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口腔顔面痛(原因不明の歯痛、顔の痛み、顎関節症)に慶應義塾大学での永年の経験と米国口腔顔面痛専門医資格を持つ和嶋浩一が対応します

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新刊「痛みの臨床推論」の読みどころ2 第三章の仮説演繹法

本書の読みどころ 2
この本の読みどころは、やはり第三章の仮説演繹法による可視化した臨床診断推論ステップです。
 「臨床推論」とは何にか、臨床医が日常臨床のなかで、診療に関して考える事(思考過程)、全てを意味します。医学モデルコアカリキュラム、歯学モデルコアカリキュラムともに「単純に疾患名を暗記することを期待しているのではなく、臨床推論では可能性のある病態から疾患を導き出すプロセスが重要であり、このプロセスを学修することで、十分に学んでいない疾患についても鑑別診断として想定できるようになることが目標である」と書かれています。臨床の場における診断プロセスを学習しましょうということと理解出来ます。
内科を代表とする医科では、皮膚科を除いて疾患の視覚的情報が少ないために、いくつかの鑑別診断を想起して、その確認の為に検査を行い、その結果と合わせて臨床診断推論を行うことが一般的です。このようなプロセスが簡単ながら仮説演繹法です。
一般歯科臨床において、例えば痛みの患者さんを前にして、歯科医師がどんな事を考えているか、「痛みの原因は何だろう」です、この思考過程も臨床診断推論です。
一般歯科臨床で診る痛みの多くは、歯髄炎、根尖性歯周組織炎、辺縁性歯周組織炎、智歯周囲炎、口内炎など最後に炎のつく、炎症による痛みです。これらの痛みの診断では口腔内検査、デンタルX 線検査による視覚的情報によって簡単に診断が出来てしまいます。観れば判ると言う事で、他の検査所見はそれを確認する程度の情報として取り扱われてしまいます。このような臨床診断推論がパターン認識法で、一般歯科臨床では非常に有用ですす。ところが、このパターン認識法が通用しない場面もあります。
本書の第三章の構成は、患者さんの訴えと視覚的情報によって、これだと、パターン認識法で診断が出来て、治療したが、どうも診断が間違っていたようだ、次はどうしようかと思ったときに使うべき診断プロセスが示してあります。
この診断プロセスが冒頭に示した医学モデルコアカリキュラム、歯学モデルコアカリキュラムに書かれている、「臨床推論では可能性のある病態から疾患を導き出すプロセスが重要であり、このプロセスを学修することで、十分に学んでいない疾患についても鑑別診断として想定できるようになることが目標である」、そのものです。
 
2024年09月18日 17:36