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口腔顔面痛(原因不明の歯痛、顔の痛み、顎関節症)に慶應義塾大学での永年の経験と米国口腔顔面痛専門医資格を持つ和嶋浩一が対応します

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マスクをどうするか N-95 マスクの有用性

政府が、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の類型を来年4月1日に危険度が2番目に高い「2類」相当から、季節性インフルエンザ並みの「5類」に緩和するようです。そして、マスクを外そうという動きです。
ここで我々医療従事者のマスクの種類によるコロナ感染率についてのいくつかの論文結果と、議論を紹介します。

その前に知っておくべき事があります。
第一に、日本では今現在マスクは3つに分類されています。1)一般用、2)医療用(サージカルマスク)、3)N-95マスクです。
医療機関で通常用いられているのは2)医療用(サージカルマスク)です。ところが、2)医療用(サージカルマスク)、3)N-95マスクは使用する目的において大きく異なります。N-95マスクは病原菌、コロナウイルスなどを含む外気から、装着者(例えば医療従事者)を守るために使用されます。一方、サージカルマスクは、マスクを装着したヒト(風邪、インフルエンザ、コロナ感染者)から排出される病原菌を含む微粒子が大気中に拡がるのを防ぐ目的で使用されます。もっと単純に言うと、サージカルマスクは外科手術で医療従事者の唾が飛ばないよう使用するもので、自身の感染予防の目的ではありません。
N-95マスクの役割に似たものに、医療用ではありませんが防塵マスクがあります。防塵マスクとはその名前の通り、“塵(ほこりなどのチリ)”を“防”ぐための“マスク”です。作業を行う場所で粒子状の物質(粉塵やオイルミストなど)の吸引を防ぐために装着するもので目的はN-95マスクと同じです。規格もほぼ同じです。つまり、N95マスクは外から内への経路を、一般用マスク、サージカルマスクは内から外への経路を遮断する目的で使います。
 
WHO、CDC及び厚生労働省がSARSの患者、その疑いのある患者あるいは可能性のある患者と接触する場合、医療従事者はN95規格以上の呼吸器防護具を着用するよう推奨しています。
コロナ感染予防に関して、サージカルマスクはN-95マスクに劣るか?について検討した論文がいくつかあります。論文の結論は、「サージカルマスクとN-95は、エアロゾルを発生させないケア中の医療従事者において、コロナウイルスを含むウイルス性呼吸器感染症に対して同様の防護を提供することを、確実性の低い証拠が示している。」ということで、サージカルマスクはN-95マスクに劣らないということです。
しかし、いくつもの興味深い議論があります。その中の一つを紹介します。
もし研究が十分に大規模で、N95マスクが正しく着用され、正しくフィットテストされ、軽食や昼食時の休憩室での院内COVID-19感染が除外され、さらに大きな課題としてレストランや結婚式やコンサートやジムでの病院外での感染が除外され、医療現場での感染機会に限定できれば、サージカルマスクは明らかにN95マスクほど有効では無いという結論になるだろうという見解があります。
COVID-19は今やどこにでもあり、患者から医療従事者へのウイルス感染は世界的に起こっている曝露のごく一部に過ぎないのである。逆に、医療の場以外での感染が多いと言うことです。
 
この非劣勢試験の細かな数字を診ると、N95マスクの有効性が見つかります。この研究では、サージカルマスクとN95マスクのハザード比の95%信頼区間の上限が2未満であれば、非劣性であると規定しています。(どこかの国の選挙の人口当たりの定数に似ています)実際の数字はハザード比は1.14、95%信頼区間は0.77から1.69(ただし非劣性マージンは2倍未満)であった。つまり、サージカルマスクの方が1.69倍も悪いと言うことになりますが、2倍を超えないので非劣勢であるという結論です。個々のデータでは、サージカルマスクの方がN95よりも2倍以上感染したという結果もあります。
 
ここからはエアロゾルに曝される歯科医師のコロナ感染予防に関して、どのようなマスクを使用すべきかについて、興味深いたとえがあります。
COVID-19が確認された、あるいは疑われる患者をケアする際にN95を着用すべきですか?はい。土砂降りの雨の中、車から玄関に駆け込むとき、私はしっかりした傘を使います。
私の診療は歯を削らないのでエアロゾルに暴露される機会は少ないのですが、高齢者ゆえ診療中はN-95マスクをしています。 電車の中ではもう少しゆるめのN-95モドキをし、道を歩くときはマスク無しです。
 
2023年01月22日 14:39

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