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口腔顔面痛(原因不明の歯痛、顔の痛み、顎関節症)に慶應義塾大学での永年の経験と米国口腔顔面痛専門医資格を持つ和嶋浩一が対応します

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2024年11月の記事:ブログページ

神秘の木バオバブ

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先日、93歳を過ぎてなお、かくしゃくとして活躍されている昔からの患者さんが義歯が壊れて、いらっしゃいました。湯川秀樹の直弟子で、素粒子理論物理学者です。湯川の日記等の自筆の文は小沼先生しか読めないそうで、いくつかの湯川の文を解説した本があります。湯川が作った世界平和アピール七人委員会の委員でもあります。昨年、映画「オッペンハイマー」が公開された際も原爆製造について、オッペンハイマーの人となりなどについてマスコミにインタビューを受けていました。9月に学会で出かけた札幌のついでに知床半島に行ってトラスト活動に寄付して買い戻した土地を見に行き、ついでに「知床五湖」ガイドツアーに加わり、野生の熊を観たとか。いろいろな話しの中で、お孫さんが生物学者で世界中を飛び回っているという話しの中で、マダガスカル島に数ヶ月滞在して植物を研究していたという話題が出ました。マダガスカル島というと、金子一方先生です。『星の王子様』のも出てくるバオバブの木を写真に撮るのに数回行ったという話しでした。小沼先生に金子先生がバオバブの木を写しているのが写っている写真を見せたら、非常に喜んで携帯で何枚も写真に撮っていました。奇しくも小沼先生と金子先生は1931年生まれで、私よりも20歳先輩です。お二人のように私も好奇心を持ち続けたいと改めて思いました。
2024年11月27日 13:25

歯痛診断の直感力を養う

今週末、2024年12月1日に開催される第29回日本口腔顔面痛学会学術大会 で入門講座3「一般歯科臨床で役に立つ歯痛診断」として講演します。
本入門講座の目的は、日常臨床で歯痛を確実に診断出来る様になるために、直感的に行っているパターン認識法を可視化して 診断精度を上げる手順を学習してもらうことです。
そして、私が伝えたいことをもっと判りやすく言うと、歯痛診断の直感力を養う方法です。臨床で役に立つ鋭い(高精度)直感力を養う方法を提案します。例えば、美味しい魚を養殖するにはエサが良くなければならない、なぜならば、エビを食っている天然の鯛は格別の味だからです。
歯痛診断直感力では、エサは症例パターンです、そのエサ(症例パターン)は自分で自分用に集めなければなりません、他人のエサ(症例パターン)は口には合わないからです、役に立たないのです。それでは、自分のエサ(症例パターン)はどうやって集めるか、その方法は臨床の場で鈍い精度の低い直感力で診断エラーし、仮説演繹法で正しい診断に行き着き、そしてその過程を省察(振り返り)することにより集めるのです。
上手くいった症例からは美味いエサ(症例パターン)は集められず、失敗例からこそ集められます。
直感、パターン認識法による診断エラーから仮説演繹法でリカバーした後に、何故、診断エラーしたのか、パターン認識法の過程を振り返る。これによって、自分だけの美味いエサ(症例パターン)を蓄積することができます。
 
2024年11月25日 21:05

歯学部学生授業 反転授業の試み

学生講義
先週、毎年恒例の北海道大学歯学部五年生の痛みの授業を行いました。
私の授業形式はオンラインを活用した反転授業を続けています。通常思い浮かべる授業といえば、先生が教壇に立って講義を行い、講義内容を定着させるために宿題を出されるのが一般的だと思います。反転授業は、従来の授業形態をまさに「反転」させたもので、前もって「授業」をビデオを用いて予習の形で受講してもらい、授業の日は教室でLIVEオンラインで痛みと鎮痛薬の最近の話題を追加解説し、授業内容およびそれに関連する事項に関する質疑応答をするのです。遠距離という理由と新しもの好きで従来の授業は一方的に知識を伝えることに主眼が置かれがちですが、反転授業では、事前学習で知識の習得が行われているため、各自の持っている知識とどのように関連させ活用するかに焦点が当てられます。一人ひとりの能力や特性に応じた学びが可能になるというメリットがあると言われています。
最初からこのような授業形式でしたから、コロナにより変わったところは、LIVEオンラインの授業の日に学生さんが大学の教室に集まっていたのが各居室で授業を受けることになっただけでした。教室に集まったときは学生さんの顔を見えなかったのですが、コロナの頃は学生さん全員の顔が見えて良かったです。
 
2024年11月18日 18:59

アジア口腔顔面痛学会 オンライン参加

先週末、台湾でアジア口腔顔面痛学会が開催されました。私は台湾で美味しい中華を食べようと木曜日に出発予定でしたが、台風が台湾直撃で台湾全土がTypoonHolidayということで予定の飛行機が欠航になってしまいました。学会はHybridになり、飛行機の振り替え、ホテルの予約のし直し等を交渉しているうちに面倒になり学会参加だけならオンラインでいいや、台湾行きを止めました。聞きたいプログラムをオンラインで聞きました。
KeynoteSpeakerはシドニー大学からシンガポール大学歯学部長に招聘されたChris Peck教授でした。講演内容は慢性疼痛、BiopsychosocialモデルとしてTMD、口腔顔面痛を捉えるべきであり、どのようにそのマネージメントを構築していくべきかという内容でした。
急性痛としてのTMD、口腔顔面痛をどうするかは依然として日常臨床の重要な仕事ではなるが、学会等の展望としてはもっと先を見なければなりません。そのモデルがChris Peck教授の講演だったと思います。
オンラインで参加して、発表の指導者は顔見知りなので同時進行でコメント欄でやりとりしていました。
そこで、各国の指導者の進めるべき方向性として私が提案したのは、TMD、口腔顔面痛の中で慢性疼痛を今後の対応疾患として、Biopsychosocial modelとして、特にpsychologicalマネージメントを具体化させるべきである。既に各国とも、慢性TMD、口腔顔面痛の心理的評価は研究されていて、神経質、破局的思考(catastrophizing)、うつ傾向にあること等が把握されています。今回もインドネシアから心理的要因による筋痛の身体化障害(ICD-10では身体化障害は器質異常なし、DSM5身体症状症ではなく中枢感作が本態というつもりのようらしいので用語が違うと思います)として発表されていました。
東南アジア各国に共通した背景として、心理士さんが医科領域においても慢性疼痛に関与していないために、基本的トレーニングを受けていいない医師、歯科医師がその面のマナージメントも担わなければならい状況にあるという事です。将来的解決策は心理士さんに慢性疼痛マネージメントを研修してもらい、参画してもらうことでしょう。これについては奈良学園大学の柴田先生が中心になって研修コンテンツが作成中のようで、完成が待たれます。
アジア各国のこの方面に興味のある人達に呼びかけて、具体的マネージメント案を検討しようかと思います。最初は慢性筋痛の対応です。
原因診査、判明した原因への認知行動療法的に宿題としてセルフケアしてもらう。また、筋痛の一般的対症療法を、これまた認知行動療法的に宿題としてセルフケアしてもらう。ここでも問題になるのは神経質、破局的思考(catastrophizing)、うつ傾向ある人達にどう対応するかです。この点に関して、専門家を交えて、早急にデスカッションが必要です。
 
アジア各国へのもう一つの提案は、若手のトレーニングとして臨床診断推論ワークショップの開催です。日本では日本口腔顔面痛学会企画で、ベーシックセミナー、そして、臨床推論実習セミナーが行われています。この企画をアジア各国に提案したいと思っています。
 
2024年11月04日 22:45