ノーベル生理・医学賞 温度感覚、触覚
今年のノーベル生理学・医学賞は,温度受容体および触覚受容体を発見した功績で,米カリフォルニア大学サンフランシスコ校のジュリアス(David Julius)教授,米スクリプス研究所のパタプティアン(Ardem Patapoutian)教授の2氏に授与される。痛み治療に関わる者たちは温度受容体TRPファミリーを相手に仕事しているようなもので特に受賞対象のTRPV1という43度の熱で痛みを感じる受容体は非常に密接に感じます。
例えば、炎症で痛みを感じる場合に冷やすと楽になる、これは炎症物質がTRPV1に作用して過敏にして、43度よりも低い温度、体温が少し上がっただけでも痛みを感じるようにしているのです。
そして、冷やす事により体温が下がるとTRPV1が刺激されないために痛みが出なくなるということです。
また、ロキソニンなどの抗炎症性鎮痛薬は炎症部分でTRPV1を刺激するプロスタグランジンの発生を止めTRPV1の過敏化を止めることにより、体温ではTRPV1が刺激され無いこととなり、痛みがでなくなるという作用です。
この様にTRPV1は痛み治療に密接に関係する受容体です。残念な事として、1997年TRPV1の発見に深く関わっていた富永真琴先生が共同受賞できなかったことです。
2021年10月08日 18:07
投稿されたコメントはありません