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口腔顔面痛(原因不明の歯痛、顔の痛み、顎関節症)に慶應義塾大学での永年の経験と米国口腔顔面痛専門医資格を持つ和嶋浩一が対応します

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10月口腔顔面痛オンラインセミナーで学んだこと

最初に先の日本口腔顔面痛学会学術大会で講演したリフレッシャーコース1 口腔顔面痛診療の実際をもう一度解説しました。私の臨床で気をつけていることは、患者さんの描いている解釈モデルを把握する事、診察結果から患者さんの病気のストーリーを書くこと、そして、その二つを付き合わせてズレの有無を確認し、ズレがある場合には摺り合わせる時間をとることです。(解釈モデルは患者さんの考えていることなので、患者のという前置詞はいらないが、敢えてつけています)
セミナー中のデスカッションで参考になったのが、解釈モデルで患者さんの治療への期待が通常の治療効果を超えるものである場合には、無理に摺り合わせてしまうのでは無く、治療対象にならないという決断も必要となることが指摘されました。この指摘は次の症例提示にも関わるものでした。
次に症例提示があり、皆さんでデスカッションしました。
基本的身体医である我々歯科医師は、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛を診断し、それを治療しようとして、その枠組みに患者さんを当てはめる努力をする。
ところが、患者解釈モデルに痛みの改善を望んでいるが、例えば認知行動療法解析要素で身体症状として痛みの他に、歪んだ認知、感情として破滅的思考、怒り、身体反応として全身の感作、行動反応としてドクターショッピング 等があった場合、前記の身体疾患としての治療の枠組みに当てはまらない部分が多くなります。
このような場合、どのように対応するか。
対応1(身体医としての対応):身体疾患としての治療の枠組みに当てはめる努力をして、あるいは、身体疾患としての治療の枠組みに当てはまる部分のみを治療する。当てはまらない部分は治療できないことをはっきり伝える。
対応2(非身体医的、メンタルヘルス対応):身体的痛みに必要な治療を行いつつ、前記認知行動療法解析要素の身体的要素以外の歪んだ認知、感情として破滅的思考、怒り、身体反応として全身の感作、行動反応としてドクターショッピング 等に対応する。
具体的対応法は積極的傾聴です。このような対応に対して患者が予約して来院するならば、患者の要望に応えていると判断できるという事になります。
ロジャーズの積極的傾聴の3原則
具体的に言えば、1)「共感的理解」に基づく傾聴とは、聴き手が相手の話を聴くときに、相手の立場になって相手の気持ちに共感しながら聴くことです。2)「無条件の肯定的関心」を持った傾聴とは、相手の話の内容が、たとえ反社会的な内容であっても、初めから否定することなく、なぜそのようなことを考えるようになったのか関心を持って聴くことです。3)「自己一致」に基づく傾聴とは、聴く側も自分の気持ちを大切にし、もし相手の話の内容にわからないところがあれば、そのままにせず聴きなおして内容を確かめ、相手に対しても自分に対しても真摯な態度で聴くことです。

まとめると、解釈モデルで患者さんの治療への期待が通常の身体的治療効果を超えるものである場合には、無理に身体疾患としての治療の枠組みに当てはめるのでは無く、対応法を変える判断も必要で有り、 口腔顔面痛専門医は身体医としての対応に加えて、非身体医的、メンタルヘルス対応 が出来ることが求められる、という結論になります 。
2022年10月24日 10:38

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