三叉神経麻痺 歯学教育モデル・コアカリキュラム
歯学教育モデル・コアカリキュラム(2022年度改訂版)のなかで、良かったことと不満の残ったことがこの項に集まっている。口腔顔面痛が単独で学修目標に取り上げられたことは非常に良かった事である、一方、三叉神経麻痺は何とかならないのかと大きな不満の残った。
D-3-1-9 神経疾患
学修目標:
D-3-1-9-1 口腔顔面痛を理解している。
D-3-1-9-2 神経障害性疼痛の原因、症状及び治療法を理解している。
D-3-1-9-3 顔面神経麻痺の原因、症状及び治療法を理解している。
D-3-1-9-4 三叉神経麻痺(感覚麻痺、運動麻痺)の原因、症状及び治療法を理解している。
D-3-1-9-5 口腔領域の神経痙攣の原因、症状及び治療法を理解している。
前回(2017年版)の改訂までは三叉神経麻痺とされていて、医学的には運動麻痺を指しているように思えるが、歯科では麻痺は感覚障害を指していた。教科書にも、外傷性神経障害の後の鈍麻を麻痺paralysisと書かれていた程である。
2017年改訂版のパブリックコメント募集に応じて、三叉神経麻痺を三叉神経感覚障害と麻痺に分けるべきであると意見表明した。私の意見が採用されたかどうかは不明であるが、現行の三叉神経麻痺(感覚麻痺、運動麻痺)に改訂された。
麻痺は単独で運動麻痺を意味するのであるから、頭に運動を付け運動麻痺は屋上屋を架すようなものであるが一歩前進と感じられた。
顔面神経麻痺も運動神経麻痺と鼓索神経障害による味覚障害も一緒くたに麻痺とされている。
付表の症候から鑑別すべき主な原因疾患では、まだまだ麻痺の羅列で混乱の極みである。次回の改訂に期待した。何とかならないものかと思いながら書いている。
2022年12月03日 16:09