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口腔顔面痛(原因不明の歯痛、顔の痛み、顎関節症)に慶應義塾大学での永年の経験と米国口腔顔面痛専門医資格を持つ和嶋浩一が対応します

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8月オンラインセミナーの話題

毎月、口腔顔面痛オンラインセミナーを続けています。今ではオンラインセミナーは珍しくありませんが、本オンラインセミナーはコロナ前から、和嶋が慶應大学を定年退職した年から始めていますから丸5年以上になります。口腔顔面痛に関するいろいろな事が話題になります。 8月20.21日、札幌、風の杜歯科の飯沼先生が北海道歯科学術大会で、自院の口腔顔面痛診療の変遷をまとめて発表されました。北海道における口腔顔面痛の広報活動として非常に有意義だったと思います。本セミナーに全国から参加の方々には、是非、機会を見つけて地元の歯科医師会等で口腔顔面痛の発表をしていただきたいと思っています。多くの歯科医師への啓発活動になり、口腔顔面痛に苦しんでいる患者さんの早期の治療に繋がります。その際は飯沼先生の発表スライドが参考になると思います。
このブログで何回か取り上げている患者さんの解釈モデル、患者さんの気持ちが素直に書かれます、また、診断側の認知バイアスも加わります。先日このような例がありました。ふぐ食べた、翌朝、舌がおかしい、ふぐ中毒ではないかと言う心配、診察する側のふぐを食べて口に異和感がでたと言うことで、認知バイアスが加わり、舌がしびれている、口唇がしびれている、という認識に早合点、これがヒューリスティックスで、パターン認識法の誤りの典型例です。ややこしい場合には、分析的臨床診断推論である仮説演繹法で診断を進めましょう。
歯学教育モデル・コア・カリキュラム 令和4年改訂版(案)に臨床推論が取り入れられたことは、非常に喜ぶべき事です。口腔顔面痛の診断では臨床診断推論として5年以上から推奨し、日本口腔顔面痛学会では診断実習セミナーでは臨床診断推論による症例診断実習を行ってきました。 歯科臨床では視覚的情報が多く、優先されてパターン認識法に直結しがちです。今後は一般歯科臨床の場で、仮説演繹法に代表される分析的臨床推論が用いられる機会が増えるでしょう。具体的方法としてデンタルダイヤモンドに連載している「症例に学ぶ診断マスターへの道」が役立ってくれれば良いと思います。
新たな話題として、処置後遷延感覚障害調査の提案をしました。抜歯、抜髄、インプラント、Apect、Flapなどの麻酔しなければ出来ない処置は全て神経を損傷します。術後に神経障害が生じても不思議はありません。処置後遷延性感覚障害の現実とその治療法を提案していきたいと思っています。興味を持たれた方は診査票を活用して、処置後遷延感覚障害の発生状況を調べてください、そして、セミナーで教えてください。
特に、前歯部の打撲後の歯根膜の過敏化は非常にやっかいです。何とか言い治療法はないかと、いろいろtryしています。現状では、確実な治療法がなく、抜けば治ると言う原始的な話になってしまいます。

最後に、痛覚変調性疼痛です、現状では痛覚変調性疼痛とはどのような痛みなのかよく判りません、先月から紹介しているように、処置により予期しない反応が生じ、それに対する医者の説明がしっかりしていない、患者は腑に落ちないために、不安が生じ、次の処置に期待するが、それもダメ、不安感とともに痛覚が亢進してしまう、このようにしてできあがった強い痛み感覚が痛覚変調性疼痛であり、津痛覚変調性疼痛は痛みの修飾因子とも言えるのだと思います。痛覚変調性疼痛にはこのような面もあるのだと思っています。 議論が進む事を期待します。
毎月、その月の話題を掲載していこうと思っています。
 
2022年08月28日 20:41