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口腔顔面痛(原因不明の歯痛、顔の痛み、顎関節症)に慶應義塾大学での永年の経験と米国口腔顔面痛専門医資格を持つ和嶋浩一が対応します

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口腔顔面痛、非歯原性歯痛の臨床

口腔顔面痛、非歯原性歯痛の臨床で思うこと
 
口腔顔面痛とは、非歯原性歯痛に代表されるように歯が原因の痛みではない、他の病気による歯、口腔、顔面領域の痛み全般の事です。
簡単に言うと齲歯、歯髄炎、歯周炎などの従来から歯科で扱ってきた歯が原因の痛みではなく、全く異なる病気です。例えば、肩こりがひどくなると頭が痛くなる、歯が痛くなると言う人がいます。最も多いのは頬の部分にある咬筋という咬むための筋肉に凝りができることにより、歯には何も問題はないが、歯に痛みが感じられます。何故このような離れた部位の、歯とは直接関係の無い原因によって歯が痛くなるのか、その答えは歯が原因の痛みも、筋肉の痛みも、痛みの元となる痛み信号は神経を通って全て脳に達して痛みと感じられるからです。痛み神経の末端が刺激される事によって痛み信号が生じ、脳に至って痛みと感じられるまでには、三本の神経を乗り継ぎ、二つのつなぎ目を介します。その間に神経同士がまるでショートしたかのように電気信号を交換したり、神経が合流したり、また、電気信号の強度が弱められたり、強められたりして、最初に末端で生じた痛み信号と同じ強度で脳が痛みを感じるわけではありません、また、ショート、合流することにより発生元が異なる電気信号が届いてしまうこともあります。別な部位からのいたみということで異所性疼痛とか関連痛という用語を使います。
口腔顔面痛の臨床においては常に神経系がどのようにしてこの痛みを生じさせ、脳がどのようにしてこの痛みを感じているのかを推定して、診察し、正しく診断することに努めています。ところが、痛い歯の神経を抜けば痛みが止まるとか、止まらなかったら歯を抜けば良いじゃないかと短絡的に考えて、どうしてもこの歯の神経抜いてほしい、歯を抜いてほしいを訴える患者さんもいます。その歯に原因があるなら、一般歯科で簡単に診断が出来て、とっくに処置が済んでいるはずです。痛い歯に何もないので、今までの先生方は歯に触らず、今に至っているのですと説明します。
口腔顔面痛は比較的新しい学問、診療領域です。専門的な研究会が出来たのが2000年ですから、新しいと言っても四半世紀経過しました。その間に非歯原性歯痛は歯科医師国家試験の出題範囲に含まれ、口腔顔面痛とともに歯学部学生には必須の知識となっています
口腔顔面痛診療では、まず正しく診断することが求められます、冒頭に書いたように歯の病気で起こるのではないので、従来の歯学部教育にプラスされた知識が必要です。
具体的にどのような知識が必要かの疑問には、非歯原性歯痛の8つの原因疾患を解説することが答えになります。
1.筋・筋膜痛による歯痛、2. 神経障害性疼痛による歯痛、3. 神経血管性頭痛による歯痛(片頭痛、群発頭痛など)4. 上顎洞疾患による歯痛、5. 心臓疾患による歯痛(狭心症など)、6. 精神疾患または心理社会的要因による歯痛、7. 特発性歯痛(原因不明のもの)、8. その他の様々な疾患による歯痛(耳・鼻・目の疾患、顎の腫瘍、自己免疫疾患など、様々な病気が歯の痛みとして現れることもあります)
次号では代表的な筋・筋膜疼痛、神経障害性疼痛を説明します。
 
2025年12月29日 21:45