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口腔顔面痛(原因不明の歯痛、顔の痛み、顎関節症)に慶應義塾大学での永年の経験と米国口腔顔面痛専門医資格を持つ和嶋浩一が対応します

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痛覚変調性疼痛の発症様式に二つのタイプ。

痛覚変調性疼痛の発症様式として二つのタイプが提案されています。
痛覚変調性疼痛の病態生理として、上行性の疼痛情報の増幅状態と下行性の抑制性疼痛制御の停止とさらには賦活化が含まれています。これらのプロセスは中枢神経の様々な部位、レベルで生じていると考えられています。
痛覚変調性疼痛の発症、継続状況に2つの大まかなサブタイプ、「ボトムアップ型」と「トップダウン型」が存在し、それらは異なる神経生物学的特徴と治療反応性を示すと仮定されています。私はこの「トップダウン型」という「ボトムアップ型」と対をなすように作られた用語に違和感があります。ダウンとすると末梢まで降りてくるのかというと、そうではなくあくまでも中枢神経系での出来事であるため、私は敢えて「トップ型」としようと思います。
ボトムアップ型痛覚変調性疼痛の概念は、末梢からの侵害刺激が長く続いたり、広範囲から生じたりすることにより、その侵害刺激により中枢感作が生じ、生体防御の合目的的に痛覚変調性疼痛が生ずると言うことです。そのため、侵害刺激が除去されると、これらのプロセスは自動的に最終的に正常化する可能性が高いです。これとは対照的に、トップ型の痛覚変調性疼痛は、侵害刺激の入力とは無関係に中枢神経系における疼痛処理の増大が起こり、それが維持されることを示唆しています。それではどのような事でトップ型痛覚変調性疼痛は生ずるのでしょうか。最も多い要因はストレス、恐怖などの心理社会的因子だろうと思っています。
痛覚変調性疼痛という用語が発表された直後は「心因性疼痛」,「心理社会的疼痛」が痛覚変調性疼痛に変わったのかという疑問がありましたが、これは明確に否定されています。ところで、不安、恐怖、情動ストレス等は関係ないのかというと、そうではなく、ストレスなどの『心理社会的因子』によって生じることは十分ありうることだと言われていて、『心理社会的因子が中枢神経系の可塑的変化を引き起こすことによって痛覚変調性疼痛が生じている』というケースが多く診られると思います。
 
2024年09月30日 20:53