と同じ診査が出来る様に被験者から診査部位、強さなどのフィードバックを受けながら、診査技術を高めること。
セミナー全体は反転授業形式で、事前に各診査の意義等をオンラインで説明して理解してもらった上で、対面で実技習得してもらう形式です。オンライン講義の後の対面Hands-on実技指導のハイブリッド型学習方式でもあります。
受講者の反応から、この方式が顎関節症、口腔顔面痛の診査法学習の有効な方法であるいう印象があり、今後も継続して行く予定です。
 
2025年09月03日 14:23

【English available】

【電話番号】
03-3478-5248

【住所】
〒107-0051
東京都港区元赤坂1-1-7
赤坂モートサイド505

【診療時間】
10:00~13:30
14:30-18:00

【診療日】
火曜日、金曜日、第3土曜午前
※第2火曜は休診し水曜に診療

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