▲トップへ

タイトルサンプル

口腔顔面痛(原因不明の歯痛、顔の痛み、顎関節症)に慶應義塾大学での永年の経験と米国口腔顔面痛専門医資格を持つ和嶋浩一が対応します

HOMEブログページ ≫ 末梢神経損傷分類の混乱 ≫

末梢神経損傷分類の混乱

sunderland分類
Seddonの分類、Sunder land分類活用の問題点   
最新解説  wajima-ofp.com/blog_articles/1707630604.html
Seddonの分類は1942年に発表され、約10年後の1951年にSunder land分類が細分化して発表されています。
この図がsunderlandの原図だと思います。他の図との違いは左側の神経細胞と神経線維が複数書かれています、他の図は神経細胞1個で一本の神経線維だけと勘違いして、一個の神経細胞しか書かれていません。

末梢神経損傷の分類としてSeddonの分類(1942)、さらにこの分類を修正、細分化したsunder landの分類(1951)が用いられます。この末梢神経損傷分類の活用に当たって、いくつかの問題点があります。
第一は、Seddonの分類、Sunder land分類とも多くの日本語訳がありますが、訳が間違っているものがあります。用いられる用語は軸索、シュワン鞘、ミエリン鞘、神経内膜、神経周膜、神経線維束、神経上膜、神経幹などで、必ずしも適切な訳になっていないために損傷程度がどの程度か誤解する可能性があります。オリジナルに忠実な訳を用いてください、内容が全く違ってしまいます。
 
もう一点は、これらの分類はseddon分類のNeurapraxiaとAxonotomesisまでとsunderland4度までは神経線維1本1本の損傷程度を分類し、Seddon分類neurotmesisとsunderland5度では神経幹を包む神経上膜の損傷状況を示していて、神経線維1本1本の問題から神経幹の損傷に飛んでいます。神経損傷の病理像としては非常に有用で、1本の神経線維で髄鞘の障害、軸索の断裂、そして、神経幹の断裂と理解出来ます。
ところが、臨床での神経損傷は1本1本の神経線維の問題ではなく、例えば下歯槽神経損傷とか神経線維が何万本も集まった神経幹の損傷が問題です。ところが、臨床の場において、まるで下歯槽神経が一本の神経線維であるかのように、Seddonの分類のどれとか、Sunder landの何度だと話していることがあります。例えば、下歯槽神経を傷害した場合、1本1本の神経線維ではsunderlandのⅠ度から4度までの損傷が混在した状態か5度の完全に断裂してしまっているかだと思います。
おそらく、このような混乱を憂う人は私以前にいるのは当たり前で、Mackinnon,Dellonと言う人達が解決策として、Sunder Landの分類にVI度損傷としてI〜V度損傷の神経束が混在した状態であるとして分類を追加しています。臨床で診る神経損傷のほとんどはSunder Landの分類VI度損傷(様々な損傷の混在)ということになります。  
例外は智歯抜歯等で下歯槽神経を圧迫し術後にオトガイ部の鈍麻が生じたが、約一ヶ月後に完全改善した例、この例では障害された神経線維全部がseddon分類のNeurapraxia つまり脱髄のみだったと思われます。また、下歯槽神経の完全断裂neurotmesisしてしまった例は、混在無しの状況でしょう。
 
2023年03月16日 21:23