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口腔顔面痛(原因不明の歯痛、顔の痛み、顎関節症)に慶應義塾大学での永年の経験と米国口腔顔面痛専門医資格を持つ和嶋浩一が対応します

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オンラインで神経障害性疼痛の診査の試み

口腔顔面痛オンライン相談の現状 患者さんの状況をどの程度収集できるか
口腔顔面痛診療は日本全国何処でも受けられるわけではなく、専門医の診療をうけられるのは主に歯学部病院のある地域に限られています。
そこで、数年前から口腔顔面痛のオンライン相談を受けています。診療ではなく相談としているのは、一度も対面診療せずにオンラインだけでは正しい診断、治療に制限があるからです。それではオンラインでどんな事をしているのか。なるべく自分の通常の対面での診療と同じ事をしようと思っています。オンラインでは相手の表情を観ながらの会話で医療面接は通常通りできます。痛みの構造化問診を順に行い、痛みの経過、現在の痛みの状況がある程度把握できます。口腔顔面痛の臨床診断推論の始まりは、歯原性疼痛の除外診断です。これはオンライン相談以前に数軒の歯科医院、病院歯科などを受診していて歯科的な診査を受けていて異常がないとのお墨付きです。たまには、見逃されていることもありますが、歯原性疼痛はいずれ顕在化して、診断されます。
医療面接を進めていくと、口腔顔面痛の疫学的疾患頻度と長年の診療経験からいくつかの代表的な痛み疾患が浮いてきます。多いのは筋・筋膜性疼痛と神経障害性疼痛です。ところがここで制限があって先に進めません、筋・筋膜性疼痛診断のための筋圧痛が出来ません、神経障害性疼痛診断のための感覚検査が出来ません。何かの代替え法で乗り越えられないか、いろいろ考えてみました。

比較的簡単にクリア出来そうなのは神経障害性疼痛診断のための感覚検査です。オンライン相談受付の際に感覚検査のために、綿棒、爪楊枝、小さなスプーン、保冷剤、お塩を用意してもらいます。
オンラインでの感覚検査 スマホで相談者は自分の口腔内を観ながら進めます。
  1. 触覚検査として、小さなスプーンで上下顎左右の頬側歯肉をゆっくり、なでてもらいます。同じ場所を数回なでるようにスリスリしてもらいます。最初は主訴の部位を意識せず、右大臼歯部から前歯部、左側大臼歯部と進み、次に逆回りします。どこか、変な感じ、嫌な感じ、痛いところはないか、何らかの違いが認められた部位は繰り返し念入りになでてもらい、反対側、前後と比較してもらいます。念のために対顎を調べた後に、もう一度調べてもらいます。繰り返しの診査で主訴の部位に何らか一定の感覚障害が認められたら、神経障害性疼痛の可能性ありです。診査した後に何らかの感覚が残っていないかどうかも聞きます。スプーンだと周囲に当たって、何処でも痛いと言う場合には綿棒で少し強めになでてもらいます。
  2. 次に、痛覚検査として爪楊枝で上下顎左右の頬側歯肉をチクチクしてもらいます。どこか、特に痛いところがないか、最初に健常部をチクチクして、次に主訴の部位を調べて、痛みは同じか強くないかどうかを調べてもらいます。他の部位よりも痛みが強い部位が認められたら、左右の比較、前後の比較を行い、対顎を調べて、少し時間をおいた後にもう一度診査を行ってもらいます。診査した後に刺激感覚が残らないかどうかも聞きます。
  3.  神経障害性疼痛の多くの場合、触覚異常が認められた部位に痛覚異常も認められ、刺激後の残感覚も認められます。
  4. 追加の検査として、保冷剤で冷やしておいた水を含ませた綿棒を用いて、冷感覚テストを行います。この場合、口唇、頬粘膜に触れないようにしてください、スプーンは全部冷えて何処が当たって冷たい感覚か判らなくなるので用いません。最初に、触覚、痛覚テストで異常が認められた部位の反対側頬側歯肉に冷やした綿棒をペタッと当てます。何秒で冷たさを感じるか、正常でも数秒から秒と幅があります。感じたらそのまましばらく当てたままにして痛みが誘発されないかどうか聞きます。次に異常が認められた部位にもう本の冷たい綿棒を当てます、何秒で感じるか、そのまま当てて痛みが誘発されないかどうかを聞きます。場合によっては異常部位では冷たい綿棒を当てた瞬間に冷たさを感じ、当てているとじわーっと痛さが出てきたと訴えることがあります。
    味覚検査を含めた舌の感覚検査:
     https://wajima-ofp.com/blog_articles/1755522283.html
ここまでのオンライン相談での医療医面接、相談者自身でも感覚検査もどきで神経障害性疼痛の診査が行うことが出来ます。
 
2025年08月18日 18:37