▲トップへ

タイトルサンプル

口腔顔面痛(原因不明の歯痛、顔の痛み、顎関節症)に慶應義塾大学での永年の経験と米国口腔顔面痛専門医資格を持つ和嶋浩一が対応します

HOMEブログページ2023年 ≫ 4月 ≫

2023年4月の記事:ブログページ

口腔顔面痛の診断には筋触診が大事です

口腔顔面痛の診断には筋触診が大事です

口腔顔面痛の最も多い原因は咀嚼筋と頸部の筋痛です。咀嚼筋は本来の咀嚼時に加えて、日中のかみしめに睡眠中のくいしばりなどで筋に硬結が生じて、咀嚼時痛が生じたり、自発痛が生じたりする事もあります。

頸部の筋は日中の身体活動中、頭を支えるためにほぼ常に緊張しています。さらに、長時間、前屈みになったり、横を向いた姿勢をとったりするとそれぞれの機能筋に余計な緊張が強いることになります。さらに、咀嚼筋と協働運動して咀嚼、かみしめ、くいしばり時に緊張するので過剰な負荷となり、咀嚼筋の痛みとともに、肩こり、クビのコリが一緒に生ずることが多いです。

ただの筋痛(局所筋痛)が筋・筋膜疼痛になると関連痛としてその筋が痛いのではなく歯痛や顔面痛が生ずることがあります。また、頸部の筋の筋・筋膜疼痛は緊張型頭痛や顔面痛の原因になります。慢性化すればするほど、筋そのものの病態から中枢性の要因に移行してしまい、治療も難しくなります。

筋触診について

筋痛診査のカギは筋触診です。筋触診で筋の肥大、硬結、圧痛の有無を診査します、ここで見逃されると筋痛が鑑別診断から抜け落ちてしまい、原因不明の痛みになってしまいます。当院に来院される患者さんのなかにはいくつかの施設で治療を受けているが一向に改善しないと言う方が多いです、そして、その方々の多くは筋触診が適切で無いために筋痛が見逃されています。単純には筋触診の圧力が弱い、硬結が探せていない等の理由です。長年、筋触診の指導をしてきましたが、手に手を添えて患者さんの筋を触診する、まさにHANDsOnが一番です。ビデオ等で供覧しても圧力は伝わらないために、正確には伝わりません。

多くの方々は肩こり、クビの筋痛を持っていて、筋・筋膜疼痛になっている人も少なくありません。自分で頸部の筋を入念に1kg程度の圧力で触診するとウッとする様な痛い部分が触れます。もう一度、その部分を1-2本の指先で弱い力で触ってみましょう、ポイント状に痛い部分があります、その部分に指先を置いて、ゆっくり小さい円を描くように力を強めてみましょう。痛みがボワーンと拡がり、離れた部分に鈍い痛みが感じられます。これが関連痛です。是非自己触診をしてみてください。これで何時もの痛みが誘発再現されたら、その痛みは圧している部分(トリガーポイント)の筋・筋膜疼痛によるものということになります。

2023年04月29日 17:05

特発性三叉神経痛の治療の限界

トリガーゾーンへの些細な刺激により誘発される激烈な発作痛を特徴とする三叉神経痛は原因毎に3つに分類されます。
昔は脳腫瘍などの原因が明らかなものが症候性(真性)、原因が不明のものが特発性(化性)と言われていましたが、現在は血管圧迫により神経に変形が生じている(neuro-vascular contact with morphological changes)典型的三叉神経痛(classical Trigeminal neuralgia)、脳腫瘍などのしげきによる二次性三叉神経痛と原因の不明な特発性三叉神経痛に分類されます。
典型的三叉神経痛、特発性三叉神経痛の治療ではカルバマゼピンなどの薬物療法が第一選択で、多くの症例は薬物療法でコントロール出来ます。
しかし、薬物療法で薬疹がでたり、肝機能障害などの副作用により薬物療法が継続出来な場合や代謝酵素の自己誘導により必要服用量の増加による副作用の発現等によって、副作用対策、併用薬の選択などで困窮することも多いです。
典型的三叉神経痛ではこのように薬物療法抵抗性の場合、微小血管減圧術microvascular decompression(MVDが適応となります。神の手を持つ脳外科医としてマスコミで取り上げられる福島孝徳先生の鍵穴手術がよく知られています。現在この手術は日本全国の主要な都市に専門にやっている脳外科医がいて、有効性について多くのエビデンスが示されています。
二次性三叉神経痛の脳腫瘍、髄膜腫等の摘出は脳外科医の得意とするところで手術により解決出来ます。ところが、特発性三叉神経痛では薬物療法で長期コントロール出来れば良いのですが、副作用等で薬物療法が有効でなくなった場合が大変です。特発性三叉神経痛においても典型的三叉神経痛に対する微小血管減圧術の様に根本的治療法の開発が望まれます。このような状況で新規の治療法としてInternal neurolysis (別名NerveCombing(文字通り神経に櫛かけるように、神経根の部分で神経取り巻く外表の膜に割線を入れるという術式)が有効であるという報告があります。しかし、まだ、論文は多くはなく、その術後経過は不明です。
Internal neurolysisを含めた神経遮断術neuroablative proceduresの中で最も侵襲の少ないのが定位放射線手術Gamma knife surgeryです。しかし、痛みの軽減は最大6ヶ月遅れることがあり、感覚脱失が頻繁に生ずると言われています。三叉神経internal neurolysisは長期的には非常に有効であるが、合併症が多い(感覚鈍麻96%、有痛性感覚脱失3.9%)ことが示されています。経皮的神経切除術(高周波熱凝固法、バルーン圧迫法、グリセロール根治療法)では、効果が平均3~4年間しか続かないために繰り返し行うことが一般的であり、合併症の発生率は高く、特に繰り返し行う場合は注意が必要といわれます。
神経遮断術neuroablative proceduresの中で、どれかの治療法が他の治療法より優れているという根拠はない。
 
血管圧迫がない、血管圧迫があっても神経に変形が生じていないこと診断基準である特発性三叉神経痛にも苦し紛れのように微小血管減圧術(MVD)が行われることがあるようで、いくらか有効であり、定位放射線手術Gamma knife surgeryよりも有効である可能性があるという論文があります。
三叉神経痛の治療法の開発が進まないのは、三叉神経痛の動物モデルが出来ないからで、多くの人達が研究したようですが実現していません。人間でしかテストが出来ないので時間が掛かりますね。学生時代から使われていたカルバマゼピン以上に有効性の高い薬はなく、新しい薬の開発が待たれます。
つい最近も、片頭痛の予防薬として使われる新規に開発された抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(Calcitonin gene-related peptide:CGRP)抗体と抗CGRP受容体抗体のなかで抗CGRP受容体抗体のエレヌマブが三叉神経痛に有効であるという報告があり、期待しましたが100人規模のテストで無効が証明されてしまいました。残念
 
2023年04月01日 14:34

月別ブログアーカイブ

2024 (10)

モバイルサイト

元赤坂デンタルクリニックスマホサイトQRコード

スマートフォンからのアクセスはこちら

口腔顔面痛
専門医・認定医のいる施設

風の杜歯科
日本口腔顔面痛学会