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口腔顔面痛(原因不明の歯痛、顔の痛み、顎関節症)に慶應義塾大学での永年の経験と米国口腔顔面痛専門医資格を持つ和嶋浩一が対応します

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特発性-1原因不明の意味に使われるが本当は

特発性は原因不明の意味に使われるが本当は各自に特有の原因と言う意味
 
病気は原因が、その時代で原因が判明しているものと、判明していないものに分類される。この原因不明を表す用語が非常に混乱を招いてきた。特発性を原因不明とすることに非常に不満を感じ、今に至っている。
WHOの最新の病気分類であるICD-11では原因不明を一次性、原因が判っているものを二次性と統一した。
国際頭痛分類(ICHD3)もICD-11の一次性、二次性に従って分類されているが、三叉神経痛の分類はこの原則が適用されていない。かつて、三叉神経痛は真性(原因不明)、仮性(症候性)と分類されていた時期があり、真性、仮性がどの様な状況を意味するのか非常に混乱していた。現在の三叉神経痛の分類は1)典型的三叉神経痛(血管の圧迫による、かつての真性に該当)、2)二次性(血管以外の組織等による圧迫、かつての症候性に該当)、3)特発性(原因不明、かつての真性に該当)となっている。1)典型的三叉神経痛は血管の圧迫により神経に形態的変形が生じている場合であるので、単純に分類すると二次性であるが、血管による圧迫は三叉神経痛の典型的原因と言うことで、二次性とは別な分類になっている。他にこのような例外的な分類があるかどうか知らない。
さて、本論のidiopathicの訳が特発性となり、それが原因不明と理解されているが、私はどうも納得出来ないでいた。そこに痛覚変調性疼痛という概念ができあがり、その繋がりが思い浮かんでいる。
Idiopathicの語源は、ギリシャ語で「自分の」「私的な」を意味し、idioイディオと、病気の影響を暗示する -pathic の結合形である。その他のIdioの結合形のidiographicとは、「具体的、個別的、または独特なものに関する、またはそれを扱う」を意味し、idiolectとは「人生の特定の時期におけるある個人の言語または会話パターン」を意味する、idiotypeは「抗原特異性を与える抗体の分子構造とコンフォメーション」を意味するなどの用語がある。より一般的な慣用語はidiosyncrasy(特異性)であり、最も一般的なのは、人の行動や考え方が普通でないこと、あるいは何かの普通でない部分や特徴を指す。
このようにIdiopathicという用語から特発性は出てくるが、原因不明という意味は出てこなく、意訳過ぎると思われる。
少なくとも、特発性=原因不明ではないと思う。

 
2023年11月04日 15:49