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口腔顔面痛(原因不明の歯痛、顔の痛み、顎関節症)に慶應義塾大学での永年の経験と米国口腔顔面痛専門医資格を持つ和嶋浩一が対応します

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新刊「痛みの臨床推論」の読みどころ 1) パターン認識法の視える化

この度、「痛みの臨床推論」という痛みの診断法を解説した本を9月に出版します。本書は歯科医師向けに臨床推論を本格的に解説する、日本で最初の書籍だと思います。
臨床推論には直観的方法と分析的方法があります。
一般歯科臨床での診断は、多くの場合、治療経験があったり、馴染み深い病態であったりすることから、直感的に、簡単に正しい答えを導き出すことができます。このような直感的診断法は、「パターン認識法」とよばれ、簡単で有用な方法です。経験のある病態では、訴えの概略を聞くだけで、無意識に自分がもっている疾患イメージ、症状パターンと照らし合わせて、一致する病態を探して診断するという方法です。しかし、パターン認識法による診断には照らし合わせるべきパターンの蓄積が必要です。また、パターン認識法は一発診断とも呼ばれ、いったん診断エラーが生じると、正しい診断に至るまでパターン認識法を繰り返すことになってしまいます。また、最終的に正しい診断が得られても、なぜ診断エラーが生じたかを考察することがないため、次の診断の機会にフィードバックされず、同様の疾患においてもエラーを繰り返す可能性があります。診断エラーの繰り返しを避けるためには、一つ一つの臨床経験を次の診断にフィードバックする必要があります。どのようにフィードバックするのか、パターン認識法であっても、無意識に行っていた診断過程をステップ化して、要点を文字に表して視える化(視覚化)することが挙げられます。
本書ではパターン認識法は認知バイアスが入りやすく診断エラーを導きやすい悪い方法として取り上げていますが、一つ一つの診断エラー症例を省察してフィードバックすることにより、次のパターン認識法で有効活用できる症例バンクが出来上がります。
読者の臨床推論への理解が深まり、日常臨床における痛み診断能力の向上に寄与できることを願っています。
 
2024年08月21日 11:35