自己筋触診の勧め 圧痛点を探す
最近の口腔顔面痛患者さんで勉強したこと-2口腔顔面痛が歯科の日常臨床で診断されない原因は明白です。歯科医師の教育不足です。口腔顔面痛の半分を占める筋・筋膜疼痛の診断のための筋触診法が伝えられていない、3割を占める神経障害性疼痛の診断のための感覚検査法が伝えてられない事に尽きます。平成26年度に非歯原性歯痛が歯科医師国家試験の出題範囲に含まれたので、非歯原性歯痛の原疾患が国家試験対策として教育されました、しかし、診断のための筋触診法、感覚検査法は文字で伝わらず、実際のビデオでも不十分、HandsOn(ハンズオン)でしか伝えられないのです。全国の歯学部で筋触診法、感覚検査法がハンズオンの実習で教育されているのは極少数でしょう。
筋触診法、感覚検査法をハンズオンで実習できるのは日本口腔顔面痛学会の診断実習セミナーだけです、残念ながら診断実習セミナーはコロナによって3年間オンラインだけで行われていましたのでハンズオンの実習は出来ていませんでした、今年は対面の実習セミナーが開催される予定です。
それなら患者さん自身で診査が出来ないかと思い、試行錯誤した結果、自分診査法を提案します。
- 筋・筋膜疼痛(トリガーポイント)診査の為の筋触診
- 頬にある咬筋をみつけましょう。両肘を胸に当て両手で頬を触ります、かみしめて人差し指から薬指で盛り上がる部分を触りましょう、そこが咬筋です。親指は下顎骨の下縁に下から固定し、他の指も固定してかみしめを弛めましょう。
- みつけた咬筋に置かれた人差し指から薬指をまとめてゆっくり小さな円を描くようにして咬筋の全体を触りましょう。凸凹がないかどうか、固い部分がないかどうか、大きさは左右同じかどうか、咬筋の全体像を見失ったら、もう一度かみしめて、咬筋をみつけましょう。そして、凸凹を探しましょう。
- かみしめて一番盛り上がった部分に、人差し指か薬指を固定して、かみしめを弛めてもらいましょう。弛めても固い部分はそのまま残っています。その部分が筋硬結部分です。少し力を入れて(最低1kg、2kg程度まで圧すこと)、小さくコリコリと押してみましょう、きっと強い痛みが出ます、場合によっては少し押すと押したところからアゴにジワーーと響くのが判ります。これがトリガーポイントからの関連痛です。トリガーポイントは一個に限りません、同じような手法で咬筋の上部(起始)から下部(停止)、さらに前縁から後縁まで全体で固い部分がないかどうか調べましょう。
- このようにして、自分で咬筋を診査した結果、筋に硬結、圧痛があり、そこを5秒程度圧しているとじわーっと拡がり、さらには歯の痛み、アゴの痛みが出て、その痛みが何時もの痛みであれば、あなたの歯痛、アゴの痛みは咬筋の筋・筋膜疼痛による痛みと言うことになります。
追記:先日、筋触診のハンズオン実習の機会がありました、気になったことは、1)筋圧痛の有無は探せても、トリガーポイントは探せないだろうなと思わせる触診、gently palpated for TP ではない、雑、乱暴、動きが速すぎる、トリガーポイントの上に置いた指先に約1-2kの圧を加えて、指先をずらさずにゆっくり小さな円を描く。2)女性の圧力が弱すぎて、トリガーポイントを探せない。やっぱり、腕力を鍛える必要あり、毎日、腕立て伏せするとか。
2023年07月17日 14:01