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口腔顔面痛(原因不明の歯痛、顔の痛み、顎関節症)に慶應義塾大学での永年の経験と米国口腔顔面痛専門医資格を持つ和嶋浩一が対応します

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私の口腔顔面痛診療の現状と展望

私の現状と今後の展望
以前、クリニックでの口腔顔面痛診療は75歳を一区切りと書いたことがあります。現在(2025/08)、73歳、11月には74歳です、何を根拠に75歳と書いたのは定かではありませんが、後期高齢者が知力、体力を保って第一線で仕事出来るかという不安があったからだと思います。自分の診療が患者さんのためにならないならば、すぐに止めるべきと思っています。
コロナ前にAAOPで私よりも15歳年上のUCLAのRobert Merill先生に会ったときに、口腔顔面痛は臨床例の蓄積が大事で、それも何時でも引き出せるように整理して置かなければならないと言われました。大学止めてからが本番だよ、私の域に達するには15年必要だね、頑張れと言われました。残念ながらMerill先生はコロナの間に逝かれてしまいました、残念です。
知り合いが、臨床医の賞味期限は何時かという文を書いていて、それに寄ると診療、特に診断で感が働かなくなった時と言っていました。私は自分の診療において必要があって臨床診断推論を勉強して、自分の診療に取り入れています。若い頃は多くの症例を経験して、それを仮説演繹法で診断する。思いつく病気に加えて、keyになる症状、現症からPC検索して、知らなかった病気も含めて仮説を立てて、その真偽を診査、検査で確認する、最後に残った仮説が最終診断となる。このような論理的思考過程を繰り返す事により、一つ一つの症例が自分の臨床診断推論の良きデータとして蓄積されて行く、次に同じ様な症例に遭遇したときには診ただけで診断出来るということとなる、これが仮説演繹法の対極にあるパターン認識法である。今の私の診療における診断法に戻ると、ほとんどがパターン認識法で診断出来ています、時々、経過が長く、症状が重複しているなど複雑な症例では指導医の様に仮説演繹法が登場してきます。そこでは今まで経験した症例を総動員して可能性のある仮説を立てて、臨床診断推論を勧めていきます。良いエサを食べた鯛は美味いというのと同じでしょう。
このようにこの症例はパターン認識法で正しく診断出来るか、仮説演繹法に登場願うかの判断が出来るのが前述の「臨床医の賞味期限―診療、特に診断で感が働く」ということなのだと思います。
この基準によると私の診療期限はもう少し伸びそうです。
 
2025年08月18日 11:21