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口腔顔面痛(原因不明の歯痛、顔の痛み、顎関節症)に慶應義塾大学での永年の経験と米国口腔顔面痛専門医資格を持つ和嶋浩一が対応します

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痛い歯を抜いたら、その前の歯に痛み

今週の患者さんを診て、改めて驚きと苛立ち
今週の初診患者さんを診て、その解釈モデルに驚くとともに、修正することなく、さらに増悪させた歯科治療にいらだちを感じました。
70歳の女性患者さん、上下顎とも残存歯は前歯部のみ、臼歯部は痛みのために抜いたのだと言う事でした。抜いたらそこにあった痛みは消えたが、残っている下顎左右犬歯部に痛みが生じた。これも抜けば痛みが治るだろうから、抜きたいと主治医に頼んだが抜いてくれない。そのようなやりとりをしている間に娘さんが非歯原性歯痛という話しを見つけて、当クリニックに来院。
数年前に仕事を辞めて、転居した頃に発症して以来の歯痛だそうです。その頃、どれ位歯が残っていたのか不明ですが、相当数の抜歯をしたようです。歯痛発症以来の主治医は、抜歯をするほどに歯には病気はない、抜歯には反対だと言っていたそうです、しかし、患者から懇願されて抜髄した、しかし痛みは止まらない。いったん不可逆的な治療を始めてしまうと、歯止めが外れて、隣の歯も、その隣りも抜髄、そして、終着は抜歯です。その主治医は何とかして抜歯は避けたいと思い、大学病院を紹介したそうです、大学病院なら、知識と技術、そして権威により抜歯が必要でないことを話して、解釈モデルをすり合わせてくれるだろうと期待したのだと思います。ところが、大学病院ではあっさりと患者が訴える歯を抜歯してくれたそうです。初診の日に抜歯の予約が決まり、次の受診で抜歯だったそうです。抜歯により痛かった歯がなくなり、そこに感じていた痛みは消えたそうですが、残っている歯が同様に痛くなりはじめてしまった。解釈モデルでは抜いたからそこの歯の痛みは消えたとなっていて、抜いたことは全く悔やんでいませんでした。そればかりか、新たに痛くなった歯も抜けば、痛みが消えるかもしれないと思っています。
診査の結果、咬筋と顎二腹筋の筋・筋膜疼痛による関連痛としての歯痛でした。しかし、歯が悪いから歯が痛いんだという解釈モデルこの診断にすり合わせるのが大変でした。次回は解釈モデルが何処まで変化しているか、やっぱり歯を治療してくれと言われる可能性があることは想定済みです。解釈モデルを筋肉の緊張による痛みであることにすり合わせて納得してもらい、筋緊張防止と筋ストレッチレットのセルフケアを指導して実践してもらい、トリガーポイントプレッシャーリリースなどの専門的な治療も行って行く予定です。患者さんが痛い歯が原因ではなく、自分のくいしばり、かみしめたことにより筋肉の問題である事を納得してもらうことがスタートポイントです。
 
2024年03月28日 15:07