痛覚変調性疼痛の一面
痛覚変調性疼痛についてある方が、不確実さと不安、確実さと安心について下記のインドの昔話を紹介しています。
ある男が超能力を獲得しました。その能力とは、人を念じながら観察すると、その人が1年後に生きているか、死んでいるかがわかるのです。その男のもとには、いろいろな病に悩む人々が次々と訪れるようになりました。1年後に生きていると言われれば小躍りして帰っていきます。1年後に死んでいると言われれば納得して帰ります。その男は名医と呼ばれ、患者が絶えることがなかったと言います。
皆さまは、この昔話をいかが思いますか。違和感を覚える人も、なるほど名医だと納得する人もいることでしょう。
この男は本当に名医でしょうか。この男は、一切の医療行為をしていません。ただただ、1年後の生死を正確に伝えているだけです。しかし、予言をさずかった者は、その男を名医と崇めます。なぜでしょうか。不安がなくなるからではないでしょうか。不確実さは不安をまねきます。1年後の確実な情報が安堵を与えます。患者の立場からは、安心を与えてくれる人は名医なのです。
ここで、「不確実さと不安、確実さと安心」と痛覚変調性疼痛を繋げてみましょう。
BioPshychoSocialと捉えた場合、Bioは同じでも、不確実な状況、環境(Social)にあると不安がつのります(Psycho)。末梢からの痛み刺激(Bio)がある中で、高まった不安感が扁桃体を刺激して痛覚を変調性し、疼痛が敏感に近くされる状況が痛覚変調性疼痛といえます。
このように敏感に感じられた痛みが不安感を高めて、痛覚変調性疼痛の悪循環が形成されます。
では、解決法は「大丈夫ですよ、あなたの病気は顎の筋肉の痛みです、ちゃんと治療法があって、このようにストレッチすると治りますよ」と伝える事です。
ここでOkeson先生の強調する適応能力が高ければ、あっさりと症状が改善するでしょう。ところが適応能力の低い人は悪循環が止まらずに慢性化が続きます。
2022年02月23日 10:26